2016/05/14 - 2016/05/14
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地酒大好きさん
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今日は滋賀県米原市と同多賀町にまたがる霊仙山(りょうぜんさん。1098m)に登ってきました。毎年この時期にヤマシャクヤクを見るために登っています。
名神高速道路の関ケ原ICで下りて、国道21号線を西に向かうと「醒ヶ井養鱒場」に入る道があり、そこから登山口まで林道を走ります。午前8時に着いたのですが、すでに登山口周辺の駐車スペースは満杯でした。展望が利いて、人気の山です。登山口から離れた林道脇に車を止めました。
1957年に廃村になった榑ガ畑(くれがはた)集落跡を通って、急斜面を登ると約30分で「汗拭峠(あせふきとうげ)」に着きます。文字通り、登山者は汗でびっしょりになる所です。ここで二人の若い女性と会って、これから歩くルートの話をしました。彼女らはここから直接霊仙山に向かいます。ここからなら1時間半ほどで頂上に立てます。わたしは、いつものように大回りをして(西南尾根ルート)、途中ヤマシャクヤクを見ながら頂上に向かうつもりです。彼女らと別れて、落合集落に向かっていったん下りました。
下ると渓流があり、かつてはアカショウビンの声を聞いたことがあります。オオルリやキビタキ、ミソサザイが大声で鳴いています。カワガラスが目の前を飛んでいきました。あいにくアカショウビンの声は聞けませんでした。もう繁殖に入っており鳴かないのでしょうか。湿った道なのでヤマビルの攻撃にあわないか心配していましたが、いませんでした。廃村寸前の落合集落に着きました。ここはまだ夏季だけ少数の住民が戻ってきて住んでいるため廃村ではありませんが、ほとんどの家は朽ちてきていて廃屋になっています。人気(ひとけ)がなくシーンとしている集落です。そこを過ぎて今畑の登山口に着くと、登山届を出す箱があり、登山届を出しました。いままでの登山届の束を見ると、70歳代の登山者の多いこと。男女とも多く、中には80歳手前の人のもありました。みなさん元気に登っています。
急な細い道を喘ぎながら登ると今畑集落跡に着きました。ここは1979年に廃村になりました。こんなところに人が住んでいたことを想像すると、今では信じられないくらい不便な生活をしていたのですね。ほとんどの家は朽ちていました。毎年観察しているNEC製のブラウン管テレビはかなり壊れてきていました。40年も雨ざらしになっていれば何でも壊れます。民家があったところにはクリンソウの花がたくさん咲いていました。住民がいたころ植えられたものがまだ残っているのです。
さて今畑集落を過ぎると本格的な登山が始まります。数年前に見つけたこの近くのヤマシャクヤクの群落はまったくありません。シカの食害にあったのかは分かりません。アオバトの声が聞こえてきます。不気味な声ですね。しばらく進むとエビネの小群落がありました。2005年から毎年登っていますが、今まで気づかなかったのが不思議です。よく盗掘にあわずに咲いていてくれました。このルートを歩く人はごく少数ですが、その人たちも気づかずに通り過ぎています。できれば見つからないほうが安全です。
西南尾根に登る超急斜面にとりつきました。あまりにも急なため滑り落ちそうになります。ジグザグに歩いて滑り落ちないように慎重に進みます。30分以上かかって尾根に上がりました。ここからは鈴鹿の山々の展望が最高です。岩でガラガラの尾根道を歩いてヤマシャクヤクが咲く場所を探します。目印のない尾根道なので、その場所を探し出すのは大変です。何とか探し出して近づいてみると、咲いていました。たくさんのヤマシャクヤクの群落はシカの食害にもあわず、盗掘にもあわず、安泰で一安心しました。すでに花が終わっているものも多く、それでも満開のものがあり写真に収めました。他の登山者で気付く人は皆無で、全員通り過ぎていきました。付近はシカの食害でほとんど植物はありません。シカの糞のにおいがきつく、糞を食べるオオセンチコガネがたくさん見られます。
晴天でカンカン照りですが、冷たい風が吹き抜けているため暑さバテはしません。尾根から見下ろす下界の森林からツツドリやジュウイチの声が聞こえてきます。岩だらけの尾根を進んで最高地点に着くと、汗拭峠から直接登ってきた人でいっぱいでした。登り始めて4時間かかり、ここでランチです。ここで、また例の女性たちに会いました。以前はこの周囲はササに覆われていましたが、今はササはまったくなくて丸坊主の頂上です。シカの食害です。頂上には、最高点(1098m)、霊仙山(1084m)、北霊仙山などのピークがいくつもあります。ササがあったときは迂回する登山道を遠回りして行ったものですが、今では障害物がないため、行きたいところへ直進できます。どこもシカの糞だらけです。
下りは汗拭峠に向かって直接下山します。途中でまた彼女らと会いました。偶然にもよく会います。彼女らは滋賀県の長浜市から来ているという話になりました。長浜市なら有名な日本酒の「七XX]という銘柄があるという話をすると、一人の女性が「そのお酒は昔はおいしかったけれど、今は有名になって東京などに出荷されるため万人に合う味になってしまっておいしくなくなった」という話を地元の酒店や居酒屋で聞くようになったと話します。それより福井県の「黒X]がおいしいですよと勧めてくれました。それならわたしも大好きな酒ですと話し、お酒の話で盛り上がりました。彼女はかなり日本酒に詳しいようでした。若いのに。
