2019/04/09 - 2019/04/09
179位(同エリア718件中)
玄白さん
白梅の塔、ひめゆりの塔、平和祈念公園と沖縄戦跡を巡った後は、南城市と八重瀬町の境にあるガンガラーの谷を訪れた。沖縄本島南部の琉球石灰岩地域に数多くある鍾乳洞の一つが、数十万年前に崩落してできた谷で、亜熱帯特有の植物からなる森や、石灰岩地域独特の地形、さらに2万年前の旧石器時代の人骨化石発見の場所があり、太古の自然と人類の関わりを肌で感じられる興味深いところである。谷に入るには、一日4回催行される完全予約制のツアーに参加しなければならず、個人で勝手には入れない。運営主体は、隣接する「おきなわワールド」というテーマパークや玉泉洞という観光鍾乳洞と同じ地元企業の「株式会社南都」である。
探検ツアーと称しているが、ルートはよく整備されていて歩きやすく、特別な装備も必要がなく、小さな子供でも参加できる。コースタイムはガイドの説明を聞きながら80分、1kmほどをゆっくり歩く。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- レンタカー バニラエア
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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駐車場から案内標識に従って坂を下っていくと、巨大な洞穴が見えてくる。
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鍾乳石が垂れ下がった巨大な空洞の中がカフェになっている。ここがガンガラーの谷探検ツアーの出発点である。
時には、このケブイカフェでコンサートや結婚式も執り行われることもあるそうだ。 -
イチオシ
ガンガラーの谷は、1972年に隣りの玉泉洞と同時期に観光スポットとしてオープンしたのだが、谷を流れる雄樋川に上流の畜舎の汚水が流れ込んでいたため、公開が取りやめられていた。2008年に汚染問題が解決されたので再オープンしたという経緯がある。
ツアーの出発時間が迫っていたので、カフェでこの異空間の雰囲気を味わうのは後回しにして、まずツアーに参加しよう。 -
最初にツアーの概要、見所、注意点などのオリエンテーションがある。コースの見所はイナグ洞→イキガ洞→大岩→ウフシュガジュマル→ツリーテラス→武芸洞と続く。
出発に先立ち、沖縄ではポピュラーな「さんぴん茶」が入った水筒がサービスされるので、自分で飲み物を用意する必要もない。さんぴん茶というのは一種のジャスミン茶で、自動販売機でも売られている。本場中国よりまろやかな味である。中国語ではジャスミン茶は「シャンピェンチャ」(香片茶)と発音されるので、それが訛ってさんぴん茶になったらしい。こんなところにも琉球王国と中国の深い関係が伺われる。 -
ケイブカフェがある場所は崩落をまぬがれた鍾乳洞の中なので、天井を見上げれば鍾乳石だらけである。
南西諸島はかつてはサンゴ礁が発達した海であったため、ほとんどが琉球石灰岩の大地となっている。雨が多い地域であるがゆえ、雨で石灰岩が溶けて、いたるところに洞窟があるというような地質の話からガイドの説明が始まる。沖縄ではこういう洞窟はガマと呼ばれ、沖縄戦では避難壕、陣地、病院壕などとして使われていたことは周知のとおりである。 -
わずか1cmほどの鍾乳石の赤ちゃん。これだけ成長するのに数千年から数万年かかる。
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ガンガラーの谷の近くの港川というところで、1970年ごろに18000年前の旧石器時代の頭からつま先までそろった人類化石が発見された。ガンガラーの谷でも港川人の骨格や骨器が見つかっていて、今でも発掘調査が進行中だそうだ。
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港川人が最初に発見されたときの状況。ここから1㎞ほどの港川フィッシャーという石灰岩の割れ目の中から発見されている。埋葬されたのではなく、誤って割れ目に落ちて亡くなったと推測されている。
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ケイブカフェの洞窟を抜けると、亜熱帯性の植物が生い茂る原始の森が広がっている。大きな里芋のような葉っぱの植物はクワズイモ。根茎は里芋に似ているが、食べられないので「食わず芋」。茎を折ると出てくる乳白色の汁にも毒性がある。中国やベトナムでは、これを生薬として利用しているともいう。
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このクワズイモ、となりのトトロの傘のモデルになっているという話を披露するガイド嬢。
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恐竜が跋扈する中生代の森の雰囲気。ジュラシックパークの世界だな。
