2019/04/13 - 2019/04/13
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Tam-Kさん
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この旅行記スケジュールを元に
春の犬島、この日は特にどこかへ行くつもりはなかったのですが、あまりのいい天気に西へドライブ、そしてちょっと犬島へ行ってみました。
ここは、ペンション村などで知られる岡山県牛窓のすぐに西にある宝伝港から、船で約10分で行ける瀬戸内の小島です。ここは岡山市に属し、島の周囲は約3.6㎞、現在の住民は約50人、周囲の4つの小さな島と共に犬島諸島を形成しています。
この島は、もともとは石切の島、天然の花崗岩の島です。大阪城築城の際にも多くの石がここから切り出されました。そして、大正年間には岡山県内の鉱山から採掘される銅を精錬する精錬所が建設されました。ただ、この精錬所は、当時の不況による銅の価格暴落によって、僅か10年で操業停止となってしまいました。その後も再建に向けて様々な措置が取られましたが、再操業には至らず、昭和年間を経て廃墟となってしまいました。
そして現在、この廃墟だった精錬所も精錬所美術館となり、また犬島家プロジェクトも島内に展開され、直島、豊島と共にアートの島として知られています。
精錬所美術館は、近代化産業遺産でもある旧精錬所の遺構を利用し、島の空気と自然のエネルギーによる作用が、この建築と内部の作品で表現されています。三分一博さんの自然エネルギーの作用を取り入れた建築、そして館内最深部には、昭和の近代化に問題提議した三島由紀夫をモチーフとした柳幸典さんによるアートワークがに展開されています。この美術館は、「遺産、建築、アート、環境」をテーマとした構成となっています。
崩れかけた煙突と廃墟のように黒い朽ちたレンガ造りの壁が連なる精錬所跡、その中の1本の巨大な煙突を中心に展開された建築とアートのコラボともいうべき美術館、島の風とエネルギーを感じながら館内を奥へ奥へと進む、体全体で何かを感じながら楽しめるアートがここにあります。
今日は真っ青な大空、この青い大空に描かれたたくさんの白い筋状の雲、これらはみんな飛行機雲です。今日のような真っ青な大空をのんびり眺めていると、この辺りの上空を飛ぶジェットの航路が本当にたくさんあるんだなぁ、ってことがよくわかりました。爽やかな晴天の犬島、穏やかな島時間を楽しむことができました。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- グルメ
- 3.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 自家用車
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宝伝港の東、海沿いの道から望む犬島です。
かつての精錬所のレンガ造りの煙突が何本か残っているのが見えます。
遠くから見て、廃墟感がとても感じられる島ですね。 -
宝伝港から船で犬島へ向かいます。
約10分で到着します。宝伝海水浴場 ビーチ
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犬島に到着、港のすぐ先にチケットセンターの黒建物があります。
犬島のアート鑑賞パスポートが、ここで販売されています。
・精錬所美術館と家プロジェクト共通鑑賞券 2,060円犬島アートプロジェクト チケットセンターカフェ グルメ・レストラン
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犬島チケットセンターの内部、チケットは入ってすぐのホールで販売、ここには犬島のおみやげ物も販売されています。
また、この建物の奥にはカフェもあります。 -
チケットセンターを後にまずは精錬所美術館へ向かいます。
この日は晴天の春の日、まっそな青空に爽やかな風、催行の島散歩日和でした。犬島アートプロジェクト チケットセンターカフェ グルメ・レストラン
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犬島の海岸は、石の島だけあって海岸も小石でいっぱい、それにしても瀬戸内は澄んだれいな海です。
1970年代、高度成長期の瀬戸内は、沿岸の工場からの排水や洗剤等を含む家庭排水が垂れ流されていたため、相当ひどい汚染状況でした。夏には赤潮が広域に発生することが日常茶飯事、また大気汚染も深刻で、多量の窒素酸化物やばい煙の放出で、光化学スモックも頻発し、海、空共に今では考えられないような状況でした。まさに今の中国のような状態でした。犬島海水浴場 ビーチ
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チケットセンターから先の精錬所跡へ向かいます。
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イチオシ
途中、右に入れば家プロジェクトの方向なのですが、その方向に何やら気になる物体が、、、
小山の上に載った岩の上に何か人工物が乗っかています、こっれはいったい何なのでしょう???
