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1).旅の始めに<br /><br />              頬濡らし 碑文をなぞる 蓼の雨<br /><br />  浙江省「寧波」市は、既に夏に入っていた。海に流れる「甬江」の河口から20キロ遡ると、蒋介石の故郷である奉化県から流れる「奉化江」と、「河姆渡遺跡」がある余姚県から流れる「余姚江」の、三つの河の合流する「三江口」があり、その一郭に、「三江口公園」があった。 嘗て、河港である「甬港」のあった処で、日本からの学僧達は、この地で、中国大陸に上陸し、笈を背負い、中国各地の寺へ向かったと、言われている。<br />  <br />2).「寧波」市の旧河港、「三江口」へ  <br /><br />  「寧波」に到着するや、「三江口公園」に向かったが、公園内は、生憎と、 地下鉄工事の資材置き場になっていた。乱雑に置かれた工事資材の間に、ネットで覆われた『道元禅師入宋記念碑』を見付けた。(添付写真参照)<br />  道元は、「博多」から「寧波」の「三江口」に到着後、河港「甬港」に係留された船に、三ヶ月間ほど留め置かれている。その船へ、「阿育王寺」の老典座(食事担当僧)が、日本産の干椎茸を買いに来た。『典座教訓』の中で道元は、「自分が些か文字を知り、弁舌を述べれるのは、あの老典座のお蔭である」と、この地での忘れ難い出会いを、書いておられる。<br /> <br />3).中國での「道元禅師」<br /><br />  1223年、道元24歳の時、師の明全禅師と入宋され、臨済宗の「天童山景徳寺」(通称「天童禅寺」)の、無際了派禅師の元で、禅を学ばれ、その後、阿育王山「広利寺」、台州の「万年寺」へも遍歴されている。<br />  再び「天童禅寺」に戻られ、如浄禅師に、指導を仰ぐこと3年余、1227年、道元28歳の時、弘法利生を念じつつ、帰朝されている。しかし、一緒に中國へ行かれた明全禅師は、病で倒れられ、中国で亡くなられている。 <br /><br />4).「寧波」市の「天童禅寺」へ<br /><br />  「寧波」市の「大坑山」(天童森林公園)の北西山麓にある「天童禅寺」へは、まずは、市内からバスで、「天童寺風景名勝区」へ向かい、その総合入口で、車から降り、そこから、山腹の「千仏塔」を、時々仰ぎ見ながら、「古香道」を、歩いて行った。やがて、鬱蒼とした竹藪脇を通り過ぎると、数塔の仏塔が並ぶその先に、「万工池」と呼ばれる、放生池が、見えてきた。「万工池」の奥には、「天童禅寺」の正門が見え、歴史を感じさせる照壁が、その前に置かれていた。<br /><br />5).天童禅寺境内へ<br />  <br />                                  閑かさや 安居の寺の 昼下がり<br /><br />     「照壁」を眺めながら、「天童禅寺」の境内に入ると、高さ20m程の「天王殿」があり、その背後には「佛堂」、そして「法堂」が、麓から山腹に向かって階段状に建ち並んでいた。「天王殿」をお参りし、「佛堂」脇の「雲水堂」を通り、回廊を登って行くと、「修行霊跡碑亭」と、彫られた石碑が置かれた場所へ、出て来た。その奥の壁には、道元禅師の肖像画が掛けられていた。<br /><br />6).旅の終わりに<br /><br />  今にも雨が降りそうな中を、再び「古香道」を通り、バス停へ戻って来た。振り返えると、「千仏塔」が、雨雲に覆われた山間に、ひっそりと頭を出していた。霞む「千仏塔」を眺めながら、僕は、この地との別れを、暫し惜しんでいた。(完)<br />  <br />   「表題写真」:「寧波」の「招宝山風景区」にある『鰲柱塔』から、「甬江」の河口を望む。 <br /><br />  <br />  * Coordinator:  Gu  Hong

【浙江省】 寧波  *  道元禅師  河港「甬港」での日々を 旅する

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2016/05/29 - 2016/06/02

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彷徨人MU

彷徨人MUさん

1).旅の始めに

              頬濡らし 碑文をなぞる 蓼の雨

  浙江省「寧波」市は、既に夏に入っていた。海に流れる「甬江」の河口から20キロ遡ると、蒋介石の故郷である奉化県から流れる「奉化江」と、「河姆渡遺跡」がある余姚県から流れる「余姚江」の、三つの河の合流する「三江口」があり、その一郭に、「三江口公園」があった。 嘗て、河港である「甬港」のあった処で、日本からの学僧達は、この地で、中国大陸に上陸し、笈を背負い、中国各地の寺へ向かったと、言われている。

