Solitary Journey ［1690］ 江戸時代には宿場町として明治から大正期には川港として栄えた塩田津＜塩田宿・古い町並み＞佐賀県嬉野市

2015/12/29 - 2016/01/01

■恒例の年末年始車旅 　【　ぐるっと九州の上半分を走破♪３泊４日　】

　当時の繁栄を今に伝える歴史ある古い町並み・塩田宿（塩田津）〜の巻

∇塩田宿（塩田津）／佐賀県嬉野市塩田
　嬉野温泉の隣に位置する嬉野市塩田町。ここは江戸時代に長崎街道の宿場町として栄え、また有明海の干満の差を利用した川港「塩田津」があり、物資の集散地でした。
　通りには今も白壁の大きな家々が立ち並び、一帯は「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されています。

・船が川を行き来し、川港として発展
　嬉野市塩田町は佐賀県南西部に位置し、多良岳（たらだけ）山系のすそ野に広がるまちです。三方を山に囲まれ、まちの中央部を塩田川が流れています。
　有明海へ注ぐこの川は干満の差を利用して船が行き来し、川港となったまちは「塩田津」と呼ばれて発展していきます。
　天草からの陶石がここで荷揚げされて有田町や伊万里市、波佐見町（長崎県）へ、帰りの船には米や やきものなどが積まれ、大川市を経て大阪などへ運ばれていったといいます。
　「塩田津」には廻船問屋や商家が立ち並び、周辺には和紙や鍛冶、石工の職人たちが住み、まちは大変賑わいました。

・当時の繁栄を今に伝える豪商の家々
　長崎街道だった道路沿いには、白壁の大きな家々が並びます。それらの多くは、幾度の大火と風水害に見舞われたためか、外壁を漆喰で塗り固め、居蔵家と呼ばれる瓦葺の造りになっています。
　家々の一部は改修され、観光客に公開されています。その一つが1855年築といわれる西岡家住宅。大きな梁や柱、吹き抜けの座敷、組子の欄間、箱階段などに廻船業を営んだ豪商の当時の生活をうかがえます。

・馬鉄や軽便鉄道が通った旧長崎街道
　例えば佐賀市内の商店街を通る長崎街道は道幅が狭く、昔ながらの道という風情を感じさせますが、ここ塩田津を通る長崎街道は大変広いのです。
　なぜ、こんなに広いのでしょう？
　明治時代、もともとは狭い道だったのですが、家々を後方に引き下げて道を拡張したからです。
　祐徳稲荷神社付近から武雄市まで線路をつくり、荷台に車をつけて馬に引かせた馬鉄が通り、その後、軽便鉄道が走っていました。
　また、大正4年に県下で最初の電車が塩田から嬉野まで開通しました。やがて車の時代になり、船による運搬や軽便鉄道の運行もだんだん減っていきました。
　江戸時代から自家用車が普及する昭和40年代まで隆盛を誇った塩田津。今は静かなまちですが、町並みや家々にその名残をとどめています。

≪　２日目（12／30）　≫
▼早朝、佐世保駅前Ｈ出発
▼国道35号線
▼シーボルトのあし湯・・・佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿乙
▼シーボルトの湯・・・佐賀県嬉野市嬉野町大字下宿乙
▼嬉野町並み散策・・・佐賀県嬉野市嬉野町下宿〜下野
▼元祖忍者村・・・佐賀県嬉野市嬉野町大字下野甲
▼塩田宿古い町並み散策・・・佐賀県嬉野市塩田
▼南船津茅葺集落散策・・・佐賀県鹿島市浜町南舟津
▼肥前浜宿古い町並み散策・・・佐賀県鹿島市浜町中町
▼国道444号線
▼萱瀬ダム・・・長崎県大村市黒木町
▼大村公園・玖島城跡散策・・・長崎県大村市玖島
▼大村神社散策・・・長崎県大村市玖島
▼大村市森園公園・・・長崎県大村市森園町
▼天正遣欧少年使節顕彰之像・・・長崎県大村市森園町
▼長崎自動車道大村インタＯＮ
▼ながさき出島道路ＯＦＦ
▼眼鏡橋・・・長崎県長崎市魚の町
▼忘年会・・・長崎県長崎市銅座町
▼長崎駅前Ｈ泊
≪　３日目（12／31）　≫　へつづく・・・

