2017/02/22 - 2017/02/23
32位(同エリア270件中)
のまどさん
地中海のマヨルカで2月の太陽を拝める幸せを噛みしめながらソイェの街を歩きます。ここでの目的はモデルニズモのカン・プルネーラ見学。ナンシー派を思わせるスタイルです。
観光列車でパルマに戻り、夕食後に入った角のワインバーが最高でした。すっかり気を良くして遅くまで一人飲んでいました。
翌朝のパルマ散策は目当ての美術館が閉館していたため肩透かしを食らった気分でした。お洒落な建物は見ていて楽しいですが、地下鉄でワインの産地を目指します。今は産業が復活していますが、19世紀の中盤アメリカ大陸から渡ったブドウネアブラムシが果樹栽培に多大な被害を与えたことを学びました。
旅行先で居住国の人と駅で居合わせるなど一人旅には面白い出会いがあります。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 鉄道 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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ソイェに到着。まずは本数の少ないパルマまでの観光列車の時刻表を確認。帰りはこれに乗る予定です。
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コンスタトゥーシオ広場に戻って聖バルトメウ大聖堂の中に入ります。
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祭壇です。
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この街の目当てはカン・プルネーラ。モデルニズモ建築です。
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中に入ります。
この館が建設されたのは1904年から1911年。カタルーニャの建築家ジョアン・ルビオ・イ・ベルヴェル(Joan Rubió i Bellver)が手がけました。 -
客間。直線が目に着きますが、その合間に有機物を描く曲線が優美に絡んでいます。
設計の依頼主は「杏子園の主」と言われた一家ですが、彼らはスペイン国外で富を築きました。 -
モデルニズモもしくはアール・ヌーヴォーの神髄は自然主義の夢想だと今まで力説してきましたが、こちらの1枚はそれを象徴すると思います。蝶のモチーフを擁したドアの向こうに広がる空間。
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昆虫にも植物にも見える淡い光のシャンデリア。
一家が外国に移住した理由は19世紀後半にヨーロッパで大流行したブドウネアブラムシにあります。アメリカ大陸から移植されたブドウの苗木に付着していたのが原因で、ブドウや柑橘類を栽培していた農家に多大な損害を与えました。 -
これを機にスペインを初め果物の産地から移民が発生し、館主はフランスのベルフォールに移住します。移住先で果物の輸出入ビジネスで儲け、得た利益で故郷にこの館を建てました。
オリエンタルなニュアンスのある三日月に障子を思わせる木の枠と白い透かし。 -
恐らくは来客用のソファからも東洋趣味を感じます。
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このベッドはまさにナンシー派を彷彿とさせます。
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別の部屋に続くドアを複数平行に取り付けることによってすべて開け放った時に空間の広さを感じさせます。敷地に限りのあるブリュッセルではできなかったであろう表現。
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上階は画廊。さりげなくピカソの作品があります。
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キューピー人形。のまどトリビアを披露させていただくと、キューピーは元々ドイツの製品でアンネ・フランクが1941年のクリスマスにプレゼントにもらったという記録があります。Kewpieという綴りがドイツ語らしいです。敗戦後は著作権がアメリカの会社に買われ、その後日本の会社に渡り現在のキューピー食品に至ります。
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中庭より。引いたアングルではモデルニズモの特徴は顕著ではありませんが、
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扉にはトンボがしっかり停まっています。
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カン・プルネーラの他にこのグラン・ホテルもモデルニズモ建築のようです。
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一通りぶらぶらと歩いて街歩きを楽しんだ後はコンスティトゥシオ広場のカフェで喉を潤します。2月の夕刻に太陽を浴びながらたった2ユーロの生オレンジジュースを飲めるこの幸せはヨーロッパ北部に住む者の特権かもしれない。
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パルマまではこのレトロな路面電車で帰ります。ソイェの港とパルマをつなぐ目的でマヨルカが好景気に沸いた1911年に完成しました。
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ソイェとパルマの間は山がちで移動が困難でした。19世紀にソイェの市議会議員が計画しましたが頓挫し、20世紀になってから起業家の協力を得てトンネルが掘られて開通に至りました。
