2013/12/04 - 2013/12/04
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junemayさん
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浜名湖は何度か行ったことがあるけれど、連れ合いの第二の故郷である浜松の街は知らない。姫街道、天竜、奥浜名、掛川も歩いてみたいと思っていたところ、たまたまオンラインで見つけたホテルが3連泊取れそうな塩梅。新幹線なら東京から1時間だけれど、なんだかそれでは旅気分が出ないので、あえて渋谷からバスで出発。思い立ってからわずか1週間余りで実現の運びとなった旅でした。
12月3日(火)東京→浜松(復興記念館、浜松城、犀ヶ崖資料館、蜆塚古墳)
12月4日(水)浜松→奥山方広寺→神宮寺→龍潭寺→気賀→長楽寺→浜松
12月5日(木)浜松→磐田→掛川→浜松
12月6日(金)浜松→西鹿島→天竜二俣→秋野不矩美術館→二股城址→鳥羽山公園→西鹿島→浜松→東京
翌朝は、浜松駅前から1時間バスに揺られ、やってきました奥山方広寺。15年ほど前の夏の暑い盛りに訪れたことがあるので2回目なのですが、五百羅漢以外はあまり記憶にありません。市町村合併に伴い、この辺りも現在は浜松市内ですが、かつては引佐町と言われていた地域です。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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バスを降りて、そのまま進行方向に歩いていくと、「奥山半僧坊大権現」と書かれた看板が目に付きました。
大本山方広寺という字の4倍はありそうな文字で書かれ、目立ちまくっています。「半僧坊大権現」とは一体何? 誰? というのが、最初に浮かんだ疑問です。まあ、もう少し行ったらわかるだろうと、相変わらずお気楽な訪問です。 -
全く期待していなかった真っ赤に染まったモミジも出迎えてくれました。あっ 小高い丘の上に三重塔が見えますね。
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看板をくぐって、参道を進むと左手に大きな油揚げを売っているお店がありました。幅11?、縦20? とありますから、普通の油揚げのざっと4倍の大きさはあるのではないかしら。明治14年(1881年)の方広寺大火の直後、初代万次郎が油揚げ職人二人と、その焼跡に創設。それ以来、伝統を守り続けて手作りで作られている奥山名物なのだそうです。
大好物なんですが・・・今日1日巨大油揚げを持ち歩くわけにもいかず、涙をのんで断念! -
見えてきたのが総門。通称「黒門」。方広寺との最初の出会いになります。門に書かれている文字は、右から「地自有霊」(ちおのずかられいあり)と読むんですって。
この先にチケット売り場があります。 -
道をなおも進むと・・・
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また門がありました。こちらは山門で、通称「赤門」・・・ って、肝心の門がモミジで隠れてしまいました。いやいや、モミジと一体化している門です。美しいです。
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石の文化に乏しいわが国ですが、戸外で一番見かける石は塔、墓にこの仏様、お地蔵様たち。奥山方広寺にやってきた目的の一つは、この五百羅漢様たちとの再会です。
最近の作と思われるものもありましたが、私の好みは自然と一体化しつつある年代もの。このお顔、このしぐさ、貴方がたに会いにやってきましたよ。 -
方広寺には十景があるそうで、これはその三 「羊腸石」。肝心の「羊腸石」がどれなのかよくわかりませんでした。それよりも、手前のお地蔵様の柔和なお顔が印象的。
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左右のお二人、お揃いの帽子? いや頭巾? がよくお似合いで・・・
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石に含まれている金属等の成分によっては、変色が進んでいるものもありました。
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なんて優しいお顔でしょう!
誰かが置いたのかしら?左腕に抱かれたどんぐり! -
上っていくのがためらわれるような急な階段を横目に見ながら、なおも進んでいくと・・・
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わぁ! 急にこんなに沢山の羅漢様が集まっている場所に出ました。中央の赤い頭巾のお二人が目立ちますな!