こちらは、後程寄ってみることにします。 -
精錬所美術館
犬島精錬所美術館 美術館・博物館
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かつての精錬所の工場跡の廃墟がここに広がっています。
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黒いレンガ積みの向上の壁面が残り、工場内の区画構造が当時の雰囲気を残しています。
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明治から大正時代にかけての岡山県では、現在の倉敷市に帯江鉱山があり、ここでは銅が採掘されていました。岡山県倉敷市周辺の丘陵地には、昔から銅が採掘される場所がいくつもありました。古くは奈良東大寺盧舎那仏像の鋳造に際してもここの銅が使われたという記録もあるそうです。また、江戸時代にはここで銅が採掘されていました。
余談ですが、岡山県北部にある吹屋の郷、ここは江戸時代に”ベンガラ”と呼ばれる赤い染料で財を成した商家が今も当時のままの姿で残る貴重な場所です。この”ベンガラ”も銅が主成分であることから、この吹屋も江戸時代から昭和の中頃まで、銅山とベンガルの町として栄えていました。
このように岡山県というのは、古来から銅鉱脈が多く分布していたんだなぁ、、、ということが分かります。 -
イチオシ
精錬所美術館
ここは、三分一博さんの建築と柳幸典さんのアート作品のコラボによるアートプロジェクトです。
精錬所美術館は、自然エネルギーの活用が建築のテーマとなっています。
この美術館は、エントランスは入ったところから、暗い坑道のような通路が続きます。正面にを見ると遠くの出口と思われる位置の光が見え、また後ろを見ると炎のようなものが絵が画れた入り口部分の壁が見えています。
この暗い通路を出口の光に向けて通路を歩いていくと、左右に通路が折れ曲がり、その都度歩く方向が変わります。このようにいくつもの角を回るのですが、正面に見える光景、更には後ろに見える光景までが同じまま変わりません。ちょっとした光のトリックがここには施されています。
また、この通路を歩いていると、軽く風が奥に向かって流れて行っているように感じることができます。この風こそが自然エネルギーの活用によるものなのです。 -
通路を進切ると、真っ青な青空が正面のガラス窓一杯に投影されています。
これまでの通路の曲がり角には45°の角度で角にガラスが取り付けられていました。このため、いくら進んでも前も後ろも同じ光景が変わらなかったのです。そして。一番奥のここでは、ガラスが上向きに45°の角度で取り付けられており、これによって真正面に真上にある青空が一杯に映し出されていたのです。
そして、この通路の一番奥の扉を開けると広い部屋に入ることができます。この部屋には柳幸典さんの作品が展開されています。そのさらに奥には太陽光が注ぐガラス張りの区画があり、そのさらに奥で高い煙突へとつながっています。このガラス張りの部屋こそ自然光がエネルギーに変換されるリアクター部分なのです。
このガラスの空間に射し込んだ光、この光によって空間内の空気が暖められます。そして、この温まった空気は気体温度による密度差の作用で煙突を通って上昇し、屋外へと放出されていきます。
このように空気が太陽光によって暖められ、外へ放出されていくということは、ガラス張りの空間の気圧が下がることとなります。このように気圧が下がることでこの空間に空気が流れ込んでくることになります。この空気の流れが、精錬所美術館の入口からの長い通路の中で感じることができる穏やかな風の流れだったのです。
熱い夏場の強い日の光で、ガラス張りの空間内の空気はより暖められ、より多くの空気が放出されることとなります。このため、精錬所美術館の長い通路は、熱い夏場の方がより風を感じることができるということです。これにより、通路を歩く人は、暑い夏にはこの風によって涼しさを感じることができるのです。天然のエアコンとでもいうようなシステムが、この建物の中で自然エネルギーによって造り出されています。犬島精錬所美術館 美術館・博物館
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イチオシ
精錬所美術館の最深部には、柳幸典さんによる三島由紀夫をモチーフとした作品が展開されています。三島由紀夫は、高度経済成長を誇った昭和、その時代による近代化に対し、警鐘を鳴らしていました。現在社会の在り方を問いかけるようなに作品が展開されています。
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精錬所美術館を後に次は、家プロジェクトを巡ってみます。
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まず最初は、F邸
犬島家プロジェクトは、5つの邸宅が島内に展示され、それぞれの建物の中にアート作品が展示されています。ここの建築は、金澤の21世紀美術館や直島港の海の駅などを手掛けた建築家、妹島和世さんによるものです。 -
F邸の内部には、名和正平さんの作品、Biota(Fauna/Flora)
永遠に増殖しているかのなような白い泡のような物体、巨大なオブジェが室内一杯に展開されています。また、建物両脇には小さな箱庭があり、それぞれに小動物や植物を思い起こすような彫刻が、柔らかい日の光を浴びながら佇んでいます。 -
イチオシ
F邸、ここは建築とアート作品が一体となっていますね。
犬島「家プロジェクト」 美術館・博物館
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石職人の家跡
浅井雄介さん「太古の声を聴くように、昨日の声を聴く」
石器時代を思われるような不思議な模様や石組が展開され、かつては建物の柱があったことを連想させるような場所があったり、
島内から集められた石や島の人が描いたパーツも盛り込まれている作品です。 -
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S邸