と話し合っているうちに下山できました。約6時間の山歩きでしたが、疲れを感じません。大好きなヤマシャクヤクに会えたからでしょうね。歩行数は23,000歩でした。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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登山口がある榑ガ畑(くれがはた)集落の跡です。1957年に廃村になり、それから約60年たつと、石垣を組んだ宅地跡には木が生い茂っています。
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こういう石垣の宅地跡がたくさんあります。昔は生活の音であふれていたのでしょうが、今では聞こえるのは鳥の声だけです。
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数年前までは廃屋の名残がありましたが、それも今では崩れてしまい、ただのガレキとなっています。
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急な坂道を汗をかきながら登ると、汗拭峠(あせふきとうげ)に着きます。ここで、流れる汗を拭いたのでしょう。
ここから直接山頂までは1時間半ぐらいで着くでしょう。知り合った二人の女性たちは直接頂上に向かって行きました。
わたしは落合とある集落に向かっていったん下山しました。そこから改めて「西南尾根ルート」を山頂に向かうことにしました。理由は、途中でヤマシャクヤクに会えるからです。 -
汗拭峠に新しく建てられた「クマ出没注意!!」の看板です。以前には
ここにはなかったものです。最近クマの目撃があったのでしょうか。
この山域から北に伊吹山があり、そこには昔からクマがいるのは有名ですが、ここと伊吹山の間には名神高速道路が通っているため、クマはやってこれないという話を聞いたことがあります。ところが数年前に1頭の目撃例が報告されて驚いたことがあります。しかし、1頭では繁殖できなくて、いずれはいなくなると話されていました。 -
汗拭峠を下ると渓流があります。それに沿って登山道があり、落合集落まで続いています。
この渓流沿いで以前アカショウビンが鳴きかわすのを観察したことがあります。今日はその声はまったく聞けませんでした。繁殖に入って、静かになったのでしょうか。
オオルリ、キビタキが樹上で大声でさえずっています。ミソサザイも渓流の小枝などの上で大声で長くさえずっています。目の前を突然カワガラスが「ビー」という声を出して飛んでいきました。 -
落合集落に着くと、このような人が住まない民家がたさくん現れます。夏季だけ少数の住民がやってきているので廃村ではないそうですが、人の気配はまったくありません。
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これも廃屋です。年々傷みがひどくなっています。
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これも廃屋ですが、数年前に人が手入れをしていたことがあります。今ではそれもなくなり、廃屋化しています。
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これも朽ちてきている廃屋です。萱葺きだった屋根にトタンをかぶせて屋根の葺き替えをしなくても済むようにしたものです。火事にならないように「水」と書いてあります。おまじないでしょうか。
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ここにも新しい看板が。
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今畑登山口から今畑集落に向かいます。細くて急な山道をジグザグに登りますが、途中にあったトチノキです。この実で餅などをついたのでしょうね。ちょうど大きな花を咲かせていました。
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1979年に廃村になった今畑集落跡に咲いていたクリンソウの花です。昔は民家の庭に植えられていたものが、40年以上たっても毎年花を咲かせています。
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別の敷地にはたくさんのクリンソウが咲いていました。
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今畑集落跡に残る水場です。ここで住民は水を汲んだり井戸端会議を開いたりしていたのでしょうね。数年前までは勢いよく水が出ていたのですが、今は少ししか流れ出してきていません。
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今畑集落跡にも新しい看板が。
