ヘラクレスの柱と最後のネアンデルタール人

2018/01/01 - 2018/11/01

私の居る南スペイン、コスタデルソル。
「暮らすように旅するスペイン」（https://daisukispain.wordpress.com）
2018年は所用で半分ジブラルタルに住んでいるような日々でした。その中で見つけたジブラルタルの魅力をご紹介。

エリア ジブラルタル

スペインからジブラルタルに入国するには入国審査がある。時には長蛇の列。空港の滑走路を徒歩で横切って街に向かうというのもここ独特。

このケースメイツスクエアからメインストリートがショッピング通り、消費税がないので、タバコ、酒類、香水等がちょっと安め。Morrisonsというイギリスのスーパーがありここでイギリス物を入手出来る。

ジブラルタルにはハーバーがある。クイーンズウェイのハーバーはレストランやカフェが並び、オーシャンプラザ地区はカジノもあるナイトスポット。

ロープウェイまたは徒歩でアッパーロックへ。ロックの上部は自然公園となっている。

もっとも大切にされているロックの住人が猿。バーバリーマカクと呼ばれるニホンザルにもちょっと似た猿たち。

ジブラルタル海峡は海上交通の要所であることが分かる。ここから、アルヘシラス、モロッコ、ジブラルタルと３つの国が見えている。

ロックと気流の関係か、天候も独特で特にサウスディストリクトでは空の表情が非常に豊か。Rosia Bayは昔からの軍港の跡、トラファルガーの戦いで戦士したネルソンの遺体がブランデーの樽に入れられてこの港に上陸した。

ロックではここ独特の植生も見られる。

信じられないほど眺めのいいカフェ。ロック上部には洞窟ほかいくつかアトラクションがありロープウェイセット券で参観出来る。のんびりウォーキングするだけでも楽しい

ヘラクレスの柱と呼ばれるジブラルタルのロック、ギリシャ神話や古代文明の時代から地中海へのゲートという戦略的立地以上のシンボリックな意味合いを持つ場所だと思う。
「Non Plus Ultra~先はなにもない。」

その文句はこのジブラルタルでその運命を閉じたネアンデルタール人の歴史にも通じるような気がしてならない。
最期のネアンデルタール人達が居住していたとされるGorham's Cave Complexは2016年に世界遺産認定を受けた。

ジブラルタル博物館を通じてツアーが予約できる。ガイド付き参観が許されているのは6~10月のみ。週一回催行。

考古学の専門家をガイドに登録を済ませてツアー出発。この地区は軍施設があるため普段ではアクセス出来ない場所。許可申請をして施設内の隅っこを通り抜け洞窟へのアクセス階段へ。皆ヘルメット着用。

石灰岩が隆起して出来たロックの斜面と激しく打ち寄せる波、これだけでも充分にエキサイティング。

地上に着き洞窟へ向かう。岩の隙間をもぐったりちょっとした探検隊気分。

ネアンデルタール人が住んでいた頃は海面がかなり下で洞窟から海岸線まで3~5キロくらいあったそうだ。エデンの園のような世界だったのか？近隣の豊富な動植物が残された人々の生存に寄与したんだろう。

洞窟では発掘調査が進められている。遺物のマッピング等非常に手のかかるプロセスで、私たちの生きている間に終わることはないらしい。

ネアンデルタール人は滅びて現世人類は生き延びた。近年では多くの人々にネアンデルタール人のDNAが継承されているとも言われている。

人類史のなかでジブラルタルが要所だったことは疑いなく、アトランティス伝説や数々の文明、イベリア半島の隅っこがこんな特徴ある場所だったとは!

人類のルーツに迫る旅。ジブラルタル、Duty Free ショッピングで終わらせてしまうのはもったいない!