【　手記　】
　恒例となった年末年始九州の旅。今回は（も？）広島から下関〜佐世保九十九島〜嬉野市〜鹿島市〜大村市〜長崎市内〜島原半島（多比良町→長州フェリー）〜玉名市〜八代市〜高千穂〜阿蘇山〜九重方面へとルートをとり、のんびりゆっくりと九州の上半分を反時計回りに走り回ってきました。
　車旅ですから細かい予定はありませんが、今回は未だ行ったことがない歴史ある古い町並みの散策を目的に動き回ろうと考えておりました。
　ただ年齢が年齢だけに最近の車旅では、スタミナ不足が原因で疲れやすく距離が出にくくなっており、宿にはなるべく早くにチェックインして身体を休めながらの旅となりました。
　しかしながら玉名・鹿島の歴史ある町並みには感動しました。長崎では昨年同様、夫婦そろってたいへんお世話になった大学の先輩に再会して恒例の忘年会（同窓会）をしました。楽しく飲んだ飲んだ♪
　それと今回の最大の目的は、19年前に夫婦で泊まったことがある八代市内のホテルへ宿泊して、当時の記憶を確認することでした。想い出がある地へ立つこと、これがわたくしの使命だと思っております。
　また、元旦は宮崎県の高千穂神社にて初詣を済ませて、それから国見が丘で初日の出を拝むことができ、さらに阿蘇の城山展望所ではラッキーなことに雲海をも望むことができました。ﾊﾞﾝｻﾞｰｲ！
　老体にムチ打ってドリンクもがぶがぶ飲んで＾＾；ガンバってきましたー。でもロングランは辛くなったナ＾＾；　帰宅後はバテあげて寝込んでしまいました。
　表紙の写真は塩田の町並み散策中に見つけた「昭和15年の洋風建物、消防団の建物」です。

エリア 嬉野温泉(佐賀)

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 5万円 - 10万円
• 交通手段: 自家用車

■恒例の年末年始車旅 　【　ぐるっと九州の上半分を走破♪３泊４日　】
　当時の繁栄を今に伝える歴史ある古い町並み・塩田宿（塩田津）〜の巻
　嬉野温泉をあとにして同じ嬉野市の塩田宿へ移動しました。
　嬉野温泉の町並み散策 ⇒ http://4travel.jp/travelogue/11098419

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　この地は初訪です。車旅ですから細かい予定はありませんが、今回は未だ行ったことがない歴史ある古い町並みの散策を目的に動き回ろうと考えておりました。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　西岡家住宅・・・塩田津は現在「重要伝統的建造物群保存地区」に選定され、廻船問屋だった「西岡家住宅」は国重要文化財に指定されています。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　嬉野温泉の隣に位置する嬉野市塩田町。ここは江戸時代に長崎街道の宿場町として栄え、また有明海の干満の差を利用した川港「塩田津」があり、物資の集散地でした。
　

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　通りには今も白壁の大きな家々が立ち並び、一帯は「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されています。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　家の角や辻に恵比須像があります。これも塩田町の石工職人がつくったといわれています。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　嬉野市塩田町は佐賀県南西部に位置し、多良岳（たらだけ）山系のすそ野に広がるまちです。三方を山に囲まれ、まちの中央部を塩田川が流れています。船が川を行き来し、川港として発展しまた。
　

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　有明海へ注ぐこの川は干満の差を利用して船が行き来し、川港となったまちは「塩田津」と呼ばれて発展していきます。
　

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　天草からの陶石がここで荷揚げされて有田町や伊万里市、波佐見町（長崎県）へ、帰りの船には米や やきものなどが積まれ、大川市を経て大阪などへ運ばれていったといいます。
　

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　「塩田津」には廻船問屋や商家が立ち並び、周辺には和紙や鍛冶、石工の職人たちが住み、まちは大変賑わいました。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　佐賀では、恵比須さまの胸にある宝袋をなでるとご利益があると伝わります。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　当時の繁栄を今に伝える豪商の家々
　長崎街道だった道路沿いには、白壁の大きな家々が並びます。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　それらの多くは、幾度の大火と風水害に見舞われたためか、外壁を漆喰で塗り固め、居蔵家と呼ばれる瓦葺の造りになっています。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　旧長崎街道を当ても無く通りをウロウロしています。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　これは昭和15年の洋風建物。もともと消防団の建物で、現在も第一分団所として利用され、消防車が格納されています。現在も使っているそうです。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　進入禁止の標識が湾曲している。　おもしろい。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　洋風建築の消防第一分団所と草葺きの旧向井家が並んで建つ景観は趣きがあります。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　消防第一分団所　昭和15年建設、警防團屯所・・・とある。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　塩田宿の印象は清掃が行き届いた整然とした通り、きれいな町並みだと思いました。こういった朽ちたものはめずらしい。ついシャッターを押してしまった。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　旧長崎街道

