五千頭の龍が昇る聖天宮

2019/02/01 - 2019/02/01

埼玉県坂戸市にある聖天宮は、中国台湾三大宗教の一つ「道教」のお宮です。（お寺ではありません）

聖天宮の建て主は、台湾の康國典大法師で、昭和56年に着工、15年を掛け、平成７年に開廟された、日本国内に現存する道教のお宮として最大級の規模を誇ります。
「何故、坂戸市にこれほどの規模のお宮があるの？」と不思議に思いませんか。
このお宮の存在を知ったのは、トラベラーのウェンディさんが旅行記で紹介してくださったため。

台湾が大好きで何度も訪れている友人Ｉさんを誘って見学に出掛けましたが、Ｉさんも「本場、台湾でもこれほどの規模の建物は見たことがない」と驚いていました。

エリア 日高・鶴ヶ島・坂戸(埼玉)

• 旅行の満足度: 3.5

東武東上線　若葉駅

横浜からは東急東横線、副都心線、東武東上線と乗り換えなしに来れます。
この日は、東上線内で急病人の救護活動を行ったためダイヤが乱れていて、予定通りには行きませんでした。
若葉駅から、聖天宮まで歩くと約40分、冷たい風が吹いていたので、バスに乗ることに。
駅東口からバスに乗って乗り６～７分、戸宮交差点前で下車。
バス停から聖天宮までは、徒歩５～６分です。

若葉駅 駅

聖天宮

周りには何もない所に、突然黄色の屋根が現れます。

聖天宮の建主・康國典大法師は、 四十歳半ばにして不治の大病を患い、ご本尊「三清道祖」と縁起をもたれたのを期に一命をとりとめ、完治されたお礼と、何人にも神様のご利益にあやかれるお宮を建てたいと、建造の地を探していたところ、生国の台湾ではなく日本のこの地にとのお告げがあり、この地の雑木林を整地し、昭和56年に着工。
台湾の一流の宮大工を呼び寄せ、15年を掛けて平成7年に開廟されたもの。

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　天門

建物は幅50ｍ、高さ25ｍ、豪華絢爛な造りは天界の悠久の宮殿を思わせます。
屋根：神様と皇帝の建造物しか使われない黄色い屋根瓦と龍
屋根飾り：ガラスとタイルで造られた屋根飾り

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　天門の屋根の彫刻

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　天門の屋根の彫刻（右側）

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　天門の屋根の彫刻（左側）

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　天門の狛犬

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　前殿と鐘楼（右）、鼓楼（左）

冷たい風が吹き抜ける寒い日でしたが、青空に建物が映えます。

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　前殿

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　前殿の屋根飾り（右）

「五千頭の龍が昇る」と言われますが、見事な屋根飾りです。

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　前殿の屋根飾り（左）

友人Ｉさんも「これは凄い！」を連発。
遠いところ、誘った価値があってよかったです。

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　前殿

正面には5つの門戸があり、柵がされている3つの戸口は神様が通る門で、人は東（右側）の龍亭、または西（左側）の虎亭からの出入りとなります。

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　前殿の扁額

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聖天宮　前殿の石板彫刻と本殿（億）

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　前殿の前の石柱彫刻

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　前殿の屋根飾り

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　鐘楼

２Ｆまで上ることができます。

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　鐘楼の石板彫刻

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聖天宮　鼓楼

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聖天宮　寿金亭

寿金（神紙）を焚く炉が置かれている建物。

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聖天宮　前殿に飾られる絵

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　前殿　龍亭の扉

4ｍもある一枚の板に四大天王が彫られています。
右：魔礼紅（風調雨順の職調を司る）
左：魔礼青（風調雨順の調風を司る）

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　前殿

前殿の天井は一万以上の部品を釘なしで組まれています。

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　前殿の扉

如意四位正神
右：納珍天尊（安和楽利の和を司る）
左：招寶天尊（安和楽利の安を司る）

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聖天宮　前殿の扉

鎮守宝殿山門神
聖天宮の大正門の門番として参拝者に通行許可を与えます。

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聖天宮　本殿

道教という宗教はあまり馴染みがありませんが解説によれば、
中国大陸で発祥した、中国史の起源に遡る太古の民間信仰です。
神話の神々を起源とし、後の世には三国志の英雄、関羽候なども含む、様々な神様が存在する多神教です。
発展の経緯から、「神仙思想」と「老荘思想」という二つの面を持ち合わせています。

