2019/07/22 - 2019/07/23
27位(同エリア243件中)
k.sさん
狭い日本急いで何処へ行く??時には鈍行に揺られながら、お国訛りに耳を傾け、のんびり旅行をするのもいいのでは!!
使う切符は、「青春18きっぷ」。何だか年長者が、若者の上前を撥ねるようで、響きが悪いが、年金生活者でもこの「青春18きっぷ」を使えるのです。
一日JRが乗り放題で、2,370円。ただし、調子に乗り、遠くへ行こうなど不埒な考えを持ってはいけません。物事ほどほどがいいのです。
一日5時間ほど電車に乗ればいいと考え、決めた旅行先が「新宮」です。奈良から新宮、正規の乗車賃は5,080円なので、半額以下です。
ところで、「新宮」は中上健次氏生誕の地です。
私にとって彼の「岬」は特別な作品で、私に言い表すことができない程の衝撃を与えた作品と言っても過言ではありません。
大学生の時、その作品を読みました。その後、商社に入り、仕事に没頭し、文芸作品とは無縁の人間になりましたが、66歳になった今、中上健次氏の故郷を訪ねたくなりました。
”血と暴力とエロスが交錯する世界”
彼の作品を評論家はそう評しますが、確かに若き日の私の心の中に同じ世界がありました。中上健次氏はものの見事にその世界を描き切り、私の心の疼きを鎮めたのです...。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円 - 3万円
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
新宮駅前
まあ、大変です。奈良・王寺から新宮まで、所要時間7時間10分、乗車時間は5時間50分です。新宮に着き、改札口へ歩いて行く時、太腿に違和感があり、足を引きずるような格好で歩いておりました。新宮駅 駅
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新宮駅前
駅前の一角に、新宮市の名誉市民11人を紹介する大きな看板が立っていました。 -
新宮駅前
その一人に、中上健次氏もおられます。
”昭和21年、新宮市に生まれる。芥川賞受賞の「岬」をはじめ、生まれ故郷の熊野を題材にした重厚な文学作品を多数著す”
紹介文は、そのようになっておりますが、私生児として生まれ、実母も結婚を3回繰り返し、家族構成は複雑です。母の3回目の結婚の時、幼かった”健次”一人を連れて結婚しましたので、それが原因で兄が自殺をしています。幼少期、思春期は、ぼろぼろになった濡れ雑巾のような心を持て余し、生活を送っていただろう、と推測します。
イカツイ顔を持つ大男。小説家の風貌とは相容れませんが、高校を卒業後、肉体労働をしながら、こつこつと作品を書きました。
初期の作品は、お世辞にも上手とは言えないものですが、同じテーマを書き続け、とうとう「岬」を書き上げました。選ばれた者だけが著すことができる作品です。1976年、第74回芥川賞受賞作品、その秘められた破壊力に圧倒されました。 -
新宮駅前
駅前のロータリーの一角に熊野新宮観光案内センターがありました。何かいい資料があるかどうか、お邪魔しました。新宮市観光協会 名所・史跡
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新宮駅前
熊野新宮観光案内センターでいただいたマップです。「中上健次文学案内・新宮ぶらぶらマップその3」
中上健次氏生誕の地、小説の中の世界ですが、主人公「秋幸」が暮らした野田町周辺、そして同じく小説の中の世界で実父が暮らした大王地(元花街)の3ヶ所を回ろうと決めました。
観光案内所の方からは、新宮市立図書館に「中上健次資料収集室」があるので、そちらにも寄られたら、と薦められ、電話番号も教えていただきました。 -
中上健次氏生誕の地 春日町周辺
新宮滞在中、春日町には3回程訪問させていただきました。中上健次資料収集室にお邪魔をし、当時の写真を見せていただきましたが、現在は「バラック建ての家屋」は残っておらず、綺麗な集合住宅が並び、そこには「中上健次の世界」は無くなっていました。 -
中上健次氏生誕の地 春日町周辺
集合住宅が並んでおりました。 -
中上健次氏生誕の地 春日町周辺
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中上健次氏生誕の地 春日町周辺
宿泊したホテルから「春日町」へ行く途中に見つけた風景ですが、この風景が「中上健次の世界」に近いものがありそうです。