2).「寧波」市の旧河港、「三江口」へ  

  「寧波」に到着するや、「三江口公園」に向かったが、公園内は、生憎と、 地下鉄工事の資材置き場になっていた。乱雑に置かれた工事資材の間に、ネットで覆われた『道元禅師入宋記念碑』を見付けた。(添付写真参照)
  道元は、「博多」から「寧波」の「三江口」に到着後、河港「甬港」に係留された船に、三ヶ月間ほど留め置かれている。その船へ、「阿育王寺」の老典座(食事担当僧)が、日本産の干椎茸を買いに来た。『典座教訓』の中で道元は、「自分が些か文字を知り、弁舌を述べれるのは、あの老典座のお蔭である」と、この地での忘れ難い出会いを、書いておられる。

3).中國での「道元禅師」

  1223年、道元24歳の時、師の明全禅師と入宋され、臨済宗の「天童山景徳寺」(通称「天童禅寺」)の、無際了派禅師の元で、禅を学ばれ、その後、阿育王山「広利寺」、台州の「万年寺」へも遍歴されている。
  再び「天童禅寺」に戻られ、如浄禅師に、指導を仰ぐこと3年余、1227年、道元28歳の時、弘法利生を念じつつ、帰朝されている。しかし、一緒に中國へ行かれた明全禅師は、病で倒れられ、中国で亡くなられている。 

4).「寧波」市の「天童禅寺」へ

  「寧波」市の「大坑山」(天童森林公園)の北西山麓にある「天童禅寺」へは、まずは、市内からバスで、「天童寺風景名勝区」へ向かい、その総合入口で、車から降り、そこから、山腹の「千仏塔」を、時々仰ぎ見ながら、「古香道」を、歩いて行った。やがて、鬱蒼とした竹藪脇を通り過ぎると、数塔の仏塔が並ぶその先に、「万工池」と呼ばれる、放生池が、見えてきた。「万工池」の奥には、「天童禅寺」の正門が見え、歴史を感じさせる照壁が、その前に置かれていた。

5).天童禅寺境内へ

              閑かさや 安居の寺の 昼下がり

  「照壁」を眺めながら、「天童禅寺」の境内に入ると、高さ20m程の「天王殿」があり、その背後には「佛堂」、そして「法堂」が、麓から山腹に向かって階段状に建ち並んでいた。「天王殿」をお参りし、「佛堂」脇の「雲水堂」を通り、回廊を登って行くと、「修行霊跡碑亭」と、彫られた石碑が置かれた場所へ、出て来た。その奥の壁には、道元禅師の肖像画が掛けられていた。

6).旅の終わりに

  今にも雨が降りそうな中を、再び「古香道」を通り、バス停へ戻って来た。振り返えると、「千仏塔」が、雨雲に覆われた山間に、ひっそりと頭を出していた。霞む「千仏塔」を眺めながら、僕は、この地との別れを、暫し惜しんでいた。(完)
  
  「表題写真」:「寧波」の「招宝山風景区」にある『鰲柱塔』から、「甬江」の河口を望む。 


* Coordinator:  Gu Hong

旅行の満足度
4.0
同行者
一人旅
交通手段
鉄道 高速・路線バス タクシー 徒歩
航空会社
JAL
旅行の手配内容
個別手配
  • 寧波市三江口案内図

    寧波市三江口案内図

  • 寧波市の「三江口公園」(嘗ての甬港)<br /><br />日本曹洞宗開祖「道元禅師」、上陸の地の「三江口公園」

    寧波市の「三江口公園」(嘗ての甬港)

    日本曹洞宗開祖「道元禅師」、上陸の地の「三江口公園」

  • 寧波市の「三江口公園」(嘗ての甬港)<br /><br />日本曹洞宗開祖「道元禅師上陸の地」(「三江口公園」)の記念碑

    寧波市の「三江口公園」(嘗ての甬港)

    日本曹洞宗開祖「道元禅師上陸の地」(「三江口公園」)の記念碑

  • 寧波市の「三江口公園」(嘗ての甬港)<br /><br />日本曹洞宗開祖「道元禅師上陸の地」の記念碑

    寧波市の「三江口公園」(嘗ての甬港)

    日本曹洞宗開祖「道元禅師上陸の地」の記念碑

  • 寧波市三江口の夜景

    寧波市三江口の夜景

  • 寧波市三江口の夜景

    寧波市三江口の夜景

  • 寧波市 案内図 <br /><br />   河口「三江口」から「天童寺」までの案内図(参道)

    寧波市 案内図 

       河口「三江口」から「天童寺」までの案内図(参道)