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ジャイアントバンブー。世界最大の竹で高さ30mを超すこともある。孟宗竹のように地下茎を伸ばさないので、一か所にまとまって生えていて、竹林として広がることはない。きわめて成長は早いという。
ジャイアントバンブーのタケノコはどんな味がするのだろうか? -
西表島のジャングルに似た雰囲気の森である。
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ヤシの木。これは自生ではなく、観光用に植えられたものらしい。
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ここが崩落した鍾乳洞の跡であることを示す、むき出しになった琉球石灰岩の崖。岸壁に無数の鍾乳石が残っている。
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イチオシ
巨大な樹の幹に着生したオオタニワタリ
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ガジュマルの木。幹から気根を出し垂れ下がって地面につくと、そこで根を張り、徐々に太くなっていき、やがて幹と区別がつかなくなる。元の幹は枯れていくので、長い目でみれば、あたかも木が歩いて場所を移動するように見えるので歩く木ともいわれる。
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地面に根を下ろした気根。
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根元からガジュマルを見上げる。
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あちこちに小さな洞窟が散在している。
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谷を一本の川が流れている。雄樋川である。この川の上流に畜舎があり、その汚染水が流れていたため、1972年にオープンした直後、閉鎖に追い込まれたのである。
今は谷の底を流れているが、かつてはケイブカフェがある洞窟内を流れていたと言われている。 -
ジャングルのような森を抜けると種之子御嶽(サニヌシーウタキ)という領域に入っていく。
イナグ洞という洞窟の前に来た。中に入ることはできないが・・・ -
中にある鍾乳石が独特で、女性の臀部、乳房のような鍾乳石があることをガイドさんが写真で見せてくれる。そんなことから、ここには女性神が宿っているとして、古くから良縁・安産を祈願する信仰の場所になっている。イナグとは沖縄の言葉で女という意味で、男が彼女と言う意味で使うこともあるようだ。
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イナグ洞から少し先に進むと奥は真っ暗な洞窟の入り口にたどり着く。イキガ洞である。イキガとは沖縄の言葉で男という意味である。ここは洞窟内にはいることができる。
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ガイド嬢が、ツアー参加者のグループの数だけランタンの火を灯し、洞窟内に入る準備をしている。ランタンの明かりを頼りに洞内に入るので、ちょっぴり探検気分が味わえるということらしい。ただし、洞内も歩くルートはしっかり舗装されている。
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イチオシ
洞窟内には、男性器そっくりの鍾乳石がある。ここは男神が宿っているとして、命の誕生、子供の成長を祈願する信仰の場所になっている。200~300年前から祈願の場所となったようだが、誰がここを発見したのかなど詳細はわかっていない。
元来、沖縄の人達はモノを拝むという習俗、信仰心はなく、ウタキ(御嶽)のように場所を神聖視するので、最初は崩落した鍾乳洞跡の空間全体を祈りの場としていたのでないのだろうか。たまたま、男性器、女性器そっくりの鍾乳石を発見し、御神体として祈願の対象になっていったのだろう。 -
イキガ洞内部から入り口方面を見る。
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イキガ洞を出てからイナグ洞の中間点まで戻り、そこから道は分岐していて、来た道とはべつの方に入り、坂を上っていくと、崩落した巨大な岩塊が、一回り小さな岩に支えられているところに至る。大岩である。この谷が崩落した鍾乳洞であることを端的に示す場所となっている。
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ナナフシという昆虫。細い体形、足が特徴的で、小枝や葉柄に擬態している。昆虫ほど生物種が多い生き物はなく数百万種と言われ、ナナフシの仲間だけで2500種もいるそうだ。ある意味、昆虫は地球上でもっとも繁栄している生物と言えるかもしれない。