右に行けば、春日町へ通じ、左は駅前商店街に出れます。 -
中上健次氏生誕の地 春日町周辺
写真右側の建物が「人権教育センター」です。 -
中上健次氏生誕の地 春日町周辺 人権教育センター
玄関を入った入り口に、中上健次氏関連の展示物がありました。 -
中上健次氏生誕の地 春日町周辺
一番興味を持ったものは、彼の原稿です。
ぼやけた写真で申し訳ないのですが、改行もせず文字で埋め尽くされています。
作品の全体像を予め細部まで詰めた上で、一気に書くというスタイルだったようです。 -
中上健次氏生誕の地 春日町周辺
「人権教育センター」の東側の風景です。 -
中上健次氏生誕の地 春日町周辺
「人権教育センター」の東側の近くに、写真の”中上健次氏生誕の地”の案内板があります。 -
中上健次氏生誕の地 春日町周辺
地図を拡大すると、中上健次氏が生まれた家は線路に近いところにあったようです。 -
新宮市市役所 (春日町~野田町への途中)
小説の世界を歩いてみようと、主人公「秋幸」が暮らしていた野田町を目指しました。 -
小説の中の世界 主人公「秋幸」野田町周辺
市役所を左に曲がり、真っ直ぐ歩きます。突き当たりを右に行くと、野田町になります。 -
小説の中の世界 主人公「秋幸」野田町周辺
この風景が野田町への入口となります。 -
小説の中の世界 主人公「秋幸」野田町周辺
後ろを振り向くと、右には新宮駅のプラットフォームがあり、道なりに住宅が並んでいますが、「小説の世界」では、そこに「玉突場」、「弥生」、「散髪屋」、「モン」、「一寸亭」、「ルート66」があるのですが、「一寸亭」以外は架空の店とのこと。また、「一寸亭」も現在は無くなっています。 -
小説の中の世界 主人公「秋幸」野田町周辺
野田町への入口から市役所を振り返ると、このようになっています。写真中央のレンガ色の建物が市役所です。 -
小説の中の世界 主人公「秋幸」野田町周辺
操車場も近くにあります。 -
新宮市立図書館 中上健次資料収集室
図書館の3階に「中上健次資料収集室」があるので来ました。
月曜日は閉館。その他の日は、9時から利用できます。図書館には、開館の10分前に着いたので、折角なので、入り口で待たしてもらいました。中上健次資料収集室 美術館・博物館
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新宮市立図書館 中上健次資料収集室
突然の訪問にもかかわらず1時間程時間を割いてくれました。
中上健次氏が住んでいた当時の写真を見せていただいたり、演劇集団が現在でも中上健次氏の作品を上演されているとのことで、その活動を教えていただきました。
訪れる中上健次氏のファンの中では、一番の作品が「岬」ではなく「千年の愉楽」とのこと。私はまだ読んだことがなく、ファンの中で一番と評されているので、近々読もうと思います。
最後に、中上健次氏の奥さんからのプレゼントで、中上健次資料収集室を訪れる人に、中上氏が使っていた「原稿用紙」一枚を記念に渡して欲しい、とのことで、名前入りの原稿用紙をいただきました。 -
中上健次資料収集室~大王地(元花街)への途中
図書館を出た後、図書館の前の道を北へ進みました。 -
中上健次資料収集室~大王地(元花街)への途中
もう少し進めば、「浮島の森」が左手に見えます。 -
中上健次資料収集室~大王地(元花街)への途中 浮島の森
島は130種類ほどの植物が茂る鬱蒼とした森になっている。寒暖両性の植物の混生群落は珍しく、国の天然記念物に指定されている。入島料は100円。
団扇を借りて入られるようお薦めする。タチの悪い蚊がおり、刺されると結構痛いですよ。浮島の森 名所・史跡
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中上健次資料収集室~大王地(元花街)への途中 浮島の森
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中上健次資料収集室~大王地(元花街)への途中
突き当たりを左に折れると、「明神山」が見えるが、その麓を縫うように歩きました。 -
中上健次資料収集室~大王地(元花街)への途中
坂道を上った途中で振り返って見た風景です。スーパーの「オークワ」が見えますが、今回泊まったホテルニューパレスの裏側に建つ建物です。 -
中上健次資料収集室~大王地(元花街)への途中
明神山の麓を縫うように歩く。 -