  • 寧波市  天童寺<br /><br />   「古香道」(参道)の入り口

    寧波市  天童寺

       「古香道」(参道)の入り口

  • 寧波市  天童寺<br /><br />   「古参道」に架かる最初の山門「伏虎亭」。

    寧波市  天童寺

       「古参道」に架かる最初の山門「伏虎亭」。

  • 寧波市 天童寺<br /><br />        「 古参道」<br />      

    寧波市 天童寺

    「 古参道」
          

  • 寧波市 天童寺<br /><br />   「 古参道」

    寧波市 天童寺

       「 古参道」

  • 寧波市  天童寺<br /><br />   参道界隈

    寧波市  天童寺

       参道界隈

  • 寧波市  天童寺<br /><br />   「 古参道」を行くと、雨雲に霞む「千仏塔」が、見えてきた。

    寧波市  天童寺

       「 古参道」を行くと、雨雲に霞む「千仏塔」が、見えてきた。

  • 寧波市 天童寺<br /><br />   「古参道」に架かる山門「古山門」である 

    寧波市 天童寺

       「古参道」に架かる山門「古山門」である 

  • 寧波市 天童寺<br /><br /><br />   「千仏塔」が、目の前に見えてきた。

    寧波市 天童寺


       「千仏塔」が、目の前に見えてきた。

  • 寧波市  天童寺<br /><br /><br />   古参道案内図

    寧波市  天童寺


       古参道案内図

  • 寧波市  天童寺<br /><br />     「「 古参道」(参道)に架かる山門「景〇亭」である <br />              (〇は、人偏に青で、麗しいこと)<br />     

    寧波市  天童寺

    「「 古参道」(参道)に架かる山門「景〇亭」である 
                  (〇は、人偏に青で、麗しいこと)
         

  • 寧波市 天童寺<br /><br />   古参道

    寧波市 天童寺

       古参道

  • 寧波市  天童寺<br /><br />  「万江池」の向こうに、天童寺の正門の「照壁」が見えてきた。<br /><br />     

    寧波市  天童寺

      「万江池」の向こうに、天童寺の正門の「照壁」が見えてきた。

         

  • 寧波市  天童寺<br /><br />   その年月の長き日々を語るかの如き、「天童禅寺」と彫られた石碑

    寧波市  天童寺

       その年月の長き日々を語るかの如き、「天童禅寺」と彫られた石碑

  • 寧波市  天童寺<br /><br />   「天王殿」

    寧波市  天童寺

       「天王殿」

  • 寧波市 天童寺<br /><br />   「天王殿」の内部

    寧波市 天童寺

       「天王殿」の内部

  • 寧波市 天童寺<br /><br />   「佛殿」

    寧波市 天童寺

       「佛殿」

  • 寧波市 天童寺<br /><br />   日本曹洞宗開祖道元禅師の「修行霊跡碑亭」の外観

    寧波市 天童寺

       日本曹洞宗開祖道元禅師の「修行霊跡碑亭」の外観

  • 寧波市 天童寺<br /><br />   「修行霊跡碑亭」内に置かれた、道元禅師に関する石碑

    寧波市 天童寺

       「修行霊跡碑亭」内に置かれた、道元禅師に関する石碑

  • 寧波市  天童寺<br /><br />   「修行霊跡碑亭」内の道元禅師の肖像画

    寧波市  天童寺

       「修行霊跡碑亭」内の道元禅師の肖像画

  • 寧波市 天童寺<br /><br />   回廊

    寧波市 天童寺

       回廊

  • 寧波市 天童寺<br /><br />   「蔵経楼」

    寧波市 天童寺

       「蔵経楼」

  • 寧波市 天童寺<br /><br />      天童寺境内の回廊から、遠くに見える「千仏塔」

    寧波市 天童寺

    天童寺境内の回廊から、遠くに見える「千仏塔」

  • 寧波市 「招宝山風景区」<br /><br />      案内図

    寧波市 「招宝山風景区」

    案内図

  • 寧波市 「招宝山風景区」<br /><br />   鎮海口海防遺跡 

    寧波市 「招宝山風景区」

       鎮海口海防遺跡 

  • 寧波市 「招宝山風景区」<br /><br />      『ここは、日本(倭寇)と戦い、英国と戦い、そしてフランスと戦った古戦場である。 国の興亡については、人民一人一人の責任である』

    寧波市 「招宝山風景区」

    『ここは、日本(倭寇)と戦い、英国と戦い、そしてフランスと戦った古戦場である。 国の興亡については、人民一人一人の責任である』

  • 寧波市 「招宝山風景区」<br /><br />   遠くに見える目的地『鰲柱塔』を眺める<br /> 

    寧波市 「招宝山風景区」

       遠くに見える目的地『鰲柱塔』を眺める
     

  • 寧波市 「招宝山風景区」<br /><br />       『鰲柱塔』を仰ぎ見る。<br /><br />

    寧波市 「招宝山風景区」

      『鰲柱塔』を仰ぎ見る。

  • 寧波市 「招宝山風景区」<br /><br />   『鰲柱塔』から、甬江河口付近を眺める。

    寧波市 「招宝山風景区」

       『鰲柱塔』から、甬江河口付近を眺める。

  • 寧波市 「招宝山風景区」<br /><br />   甬江に架かる「招宝山大橋」<br /><br /><br />

    寧波市 「招宝山風景区」

       甬江に架かる「招宝山大橋」


  • 寧波市 老外灘<br />

    寧波市 老外灘

  • 寧波市 老外灘<br />

    寧波市 老外灘

  • 寧波市 老外灘<br />

    寧波市 老外灘

  • 寧波市  老外灘<br />   

    寧波市  老外灘
       

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