2019/04/25 - 2019/04/25
197位(同エリア520件中)
ころたさん
平成が終わる。あと5日で令和がやってくる。そんな1日をどう過ごそうか。
美術展だな。どこへ? クリムト?悪くない。ラファエル前派?気分じゃないな。ムーミン展?ばっかじゃなかろか。。。
「大石芳野写真展 戦禍の記憶」これだ。
日本が平和であった平成にあっても、世界には戦争が途絶えなかった。いや少し振り返れば、昭和の日本は戦禍の只中にいた。今、昭和・平成を振り返らなければ令和を正しく迎えることはできない。
あえて大人は苦渋の選択をするのであった。
- 旅行の満足度
- 3.0
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「大石芳野写真展 戦禍の記憶」展が開催されているのは、恵比寿にある東京都写真美術館。会期は5月12日までだから、今すぐ行かなければ。
恵比寿駅からガーデンプレイスに続く長い歩道橋を歩く。いやコンベアーに乗っていく。 -
ほどなく恵比寿ガーデンプレイスに到着。ハイソ感漂うオシャレエリアだ。
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左に三越、右にオフィスとショップのガーデンプレイスタワー。
恵比寿ガーデンプレイス 名所・史跡
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その手前にエントランスパビリオンとビアステーション。写真美術館はビアステーションの奥。
まずはガーデンプレイス内をお散歩。恵比寿ガーデンプレイス 名所・史跡
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タワーのショップを抜けるとウェスティンホテル東京がある。会社員時代によく海外の客を泊めたので、なじみのホテルだ。でも自分は泊まったことがない。。。
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ホテル前を「The Westin」と書かれた馬車が通過した。送迎用?観光用? こんなサービスもしているんだ。
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ウェスティンの前には、シャトーレストラン ジョエル・ロブション。まさにお城。そしてランチのお値段は...15,000円也~! ディナーは25,000円からご用意しています。
ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブション 恵比寿ガーデンプレイス店 グルメ・レストラン
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こっちのラ ターブル ドゥ ジョエル・ロブションの方はちょいとお安く、ディナーは10,000円から。平日ランチはないそうです。(まぁあっても食べられないけどぉ。)
これからの季節はガーデンテラスは気持ちよさそう。 -
ガーデンプレイスではコンビニまでシャレオツ。ファミマでっせ、ここ。100円のアイスコーヒーもガラスのサーバーに入れてあったりして、ハイソ感満載。通路も広いんですよ。で、店内にさりげなく外人客なんか散らばらせて、もうっ!
(別ニ店ノサクラジャアナイデショ) -
さていよいよ本題へ。東京都写真美術館(TOP)はその名の通り東京都が運営する写真に特化した美術館で、創立は1995年。この日もフロア毎に3つの写真展と、ホールでの映像作品上映を行っていた。
http://topmuseum.jp/東京都写真美術館 美術館・博物館
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1Fカウンターでお目当ての美術展のチケットを購入する。複数の美術展を見たければセット券なんて言うのもあって、すこしお安くなる。
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「大石芳野写真展 戦禍の記憶」はB1展示室。
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-3114.html
大石 芳野氏は1943年生まれの報道写真家(元東京工芸大学芸術学部教授)。お名前だけはうかがっていたが、今回の美術展で大いに感銘を受けた。東京都写真美術館 美術館・博物館