荒神明日香さんの作品「コンタクトレンズ」
妹島さんの建築、透明の曲面を持ったアクリル製の壁面、その中に大小無数のレンズ上の形状のコンタクトレンズがちりばめられています。 -
見る角度によってレンズの向こう側の光景が歪んで見えます。
見る人によってそれぞれの見え方が楽しめます。 -
A邸
ベアトリス・ミリャーゼス(ブラジル)さんのアート作品
A邸から「周囲のコミュニティや自然が融合された彫刻」という印象をベースとして、この作品は製作されました。犬島の中にある自然の様々な形状を色彩豊かに表現することで、生命観あふれる島のエネルギーが表現されているような作品です。 -
中の谷東屋
家プロジェクトめぐりの途中で、ちょっと休憩、
うさぎの耳のような背もたれの椅子に腰かけ、のんびりと島の風を感じながらゆっくりするのもいいんじゃないでしょうか。 -
中谷の東屋の近くに新しくできた建物、
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「犬島ホッピーバー」
むむ、これは何か楽しそうな香りがプンプンします。
開店しているときに、ここに来れることが楽しみです。 -
C邸
下平千夏さんのアート作品「エーテル」 -
建物の中のあらゆる場所から黄色い無数のひもが縦横に張り巡らされています。
この紐は、建設現場などで使われる水平をとる時に使われる黄色い蛍光色の糸、「水糸」と呼ばれています。 -
天井の梁の造形、複雑な自然の形状のを活かした上で、機能性を最大限に発揮されています。
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イチオシ
建物内のあちこちから光の糸のようにめぐらされた水糸、張りめぐらされた黄色い紐、水糸で編み込まれたハンモックのような三角形の椅子、ここに光が集まるかのように黄色い水糸が張り巡らされています。
この水糸のハンモックに座るというより、寝転がって自然の揺れに身を任す、とても心地よい時間を過ごせそうです。 -
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I邸
オラファー・エリアソン(ドイツ)さん
室内に置かれた3つの鏡によって、窓の外の空間も含めた無限の光のトンネルが形成されています。
光の道筋をたどり、室内を巡る。やがて一点で永遠の光の繋がりを目にすることができる、、、 -
庭も手入れがゆきとどき、とても素敵な場所です。
ちなみにここは、「犬島くらしの植物園」の方がお手入れされているということです。 -
石切場の跡
犬島の中を歩いていると、このような池をたくさん目にすることができます。
これは、石を取り出した跡、犬島は石切りの島、良質の花崗岩が島全体を覆っています。古くから石の採掘が続いてきたその名残として、急峻な岩の壁に囲まれ角ばったかたちの深い穴がそこ彼処で見ることができます。これらの穴には、雨水が溜まり、池のようになっています。 -
I邸から港のほうへと向かう道、海沿いでとてもいい景色です。
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途中にうさみみの椅子が置いてありました。
ここで海を眺めながら、少し休憩するのもいいですね。 -
家プロジェクトを一周し、最初のF邸のすぐ近くまで戻ってきました。
目の前には、F邸の前で見上げた気になる大きな岩があります。 -
何とこれは、小山の頂上に載った大きな岩、その上に作られた小さな祠、ここは神社だったのです。
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犬島 山神社、
長い石段を登り、お参りしてみます。
とても御利益がありそうな感じかします。
ここは、島の石職人たちにとっても信仰の場となっていました。 -
もうすぐ港、そこには一軒のカフェがあります。
trees 犬島店 古民家をリノベートした素敵なカフェ、ここの野菜たっぷりカレーが美味しいんですよね!
口コミ情報は下記をご覧ください。
https://4travel.jp/domestic/area/chugoku/okayama/okayama/okayama/tips/12337855/#contents_innertrees 犬島店 グルメ・レストラン
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犬島チケットセンター・カフェ
ひと通り犬島のアート・プロジェクトを巡り、チケットセンターまで帰ってきました。犬島アートプロジェクト チケットセンターカフェ グルメ・レストラン
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ここでランチ、
ミネストローネ・スープととパンのセット
豆や雑穀も入ってとてもお石勝手ですよぉ~!犬島アートプロジェクト チケットセンターカフェ グルメ・レストラン
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犬島の中、少し中に入るとかその雰囲気が感じられます。
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美しい瀬戸の海、今日は一日犬島のアートを楽しんむことができました。
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犬島を後に宝伝港へ
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宝伝港に到着、2019瀬戸内国際芸術祭が始まったらまた行ってみたいと思います。
宝伝海水浴場 ビーチ
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ひっそりとした宝伝港、快晴の爽やかな春の犬島、まさにアート日和の島を満喫できました。
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