
2019/07/03 - 2019/07/03
10081位(同エリア28249件中)
naoさん
大阪市中央区谷町六丁目~七丁目界隈は、豊臣秀吉時代の大坂城惣構の南限にあたる場所で、大坂冬の陣と夏の陣によって焼き尽くされましたが、大坂町奉行所が置かれた元和5年(1619)から始まった本格的な戦後処理の一環として復興されました。
弥生時代から古墳時代の上町台地は、西側の大坂湾と東側の河内湾に岬として突き出ていた形状で、淀川や大和川が運んできた土砂が次第に堆積し、河内湾が埋め立てられて陸地化されました。
このため、東側の上町筋から谷町筋にかけてはほぼ平坦ですが、谷町筋から西側の松屋町筋に向かっては、元々大坂湾に落ち込んでいた関係で坂道や崖になっているところがあり、中には道路そのものが階段になっていたりもします。
明治維新以後軍事的な施設が置かれたことから、谷町筋沿いは主に軍需に応じた軍服などの既製服製造業の町として発展し、谷町一丁目から三丁目は既製服の製造卸し業者が、谷町四丁目から六丁目には小売店が店を構えるとともに、安堂寺町から谷町七丁目付近には金属製品・機械部品・工具類を扱う問屋などが並んでいましたが、谷町六丁目から七丁目にかけては、太平洋戦争の空襲で焼けなかったおかげで、今も伝統的な町家が数多く残っています。
谷町六丁目と七丁目の境界となっている空堀商店街は、大坂城の外郭で、城下と城外の境界線の役目を果たしていた南惣構堀、すなわち空堀があったところで、太平洋戦争の空襲で焼けなかったことが幸いして、終戦直後の昭和20年9月には、いち早く日用品などを主に扱う商店が軒を連ねる商店会を立ち上げ、現在の空堀商店街へと繋がっています。
この空堀商店街を軸とした一帯には、大正時代末期から太平洋戦争前に建てられた一戸建や長屋形式の町家が数多く残っており、上町台地から西に向かって下る「坂の町」としての趣とともに、風情豊かな町並みが形成されています。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 私鉄 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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谷町筋界隈にやって来ました。
安堂寺町にあるこの通りは、かつて天満橋の八軒家浜から熊野詣に向かうために使われた熊野街道で、特にこの付近では「御祓い筋」と呼ばれています。 -
町歩きを始める前に、御祓い筋沿いの風情ある町家を改装したお蕎麦屋さんで昼食を戴きます。
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美味しいお蕎麦を堪能したところで、町歩きを始めます。
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鮮やかな緑青が外壁を飾るこちらは割烹料理店さんです。
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町並みにあるマンションの植え込みで見つけた紫陽花。
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御祓い筋と長堀通りの間にある榎木大明神が見えてきました。
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小さなお社の背後にそびえる御神木の槐(えんじゅ)は、樹齢約670年だそうです。
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榎木大明神から長堀通りへ下る石段には、大衆文学の分野で確固たる地位を築き、「直木賞」にその名を残す直木三十五の文学碑が立てられています。
直木三十五は明治24年(1891年)に現在の安堂寺町1丁目で生まれたそうです。 -
長堀通りを南に越えて、谷町六丁目に入ります。
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谷町六丁目の町並みです。
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昨年の台風21号の爪痕が今も残る町家です。
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卯建を上げた長屋です。
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こちらの長屋は1戸当たりの間口が同じ幅ではなく、広い・狭いがあります。
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南側から見た長屋の全景。
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こちらは5戸続きの長屋です。
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谷町六丁目の町並みを、見返した光景です。
遥かかなたに見える大木は、榎木大明神の槐(えんじゅ)です。 -
緑青の吹いた外壁のある町家は空き家のようです。
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こちらは創作料理のお店です。
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ワクワクするような路地がありました。
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虫籠窓のある町家です。
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こちらの長屋は、一軒ごとに趣が異なります。
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前の写真の左端の沖縄料理屋さんに掲示された木札。
このまちなみを「寶物」と称えるほど愛着がおありなんですね・・・。 -
こちらは、大阪大空襲をも生き抜いてきた旧宮家のお屋敷を再生して平成15年にオープンした複合商業施設「練」です。
残念ながら、現在は一部が工事中で、建物には足場とシートが掛けられていました。 -
間口一軒のメインエントランス。
奥には長屋があるようです・・・。 -
こちらは、明治時代の中頃に建てられた四軒長屋の内、三軒をひと続きにして改装した大大阪芸術劇場です。
演芸会などのイベントが行われています。 -
3軒長屋を使った店舗。
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各々のオーナーの意向が反映されて、三者三様の個性が表われています。
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部分的に銅板を貼った町家です。
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右に左に折れ曲がりながら緩やかにのぼる道。
この辺りから南は瓦屋町一丁目になります。 -
こちらの町家も台風21号で被害を受けたようで、今もブルーシートが残っています。
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坂道の途中にある町家。
石積みで勾配を吸収しています。 -
日の丸を掲げるお店はパブです。
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パブの横の路地の中は、生活感にあふれています。
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こちらは、解体寸前だった大正時代の長屋を再生して平成14年にオープンした複合商業施設「惣」です。
こちらは「北長屋」と名付けられた建物です。 -
「惣」の前に掲げられている陶板に書かれている空堀まちなみ井戸端会は、空堀界隈の特色である、「昔ながらの町家や長屋」、「それらを活用した新しいお店」、「通りや路地(ろーじ)」、「坂道や石畳」、「そんな町を見守り続けるお地蔵さん」など、世代を超えた人と人との繋がりを生み出す、優しい町並みを活かしたまちづくりを考える組織として、平成16年に活動がスタートされました。
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こちらは、平成18年にオープンした「南長屋」の建物で、それぞれ個性を生かした店舗が展開されています。
