2018/10/30 - 2018/10/30
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motogenさん
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定点カメラのある薩埵峠に立った。
天気も良く、さすがここからの富士は一味違っている。
眺めるものは眺めたが、すぐには立ち去りがたく、しばらく風に吹かれて日向ぼっこ。
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
-
動画も撮ってみる。
https://youtu.be/c7aAe7Vi_KQ
-
戻りかけると、
「あれっ・・これは何?」
「もしかして、小さなモノレール?」 -
レールは駐車場まで続いていた。
車輪やレールは錆びているけど、ミカンやビワを運ぶに季節になれば、錆びは奇麗になるんだろう。
勾配が60度に達する場所もあるが、山岳鉄道のようなアプト式となっている。
車輪とレール、このメカニズムがたまらない。 -
モノレールに夢中になって、富士のことは忘れがち。
気がつけば1袋100円でミカンが売られている無人販売所があった。 -
そこに現れたのは、バッグ一つを背負ったおじさんで、
昔の東海道をたどりながら、西から東へと歩いている達人ハイカーだった。
歩く距離は一日およそ40km、というからすごいもので、
バッグ一つの荷物で3~4泊しては家に戻り、その繰り返しで昔の街道を制覇するのが、リタイア後の生きがいらしい。 -
「ビジネスホテル、食事代、家までの交通費と、かなり金がかかってしまう・・」
と苦笑い。
奥さん連れの時期もあったが、「疲れた」とか「のどが渇いた」とかうるさくて、一人旅が一番だと悟ったそうだ。
「一人きりで寂しくない?」
「なあに、気楽なものさ。」
う~ん! -
スーパーで買ってきたバナナと、道端で拾ってきたミカンを食べて、
由比駅に向けて未熟な私たちも出発。
急坂を降りていく。 -
崖下をのぞけば、東名高速と国1バイパスと、そして青い駿河湾だ。
-
周囲は、ビワやミカンの木が茂る崖のような山で、
ミニモノレールがその山肌を這いまわっている、めったに見られない場所だ。 -
油断すれば、崖下に転落しそう。
こんな場所でビワやミカンを育てる人は、いったいどんな人なんだ? -
そんな山道ですれ違ったおじさんの手の中には、『ちゃんと歩ける 東海道五十三次』のハンドブック。
もしやこの人も、東海道制覇を目指しているのか?
話しかけてみると、大正解で、
「今夜はどの町で泊まろうかな?」
なんて、ちょっととぼけ気味の風流なおじさんだった。 -
坂道が続く。
この地域は、断崖が海岸まで迫っていて、東西への通り道はこの海辺しかない。
「東海道の親知らず子知らず」とも言われている。
北斎も家康も竜馬も、ここを歩いたに違いない。
そんな感慨を抱いて歩けば、 -
またまた東海道を旅する人がいた。
わずかな間にこれで3人目だ。
今日は特別な日なのか。
それとも古い街道を歩くことが、定年退職後の世代に流行っているのか・・
しかしこんな人達に出会えることは、本当に楽しいことだ。 -
山越えも最終段階となり、由比・興津の「間の宿」が見えてきて、
(間の宿を「まのしゅく」「かんのしゅく」と読んでいたが、聞けば「あいのしゅく」と読むのだった。) -
江戸から40番目の一里塚が立っていた。
旅行記に載っているのは、これなのか・・
と、恥ずかしながらカメラを構えてカシャ。 -
すぐ近くには望嶽亭藤屋が見え、
「山岡鉄舟ゆかりの家・・なんて書いてあるぞ」
と能書きを丹念に読み、望嶽亭藤屋 美術館・博物館
-
こっちでは「明治天皇御小休所跡・脇本陣」の大きな表札を見つけ、
観光ガイドにある柏屋だと知る。
通りには幕末時代を彷彿させる建物が多く、
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赤い郵便ポストに白い蔵、
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黒光りする格子のある家々、
-
大名も休憩したという、休み茶屋の川島屋・・と、
なんとレトロな街道なんだろう。
驚嘆すべきは、このような街道が時代の流れに逆らって、今なお残されていることで、
それを商売に利用するようないやらしい土産物屋やレストラン、カフェやブティックがないことだ。 -
軒先で売られているキウィやアケビやイモまでが、この間の宿の素朴さと良心と誠実さを示しているように見える。
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見上げれば神社がある。
高い崖上なので登るのはやめたが、 -
すぐ近くに八坂神社が現れ、
はしごのような急階段が、空をつくように伸びている。
女房は鼻から諦めているが、せっかくだから登ってみようと、 -
石段を伝い登り始めるが、はしごのように急傾斜で、石段の幅も狭く、
