2017/12/18 - 2017/12/19
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鯨の味噌汁さん
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ベトナム四日目の朝。車内放送で目がさめた。
すでにして窓の外は明るい。
列車は中部の田園地帯を走っていた。
きょうはダナンの南、ホイアンの町を目指す。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
6:32、ドンホイ着。
ここで列車は15分ほど停車する。車両を降り、大きく伸び。
うんうん、よく寝たぞ。でもってしっかりハラが減ってる。
ぐるりと見渡すと、おばちゃんが大きな釜でご飯を炊いていて、そこからホカホカ湯気が上がってた。 -
降りて来たのはワシ一人だけだ。朝にこの駅を通過する列車はおそらくこの一本だけだろう。
つまりはこのおばちゃんにとって、この日の朝の見込客はワシひとりとゆうことである。
よって、おばちゃん、気合いが違う。
ワシと目が合うなり、がっと容れ物を掴み、どさどさっとご飯を放り込み、かつぶしとナッツをまぶし、スプーンを添えてワシの胸元に突きつける。
わたしまけましたわ(回文) -
でもってとなりのおじさんも、目があった瞬間、ハッシとベトナム・コーヒーを用意しているではないか。
どうもベトナムを旅するときは、用がない時に目を合わせちゃダメらしい。
もち米のマメご飯、おいしくいただきました。合わせて5万ドンだった。 -
が、列車が動き始めてまもなく、若いお兄ちゃんの車内販売が回ってきた。メニューを覗いてみるとうまそうなお粥とフランスパン。さすが元フランス領だ。
うむむ、アジアの朝といえばお粥であろう。お粥の前にお粥なく、お粥の後にお粥なし。
これも食わずにおらりょうか。
・・・結局、朝から2食になってしもうた。
ううううう、デブまっすぐフリスキーだ。 -
列車はオツユたっぷりの田園地帯を走っている。
牛・ヤギ・ニワトリ・アヒルなどが田んぼの周りでくつろいでいる。
大きなたんぼが続くあたりは、日本の北陸の風景とどこか似ている。
古来、北陸は「越」の国を称した。ベトナムの漢名もまた「越南」だ。
さらに。
越前の川は九頭竜川で、メコン川のベトナム語は「九匹の龍」の意味だ。
(ソン・クー・ロン=川・九・龍)
越の国に、同じ「九の龍の川」。
偶然にしては出来すぎじゃないのか。
はるか昔。
仏教や漢字が日本に渡来するよりずっと昔。
この国の民が、コメを持って北陸の地に流れ着いたのではないのか。
人びとは川沿いを開拓し、故地の川の名をそのまま使い、稲作を広めていったんではないかしら。
田園を窓越しに眺めながら、ふと、そんな他愛もないことを妄想する鯨である。 -
やがて列車は峠越えにかかる。海外沿いの線路を、あえぎあえぎ上って行く。
眼下に南シナ海が広がる。どっぱんどっぱん、波が寄せているのが見える。
フエが近づいてきた。
ベトナム戦争の頃はユエと読んでいた、古都にして激戦地のひとつだった。 -
フエでお客さんの大半が降りて行った。
ワシも降りてみたいけど。駆け足の現地6泊だ、今回はパス。
生きていれば、いつか来られる。 -
12時20分、定刻通りに列車は終点のダナンにたどり着いた。
ここからホイアンまではバスになる。
ダナン駅を東に降り、駅前通りの二つ目の信号を左折すると、ホイアン行きのバス停がある、とネットの書き込みを入手していた。
路線番号は1で、バスの色は黄色だそうな。
駅からぶらぶら歩くと、確かにそれらしいバス停があった。あなうれしや。マヌケ面で待つことにする。
だがしかし、30分待っても来ないぞ。
その間、バイクタクシー3台、フツーのタクシー2台、ワシの前に止まった。皆さま熱心に営業してくる。さらには宝くじのおばちゃんなども営業してくる。 -
すると、ズタボロの自転車に乗った、ズタボロのオヤジが近づいてきて
「ホイアンのバスはもっと先だ」
なんてことを、手真似で一生懸命教えてくれる。
はて、と思いながらもトコトコ歩くと、300メートルほど行ったところにもう一つバス停があり、今度はすぐにバスが来た。
うーむ、さっきのはニセモノであったか。ようわからんぞベトナム。 -
ホイアンまでは南シナ海沿いに南下する。途中、雨でグチャグチャの道などもあり、たっぷり揺れること1時間。
古くからの交易の町で、かつては日本人町もあったそうな。旧市街の町並みは世界遺産になっている。
が、着いてみると、ものすごい数の観光客だった。東洋人も白人もどこから湧いてくるのか、うぞうぞおるがな。
町はずれのホテルに荷物を預け、川沿いの旧市街へ向かう。
旧市街の入口にはチケットセンターがあって、5枚つづりのチケットを12万ドンで販売していた。
旧市街にはミュージアムやら歴史的建造物やらがバラバラとまけてあり、入場するたびにそのチケットをハサミで切り取る、とゆう仕組みである。
つまりは町全体が有料施設になってるわけですね。ちなみに日本人橋を渡るにもチケットがいる。 -
やがて、夕刻。
旧市街のどの家にもランタンがともった。
すると一斉に町が華やぐ。 -
なるほど、昼と夜とで表情が変わるんだ。年中お祭りやってるようなもんだ。
日が落ちるとお化粧して、ずいぶんな美人になるんだね。
千と千尋の、一番最初のシーン。家族が紛れ込むテーマパークみたいな町が、ちょうどこんな感じだった。 -
町の表通りは、お土産屋、カフェ、レストラン、マッサージ、全部観光客用の仕様だった。