現在の利用者は90%観光客だと思う。18ユーロはさすがとしか思えない金額(←皮肉)。 -
本日宿泊のホステルです。1階はバーになっています。
https://brickpalma.com -
シングルルームもこの通り。キングサイズのベッドを独占できるので文句なし。
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さて、my夕ご飯の時間になったので、パルマの街に繰り出します。
大広場プラザ・マホールです。なかなかの雰囲気。 -
凝った造りのアパート群が見られます。やはり経済的に潤っているんですね。
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心に決めたTOCというお店。
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時刻は7時でキッチンがまだ開いていないというのでまずは白ワインを頼む。当然ながら客は他に誰もいない。そのうち何人かが入店し、英語メニューを頼んで断られたドイツ人カップルにほくそ笑みながら(←何たる性格)にんにく醤油でマグロの刺身を堪能する。
写真映りの悪さからメインは覚えていないが、魚のトーストのようなものだったと思う。 -
のまど一人旅の夜はこれからよと要らぬ気合を入れて入ったワインバー。
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美形のバーテンダー、アルゼンチン人アレハンドロ氏(仮名)が飲ませ上手で気が付いたら5種類くらいワインを飲んでいました(※注文したのはグラス)。
どれものまどのお眼鏡に叶いました(←何様だ?)。 -
さらにはチーズとオリーヴも出してくれて、そのうちお客は私一人になったのでアレハンドロとすっかり話し込み、外に出て葉巻も一緒に吸いました。
お会計はたった17ユーロというのでチップ込みで20ユーロ札を渡しました。調子に乗っていつもながら相手の英語力を称賛したり、アルゼンチンについてかなり偏見に満ちた発言をしたのでこの場を借りて同氏にお詫びします。 -
「帰れるから大丈夫」と言ったもののパルマの夜の道は酩酊の私にはまさに迷路で、何度か同じ所を行ったり来たり。それでも奇跡的にホステルに辿り着けた。
のまどよ、いい年していつまでもこんなことしていると痛い目に遭うぞ。 -
翌朝。朝食がてら散歩します。モーロ人が築いた城壁。
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偶然にも昨夜のワインバーを再発見。Googleではホステルから徒歩6分ですが、パルマの道は本当に入り組んでいます。
lavinyadesantaclara.es
お店自体はお勧めできます。 -
パルマ港。シンボルの噴水。晴れていればもっといい写真が撮れただろうに。
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マヨルカ大聖堂は朝早くまだ開いていない。
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ラ・アルムダイナ城塞。アルハンブラ宮殿を思い出します。14世紀に完成しました。レコンキシタ後は教会に変わります。現在はスペイン王家の迎賓館となっています。
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開いているカフェが全くと言っていいほどありませんでした。バルでコーヒーとクロワッサンのみの朝食。失敗だった。
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大聖堂を見学します。ゴシック様式でイスラム教徒からこの地を奪還したハメス2世が1229年にモスクを改修しました。
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壮麗な彫刻。でも見学時間を考えると入場料7ユーロは高いな。
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マヨルカに来た目的はショパンとあまり知られていない画家ホアキン・トレンツ・イァド。10代の時にアートギャラリーの広告を見てから現代の印象派と言われた彼の作品に入れ込むようになりました。
彼が生前住んでいたPortella通り9番に美術館があるとネットで見つけたのですが、ガセネタでした。閉館してしまったようです。ありし日の姿をYoutubeで発見しました。
https://www.youtube.com/watch?v=wXmlguCQw0A -
気を取り直して歩きだします。近辺の邸宅はどこも豪華で通りから覗き見できるパテオが素敵です。
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樹齢100年以上のオリーブの木。
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うん、この構えはモデルニズモっぽいぞ。
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通りかかった食品店。鈴なりの唐辛子と柑橘類。なるほど、惹かれます。
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日中のマホール広場。パルマは落胆したこともあり、これ以上見どころはないと踏んでフライトまでの時間は地下鉄に乗って北の方に行くことにします。
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地下鉄というより近郊列車に乗って向かったのは
