2015/07/01 - 2015/07/01
42位(同エリア346件中)
Kちゃんさん
東北地方を襲った地震と津波から4年、その復興具合を定点観測的に訪ねる旅です。 震災直後の5月に出掛けてから今回で5回目。 復興具合の確認を主に南三陸(志津川)、気仙沼、陸前高田、の3カ所として4回目の旅です。 曇天の梅雨空のなかで一年ぶりに訪れた各地はそれぞれに変化を感じ取れるものでしたが、土木工事など目に見えて進捗のあったところと、仮設として売り出したものの、その後の行政方針の変化や訪ねる人の興味が薄れたのか寂しく閑散と映るところ、など様々です。 志津川の旧防災センターは丁度訪れた日の前日に「とりあえず県有化し保存」との報道があったばかりですが、周囲の嵩上げ工事は一帯の様相を変え、もはや嵩上げされた土砂の中にポツンと残るだけでしたし、逆に陸前高田の県立高田高校は多くの市民が避難をして命を救った高台のグラウンド傍らに真新しい校舎が完成し授業を開始しているという嬉しい変化もありました。 野次馬的に始めたこの訪問ですが、出来るものならばもう何回か続け最終的な結果はともかくも少なくとも「仮設からこうなりました」という人の営みのいくつかが観られるようにしたいと思います。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円 - 3万円
- 交通手段
- レンタカー 新幹線
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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今回の旅は前夜宿泊した仙台駅近くのこのホテルから始まります。
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梅雨のなか、あいにくの曇天ですが仙台は街中に緑が多く綺麗な街です。
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JR駅レンタカーで車を借りて出掛けますが、今回は昨年秋に福島で借り燃費の良さに驚いた「ハイブリッド車」を予約してあります。 一般的な小型車クラス料金にプラス¥1000ですが、300km近く走る今回の旅ではこの差額分を上回る高燃費に期待です。 なお、レンタカー事務所は仙台駅構内の工事に伴い駅前から少し離れた場所に移っていました。
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さて、駅周辺から高速を目指し西へ走りますが、途中楽天イーグルスの本拠地「コボスタ」前を通ります。
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コボスタ前を通ったのは良いのですが、もう4回目ということで、うろ覚えの方向感覚で走ったのが祟り高速インターまでだいぶ回り道をしてしまいました。 仙台東インターから高速道路(仙台東道路)に入ります。
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インターからは一旦北上し、三陸自動車道を目指します。
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仙台港から利府JKまでの区間は昨年走った時と比べて明らかに道が荒れておりガタガタです。 これは後で出てきますが、道中で明らかにダンプカーの姿が多く見られることから、この区間も本格的に始まった復旧工事用の車両が大幅に増加したのかと思います。
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逆に利府から松島辺りの区間は増設された独立した下り車線を通るため非常にスムーズで快適なドライブです。 仙台を出発してここまでまだ僅かですが高速に乗って以降の燃費は上向きで、メーターの燃費計はここまで平均33km/lを表示していますね。 以前に借りたデ○オではせいぜい20km/l超えくらいの表示だったと思います。
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鳴瀬奥松島の料金所を通ると、その先は無料区間となります。
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石巻周辺の三陸自動車道は以前工事中。 増設車線はすでに舗装工事に入っていますので間もなく供用されるのでしょうか? 右は石巻赤十字病院です。
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桃生津山ICで三陸自動車道を降りR45へと向かいます。
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桃生津山ICでの燃費表示です。 仙台駅から72.9km、平均燃費はなんと50km/lを示しています。 本当でしょうか? なお、このときの燃費表示が今日の最高値であとは一般国道を走るにつれ次第に落ちていきます。
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国道45号線を気仙沼方向に向かいます。
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途中の道の駅 津山。 平日で人影はまばらですが緑が多く建物も木の香りを演出する道の駅です。
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陸前横山駅です。 内陸にあるこのあたりでは津波による直接の被害はありませんが、気仙沼線の運行停止により使われていません。 封鎖されたホームへの階段や当時のまま残されている時刻表が寂しい風景を描いています。
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海岸へ出る直前の陸前戸倉駅は傍らにBRT駅が設けられています。 近くに置かれた車はBRTを使って通勤や他の用に出掛けた人達のものでしょうね。 賛否別れるBRTの運行ですが徐々に生活に溶け込んでいるようです。
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今は電車の通らない気仙沼線ですが、軌道は外されBRT専用道として舗装整備されています。
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志津川湾に浮かぶ養殖イカダは更に数を増していました。 海の上の復興はだいぶ進んでいる印象です。
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志津川へ至る直前に位置する「ホテル観洋」は震災直後から貴重な宿泊施設でしたが、最近は大量の送迎バスを用意して賑わっているようです。
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志津川へ入るところで昨年との大きな違いに気がつきます。 街の入り口のガソリンスタンドのところで右折し(既に解体された)志津川病院の前を通っていた国道45号線が、今では直進するように指示されています。 従来の右折する道路は「→漁港」となっていますが、強引に右折しますと震災後かろずっと残される高野会館の建物の廻りはうずたかく積まれた土砂が目に入り、地区の嵩上げ工事がだいぶ進んだ様子に驚かされます。
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道路の周囲には重機が立ち並び、土砂を運び込むダンプカーが行き交う中を進みますが、もはやこの道路から防災対策庁舎跡へはアクセス出来ません。
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一部には、このように壊れた水門がそのまま残っていたりましますが、
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昨年までガレキを片づけたあとの更地だった箇所は防潮堤の工事や嵩上げ工事が急ピッチで進みます。
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嵩上げ工事もこの1年間で驚くほど進んでいて、嵩上げの終わった土砂の高さは防災対策庁舎とほぼ同じか少し高い位まで積み上がっていますので15m程だと思います。 左の白い建物は津波の時に上階に多くの人が逃げ込み助かった「高野会館」。 この建物もオーナーは保存を画策しているようですが、周囲の嵩上げとどう対応するかは判りません。
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防災対策庁舎付近のアップです。
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嵩上げされた部分と以前の高さ部分を通る道路。 嵩上げ工事の様子が判りますか?
