2018/04/18 - 2018/04/18
128位(同エリア274件中)
naoさん
滋賀県高島市新旭町針江地区は、湖西地域を流れる安曇川下流の扇状地に位置する小さな集落で、かつてNHKの番組でも紹介された、日本でも珍しい生命の輝きに満ちあふれる美しい水の文化が息づいています。
安曇川の伏流水や比良山系から流れ出た地下水に源を発し、四季を通じてこんこんと湧き出るきれいな水は、地元の皆さんが生水(しょうず)と呼んで飲料水や生活用水として大切に利用されており、その水の文化を象徴する「かばた(川端)」と呼ばれる水場は、今も日々の暮らしの中で使われています。
一般的な「かばた」は、飲料水用の元池(もといけ)→洗いもの用の壷池(つぼいけ)→端池(はたいけ)の順に、三段階の槽を水が流れていき、端池で飼われている鯉に残飯などを食べさせて水を浄化した後、水路へと流れ出た水が内湖などを通じて最終的に琵琶湖へ放流される仕組みになっています。
絶えることなく湧き出るきれいな水に対して畏敬の念を抱き、日常生活を通して「かばた」を使い続けることで琵琶湖へつながる清らかな水の流れを守り抜く、そんな中から地域の人々の生活文化に根差した独自の水辺景観が生み出されました。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
針江地区の最寄駅、JR湖西線の新旭駅にやって来ました。
-
旧新旭町の風物を描いたプレートが歩道に埋め込まれています。
-
旧新旭町汚水桝の蓋。
風車と花じょうぶがデザインされています。 -
新旭駅から歩くこと7~8分程度で針江集落が見えてきました。
-
さらに歩くこと3分程で針江集落に差し掛かりました。
-
板を張った小屋組みが特徴的な町家です。
-
所々ベンガラ塗の名残が見える町家です。
-
妻壁に見えている小さな祠のようなものは何を意味しているんでしょうか・・・。
-
水路を流れるきれいな湧き水を見ると、美しい水の文化が息づいている予感がしてきました。
-
焼き杉を外壁に使った町家です。
-
素朴さがただよう町家です。
-
こちらは大峰山の開祖、役行者にまつわる行者堂です。
-
大峰山へ参詣に向かう前に身を清める水行場。
-
端午の節句が待ち遠しいように大空を泳ぐ鯉のぼり。
-
入母屋の屋根が幾重にも重なる町家。
-
針江の町並みです。
-
煙突のある町家。
-
「感謝の常夜燈」と呼ばれている吸気管。
豊富に水が湧き出る針江では、生活排水を流す下水管を地中に埋設するのが困難なため、ポンプアップして浄化センターへ送っているそうなんですが、適度に空気を取り入れる必要から、各家庭には吸気管が設けられています。
その際、針江の景観に不似合いな吸気管を何とかしようと考え出されたのが行燈型の常夜燈で、美しい水の文化が息づく環境が保全されることへの感謝の意味を込めてそう呼んでおられるそうです。
ちなみに、「感謝の常夜燈」は針江全体で10基設置されているそうです。 -
針江がメディアで紹介される際によく取り上げられる場所にやって来ました。
-
その付近には水辺空間が整備されています。
-
家々の間を縫って流れる水路には・・・
-
水温15℃前後のきれいな水が絶えず流れる環境でしか生育できない梅花藻が揺れています。
-
梅の花に似たかわいい5弁の花を水面に出して咲かせる梅花藻は、金魚鉢で泳ぐ金魚とよく似合いそうなことから、別名を金魚藻とも呼ばれています。
-
湧き水を通じて人々の生活と密接に関わりながら水辺の景観を醸成してきた水路は、針江の主役と言っても過言ではありません。
-
そんな針江には風情ある町並みが広がっています。
-
とても幅が広いのにも関わらず、1階部分の屋根面が途切れることなく続く町家です。
-
中央部分に2階屋が乗っかっていますが・・・
-
これで一軒のお宅とは驚きです。
-
ビロードのような苔で覆われた水鉢。
-
左手の町家に「かばた(川端)」が見えています。
-
ちょうど居合わせたこの家の奥さんに写真撮影をお願いすると、すんなりと快諾してくださいました。
-
「かばた(川端)」の内部に目をやると、三段階に分かれた水槽に湧き水が注がれ、今も使っておられるのが判ります。
「上」や「上用」と書かれたバケツは、飲料水用の元池専用で使っておられるんでしょうね・・・。 -
こちらのお宅にも「かばた(川端)」が見えます。