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ここはお寺のはずですが、突如現れたのは赤い鳥居、そして「奥山大権現」の文字が・・・フムフム・・・
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やあ、どこかでお見かけしましたね! というお顔が沢山あります。
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こちらは、少々厳しい顔つきのお二人。「修行中ですぞ。口を慎め! 」と言われそう・・・
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苔むした木々が彩を添えます。
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失礼ながら・・・本日のファニーフェースNo.1です。
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だいぶ上って参りました。気持ちの良い散策道です。
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左手に見えてきたのは、椎河大龍王堂。方広寺を開いた後醍醐天皇の皇子 無文元選禅師(むもんげんせんぜんじ)が遠江の国鹿島を行脚中、増水した川に阻まれ難儀していた時、現れた龍神がその身を橋として無文元選禅師を渡した という言い伝えから、その龍神を祀ったお堂なのだそうです。
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鹿島の川と聞いて、思い浮かんだのが天竜川(4日目に訪問予定です)。天竜川の「竜」との因果関係は如何に?
シンメトリーを破っているこの石段の傾き加減が実に憎いです。 -
見上げれば、谷にかかる少々風変わりな橋 亀背橋が近づいてきました。このような橋は、はじめてお目にかかります。こちらも紅葉の真っ最中。
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谷の向かい側には、左から大本堂、鐘楼、寺務所のある建物と続いています。
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亀背橋は後で渡るとして、まずは三重塔目指してそのまま道なりに行きます。思ったよりずっと深い谷です。ここにもモミジが群生していました。
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参拝道を突き当りまで進んで、左手の道を上っていくと、三重塔の前に出ます。寺伝によると、永禄年間(1558年〜)に塔の建立に着手したが、完成は宝暦年間(1751年〜)とあります。油揚げやさんのところでも書いた明治14年(1881年)方広寺大火の時に焼失。
方広寺はこの大火で全山ほぼ焼失したため、境内の建物はほぼ全てその後の再建になるようです。 -
塔は「見上げるものです」と、長野は別所温泉のひときわ美しい安楽寺の三重塔を「見下ろしていた」時に言われたことがあります。
尖っているものを見上げる文化は古今東西変わらないようです。 -
さて、本堂の方に戻りましょう。途中国の重要文化財である小さな社 七尊菩薩堂があったはずなのですが、どうやら見逃してしまったようです。
亀背橋は、先ほどと反対側から写すと、さらに美しい! -
こちらは、開山堂の勅使門。勅使門というくらいですから、下々の者には通る資格がありません。開山堂は、勿論寺の開山 無文元選禅師を祀ったお堂。開山さまの得を慕って、この寺で修行に励む僧は、室町時代(1370〜1390年代頃)当時、常時500人はいたそうで、境内の五百羅漢はそれを象徴するものなのだそうです(寺の説明書きより)。
無文元選禅師は元中7年(1390年)、この寺内で逝去(示寂)されました。 -
さあ、それではいよいよ半僧坊大権現が祀られている半僧坊真殿へ。半僧坊大権現とは、方広寺の鎮守様だそうです。鎮守様って神様ですよね? 日本では神仏混合が進むにつれ、寺院保護のための鎮守様が祀られるようになったといういわれがあります。ちょっと調べてみましょう。
鎮守神はその土地に住む神(地主神)だと考えられることが多いが、元をたどれば、鎮守神は、地主神を押さえ込み、服従させるために新たに祀られた神である。つまり、人間がある土地に人工物を造営したとき、その土地に宿る神霊が人間や造営物に対して危害を加える祟りを起こさせないように、その地主神よりも霊威の強い神を新たに勧請して祀ったのである。そして、地主神は鎮守神に従順に服属し、その活動を守護・補佐することが期待された(ときには地主神が抵抗し祟りを起こすこともあった) ウィキペディアより転記。 -
半僧坊大権現は、無文元選禅師が留学先の中国から船で帰国する際、東シナ海で台風に会い、往生しているところに突然現れ、船頭を指揮し、水夫を励まして無事博多の港に導いたというから、まさにスーパーマン。
彼は、その後も禅師の前に現れ、「弟子にしていただきたい」と乞うたとか。その時、禅師が、「汝はそのままで半ば僧である」と言ったことが、半僧坊という名前の由来らしいです。 -
無文元選禅師が亡くなると、半僧坊は、「私はこの山、この寺、世の人々を守る」と言い終えて姿を消したそうな。
それ以来、半僧坊は、苦しみや災難を除く権現様として寺の鎮守様となり、広く庶民の信仰を集めているのだそうです。明治14年の大火の際に、半僧坊真殿のみがその難を逃れたことが世に知られると、さらに信仰が広まったのだとか。焼け残った半僧坊真殿も結局その後立て直しているんですけれどね。
これでわかりましたよ。門前通りの看板の文字の大きさが際立っていた訳が。 -
半僧坊真殿登り口の長い軒下にある又虹梁の龍の彫刻が見事です。
作者は、左甚五郎の孫弟子にあたる後藤岩五郎。こちらが昇り龍。 -
彫刻は二体あって、こちらが降り龍。どちらも一刀彫です。
