路線バスでゆく秋山郷と秘湯切明温泉の旅（新潟長野）

2016/10/26 - 2016/10/27

秋山郷は新潟県津南町と長野県栄村にまたがる山深い地域の総称で、野反湖（群馬）を源とする中津川に沿った長野県５集落と新潟県８集落があります。

今日は新潟県の逆巻（さかさまき）から中津川を遡り清水川原・結東（けっとう）・前倉の集落と、長野県の小赤沢（こあかさわ）・屋敷・和山（わやま）・切明（きりあけ）の集落を訪れます。

見どころは、清水川原の屏風岩（二段重ねの絶壁）、結東の石垣田と見倉橋、前倉の紅葉、屋敷の布岩（柱状節理）、小赤沢の保存民家と巨木、切明の川原にある温泉と紅葉等です。

今晩の宿は秋山郷の一番奥にある秘湯の宿「切明温泉 雪あかり」。この宿で山の幸と紅葉を眺めながら露天風呂を楽しみます。

エリア 十日町・津南(新潟)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 交通手段: 高速・路線バス 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

秋山郷周辺の地図

苗場山と鳥甲山に挟まれた中津川沿いの集落が秋山郷です。

今日の旅は、逆巻温泉～結東間を遊歩道、結東～前倉・小赤沢・屋敷・和山間を路線バス、和山～切明温泉まで宿の送迎車を利用します。

逆巻温泉「川津屋」から出発します

熊出没注意

これから歩く遊歩道は熊が出るかも知れないので、宿からもらった「ドラえもんの笛（おもちゃ）」を吹きながら歩きます。

遊歩道のトレッキングコース

案内板が倒れて落ち葉に埋もれています。

遊歩道を歩くと、屏風岩、石垣田の景色が見られます。

紅葉の屏風岩

屏風岩の下に遊歩道があります。

林の中を通る遊歩道

この道は草津街道と呼ばれる中津川沿いの街道で、中津川の源流である野反湖・草津温泉まで続いています。

かつては信濃川の鮭を草津温泉まで運ぶため、多くの往来があったといいます。

二段重ねの屏風岩

約80万年前に形成した鳥甲（とりかぶと）火山の溶岩の上に、主に火山灰が堆積し、そこへ約30万年前の苗場火山の溶岩が流れ下りました。

さらにその上へ、現在までのローム層を含む土が堆積しています。

二つの溶岩は岩肌に違いがあります。

朝日を浴び輝くススキ

結東の石垣田（けっとうのいしがきだ）

逆巻温泉から熊除け笛をピーピー吹きながら歩いて40分かかりました。

結東集落の北側にあるこの棚田は、石垣で何段にも組まれ、全国農村景観百選にも選ばれています。

不揃いな石を積み重ねた石垣

この石垣は、鳥甲山と苗場山の溶岩（柱状節理）が崩れた落石を利用しています。

石積みの高さは高いもので3mもあります。開墾が始まったのは明治25年（1892）頃で、秋山郷は稲作には厳しい環境とされていましたが、村人の強い思いが石垣田を作りあげました。

