2014/05/04 - 2014/05/04
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bunbunさん
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イタリアは今回が3回目。前回車によるスイス一周気まま旅の途中で、どうしてもミラノ(Milano) のドゥオモ (Duomo) が見たくて、シンプロン峠を越えてイタリアに入りました。ミラノまであと約40kmのコモ(Como)まで来ましたが、時間不足で断念してスイスに戻った苦い経験があります。今回はツアーで来ましたので、イタリア最大の壮麗なゴシック建築:ドゥオモ見学を含め、スフォルツェスコ城 (Castello Sforzesco)、スカラ座 (Teatro alla Scala)、ヴィットリオ・エマヌエレ2世ガッレリア (Galleria Vittorio Emanuele II) を周ることができました。
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ホテルからバスでスフォルツェスコ城へ。バスを降りてしばらく歩くと城の城壁が見えてきました。
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上の写真で、手前の円柱形の塔の上にある、冠を戴いて人を呑みこむ青い大蛇(竜)はヴィスコンティ家の紋章です。(後述)
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城の前のカステッロ広場(Plazza Castello)。綺麗な噴水があります。
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噴水と、入口となる塔。朝日で噴水に虹が輝いて綺麗ですねえ。
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噴水をぐるっと周って入口に向かいます。元々この城はミラノ公国(Ducato di Milano)を1395-1447年の間支配していたヴィスコンティ(Visconti) 家の建てた居城でした。その後、ミラノの支配者はスフォルツァ家に移り、1450年にミラノ公フランチェスコ・スフォルツァ(Francesco Sforza, 1401-1466) が城を改築しました。ミラノはイタリア半島の根本に立地するという地理的事情から、ヨーロッパ各国の多くの覇権争いに巻き込まれ、城というよりは堅固な要塞の赴きを漂わせています。
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正面入り口となる高さ109mのフィラレーテの塔 (Torre del Filarete)です。
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塔の上側の像は、ミラノの守護聖人アンブロージョ(Ambrogio)、または敬称をつけて、聖アンブロージョ、サンタンブロージョ(Sant’Ambrogio)で、4世紀にミラノの司教であった人物です。像の左右は紋章で、冠を戴いて翼を広げた黒鷲はもともとローマ帝国の国章が神聖ローマ帝国の紋章として受け継がれ、白地に、冠を戴いて人を呑みこむ青い大蛇(竜)はヴィスコンティ家の紋章で、これらをの組み合わせたものが、スフォルツァ家の紋章となっています。
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入口から入ると緑の芝生が美しいダミル広場 (Piazza d’Armi) があります。高い塔はボナ・ディ・サボイアの塔 (Torre di Bona di Savoia)。正面城壁裏側は市立博物館(スフォルツェスコ博物館、Musei del Castello Sforzesco) になっていて、ボナ・ディ・サボイアの塔の右側に入口があります。また、城壁の左右の奥にそれぞれ中庭があります。
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左側を入った中庭から、城内を見た風景。
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左側を入った中庭から、城内を見た風景。
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左側を入った中庭から、城内を見た風景。
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右側を入った中庭へ移動。これは、フランチェスコ・スフォルツァの死後1466年、彼の後を継いだ長男ガレアッツォ・マリーア・スフォルツァ(Galeazzo Maria Sforza,1444-1476)が、城の中庭に住まいとして増築したドゥカーレ宮(Corte Ducale)です。右側へぬけるとダミル広場となります。
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上の写真の右手。市立博物館入り口。
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2つ上の写真の左側
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上の写真の左側。正面に見えるバルコ門 (Porta del Barco) をぬけると城から出て、ミラネーゼ(Milanese) たちの憩いの場、ミラノ最大のセンピオーネ公園 (Parco Sempione) へ。
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少し引き返し、また市立博物館の入口(右側)。右側の看板には、市立博物館が、古代アート美術館 (Museo d’Arte Antica)、絵画ギャラリー (Pinacoteca)、装飾アート美術館 (Museo delle Arti Decorative)、楽器博物館 (Museo degli Strumenti Musicali)、先史・有史博物館 (Museo della Preistoria e Protostoria)、古代エジプト博物館 (Museio Egizio) から構成されていることが書かれています。
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また、ダミル広場に戻って来ました。銅像は聖ジョバンニ・ネポムチェノ(San Giovanni Nepomuceno, 1349-1393)。
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入ってきた時とは別の出口へ。ローマの遺跡から略奪してきたような建設資材がごろごろありますねえ。
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城の外にでました。
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城を振り返る。
