2015/09/28 - 2015/09/29
287位(同エリア1980件中)
玄白さん
姥ケ平の紅葉の絶景を楽しんだ後は、トレッキングシューズを履いて歩いてしか行けない秘湯、三斗小屋温泉へ。以前は電気も通じておらずランプの宿だったが、今では自家発電により電化されている。野趣あふれる露天風呂で、一日のトレッキングの疲れを癒す。
翌日は、朝日岳に登ってもよかったのだが、連れ合いの疲労が溜まっていたので、峰の茶屋経由で那須ロープウェイ駅駐車場に直帰。午前中に帰宅することにした。峰の茶屋付近は、「風の通り道」というちょっとメルヘンチックな別名がついているが、実際には強烈な風が吹き抜けるところとして有名である。この日も平均風速28m/秒の大型台風並みの風が吹きすさび、鎖に掴まっていないと吹き飛ばされそうであった。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 自家用車
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最初に、今回の那須岳トレッキングで歩いたコースをルートマップ上に緑の線で示しておこう。
休憩と撮影時間を除けば、おおむね歩行時間はマップに記載された標準タイムだったが、唯一例外は、姥ケ平下(沼原・三斗小屋分岐)〜沼原分岐の区間だった。地図上では標高差はほぼゼロ、標準タイム50分(昭文社山と高原地図では40分)となっているが、実際には1時間10分かかってしまった。細かなアップダウンの連続で、段差が大きな道なので、けっこう体力を消耗した。
三斗小屋温泉に同宿した同じルートを歩いた人は1時間40分かかったという。 -
姥ケ平でランチ、大休止した後、12時半に三斗小屋温泉に向かう。
今回我々が歩いたルートは健脚の人ならば十分日帰りで歩けるコースだが、あいにく三斗小屋温泉は日帰り入浴は受け付けていない。温泉に入ろうと思えば、泊まるしかない。 -
歩き始めは、まだきれいな紅葉に囲まれた道を歩く。
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イチオシ
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シラタマノキの白い果実。つぶすとサロメチールのような匂いがする。
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10分ほど歩くと姥ケ平下の沼原(ぬまっぱら)・三斗小屋分岐に至る。
ここからは、華やかな紅葉は姿を消し、地味な樹林帯が続く。 -
道の途中に設置されたパネルも傷んだままで、あまり人が往来している気配がない。
三斗小屋温泉に行くルートとしては、マイナーなルートなのだろう。 -
イチオシ
茶色のベルベットのようなキノコ。初めてみるキノコだ。
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ダケカンバの巨樹。胸の高さ位置での幹の直径は30cm以上ありそう。
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ところどころで紅葉が見られるが、姥ケ平の圧倒的に華麗な紅葉を見たあとなので、感動はない。
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途中、いくつかの沢を渡る。湿気の多いところの倒木にはびっしりコケが生えている。
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三斗小屋〜峰の茶屋ルートに合流。
ここからは、見違えるほど歩きやすい道に変わる。 -
退屈な樹林帯の道を20分ほど歩くと、突然ぽっかりと開けた空間に出る。三斗小屋温泉大黒屋の建物が目に飛び込んでくる。
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三斗小屋温泉には大黒屋と煙草屋という二軒の旅館がある。今回、我々が泊まるのは、こちらの煙草屋旅館。煙草屋を選んだ理由は、露天風呂。大黒屋には露天風呂がない。
三斗小屋温泉 温泉
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右側の建物が本館、左側は第1別館。他に第2別館もある。想像していたより大きな旅館である。2つの建物の間の道は隠居倉経由で朝日岳に行く登山道である。
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三斗小屋温泉の歴史は古く、1142年に開かれ、那須岳周辺の温泉の中では最古である。江戸時代までは、関東から会津に向かう旅人や那須岳の信仰登山をする人たちで賑わい、5軒の温泉旅館があったそうだ。
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部屋は素朴な作りで、エアコン、テレビなどの設備は何もない。隣の部屋とは襖一枚で隔てられているだけで、鍵もない。昭和の頃の民宿といった趣である。夏でも夜は冷えるので、布団はたくさん用意されている。布団を敷くのはセルフ。
部屋は2階だったが、トイレは1階の共同トイレのみ。
山小屋と思えばなんら不満はなく、立派な山小屋である。 -