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　本殿の回廊（右側）

「神仙思想」とは、神や仙人の世界に到達することを目的としたものであり、特に不老不死の探求は漢方や気功とし、練丹術は原始化学として、火薬の発明に繋がりました。
「陰陽」、「八卦」の概念も神仙思想より生まれ、自然摂理や人の運命までも司るものとされ、「風水」、「占術」として現代にまで影響を与えています。

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　本殿の回廊（左側）

「老荘思想」とは、老子や荘子などの思想家が「道」を説いたものです。
「道」とは、人智を超えた計り知れないものであり、ことさらに知や欲を働かせる「人為」を無くし、「無為」で「道」に従い生きることを説いています。
老荘思想を中心とした道教の世界観は、Taoism（タオイズム）として、東洋のみならず、西洋でも根強い関心を集めています。
日本では平安時代に「陰陽道」「風水」など、江戸時代は倫理道徳として捉えた「朱子学」を「武士道」に取りいれられたのがよく知られています。

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聖天宮　本殿

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聖天宮　本殿前の九龍網

一枚岩に掘られた彫られた九頭の龍
九頭の龍は万物を網羅する神様の威厳を表し、また永久の「久」として縁起の良い数字。
龍は神様の使いの中では一番力が強く、天変地異も引き起こすとされています。
五つの爪を持つ龍は最強であり、皇帝の時代には龍の爪の数は厳格に管理されていたそうで、許可なく龍を用いることは死罪を伴ったそうです。

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聖天宮　中庭から見る前殿とガラス窓に映る本殿

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聖天宮　本殿

中央の奥には「三清道祖」（人間界の運勢を司る道教最高位の三神）を祀ります。
元始天尊（中央、天地創造の神様）、道徳天尊（右、道徳を司る神様）、霊寶天尊（左、魂魄を司る神様）

使われている巨大な石柱も台湾から運んだものだそうです。

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聖天宮　本殿の天井

太極天井は木製の材料を釘を使わずに組まれています。

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聖天宮　本殿

手前には「四聖大元帥」（東西南北地上の災いを封じる神々）、
右奥には「南斗星君」（万物の生を司る神）、左奥には「北斗星君」（万物の死を司る神）を祀ります。

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聖天宮　本殿前の天公炉と前殿

天の恵みに感謝するために参拝する炉。
由緒は、「天公」別名「玉皇高上帝」は天の恵み（甘露）を与えるありがたい神様で、参拝はお願いではなく感謝の一礼をするのみ。

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聖天宮　本殿前の石柱彫刻「龍鳳柱」

台湾の観音山で取れる５ｍもある観音石の一本柱に施された彫刻。
彫りは深く石とは思えないほど小指よりも細い所が多くあります。
柱の上には龍、下には鳳、縁起の良い神様の遣いとともに、間には雲上の神様ともに彫られています。
また、大地を表す下の彫りには牡丹、大きな花を咲かせることで繁栄を表し、梅は冬季に花を咲かすことから生命力を表します。

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聖天宮　神符・お守り

お守りに色、形、文字を持たせ、神様の力に焦点を与え、事の成就を願います。

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聖天宮　客庁（待合室）

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　客庁（待合室）の天井

この部屋だけで500頭の龍がいるそうです。

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聖天宮　鐘楼の中に置かれている「陽紅布・短冊」

強い「陽」の力を醸し出す「陽鐘」の下で抱負を明記し叶える勇気を授かるもの。

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聖天宮　鐘楼の鐘

3時に鐘が鳴ります。

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聖天宮　鐘楼の２Fから見る本殿の屋根

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聖天宮　自動販売機

聖天宮オリジナルグッズや台湾スィーツ等があります。

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聖天宮　康國典大法師ご夫妻

これほどの規模の建物を異国に建ててしまうとは、よほどの資産家なのでしょうね。

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聖天宮　鼓楼に置かれている「紅壽燭・蝋燭」

「陰鼓」の下で「陰」の力に打ち勝つ蝋燭を灯し、物事の順調と延寿を賜ります。

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聖天宮　鼓楼の２Fから見る前殿の屋根飾り

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　鼓楼の２Fから見る本殿の屋根

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　鼓楼の太鼓

3時に太鼓が鳴ります。

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聖天宮　前殿の屋根飾り（内側から）

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　本殿の屋根飾り

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　本殿の屋根飾り

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　本殿の屋根飾り

見事な彫刻です。

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　前殿と鐘楼・鼓楼

聖天宮 寺・神社・教会

聖天宮　天門と前殿・鐘楼・鼓楼

自宅からは遠いですが、来てみた価値がありました。

聖天宮 寺・神社・教会

戸宮交差点前バス停

東上線若葉駅行のバスの時間に合わせてバス停まで。
ほぼ定刻にバスはやってきました。

（おしまい）