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スフォルツェスコ城の前のカイローリ広場 (LargoCairoli) にある、ジュゼッペ・ガリバルディ(Giuseppe Garibaldi, 1807-1882)の騎馬像 (Monumento a Garibaldi)。彼は、イタリア統一運動を推進し、イタリア王国成立に貢献した軍事家です。イタリア統一を進めるため、多くの軍事行動を個人的に率いました。ヨーロッパと南米での功績から「二つの世界の英雄」とも呼ばれ、カヴール (Camillo Benso, Conte di Cavour)、マッツィーニ (Giuseppe Mazzini) と並ぶ「イタリア統一の三傑」の一人とされています。
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スカラ広場(Piazza della Scala)とヴィットリオ・エマヌエーレ2世ガッレリア入口(左奥)
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スカラ座 (Teatro alla Scala)。かってサンタ・マリア・デッラ・スカラ教会があった場所に、1778年建てられたオペラの殿堂です。第二次世界大戦に空襲で焼失したが、1946年に再建し、さらに 2004年、大改築されてミラノの代表的な劇場になっています。
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スカラ座広場
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左奥の建物は市庁舎として使われている旧マリーノ宮 (Palazo Marino)。手前真ん中はレオナルド・ダ・ヴィンチと4人の弟子たちの像(Monumento a Leonardo da Vinci)。
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イタリア商業銀行 (Banca Commerciale Italiana) ミラノ支店。
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ヴィットリオ・エマヌエーレ2世ガッレリア。南北約200m、東西約100mの十字形をしており、高さ35mです。1861年にデザインされ、イタリアの建築家ジュゼッペ・メンゴーニによって1865年から1877年の間に建設さました。ヴィットリオ・エマヌエーレ2世はイタリア統一戦争を終結させて初代国王の座に着いた人で、その名に因んでこの名がつけられました。スカラ広場とドゥオモ広場を結ぶ巨大なショッピング・アーケードで、ガラスと鉄骨のアーケードの下は、プラダ、ルイ・ヴィトンなど高級ブランド品店を始め、書店からオートクチュール店まで、お洒落な4階建ての店が軒を連ねています。
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ヴィットリオ・エマヌエーレ2世ガッレリア中心近くまでやってきました。十字形のアーケードの交点位置の天井は球形ドーム状であり、建物の交点に面する部分の角は平面状に切り落とされています。その平面状の壁の上部には四大陸を表すフレスコ画が描かれています。
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フレスコ画。アメリカ。
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フレスコ画。ヨーロッパ。
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フレスコ画。アフリカ。
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フレスコ画。アジア。
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この交点の床中央部にサヴォイア家の白十字の紋章があり、その周りにやはりイタリアの4つの州都の紋章のモザイクがあります。これは、フィレンツェの紋章。その由来については諸説ありますが、1つは、ルネサンスの栄華を極めたメディチ家の紋章(百合の花と6個の丸薬)が元になっており、財政難に陥ったフランス王家を助けたことで、フランス王室の紋章である百合の紋章を使うことを許されたんだそうです。
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ミラノの紋章。その由来は、第一次十字軍遠征時に聖地エルサレムの城壁へ最初に登りキリスト教のシンボルである十字架を立てたのがミラノ出身のジョバンニ・ローであったことだそうです。
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トリノ (Torino)の紋章。その由来は、トリノの語源が「牛のような人々」の意味のタウリーニ (taurini)であることだそうです。私見を言わせてもらえば tauriniの単数形はtaurinoですから、こっちじゃないかと思うんですが。雄牛のモザイクには穴があいてます。雄牛の大事な部分の上で止まらずにかかとで1回転(3回転との説もある)すると「幸福になれる」とか「またミラノに来れる」という言い伝えがあり、ミラノ市民や観光客が回った結果です。そもそもこれは、その昔トリノに支配されていたミラノがその仕返しに牛の股間を踏んだ事に由来するそうです。
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ローマの紋章。その由来は、ローマ神話に出て来る狼の乳を飲むロームルスとレムスです。SPQRという文字が出ていますが、これはラテン語のSenatus Populusque Romanusの略で、「元老院とローマの市民」という意味だそうです。
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ヴィットリオ・エマヌエーレ2世ガッレリアを南にぬけるとそこはドゥオモ広場 (Piazza del Duomo) で、その左側にドゥオモ (Duomo di Milano) が、あっ!見えたぞ!何と綺麗な教会だ。(興味がありましたら、後は付録をご覧ください。)
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中に入ろうとしましたが、あまりに長い行列ができていたので、先にドゥオモ北東側角にあるエレベータで屋上に登ることにしました。エレベータ乗り場に行く途中で韓国人夫妻に会いました。定年退職して自由気ままな旅、次はジェノバでその次はバルセロナだそうな。うらやましいなあ。この写真はエレベータを降りた位置から西方を見た風景。うーん、やっぱりすごい数の尖塔だ。全ての尖塔の上に聖人の像があります。
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少し西に移動して上を見上げる。真ん中が一番高い尖塔かなあ。ゴシック建築特有の飛梁も装飾を施されて見事ですねえ。
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西を望む。それにしても見事な数の尖塔だ。