温泉で使うタオルはサービスでもらえる。石鹸、シャンプー、歯ブラシなどはなし。必要なら持参しなければならない。
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イチオシ
食事は畳敷きの大部屋で宿泊者全員で揃っていただく。朱塗りのお膳でのサービスが、昭和のレトロ風である。物心がついたばかりの頃の実家での食事が思い出される。(こんなことを書くと歳がバレるが・・・)
夕食の時間は4:30と早い。時間になると、太鼓をたたいて宿泊者に知らせる。10年ほど前までは自家発電はなく、まさしくランプの宿だった。そのため、明るいうちに夕食を済ませてしまうというやり方が今でも残っているということらしい。自家発電を導入したのは、消防署の指導があったからだそうだ。ランプの方が風情があって面白いのだが、火事のリスク低減と宿の運営上の利便性を考えれば、やむをえないことなのだろう。 -
夕食のメニュー。歩いてしか来れない山奥なので、当然、ご馳走のもてなしは期待してはいけない。
宿のスタッフに食材はどうやって運んでいるのか聞いてみた。一人20〜30kgの荷物にして、毎日従業員が手分けして運んでいるのだそうだ。
今でこそ、こうして質素ながらも食事が提供されるが、以前は宿泊客みずから米を持参していたそうだ。まるで、江戸時代の木賃宿! -
温泉は内湯と露天風呂があり、どちらも混浴。ただし、露天風呂は午後3時〜5時は女性専用、内湯には別に女性専用の風呂がある。
露天風呂は、旅館建屋から100mほど離れた高台にある。こんな山道を登って露天風呂に行く。 -
混浴の露天風呂。熱めの湯(奥)とぬるめの湯(手前)に仕切られている。囲いなど一切なく、開放的で野趣あふれる露天風呂
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簡素な脱衣小屋。カランやシャワーはないが、石鹸、シャンプーを持参すれば、湯船の脇で温泉を使って体や髪を洗うことはできる。しかし、だれもそんなことはしない。ひたすら温泉に浸かるだけ。
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北側には那須連山(大峠山と流石山)が眺められる。
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沈みゆく夕陽を眺めながら温泉に浸かる至福のひととき。
夜9時が消燈時間。事前に宿泊予約したときに、消燈後は真っ暗になるのでトイレにいくときに必要なので懐中電灯かヘッドランプを持参してくださいと言われていたが、実際には本館ではトイレと周辺の廊下は明かりが点けられたままだった。
しかし、夜、露天風呂に行くときには、絶対必要。露天風呂、脱衣所に明かりはないので、ヘッドランプを頭につけて風呂に浸かった。晴れていれば満天の星と月を見ながらの温泉としゃれ込むことを楽しみにしていたのだが、夜になると曇ってしまった。 -
朝食。
夕食と同様、太鼓の音で食事の準備ができたことを宿泊客に知らせ、全員揃っての朝食。時間は6:30と決められている。 -
翌朝7:30にチェックアウト。チェックアウトと言っても、宿泊費は前払いだし、部屋の鍵はないので、スタッフにあいさつして出るだけ。
宿を出てすぐ、宿に食料を届ける従業員のおじさんとすれ違う。今朝の峰の茶屋付近は、風がものすごいから気をつけるようにと忠告された。
今朝歩く峰の茶屋への登山道は、かつて茶臼岳の山腹で硫黄を採取、精錬していた時代、三斗小屋から硫黄鉱山に木材を運ぶ牛が歩いた道である。牛が通るくらいだから、昨日の姥ケ平下(沼原・三斗小屋分岐)〜沼原分岐の区間のルートよりずっと歩きやすいと予想された。 -
沼原分岐を過ぎて5分ほど歩くと水場がある。延命水と名付けられた湧き水である。
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無限谷の沢
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ここの沢には立派な橋がかけられている
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峰の茶屋まで500mのところにある避難小屋
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ひっそりと咲いているリンドウ
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森林限界を抜けると急に風が強くなってきた。帽子をかぶっていられない。
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イチオシ
この付近も紅葉の眺めが良いところだ。
隠居倉の山腹の紅葉も姥ケ平に負けていない。 -
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姥ケ平の紅葉もよく見える
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平均風速28m/秒の強風が吹きすさぶ峰の茶屋。
峰の茶屋手前100mほどの区間には鎖が設置されている。急勾配だからではなく、強風に吹き飛ばされないように掴まるためである。 -
