2018/12/13 - 2018/12/14
46位(同エリア62件中)
旅する歴史家@ペルシアさん
- 旅する歴史家@ペルシアさんTOP
- 旅行記5冊
- クチコミ0件
- Q&A回答0件
- 4,098アクセス
- フォロワー1人
ブログ 「ペルシア•シルクロード紀行+いつもの日記」http://note.mu/persia_iran_1999
インスタグラム @shimoyama_shadpayam もどうぞよろしく!
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
本格的なカメラを持ってきていなかったから写真には鮮明に写せなかったのだけれど、満点の星空は、カシオペアも、ひしゃく座の入った大熊座も、名前を知らない沢山の星座たちも、子供の頃に育った四国の田舎町で見ていた数倍もの大きさで煌めいていて、まるで漆黒の夜空に数千数万の大粒のダイヤモンドをひっくり返して大きくお絵かきしたような、信じられない美しさだった。そういえばイランでは、テヘランのような都会でも、沈んでゆく真っ赤な夕日も、そのすぐ後に上ってくる白い月も、やっぱり日本で見るよりずっと大きく、まん丸いスイカ大や、時には両手で大きく輪をつくったほどの大きさで迫ってくるのは、乾燥した気候によるのか、地理的な要因なのか、とても不思議だ。
この夜は真夜中に流星群も見られることになっていて、私たちがキャンプファイヤーを囲んでいた時も、前触れだったのか、小さな流れ星がいくつか視界を横切った。流れ星に願い事をつぶやくのは、イランも同じで、砂漠の星空を駆けていくロマンチックな流星に、誰もが何かささやきながら背伸びしそうな勢いで見とれていた。聖者廟(イマームザーデ)での願掛け(ナズル)や、願掛けのためにつくる手料理のお裾分け(ナズリー)の文化が根付いているこの国では、人々が願い事や祈りにかける一途なエネルギーは半端じゃなく真剣で、皆のささやくような祈りの声がゼムゼメ(微かなざわめき)となって聞こえてくると、きっと誰の願い事も叶うような気がする。気づくといつの間にか大音量のディスコソングも消されて、誰かが伝統楽器キャマーンチェ(ペルシアの胡弓)を奏でて古い民謡を歌っていた。火を囲んでのベザン・ベクーブで熱く始まった砂漠の夜が、いつか静かに優しく過ぎていくのだった。
真っ暗な夜更けの砂漠は静けさが漂うばかりで、寒さをしのごうとキャンプファイヤーの炎と暖を取るかのようなベザン・ベクーブにしがみついていた私たちは、砂漠の様相にはほとんど何も気がつかなかったのだけれど、夜更けに隊商宿(キャラバンサライ)に戻ってからも、砂漠の砂のほんわりとした暖かさや、星たちの輝きや、星空の下で煌々と燃えていた炎や、皆で頬を上気させて踊ったり語ったりした熱っぽさが、余熱のようにいつまでも体に残っていて、明日は早いというのに誰もが遅くまで眠れなかった。隊商宿(キャラバンサライ)の小部屋のざらざらとしたレンガ壁にもたれて、素足を潜らせてみた砂漠の暖かで優しい感触がいつまでも消えなかった。(続く)
PR
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
その他の都市(イラン) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
0