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また少し西に移動して上を見上げる。
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屋上に近づいてきた。南西を望む。ミラノの街が見えますねえ。
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北西を望む。ミラノの街、ヴィットリオ・エマヌエーレ2世ガッレリア屋根、それに遠くには雪をかぶったアルプスの山々が見えます。
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北を望む。高層建築もあの場所だと許されるんだな。
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飛梁にも彫像が取り付けられて見事なもんです。左上の柱から飛び出したような動物は、ゴシック建築特有の雨水排水口:ガーゴイルですね。
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屋上に着きました。東側の中央に一番高い尖塔があり、その上にはマリア像があります。
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マリア像を撮影してみました。アングルがまずいなあ。隣の尖塔の聖人に後光が射している。
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尖塔とマリア像。
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マリア像。逆光だな。
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順光で撮ると、当然後姿だ。
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東の端から見た屋上。
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西の端からドゥオモ広場を見る。観光客用展望熱気球だ。邪魔だねえ。綺麗なドゥオモ広場の眺めが台無しだ、ってか。
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そろそろ降りることにしよう。
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降りてきた。左側、ドゥオモ、前方ドゥオモ広場
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ドゥオモに入る長い行列がなくなっており、簡単に中に入れました。拝廊から礼拝堂を望む。断面が花びらのような大理石の列柱がいいですね。当然のことながら、天井はゴシック特有のリブ・ヴォールドです。しかし外装に比べると意外にシンプルですね。
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各柱の上部は聖人達の像で囲まれてます。
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左右とも2重の側廊で中央身廊と合わせて5廊式です。幅が広いから当然ですか。
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ミサが行われているみたいですね。私はクリスチャンじゃありませんが、厳かな気分になります。
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こんなステンドグラスがたくさんあります。
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上の写真ではわかりにくいので、ステンドグラス部分を取り出して上下半分に切り、左右にならべてみました。受胎告知から十字架刑までの新約聖書のようです。
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アーリベデルチ(さようなら)ドゥオモさん。
付録。知っていると役立つドゥオモの基礎知識。
このドゥオモは幅約93m、奥行き約158mで、135本の小さい尖塔を持っており、最も高い尖塔は108.5mある大聖堂で、1386年から宗教改革による中断を経て約400年を費やして1813年に完成された後期ゴシック建築です。建築面積では、サンピエトロ大聖堂、セントポール大聖堂、セビリアの大聖堂に続く世界で4番目、体積ではサンピエトロ大聖堂の次に大きい大聖堂です。突き抜けるような高い垂直性と、幅の広いプロポーションが幾何学上の特徴です。建築材料はミラノの北西約80kmにあるカンドリア (Candoglia) 産の白/ピンク色の大理石(marmot di colore Bianca/rosa) で、ピンクは方解石に酸化鉄が混入したものです。この白とピンクがモザイク状に混在した外壁は何とも華麗な色彩を醸し出しています。このドゥオモはロンバルディア州都ミラノの象徴であり、聖母マリアに献納されたもので、500万人のカトリック信者がいる世界最大の司教区であるミラノ大司教区を統括する首都大司教の司教座聖堂です。
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この旅行記へのコメント (2)
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- 旅熊 Kokazさん 2021/01/23 10:56:44
- ヴィスコンティ家の紋章
- これはヴィスコンティ家の紋章だったのですね!
ドゥーモの近くで見かけてカメラで撮影したのですが、何なのか謎でした。
勉強になりました。
- bunbunさん からの返信 2021/01/24 11:15:03
- RE: ヴィスコンティ家の紋章
- 旅熊 Kokazさん、こんにちは。
ご訪問、私の拙い旅行記にいつも投票ありがとうございます。
私の旅行記を丁寧にご覧いただき感謝します。旅熊 Kokazさんのお役に立てたのでしたら光栄です。ヨーロッパ貴族の紋章はその貴族の歴史も含めて意味するところが抽象画として描かれているので、それを読み解くだけでも楽しいです。
私は絵が好きで、ヨーロッパの美術館は結構回っています。ただ見るだけでも楽しいのですが、中世、ルネサンス、バロックあたりの絵を理解しようと思うと聖書、ギリシャ神話の知識が必要で、聖書物語(聖書そのものではありません)、ギリシャ神話の本を買って読みふけりました。美術全集も買い、画家の生涯や人となりも勉強しております。ただ残念ながらブレラ絵画館にはまだ行ったことがありません。カラヴァッジョの“エマオの晩餐”は美術全集で見ましたが、ティントレットの“聖マルコの遺体を盗み出すヴェネツィアの商人たち”は多分初めてと思います。
貴重な旅行記をありがとうございました。。
これからも旅熊 Kokazさんの旅行記を楽しみにしております。
bunbun
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