三斗小屋方面に向かおうとするハイカーが風に押し戻されている。ストックで踏ん張り、岩に掴まって飛ばされるのを必死で堪えている。瞬間風速は28m/秒どころではないと思える。
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イチオシ
この強風で、三斗小屋方面に行くのを断念するハイカーがいる一方、強行突破しようとするハイカーたちもいる。
連日、登山者の事故、怪我が起きているというロープウェイ駅でのアナウンスは、昨日のような転倒事故だけでなく、この強風にあおられて滑落する事故もあるのかもしれない。 -
峰の茶屋跡の避難小屋。小屋が風除けになっているので、ここは安全である。
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朝日岳を左に見ながら、峠の茶屋駐車場に下っていく。
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振り返って峰の茶屋方面を望む。ここまで下れば風はだいぶ弱くなってきた。
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朝日岳の紅葉
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イチオシ
朝日岳から鬼面山に続く山肌はクマザサと紅葉が混在している。
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露天風呂で一緒だった70歳台後半の男性。あの強風の中を潜り抜け、しっかりした足取りで下っていく。自分がその歳になったとき、これだけの体力が残っているだろうか?
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東側から見上げる茶臼岳
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山ノ神神社という小さな祠のところまできた。峠の茶屋までもう少しである。
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神社前の狛犬
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峠の茶屋に到着
峠の茶屋 グルメ・レストラン
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峠の茶屋からの鬼面山の紅葉。この辺りは車で来て紅葉を眺めて帰る観光客も目につく。目の前は、一昨日車中泊した県営駐車場。
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冷たい濃厚な牛乳で喉を潤す。
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茶屋の愛犬。名前を聞くのを忘れた。
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峠の茶屋からさらに600mほど下ってロープウェイ駅駐車場に戻ったのが10時半。
那須岳の紅葉はちょうど見頃だった。スーパームーンの月光に照らされた紅葉を見たり、レスキュー隊のヘリによる救助活動を目の当たりにしたり、野趣あふれる秘湯の温泉を楽しんだり、ちょっと身の危険を感じた猛烈な風が吹きすさぶ山道歩きをしたりと、充実の那須紅葉登山であった。
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この旅行記へのコメント (2)
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- 銭形幸一さん 2015/10/06 18:54:42
- (°Д°)……イイですね!
- 度々お邪魔します。
煙草屋旅館、ノスタルジックな雰囲気が何とも言えません。
南アルプスの山小屋と比べれば極楽です。
露天風呂入れるのですから。
山のブログサイトでフォローしている方が日光澤温泉に宿泊され、絶対行ってみたいと思っていたのですが、煙草屋旅館も引けをとらないくらい素晴らしいです。
煙草屋旅館と日光澤温泉、宿泊したいです。
立山まで行かれなくとも、これだけの紅葉や温泉満喫なさったのですから大満足だったのではないでしょうか。
素晴らしい情報のご提供ありがとうございます。
- 玄白さん からの返信 2015/10/06 20:27:30
- RE: (°Д°)……イイですね!
- 銭形幸一さん、こんばんは!
重ねての書き込みありがとうございます。
今回の那須岳山行、久しぶりの山歩きでした。銭形さんにとっては、散歩コースのようなところではありますが・・・
紅葉のピークにドンピシャリでした。三斗小屋温泉は、以前から一度行ってみようと思っていたところですが、ようやく実現しました。
奥鬼怒温泉郷も気になっているところです。八丁の湯、加仁湯、日光沢温泉など。いずれかをベースにして、鬼怒沼まで行ってみたいと以前より思っていました。ワイルドな雰囲気を味わうのだったら、やっぱり日光沢温泉かな〜。
玄白もいずれは行こうと思っています。何しろ、同じ県内ですから。
玄白
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