中上健次資料収集室~大王地(元花街)への途中
仲之町商店街と平行に東西に、飲食店、スナックバーが点在するが、その一軒の中華料理「万惣」で昼ご飯をいただいた。かつては歓楽街だっただろう、と思われる雰囲気が残っている。中華料理万惣 グルメ・レストラン
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中上健次資料収集室~大王地(元花街)への途中 仲之町商店街 アーケード
細い道じゃなく、人通りが多い道を歩きましょう、と仲之町商店街を選んだが、シャッターが閉まった店が目立った。新宮市仲之町商店街 名所・史跡
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中上健次資料収集室~大王地(元花街)への途中 仲之町商店街 アーケード
途中の案内板。 -
小説の中の世界 実父の周辺 大王地(元花街)
小説の世界では、実父はこの大王地(元花街)に暮らしていた設定になっている。 -
小説の中の世界 実父の周辺 大王地(元花街)
大王地(元花街)の外れにある「本広寺」。 -
ホテルニューパレス
今回利用したホテルです。市街地を一望できる神倉神社、新宮城跡に行っていないので、ホテル7階からの景色を紹介します。新宮で一番豪華なホテル!! by k.sさんホテルニューパレス 宿・ホテル
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ホテルニューパレス
赤い橋が見えますが、「熊野大橋」です。 -
ホテルニューパレス
ホテルの北側には、新宮城跡が見えます。 -
ホテルニューパレス
薄緑色の屋根が真っ直ぐ連なっていますが、仲之町商店街アーケードの屋根です。 -
ホテルニューパレス
隣には、スーパー「オークワ」があります。 -
新宮駅 帰りのプラットフォームから見た「野田町」
新宮は綺麗になり、中上健次氏の「小説の世界」は表面上はなくなっています。
訪れて嬉しかったのは、彼が新宮市の名誉市民11人の一人であったことです。努力が評価されたのでしょう。
私は小説「岬」誕生には、”神”の力が働いたのではないか、と思っています。どろどろとした世界を描いていますが、のた打ち回る愚か者の叫び声と共に、魂が美しく昇華する様も感じ取れます。
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この旅行記へのコメント (2)
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- ふわっくまさん 2019/07/31 08:00:59
- 青春18きっぷで・・
- k.sさん、おはようございます。
全国的に、梅雨が明けましたね。
暑中 お伺い申し上げます。
さて青春18きっぷで、新宮にお出かけされたそうで・・
中上健次氏の世界を、歩かれたのですねー
「岬」や、ファンの間で評判がいいとされる「千年の愉楽」読んでみたくなりました。
浮島の森や元花街など たくさん歩かれて、ホテルニューパレス7階にご宿泊を・・
朝のコーヒー以外は良かったようで、そちらに滞在しながら小説を読むのもイイなぁーと思いながら拝見しました。
ふわっくま
- k.sさん からの返信 2019/07/31 10:00:02
- Re: 青春18きっぷで・・
- ふわっくまさんへ
お早うございます。コメント有難うございます。
「青春18きっぷ」での移動も疲れましたが、この暑さどうにかならない!!商社勤めの次は、まっとうに額に汗を流す仕事に就こうと、庭師を目指し、職業訓練校でしごいてもらい、今の職場を紹介してもらいましたが、炎天下の作業は、”業”以外の何物でもありません。といっても、大きな声で言えませんが、午後1時~3時はクーラーの利いた部屋で昼寝時間にちゃっかりと当てています!!
さて、中上健次氏の世界を訪ねようと、新宮に行ったのですが、雰囲気だけでも伝わったでしょうか?ホテルニューパレスの宿泊者を見ていましたら、多くは熊野古道を散策される方でした。
「青春18きっぷ」は5枚綴りなので、次回はどこに行こうかな?乗車時間を今回は5時間に設定したのですが、3~4時間に減らし、候補地を選ぼうと考えています。何事も無理をしないことですね。
当分、猛暑が続きます。ご自愛下さい。
k.sより
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