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昨年の同じ場所です。 この一年の特に大きな変化が良く判ります。
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2年前に同じ場所から移した風景です。 嵩上げの様子が判るでしょうか?
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上の山緑地公園から海の方向を臨みます。 嵩上げされた土地の高さの様子が判るでしょうか? もう上の山緑地とほぼ同じ高さになっています。
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同じく上の山緑地公園から海の方向を臨みます。 手前は迂回するように移設された国道45号線です。 土色の部分は広大な嵩上げされた台地です。
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上の山緑地にある神社は何事もなかったように変わらぬ風景です。
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神社隣の志津川保育園。 小さな子供達の元気な声が聞こえて来ますが、おそらくのこの多くの子供達は震災後に生まれた子供達なのでしょう。 たぶんこの上の山緑地公園は20m前後の標高があり、津波もここまでは届かなかったようです。
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有名な防災対策庁舎跡です。 保存か解体かで論議されていたこの建物は「県がしばらく預かる」という方針が決まり暫定的に震災遺構として保存されることが決まりました。 御覧のように現在は周囲の嵩上げ工事が取り囲まれるように進んでおり、以前のように観光バスが停められていたりと気易く立ち寄れるようにはなっていません。 少なくとも公式には車でのアクセスは出来ないようで、丁度「保存」が決まったためか取材用の写真撮りの記者がいる限りで様子は大きく変わっています。
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一年前の防災対策庁舎跡。 上の写真とは反対から写していますが周囲の変化は判ると思います。
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志津川を出て気仙沼に向かいます。 昨年に比べ国道は行き交うダンプカーの数が格段に増えた気がします。
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特に志津川−気仙沼間は、嵩上げ工事用、山間高台の宅地造成用、三陸自動車道建設用、と大きな3つのプロジェクトが平行して本格稼働したためか特にダンプの姿が目立ち、このように国道から土砂の採取現場などへの取り付け道路交差点が至る所に設置されていますので交通整理員が居ても渋滞の元となっています。
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復興ではなく「福幸」と名付けられた歌津付近の仮設商店街。 訪れる観光客向けばかりでなく、地元民の集う場所としても移動郵便局や移動銀行が開かれる場所として使われています。
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気仙沼市内に入っていきます。 気仙沼はだいぶ嵩上げ工事が進んだようですが、その高さは志津川やこの後紹介する陸前高田とは大きく異なりせいぜい3m〜4mくらいの低いものです。 いくら気仙沼を襲った津波の高さが低めだったとはいえ、こんなもので良いのでしょうか? また海岸近くの嵩上げさえ行っていない地区には多くの水産関連施設や建物が既に新築されています。 一定の都市計画の中で行われている事とは思いますが矛盾を感じざるを得ません。
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漁港付近に来ました。 観光水産販売施設は昨年よりは停まっている車も増えました。
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地盤沈下してしまった埠頭も嵩上げ工事が完了しています。 丁度季節でカツオ船が多く泊まっていました。
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フェリー埠頭そばの高台にあった気仙沼女子校は昨年春に閉校となりましたが、今年訪れてみると特徴的な校舎は取り壊しの真っ最中で港からの景色も大きく変わってしまいました。
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撮影した角度は少し異なりますが、これは震災直後6月のものです。 フェリー埠頭を挟んで向こう側の高台にに特徴的な気仙沼女子校の校舎が見え、「あそこは大丈夫だったんだな」と思った記憶があります。
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これは昨年の写真。 この後紹介するものも含めてフェリー埠頭廻りの景色は大きく変わっています。
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南町辺りへ入っていきます。 銀行や商業施設の大きな建物は壊され更地となったままです。
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一頃、仮店舗的にポツポツと開いていた店も多くは閉じてしまったようで寂しい風景に逆戻りです。 目立つのは夜の店の看板ばかり。 こういう店はカツオ船の入港で活気づいてるのでしょう。
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いち早く復興商店街として紹介された「南町紫商店街」も人影はほとんど見られなくなりました。 ブームが去り他県からの観光客が遠のいたのか、新たな都市計画などで先の見通しが立たなくなったのかは判りませんが、とにかく南町辺り全体が沈んでしまっているのが今回の印象です。
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大島へのフェリー乗り場付近もかつての立体駐車場は取り壊され桟橋付近も柵で立ち入り禁止となっているエリアも増えました。 後方に見える「男山酒造」の壊れた社屋はそのまま放置されています。
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アングルは少し違いますが一年前の同じ場所です。
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鹿折から陸前高田方面へ向かいます。 打ち上げられていたカツオ漁船のあったあたりですが、道は整備されましたが臨時営業していたコンビニも無くなってしまい生活感はありません。 道路の右側は土砂で嵩上げが進んでいますが、せいぜい3m程の高さで、3.11のような津波でどれほどの高価が見込まれるかはわかりません。