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「惣」の辺りの町並みを見返したところです。
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松屋町筋に向かって下る坂道沿いの町並みです。
上町台地が岬として海に突き出ていた太古の時代の形態そのままに、このような坂道が形成されました。 -
白漆喰塗籠めの虫籠窓と格子戸のある町家です。
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外格子をめぐらせた町家が隣り合っています。
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それにしても、かなりきつい勾配の坂道ですね・・・。
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軒を連ねる長屋群。
この長屋の先で谷町七丁目に入ります。 -
丸窓がチャームポイントの、谷町七丁目の町家です。
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同じように外壁の一部に銅板が使われていても、全く異なった外観を見せる町家です。
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横方向に連なる古い形式の長屋と、上方向に延びる現在の長屋(マンション)の対比です。
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両側の店舗に挟まれているのは一般住宅です。
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なかなか雰囲気の良い路地がありました。
路地の奥に見える赤い鳥居は玉勝大明神・榎大明神のものです。 -
玉勝大明神・榎大明神は高低差のある崖の上に鎮座しておられます。
この崖も上町台地が岬として海に突き出ていた太古の時代の名残です。 -
谷町六丁目と七丁目の境界となっている空堀商店街へ来ました。
これは東側の光景です。 -
空堀商店街を西側へ振り返ると、勾配のある坂道として下っているのがはっきりと見て取れます。
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商店街のあちこちにも・・・
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風情ある町家を使った店舗が点在しています。
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薬膳カレーが人気のカレー屋さん。
こちらのお店のカレーは、小麦粉を一切使わないんだそうです。 -
かっこ良すぎる自転車と・・・
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カレールーの入れ物が看板代わりです。
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こちらは焼き鳥屋さん。
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玄関先を緑で埋め尽くした町家です。
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古い町家を店舗にされている町家です。
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フォークリフトで何を出し入れするんでしょうね・・・。
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薄紫色のガクアジサイ。
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こちらのお店もカレー屋さんなんですが、店名は「スパイス堂」と言うようです。
「スパイス ドゥー」じゃないんですね・・・。 -
谷町六丁目の町並みです。
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卯建を上げた町家が見えてきました。
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よくみると2段卯建だったんですね。
この町家の前の緩やかな坂道の先で・・・ -
石段の観音坂に繋がっています。
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石段の坂道を曲がった先は、車が通れる真空コンクリート舗装に変わっていました。
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その坂道の角の町家はヘアーサロンを営業されています。
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観音坂を下りて町並みに戻って来ました。
建具周りの赤っぽい色はベンガラでしょうか・・・。 -
黒漆喰が塗られていた町家です。
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防火のための袖壁を出して、漆喰を塗り籠めた町家です。
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長堀通りに出てきました。
テラコッタのようなタイル張りの外観が重厚な町家です。 -
レトロな洋風建物の歯医者さん。
では、長堀通りを歩いて、谷町筋の一本東側の熊野街道へ向かいます。 -
谷町筋の一本東側の熊野街道にやって来ました。
長堀通りと交差する角には、石標が立てられています。
なお、この道路を境に、西側は谷町六丁目~七丁目、東側は上本町西一丁目~三丁目になります。 -
軒先の緑青の吹いた銅板部分を残して、ほぼ全面的に改修された町家です。
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こちらは、築100年が経過した町家を改装したレンタルギャラリーです。
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卯建を上げた町家です。
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この店舗にもフォークリフトが置いてありますね・・・。
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熊野街道の町並みです。
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日本酒の銘柄名の看板を掲げた酒屋さん。
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こちらの町家は、本格的な釜戸で炊きあげるご飯と旬のお料理が自慢のダイニングです。
「犬鳴き豚」、「熊野の一夜干」、「大和地鶏」など、熊野街道にまつわる食材にこだわっておられます。 -
この脇道にも良い雰囲気の町家が見えているので、行ってみます。
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2階の窓に手すりを付けた町家です。
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前の写真もそうなんですが、どちらの町家も2階の窓がほぼ床まであるように見受けられるので、落下防止のために手すりは必須ですね。
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では、熊野街道へ戻ります。
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緑青の吹いた銅板張りの町家です。
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歩道に埋め込まれた熊野街道の略図。
熊野街道はここからさらに南進していきます。 -
では、私は谷町筋へ戻ります。
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空堀商店街の中にある町家です。
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さて、谷町筋に戻って来ました。
この辺りで大阪メトロに乗って帰宅します。
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