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ここが観光地となる前は、いたるところにある洞窟、岩の割れ目は、ゴミ捨て場として使われていた。現在ほど環境保全意識がない時代のころである。そこに空き缶を捨てると「ガン、ガン、ガン、ガラ、ガラー・・・」と音を立てて落下していくので、地元の人たちが、ここをガンガラーの谷と呼んでいたという。ガイド嬢の説明である。
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イチオシ
ツアーの最大の見所、樹高20m、胸高直径4m、推定樹齢150年の巨大なガジュマル。ウフシュ(大主)ガジュマル、あるいは森の賢者とも呼ばれている。天から滴り落ちているような無数の気根を従えて聳えるウフシュは、まさに森の長老といった風格である。
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ウフシュガジュマルをとり囲むように崩落からまぬがれた鍾乳洞跡の琉球石灰岩がぐるっととり囲んでいる。天然橋と呼ばれている。
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まだ大きくなっていない気根を、誰かがいたずらして結び目を作ったらしい。結ばれた束になっている部分は当時のままの太さで、気根本体は成長して太くなっている。結ばれた先の部分が枯れずに残っているのが、力強い生命力を象徴しているようだ。
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別の角度からウフシュガジュマルと天然橋の一部をパチリ。
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一番の見所とあって、ツアー参加者は次々を記念写真撮影。ガイドさん大忙しである。人物が入ると、ウフシュガジュマルの巨大さがよくわかる。
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天然橋の上から伸ばしたガジュマルの枝から気根が垂直に垂れ下がっている。さながら気根の滝である。
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ウフシュガジュマルの近くに石積みしてある場所がある。かつて、ここは風葬の場だったという。
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観光施設ガンガラーの谷のスタッフたちが作り上げたツリーテラスに登ってみる、ガジュマルの木の枝に木製の床を敷いたツリーテラスである。子供の頃に読んだ冒険小説「家族ロビンソン漂流記」に出てくるツリーハウスをふと思い出した。
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ツリーテラスからの眺望。はるか彼方の海の近くが港川地区で、そこが港川人の人骨化石が最初に発見された場所である。
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眼下には朝顔のような花の大群落
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ガイドさんに聞くと、朝顔だというが、こんなに大量の朝顔が自生するのかな???
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ツアーも最終盤。最後の見所は武芸洞。琉球王国時代、武芸が禁止となった時期があり、ここで隠れて武芸の鍛錬をしていたと伝えられていることから、武芸洞と呼ばれている。
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この洞窟は、明るく風通しがよく、洞内が平らで乾燥しているため、先史時代の人々の生活の拠点として使われていた。洞窟の一角に、人骨が埋められていた場所がある。
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発見されたときの状況を示す写真をガイドさんが見せてくれる。6000年前の人の骨だということが分かっている。
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2008年の発掘調査では、人骨左腕に付けられた貝のブレスレットが発見されている。港川人の18,000年前と、武芸洞で見つかった人骨の6000年前とは12,000年の時間的な隔たりがある。それが、どのようにつながっているのか、まだ考古学的な発見はなく、謎のままである。
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現在でも発掘調査は続いている。
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洞の奥まった辺りが港川人のリビングルームだったのだろうか?