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か弱き女性がカメラ片手に戦地を飛び回った。戦場カメラマンとは違い銃弾の飛び交う中ではなく、戦禍の跡を辿りその悲惨さを社会に伝えてきた方だ。普通の人物写真家を目指していた大石が報道カメラマンへ方向転換をしたきっかけは、学生時代に訪れたベトナムでの経験だと言う。
アメリカがインドシナ戦争に本格介入し始めたのは1961年だから、大石が訪れたのはまさに本格的戦争が起きた直後か。そこで戦地報道という女性には過酷な道を選んだ大石は、やはり凄い人物だと言えよう。 -
場内は例によって撮影禁止。入口前にある3点のみが撮影可能。
展示作品は150点。すべてに大石自身のキャプチャが付く。ルポなのだから当然だろうが、それらの言葉が心を打つ。私は普段、ほとんどキャプチャを読まない。芸術に説明はいらないと思っているから。しかしここにあるのは報道写真だ。その背景を知らなければ意味は半減する。 -
例えばこのコソボの少女。まっすぐにカメラを見る美しい澄んだ目は、悲しみの涙で滲む。彼女の家族は全員アルバニア人に殺害されている。
1998年から2年間にわたったコソボ紛争では、ユーゴスラビア軍によるアルバニア人の虐殺が10000人にのぼるとも、NATOの空爆によるユーゴスラビア人の死者が5000人とも言われている。一方、コソボ解放軍の死者は3000人とも6000人とも言われるが、NATO軍の死者はたった2人だ。 -
展示はアジアでのベトナム、カンボジア、ラオスの戦禍を紹介し、続いてアフガニスタン、コソボ、スーダン、ホロコーストと連なる。最後が太平洋戦争の傷跡となり、731部隊、広島、長崎、沖縄の今が伝えられている。
ベトナムでの枯葉剤後遺症に苦しむ人々の表情が痛々しい。
カンボジア、ポルポトによる虐殺の記録には衝撃を受ける。まるでスイカ畑のように頭蓋骨が並ぶ様子。一方でそこで生き抜く子供たちの瞳が明るく煌めいていて安心させる。この写真でも銃火の跡も生々しいカンボジアの寺院の前で遊ぶ子供たちがたくましい。 -
そしてホロコースト。犠牲者の人灰と人骨が積み上げられた倉庫の様子はなんだ。見学者の前にあるのは横幅約100m、高さ20mに及ぶ人灰の山(大きすぎて全容は分からない)。
そしてガス室の壁に掘られた字は何を表しているのか。ガスに侵されて黒化した壁には、「BeoN・・・」「LuBL・・・」。判読できない単語が並ぶ。 -
最後の太平洋戦争の記録は、731部隊の遺構から始まる。日本人は戦争被害者であると同時に、いやそれ以前に加害者であった事を忘れないためだろうか。
大石はカンボジアを取材した時に、親しくなった地元民から最後に、両親は日本軍に殺されたと聞かされ愕然としたと言う。
あの戦争でもしも日本が勝っていたなら、日本人は加害者のままだった事を忘れないでおこう。 -
ちなみに作品リストをお願いすると、日本語のリストはただの年代と場所の列記なのだが、英語版には全写真のキャプチャの英訳が付いていた。
それはないでしょ、写真美術館さん! -
強烈な展覧会だった。それを期待していたのだが、期待以上であった。
なんとも暗澹たる気持ちで写真美術館を後にした。ちょっと散歩でもして気持ちを落ち着けよう。
エビスビール記念館にある庭園に向かった。エビスビールの博物館になっていて、ガイドツアーや試飲もできるようだが、今はとてもそんな気分ではない。
塀際では野菜栽培をしている。今はレタス。 -
木道が縦横無尽に走る庭園はワイルドな造りで好感が持てる。様々な草花が隙間なく生えている。植わっているという感じがないのがいい。
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近所の人やサラリーマンの憩いの場。疑似戦争体験に疲れたオジサンにもありがたい。
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だいぶ充電できたので、恵比寿駅方向に帰っていこう。
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ガーデンプレイスのエントランスから山手線を跨ぐのがアメリカ橋。
「アメリカ橋って知ってますか~」
狩人の歌なんかもう知らないよね。アメリカ橋も「鉄でできた赤い橋」じゃなくなっているし。アメリカ橋 名所・史跡
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本当は恵比寿南橋って言うんだ。
「大石芳野写真展 戦禍の記憶」は5月12日まで。
見るべし!アメリカ橋 名所・史跡
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