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ペルーの文明と同じ名前のインカ。観光案内所で地図を手に入れて街歩き開始。
インカはワインの名産地だったが、前述ブドウネアブラムシの被害を受けたブドウ農家が転職し皮なめしなどを生業にするようになったとのことです。 -
だいぶ遅い時間なので腹ごしらえ。カタラン語かと思いますがCellerと呼ばれるレストランがこの街には多数あります。その中で選んだのはCeller Can Lau。ワイン樽が良い雰囲気を出しています。
https://www.tripadvisor.com/Restaurant_Review-g1064376-d3533603-Reviews-Celler_Can_Lau-Inca_Majorca_Balearic_Islands.html -
ステーキのクリームソースがけ。ボリューム満点。
おいしかったけど、他の人が頼んでいた前菜のカタツムリが気になった。圧巻だったのが島のオリーヴ。新鮮そのもの。 -
聖母マリア教会。レコンキシタ後に建てられた模様。
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商人の家。とりあえずカメラに収める。
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恐らくは一般住宅だけど、惹かれるものを感じた。アラブ風なのか東欧の家屋を彷彿とさせる。
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代わりに立ち寄った市場はあまり記憶がないけど、あまり売り物がなかったような。この街で生まれた革靴ブランドCamperのアウトレットがあるとのことですが、見つけられず。
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さらに欲張ってワインナリーのある隣の町ヨセタ(Lloseta)にも行ってみます。駅近くは寂れた感じでしたが、少し歩くとしっかりした建屋の住宅街が広がります。
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町外れのロータリーをMa2110沿いに進むとロンプラに書いてありますが、歩けどもそれらしきは見当たらず。後で地図で確認するととても歩いて行ける距離ではありません。
http://www.castellmiquel.com
ドイツ人経営とのことではなから絶対に行きたいという訳ではなかったが。 -
電車の時間に合わせて引き返します。アーモンドの花が咲いています。
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切符はこんな感じです。私の前に並んでいたスペイン人の老人4人が延々と機械と格闘していました。それに気づかず私の後に来た人が先に入ろうとしたので注意して購入を済ませると、買い方が分からないから教えてほしいと。教えてあげました。
で、なんとその人はベルギー人の画家であることが判明。贔屓にしているモデルがヨセタに住んでいるため、数か月に1回彼を描きにアントワープから飛んでくるとのこと。その後パルマまでの会話はオランダ語でした。いやはや。 -
ホステルのバーでカベルネ・ソーヴィニョンのワインを1杯飲み納めてから空港行きのバスに乗ります。
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悲しいことに今夜の食事はサラダ。
バルセロナまで1時間のフライトです。
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この旅行記へのコメント (2)
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- salsaladyさん 2018/03/15 20:05:04
- モデルニズモか?アレハンドロ氏か?どちらに逢いに~
- ☆久し振りに拝見~さすが”うわばみ氏”のパートナーですね。ちょっと危険な匂いも?
☆パルモってポルトガルの雰囲気満載ですが,そんなに迷路っぽいの?行って見たいわ~barでちょい飲みしたいから。。。
☆此処にもピアノパフォームが入ってたのでBGMを愉しみながら,カベルネソービニオン(ワインだって事!)を味わいます。~see you~
- のまどさん からの返信 2018/03/18 08:03:25
- RE: モデルニズモか?アレハンドロ氏か?どちらに逢いに?
- 返信、遅くなってごめんなさい。恒例のデュッセルドルフ巡礼に加えて、ウワバミが国がラグビーの六か国杯で優勝したので盛り上がってしまいました。
> ☆久し振りに拝見?さすが”うわばみ氏”のパートナーですね。ちょっと危険な匂いも?
まったくですね。早朝発の過酷な旅程とは言え自重すべきでした。でも、一応構えてはいるんですよ。
>
> ☆パルモってポルトガルの雰囲気満載ですが,そんなに迷路っぽいの?行って見たいわ?barでちょい飲みしたいから。。。
マヨルカは結構上品で外国人にオープンなのでお勧めです。アレハンドロ氏の店は色眼鏡なくても費用対効果抜群です。あ、この旅のコンセプトはショパンとモデルニスモ、ワインなので。
> ☆此処にもピアノパフォームが入ってたのでBGMを愉しみながら,カベルネソービニオン(ワインだって事!)を味わいます。?see you?
カベルネソーヴィニヨンは入口は広くとも奥深い品種なので、クラシックを肴にご堪能下さい。個人的にはボルドーが正統ですが、日本で手に入りやすいカリフォルニアやアルゼンチン、南アフリカ産もそれぞれ味わいがあると思うので。
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