-
四季を通じてこんこんと湧き出るきれいな水に対して畏敬の念を抱き、生水(しょうず)と呼んで飲料水や生活用水として大切に利用することで琵琶湖へつながる清らかな水の流れを守る。
そんな地域の人々の生活に息づく美しい水の文化が、「かばた(川端)」と言う、この土地独自の素晴らしい水辺景観を生み出しました。 -
何とも例えようのない、風情あふれる町家です。
-
針江の町並みを見返したところです。
-
地元の皆さんが水を大切にされていることを象徴するような立て看板です。
-
3種類の板壁で構成された町家です。
-
まるでのこぎりの歯のような、ギザギザした外観の町家です。
-
こちらの土蔵は、カフェやギャラリーとして使われています。
-
こちらの町家の角に立っている金属製のパイプが、生活排水をポンプアップするための吸気管のようです。
-
白漆喰がはがれてむき出しになった荒壁が、風情を倍加させている町家です。
-
さて、針江地区の北端まで歩いてきたので、この辺りで引き返します。
-
のどかな中にも趣が感じられる光景です。
-
茅葺屋根を鉄板で覆った町家がありました。
-
煙出しの越屋根のある町家も現れました。
-
2階建ての大きな妻面を見せる町家。
-
こちらの町家には「かばた(川端)」が設けられています。
-
こちらの「かばた(川端)」も・・・
-
現役で使われているのが判ります。
-
この工場の看板は、歩き廻って迷った時のいい目印になりそうです・・・。
-
蔦の絡まる町家です。
-
屋根が太陽光発電所になっているこの建物には・・・
-
「感謝の常夜燈」が立てられています。
-
こちらは手作り豆腐のお店です。
美味しいお豆腐を作るにはきれいな水が欠かせませんからね・・・。 -
個性的な外観のこちらの町家は、他には見られない趣を主張しています。
-
お日様の光を浴びて、水面がキラキラと輝く水路が・・・
-
町並みの中を静かに流れていきます。
-
児童公園に設けられた針江のシンボルの水車。
きれいな湧き水を受けて、くるくる回っています。 -
実は児童公園には「感謝の常夜燈」の第1号機が設置されていて、落差40㎝ほどのこの水車で発電した電力で点灯されています。
ちなみに、2011年2月28日に初めて常夜燈が点灯されたんですが、11日後の2011年3月11日、10メートル以上の津波で甚大な被害を及ぼした東日本大震災が発生し、日本の電力の大半を支えていた原子力発電所が全て停止する異常事態になってしまいました。
そんなひっ迫した電力事情の中、この常夜燈は究極のエコ発電であると賞賛の声があがり、計画段階では想像もしなかった栄誉な事態となりました。 -
児童公園の先にあるこちらの町家は、何の変哲もないように見えますが・・・
-
実はとっても個性的な姿をしているんです・・・。
-
その町家の玄関先には、こんな農機具が置かれていました。
今も使っておられるんでしょうか・・・。 -
こちらも「かばた(川端)」です。
-
児童公園に戻って来ました。
-
針江でよく見かけた町家です。
通常は小屋組みの梁や束をそのまま見せるんですが、屋根の三角形がわずかに見えるよう、段々に板を張って隠す手法がとられています。 -
針江の町並みです。
-
荒壁が良い雰囲気を出しています。
-
妻面の外観に工夫を凝らした町家です。
-
伝統的な町家が点在する、のどかな光景です。
-
こちらは造り酒屋さんです。
-
焼き杉板を張った酒蔵にも杉玉が吊られています。
-
造り酒屋さんの全景。
さて、針江地区もひと通り歩き終えたので、そろそろ新旭駅へ戻ります。 -
土蔵造りの町家です。
-
旧新旭町生活路線バスのバス停を使って、高島市のコミュニティバスが運行されています。
コミュニティバスは針江地区も走っているんですが、バス停を見落としたようですね。 -
すっきりした外観の町家です。
-
この可愛さはほっておけません。
-
お庭との境に屋根つき門を設けた町家です。
これと言った塀がないのでどこからでもお庭に入れるんですが、精神的な結界ですね・・・。
さて、駅までもう少しです。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
高島(滋賀) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
78