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　旧長崎街道札の辻（高札所）・・・往来の多い場所に高札を立てた。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　馬鉄や軽便鉄道が通った旧長崎街道
　例えば佐賀市内の商店街を通る長崎街道は道幅が狭く、昔ながらの道という風情を感じさせますが、ここ塩田津を通る長崎街道は大変広いのです。
　

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　なぜ、こんなに広いのでしょう？明治時代、もともとは狭い道だったのですが、家々を後方に引き下げて道を拡張したからです。
　

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　祐徳稲荷神社付近から武雄市まで線路をつくり、荷台に車をつけて馬に引かせた馬鉄が通り、その後、軽便鉄道が走っていました。
　

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　また、大正4年に県下で最初の電車が塩田から嬉野まで開通しました。やがて車の時代になり、船による運搬や軽便鉄道の運行もだんだん減っていきました。
　

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　江戸時代から自家用車が普及する昭和40年代まで隆盛を誇った塩田津。今は静かなまちですが、町並みや家々にその名残をとどめています。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　旅館

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　塩田川の町は少なくとも天正期(1573年〜1592年)の末期には開かれていました。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　いまでも江戸時代の後期から末期にかけての居蔵家（いぐらや）と呼ばれる土蔵造りを中心に町家が残っているそうです。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　街角に鎮座する恵比寿像・・・有明海では鯛が採れないので、鮒を抱えている。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　本應寺（ほんのうじ）・・・町の裏手には常在寺山と本應寺山がそびえ、それぞれの麓に常在寺と本應寺が鎮座する。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　本應寺（ほんのうじ）・・・そのうち天正13年（1586年）に創建された本應寺は、藩主や役人が宿泊する本陣の役割もありました。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　本應寺（ほんのうじ）・・・風格ある山門。本應寺というお寺で、天正十四年（1586年）に開山したそうです。見事な山門は享保十七年（1732年）に完成しました。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　本應寺（ほんのうじ）・・・町内の石工が手がけたという仁王像が山門で出迎えてくれます。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　本應寺（ほんのうじ）仁王像

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　本應寺（ほんのうじ）・・・山門の先に本殿と庫裏が建っています。本殿も立派ですが、そのわきにそびえる楠も立派です。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　本應寺（ほんのうじ）・・・山門　垣根の窓に仁王像

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　年末とはいえほとんど人を見かけません。ごく稀に車が通り過ぎますが、とにかく静かでゆっくりとした時間が流れています。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　旧長崎街道

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　かつて多くの人で賑わった面影を残しながら、静けさに包まれた町。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　立傅寺

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　マップ　伝統的建造物群保存地区塩田津

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　塩田津町並み交流集会所　陶石検量所

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　魚眼で〒

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　ひろせ屋　カーブミラーに写る家紋

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　ひろせ屋

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　江戸時代から自家用車が普及する昭和40年代まで隆盛を誇った塩田津。今は静かな町ですが、町並みや家々にその名残をとどめています。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　旧長崎街道

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　立伝寺

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　いい町並みでした。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　国道498号線、現在の塩田川・・・昔は「暴れ川」と呼ばれるほど氾濫の多い川でしたが、有明海が満ち潮のときに上流へ、引き潮のときに下流へ、船が行き来しました。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　柿撮れば　ゴジラの旅も　絶好調〜

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　江戸時代後期に建てられた旧下村家住宅・・・隣はかつての陶石検量所であり、船着場へのスロープが設けられています。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　よく歩いた。塩田川沿いのベンチにて休憩　さてと次の訪問地へ向かいますか。

∇塩田宿古い町並み散策／佐賀県嬉野市塩田
　西岡家住宅前の駐車場　次の目的地「鹿島市浜町」へ向かいました。

∇肥前浜駅前交差点／佐賀県鹿島市浜町中町
　鹿島市浜町へやって来ました。嬉野市塩田から南東方向へ７〜８ｋｍの位置です。
　次の旅日記は「鹿島市浜庄津町浜金屋町伝統的建造物群保存地区散策」編です。ここも今回初めてお邪魔した場所ですが、茅葺屋根の集落には感激しました。

　　　ＴＨＥ　ＥＮＤ．　　つづく・・・