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一昨年の同じ場所。打ち上げられた漁船がまだ撤去される前です。
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気仙川を渡り陸前高田に入ります。
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陸前高田に入ると昨年から始められた嵩上げ工事のための巨大なコンベア設備に目を奪われます。
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巨大コンベアは一本松のあたりで気仙川を越え山を切り崩した大量の土砂を街へ運びます。
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コンベアは中継点から枝分かれしそれぞれの地域に土砂を運びます。
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これは土砂の運び込みの終わった場所。 高さは13mから15m近くありそうです。 風景が全く変わってしまいましたが、この辺りは陸前高田駅からやや東側のはずです。
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ここまで景色が変わってしまうと外来者には細かい場所は良く判りませんが、ほぼ同じ場所の昨年の風景です。 もうこの踏切もどこへ埋もれてしまったか判りません。
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巨大コンベアと嵩上げの様子が判るでしょうか? とにかく大量の土砂と街全体を13m−15m嵩上げしようという壮大な計画です。
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遠景で良く判らないと思いますが壮大な工事です。 中央付近に小さく写るのは次の写真に紹介するビルです。 南三陸、気仙沼、と見てきましたが陸前高田の嵩上げ工事は規模も方法も全く異なるもので、これをダンプ1台1台で土砂を運んでいたら何十年経っても完成できるものではありません。
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この1年間であの嵩上げ土砂に埋まってしまった地区にも昨年はまだ立ち入りが出来ました。 この取り壊さずに残っていたビルは前の写真に小さく写っていますが、嵩上げされた土砂の規模が判るでしょうか?
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そして今回の訪問での嬉しい発見がこれです。 津波で大被害を受けた高田高等学校は間借りでの授業を強いられてきましたが、念願の新校舎が完成しこの4月から生徒が戻ってきていたのです。
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津波に襲われたときに多くの住民が避難先として逃げ込み命を救った旧校舎裏山のグラウンドにはまだ仮設住宅が並び被災者の生活が続きますが、その傍らに建つ新校舎は新しい陸前高田の象徴にも見えます。
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新校舎と同時に整備された中腹にあるテニスコートからは嵩上げの進む市街地が一望です。
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もう3年前、被災から1年経った時の高田高校校舎です。 仮設住宅のあるグラウンドはこの裏山に位置しています。 この辺りは既に嵩上げが進行中で景色が大きく変わっています。
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以前の市街地での街の営みは大きくかわってしまいましたが、嵩上げ工事の進む国道沿いに新たな施設がオープンしていました。 「一本松茶屋」、そう一本松を訪れる人向けの駐車場とともに整備されたと思います。 土産物店と若干の飲食店が入っています。 やっと一本松へのアクセスが確保されたとはいえ、ここからでもほこりだらけの道を徒歩で15分ほど掛かります。
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お昼を頂きに店に入ります。 お決まりの芸能人サインが掲げられてますね。
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うどんを頂きました。 コーヒー付きで¥700。 仮設の飲食店以上の物ではありませんが地元で何か消費することが大切ですね。
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隣接の土産物店です。 地元の物産品を中心に商品が並んでいます。
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そこで「マスカットサイダー」を買ってみました。 サイダーと名乗るだけ有り結構クラシックな味でした。
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今回の訪問で気が付いた変化は国道を走る大量のダンプカーと、このような復興工事に携わる人向けの簡易宿舎の増加です。 こういうバンガロー風のものや仮設2階建てのものなど様々ですが随所でみられました。
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これも仮設宿舎ですね。 こちらはだいぶ規模が大きいものです。
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今回は来た道をそのまま仙台に戻ります。
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仙台市内へ入りレンタカー返却のため給油しますが、今回は315.9km走り燃費表示は42km/Lとなっていました。 給油して実際は40kmを少し割る程度でしたが、やはりハイブリッドは低燃費です。
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これは昨年借りた車を返却する際のものですが、ほぼ同じルートを辿った1300cc車で18.6km/Lしか記録出来ませんでしたので、これくらいの距離を走るならばハイブリッド車とのレンタル代の差額¥1000は充分取り戻せます。
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夕方の仙台駅コンコースです。 人と土産物店が溢れ、復興地域と大きく違う風景を感じます。
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