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イチオシ
洞内から外を見る。
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ツアー最後のガイドさんの説明は、壮大な人類学の話である。現在最も古い人類は、アフリカのチャドで発見された700万年前の猿人であること、かつて様々な人類が存在していたが、生き残ったのは我々ホモ・サピエンスだけであること、ホモ・サピエンスは20万年前に東アフリカで誕生し、6万年前からアフリカを出て世界中に広がる旅に出たこと、東アジアに到達したのが4万年前であること、そして日本に渡来したルートは諸説あるが、一つの説では沖縄を経由して日本に来たと考えられていること、ここにいた港川人が、最初の日本人のルーツなのか、ここで絶滅したのか、ずっと生きながらえて沖縄人の祖先となったのか、確かなことはまだ何もわかっていないという、ロマンあふれる話でツアー終了。
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武芸洞からおきなわワールドに通じるルートから一旦地上に出て、再びケイブカフェに戻り、しばし休息タイム。
シークァーサー、パッションフルーツのジュース、黒糖とバニラのアイスクリームなどほおばりながら、ツアーを反芻するひと時を過ごした。連れ合いはここで、サンゴコーヒーを土産に購入。サンゴコーヒーとは、風化したサンゴを200℃に熱してコーヒー豆を焙煎したもの。さらに売り上げの3.5%をサンゴ再生プロジェクトに寄付するという社会貢献もしているところが素晴らしい。サンゴと35をひっかけたユーモアもなかなかよろしい!
一服したあとは、今宵の宿がある沖縄本島北部の本部半島へドライブである。 -
今宵の宿は美ら海水族館のそばにあるセンチュリオンホテル沖縄美ら海。4時頃にチェックイン。ホテル内や部屋の写真は無し。(旅行記としては片手落ちではあるが、どうもホテルの部屋の写真は撮ろうという気があまり起こらない)
部屋からの眺望。沖縄海洋博と併せて造成された人工のビーチ、エメラルドビーチである。夕食まで時間があるので、ビーチの散策に出掛けることにしよう。 -
ビーチに面して巨大なホテル オリオン モトブ リゾート&スパがある。名前から察っしられる通り、沖縄の地ビール会社「オリオンビール」が経営しているリゾートホテルである。
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ビーチにいる観光客の大半は中国人である。この時期、すでに海で泳げる季節になっているが、さすがにこの日は肌寒く、海に入っている人は少ない。クラゲ防止ネットが張られていたり、監視員が常駐しているなど、安心して海水浴が楽しめるようになっている。ビーチには「遊びの浜」、「眺めの浜」、「憩いの浜」と3つの人工の砂浜がある。写真は汀線長が一番長い遊びの浜
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やがて、東シナ海に太陽が沈んでいく。南国らしいヤシかシュロの木が植えられているが、まだ根付いていないのか、支柱が目障り。
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眺めの浜。ここはまだ遊泳期間が始まったばかりで、クラゲ防止ネットが張られていないので、遊泳禁止。
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ホテルオリオンモトブの隣が観光スポットとなっている備瀬のフクギ並木があるので、そちらも散策してみよう。昼間は水牛車に乗って並木を通り抜ける観光イベントもあるが、すでに日が暮れる時間なので、今は歩いている人は誰もいない。
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2本の木の根がつながっているフクギ。夫婦フクギという看板が立っている。杉ではよく見かけるが、フクギでもこういうことがあるらしい。
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フクギの切株の上にシーサーが鎮座している。
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イチオシ
だれも歩いていないフクギ並木。フクギは漢字では福木、後付けのような気がするが、福を呼ぶ木とされているが、実用的には、潮風、火に強いので、台風や火事の延焼から家を守る防風林としての役目を果たしている。樹齢は長いもので300年だという。
原産地はフィリピンで、沖縄には自生していなかったが、琉球王国時代にフィリピンから移入されたという。琉球王国は中国だけでなく近隣のアジア諸国との貿易で栄えた国なので、不思議なことではない。 -
フクギの根っこの中で寝ていたにゃんこが、むっくと起き出して近づいてくる。
観光客がエサを与えてるのであろう、エサをもらえると思って寄って来た。ゴメンよ、何も食べ物はもっていないのだよ! -
フクギ並木の奥の畑にバナナの木が植えられていた。南国らしい風情だ。
夕刻の観光客がいない静寂のフクギ並木の散策を楽しんでから、ホテルに戻る。
明日の行動予定は美ら海水族館、天気が良ければ本部半島一周ドライブの予定だが。果たして天気は?
続く
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