美しい棚田の石垣田

石垣田と屏風岩

風穴（ふうけつ）

山ぎわ（溶岩壁下部のガレ場）に風穴が点在しているのですが、うまく見つけられませんでした。

道端にアキノキリンソウ

結東集落周辺マップ

石垣田から結東集落中心地まで歩いて15分です。

これから吊り橋の見倉橋へ向かいます。

結東集落の民家

家の横には、鯉が泳ぐ池があります。

じゃまくら石公園（結東）

昔、大蛇がまくらにしていた大きな石があります。

見倉橋（結東）

結東集落と対岸の見倉集落を結ぶ吊り橋です。

エメラルドグリーンの川面と紅葉（結東）

吊り橋からの眺めが素晴らしい中津渓谷です。

農作業の風景（結東）

中津峡小学校跡（結東）

グランドに昭和52年度読売教育賞受賞記念の「あすなろの塔」が残されています。

プールには「大地の芸術祭」のアート作品（結東）

ガラスの表面に水が流れ、涼しさを表現しているようです。

奥に見える茶色の校舎は改築し、現在宿泊施設「かたくりの宿」に再利用されています。

集落の守り神 庚申塔（結東）

路線バス（結東）

上結東から和山温泉行きのバスに乗ります。

秋山郷を走るバスは、観光用ではなく地元の生活路線になっています。
バスの本数が多くないので、事前に時刻表を調べて旅の計画をしています。

養蜂場（車窓）

秋山郷にあるハチミツの生蜂園では、トチノキのトチ蜜やアカシア蜜を作っています。

色づく中津川渓谷（車窓）

すれ違いが難しい狭い道を走っています。

素晴らしい紅葉が眺められる前倉橋（車窓）

バスは橋の上で少しだけ停車してくれました。

前倉橋（車窓）

新潟の橋50選のひとつです。

この橋は苗場山麓で一番古い結東層（約1,800万年前から1,500万年前の日本海ができ始めの頃の地層）に架かっています。

屋敷集落でバスを降ります

一つ手前の小赤沢集落から屋敷を含め、長野県栄村です。

屋敷集落は中津川を挟んだ対岸にあるため、国道から横道に入っています。

布岩（屋敷）

屋敷集落の北東に、長い布を何枚も垂らしたように見える柱状節理の布岩（ぬのいわ）があります。

この布岩山は鳥甲山の火山活動によって形成されました。

薬師様と観音様のお堂（屋敷）

美しい彩りの中津川渓谷（屋敷）

新屋敷橋からの眺めです。

小赤沢（こあかさわ）集落

屋敷からバスに乗り、小赤沢に来ました。

小赤沢は苗場山登山の入口になっており、多くの旅館があります。

次の和山温泉行きバスまで2時間半もあるので周辺を散策します。

保存民家（小赤沢）

江戸時代中期頃の建物で、豪雪地特有の中門造りの民家です。

ユモトマユミの巨木（小赤沢）

樹齢200年以上の巨木は、栄村の天然記念物になっています。
カントウマユミとも呼ばれています。

マユミは昔から山村住民にとっては生活道具を作る上で、欠かせない材料のため、ある程度の大きさになると伐採されてしまいます。

これほどの大木が残っているのは大変珍しい例とのこと。

マユミの赤い実（小赤沢）

これは普通のマユミです。

カツラの巨木（小赤沢）

樹齢約500年のカツラです。

斜面の集落に建つ旅館（小赤沢）

赤く染まるケヤキ（小赤沢）

ガマズミの実（小赤沢）

秋の自然がいっぱいあります。

苗場神社（小赤沢）

和山温泉

小赤沢からバスに乗り、終点の和山温泉に来ました。

切明温泉はこれより先にあり、宿の車を待ちます。

切明温泉のタヌキ

宿に遊びに来るようになったタヌキです。

秘湯の宿「雪あかり」

今日の宿です。

紅葉真っ只中の露天風呂

夕食

川魚、山の幸をいただきます。

アツアツの天麩羅

板長が揚げたての天麩羅を配ってくれます。

翌朝、宿からの景色（切明温泉）

秋山郷の紅葉は奥の集落へ行くほど鮮やかになります。

吊り橋（切明温泉）

朝散歩しています。

川原の湯（切明温泉）

川原から湧き出ている温泉と魚野川の水で温度調整すると天然の露天風呂ができます。

東電のトロッコ軌道跡（切明温泉）

魚野川左岸の遊歩道です。

昭和28年、渋沢ダム・切明発電所建設のため、トロッコ軌道がつくられたところです。

雑魚（ざこ）川と合流（切明温泉）

左から流れる魚野川に雑魚川が合流し、中津川になります。

中津川の紅葉（切明温泉）

中津川の夫婦滝（切明温泉）

今日はこれから、秋山郷の上野原へ行き、鳥甲山の絶景を眺めます。