観光客がアオザイをまとって楽しそうに歩いていた。
それにしてもすごいヒトの波だ。養殖池のウナギみたいにお客さんが重なってるぞ。 -
町の狭い一画が世界遺産で、そこにお客さんが集中するからしかたないのかな。
ベトナム中部はこことフエが観光のメインだから、みんなやってくるわけだ。 -
橋を渡った向こう岸の屋台で、ワンタンスープとヤキメシなどを食らいつつ、ひとり納得する鯨であった。
-
翌朝、雨音で目がさめる。
カーテンを開けると、雨が川面を叩いていた。この旅ではじめての本格的な雨。
バルコニーでタバコをのみながら、今日の予定を検討する。
晴れていれば、チャリを借りて郊外をぶらぶらするつもりだったけど、この雨じゃあダメだな。
まぁいいか、天気が回復したら、ちんたらと町を歩こう。
今日は、ダナン空港からホーチミンへのフライトが決まってるだけだし。
とゆうわけで、朝飯を食ってベッドに潜り込む。日記を書いてるうちにウトウトし、そのまま二度寝。
短い旅なのにそんなにノンビリしてていいのか、とゆう話もあるだろうが、ここらへんが一人旅の気楽さだ。 -
まぶたの向こうに日差しを感じて、目が覚めたら10時半だった。
カーテンを開けると、おおおー、すっかり晴れ上がってるではないか。
シャワーを浴び、アロハシャツだけ羽織って町に出る。日差しが強い。
旧市街の外れに旅行代理店らしいオフィスがあった。
「ダナン空港に行くバスがあれば、乗りたいんだけど」
「オーケー、ホテルの名前を教えてくれ。ピックアップする」
で、すんなり14:00発のバウチャーを出してくれる。11万ドンだった。これで空港への足は確保できた。
昨夜歩いた旧市街はパスして、反対方向へ歩いて行く。
観光地を離れると、なんだかフツーのベトナムの田舎町だ。 -
小学校の前を通りかかると、ちょうど下校の時刻だった。子供の多いベトナムでは、学校は午前・午後の入れ替え制らしい。
校門の前にはお父さんお母さんが、バイクで迎えに来ている。
でもって校門の横に、いろんな屋台が出ていた。
串焼き。シュークリーム。水あめ。ぽん菓子もあるぞ。
自転車の移動販売もあって、子供たちがそれに群れてる。みんな1万ドンを握ってる。
どうやら子供のお小遣いは1日1万ドンなんだね。懐かしい。
おじさんの頃はね、10円だったよ。甘納豆のクジが2回引けた。 -
このあとどうしようかなー、まだ空港に行くには早いし、なんて思いながら、旧市街にぶらぶらと引き返す。
すると、通りの反対側からおじさん・おばさんの集団が歩いて来た。皆さん、ガイドの後をお行儀よく二列で歩いてるぞ。
先頭のガイドさんが日本語で説明してたからやっぱり日本人だ。
ダナンには日本からの直行便が飛んでるから、ここも身近な観光地なんだろうな。
日傘でメガネのご婦人と目があったんで、
「こんにちはー」
とニッコリとあいさつする。
だがしかし、ご婦人はチラとワシを見、なんの反応も示さずに歩き去るのだった。
しししし、シカト?
すると、ご婦人のみならず、団体様まるごと、ワシを「なかったこと」にして、通りの向こうに歩いて行ってしまった。
アロハシャツが悪かったのか。それとも顔が悪いのか。
黄金の三角地帯からやってきた、麻薬マフィアと間違えられたのかもしれない。
おおいに遺憾である。 -
やや傷心のままホテルに戻り、バスが来るまでの間、フロントの兄ちゃんとカタコト英語でおしゃべり。
「このホテル、地図に載ってなかったよ。新しいの?」
兄ちゃんニッコリと
「はい、オープン8ヶ月です」
家族でやってるんだという。
「ホイアンのホテルは家族経営が多いんです」
そうだね。まだ大きいホテルが進出してないもんね。バイザウエイ、対岸の島で、でかい工事してるのは、あれはホテルなの?
「香港の資本が島を買い取って、リゾート開発してるらしいんです。私たちには情報がありません」
そうかー、ここにも巨大資本がやって来るんだね。
「レジャー施設らしいんですが…」
その時だけ、兄ちゃんの顔が少し曇った。
やがてバスがやってきた。兄ちゃんは
「日本のお客さんに、このホテルを紹介してください」
なんて言いながらワシを送り出した。 -
バスは田舎道をとっとと走り、ダナン市街もすんなりを抜け、40分で空港に着いてしまった。想定より2時間も早いぞ。
チケットカウンターで、マレー系のきれいなお姉さんに
「18時の便だけど、早く着きすぎちゃった。一便早められまへんか?」
バッタチケットなんで「NO」を覚悟してたんだけど、お姉さん、ニッコリとゆう。
「今からだと16:00の便があります」
すすす、すばらしー。
「が、追加料金が必要です」
やっぱし。で、おいくらでございましょう。 -
お姉さん、ワシの英語がメタクソなので、電卓を取り出し、
「60,000」
6万ドン。
300円か。
ケタ間違えてないよね。
大好きだぞベトナム。
お姉さんも大好きだぞ。ほとんど愛してると言っても良い。(巨乳だったし)
抱きしめたいくらいだ(しなかった)。
握手しましょう握手(これはした)。
しかも、お姉さんはお釣りを間違えて、5万ドン余計にくれるではないか。
今までお釣りを誤魔化されることはあったけど、多く間違われるのははじめてだ。
これは好意か。好意なのか。
それともワシの1週間履き続けのGパンが発するナゾの異臭に動揺したのか。
前者に違いないと推察する鯨の味噌汁(58歳汚物系)である。
(もちろんオカネは返しました)
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