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今畑集落跡に残る、ブラウン管式のNEC製テレビです。雨ざらしのため、年々傷みがひどくなり、今にも分解して壊れそうです。
40年ぐらい前に町で買ってきたテレビを担いで持ち上げてきたのでしょうね。山深い場所での一家団らんの姿が目に浮かびます。 -
今畑集落跡を過ぎて本格的な登山が始まります。その付近にたくさん咲いているはずのヤマシャクヤクはまったく見ることができません。シカの食害にあったのでしょうか。
その先に咲いていたのが、このエビネです。登山道脇にあったものですが、よく残っていました。たいていは盗掘でなくなってしまいます。 -
よく探すと付近にはこのようにエビネの小群落がありました。登山者は気づかずに通り過ぎていってくれます。いつまでも残ってほしいものです。
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いよいよ西南尾根の下に着きました。見上げると岩がいっぱいの急斜面です。ここをひたすら登ります。
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西南尾根に上がるとあるのがこの「近江展望台」です。ここからは琵琶湖も見えますが、今日はガスがかかってぼんやりとしか見えません。湿度が高くなってきているからでしょう。
カンカン照りですが、冷たい風が吹き抜けていくので暑くはなく、バテませんでした。
奥に見えるのは鈴鹿の山々です。 -
尾根から見る鈴鹿の山々です。
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例年見られるヤマシャクヤクの群生地を探し回りました。時間をかけて探し、やっと見つけました。たくさんのヤマシャクヤクが咲いている場所です。尾根は長いのですが、この花があるのはこの狭い範囲だけしか知りません。
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清楚なヤマシャクヤクの花です。かなり多くは花期が終わりかけていましたが、まだ多くの花が咲いていました。
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開く前の花もいっそう清楚な感じがしていいものです。
シカの食害にもあわずよく残ってくれていました。
登山者も気づかずに通り過ぎていきます。盗掘にもあわないようにと祈るばかりです。 -
西南尾根はずっとこのように続いており、先には霊仙山の山頂があります。
尾根のほとんどはこのように岩がガラガラしたところで、なぜ尾根の上だけがこんな状態なのか不思議です。 -
尾根道は岩だらけで、足をくじかないように一歩一歩慎重に進みます。尾根ですから涼しい風が常に吹いていて快適です。
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尾根から見下ろした森です。そちらからツツドリの「ポポ ポポ」の声や、ジュウイチの「ジューイチ ジューイチ」の声が大きく聞こえてきます。
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最高地点から西南尾根を振り返ります。中心奥にずっと続いているのが分かります。ここを歩いてきたのですね。
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途中に咲いていたウマノアシガタの花です。ロウを塗ったようにテカテカと光を反射していました。
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シカに食べられてほとんどの植物はありませんが、このイチリンソウだけはたくさん咲いていました。イチリンソウだらけといってもいいくらい多く咲いていました。
シカの糞や小便のにおいがしていたので、多分栄養はたっぷりの土壌なのでしょうね。 -
ヒメレンゲの黄色い花も岩陰に咲いていました。シカが食べないのでしょうか。
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オオセンチコガネをたくさん見ました。糞を食べるので、ここでは大繁殖しているようです。シカの糞だらけですから。
ちなみにセンチとは「雪隠(せっちん)」つまりトイレのことです。センチコガネの仲間は糞を食べるので、トイレと結びついた名前になったようです。 -
霊仙山の最高点(1098m)です。これとは別に霊仙山頂上(1084m)もあります。
ここには汗拭峠から直接登ってきた多くの登山者がいてランチを楽しんでいました。
奥に見えるのは伊吹山です。 -
下山は汗拭峠に直接下りるルートを歩きます
途中にあった「お虎ガ池」です。ここには以前に「お虎ガ池」という看板と、「これはお虎ガ池ではありません」と書いた新しい看板が立っていましたが、後者のものは撤去されました。意味不明のできごとでした。双方の看板はお金をかけた立派なものでしたから、いたずらで立てたものではなかったのは確かです。 -
下山途中にあるハシリドコロの群生地です。猛毒があることで有名な植物のためシカにも食べられずに残っています。
夏にはすっかり消えてしまうという不思議な植物です。
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