両手で手すりにしがみついて、死ぬ気になって登って行く。 -
下から「もう、やめたら!」という声が聞こえるが、
下を見れば、恐いというより体に変調が現れて、身動きできなくなるに決まっている。 -
それでもなんとか頑張って、小さな祠にたどり着いた。
-
何の変哲もない祠だけど、ここからの見晴らしには感動がやまない。
でも、登るよりも降りるほうが数段怖そうだ。 -
ところがよくよく見れば、隣にスロープがあったではないか。
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この地域は地滑り地帯としても有名で、突然の土砂崩れも起きるが、目には見えないゆっくり滑りが、常に続いていると聞いたことがある。
そこで地すべり管理センターを訪問しようと、山道を登って行ったが、
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あいにくと木曜休業で、扉が閉まっていた。
ああ・・残念無念! -
見上げれば、周囲の山の高さはすごいもので、
こんな山が太平洋に迫り、ここで断崖を作っているのか・・
これが滑り落ちてきたら、たまるもんではない。 -
地すべり管理センターの下にあったのが、東海道名主の館『小池邸』で、
東海道名主の館小池邸 名所・史跡
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遠慮しながら入ってみると、高級料亭かと錯覚してしまう部屋が広がっていて、
「遠慮なく、上がって見て行ってくださいね・・」と、
スタッフのおばさんが現れた。 -
今は公営の案内所になっているようで、
間の宿のことや、名主のこと、はたまた江戸時代のことを教えてもらった。
元々の建材を利用して明治期に建て替えられた館ではあるが、百年前の美しさをそのまま残している。 -
「水琴窟を見ていってください・・」
と庭に案内されて、ひしゃくで水を捲くと、リン・リン・リン・・と小さな音が土の中から響いてきた。
土の中に瓶が埋められていて、水滴がその中に落ちる音を楽しむ仕掛けらしい。
昔の人の知恵と風流さにびっくりすると同時に、掘り起こしてその細部を見たい気持ちがたかまってくる。 -
昭和30年頃の写真があった。
昔のバスの小さいこと。
東海道の名物、松並木もある。
ここが今は、 -
高速道路や立派なバイパスができて、車がひっきりなしに走っていて、
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江戸時代には、旅人は崖っぷちを歩いていたのだ。
ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。
淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、
久しくとどまりたるためしなし。 -
かくて、由比駅まで到着し、
由比駅 駅
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やって来た電車に乗って、
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レールの響きを聞きながら、海辺を快走する。
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座席は空いていたけれど、前の窓から見える景色が嬉しくて、立ったままガラスにへばりつき、
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1区間の短い鉄道の旅を楽しんだ。
こんなことも滅多にできるものではない。
県内にも楽しい場所がたくさんあって、
家に閉じこもっていないで出掛けてみれば、素晴らしい人に出会えることもある。
そんな発見をした一日となりました。興津駅 駅
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この旅行記へのコメント (2)
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- trat baldさん 2018/12/06 06:44:37
- あけびの100円は値打ちだね~!
- 車中泊用キャンピングカーと云う強力な武器を手に入れたmotogenさんはアジアを旅してる時に見せる輝きに勝るとも劣らないオーラを発してる!
- motogenさん からの返信 2018/12/07 08:20:19
- 1月には
- 身近にも楽しい場所があることに気づきましたが、1月は久しぶりにタイに出かけることにしました。
スコータイ、コンケーン、ムクダハン、ブリラン、パノムルン遺跡、ピマイ・・
少し前は英語で喋ろうとすると、タイ語が混ざってしまいましたが、この頃はもう、すっかりタイ語は出てきません。
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