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お堂の内部にあった烏天狗像。
高尾山などでも見られる烏天狗は、半僧坊のお供とされています。天狗を見て思うに、半僧坊は西洋人、あるいはアフリカ人だったのではないかなあ・・・
東洋人が初めて他の人種の人を見た後、想像がどんどん膨らんでいって、天狗に至った経緯はおおむね理解できますよね。 -
半僧坊の中に入るには、ぐるりと回って、大本堂の先の建物に行かねばなりません。
大本堂に張り出した玄関上の瓦屋根には、ちょっとわかりにくいけれど、龍やら虎やら色々な動物たちがいましたよ。 -
大本堂は明治14年の大火により焼失後、明治38年(1905年)から大正7年(1916年)にかけて再建されました。
間口が32m、奥行が27mと言いますから、とにかくその大きさには驚かされます。中央には、山岡鉄舟揮毫の、「深奥山」と書かれた額が目立っています。 -
さてと、入場しました。
いきなりですが、特別拝観。中央は、市川左團次ゆかりの達磨座像です。明治時代、市川左團次が半僧坊を題材にした「浜松城記録聞書」で主役を務めたことの縁により、この達磨像が寺に寄贈されたのだそうです。 -
味わいのあるとても良いお顔をしていらっしゃいます。
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広い大本堂を抜けて・・・
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今が盛りのモミジの裏庭を眺めます。暗いからわかりにくいけれど、2本立っている灯篭より右の部分には、沢山の羅漢様がいらっしゃいます。後ほど見に行きましょう。
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ここはどこだったかなあ? ぶら下がっている蛍光灯がちょと無粋ですなあ。
半僧坊真殿は撮影禁止でしたので、写真はありません。半僧坊大権現さまのお姿も、良く見えませんでした。全体的に暗すぎ! -
再度、羅漢様巡りに熱中します。
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落ち着いて事を運べば、自ずから道は開けるぞ〜い・・・
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いつでも笑みは忘れずに・・・
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ほおら! こんなに沢山!
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まるでダンスを踊っているようなお二人。それをにこやかに見守る右端の方・・・
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裏庭から階段を上っていくと、見晴らしの良い場所に出ました。伽藍の立ち並ぶ先、森の彼方に三重塔が頭を見せています。
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アップでもう1枚。秋の風情です。
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参観を終えて、出てきたところ。そろそろお暇しましょう。
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大本殿前の羅漢様達は、割と新しいものが多そうです。
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帰りは行とは別の道を通っていきます。大本堂の前の道をそのまままっすぐに進みます。
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まだ緑の葉のモミジがありました。これは赤くならない品種かしら?枝の先の方だけ、うっすらと黄がかっていますね。
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ひときわ高い、立派な杉の木は、「半僧杉」と呼ばれています。半僧坊の化身なんですって。まさか!
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道の両側には、再び羅漢様達がお出ましです。性懲りなく撮りましたので、お付き合いください。
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私ぁ、うっとり聞き惚れておるんじゃよ・・・
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この辺りが大集合地帯です。注目は、奥に見えるアーチ型の橋の上。
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方広寺の不思議のひとつで、なんでも、通るたびに、橋の上にある羅漢様の数が違うんですって。方広寺にいらしたときには、写真を撮って、是非この写真と比べてみてくださいね。
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右端の羅漢様は、何をしているところでしょうか?手つきが気になります。
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はい。これが最後の写真です。言葉では言い表されない、心の平安を得られた思いです。羅漢様達ありがとうございます。ごきげんよう。
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赤門が見えてきました。下りは早い早い。2時間以上かけてゆっくりと回ることが出来て良かったです。夏の暑い季節とは、全く異なった印象で、森林浴も十分楽しむことが出来ましたよ。
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今日は水曜日。残念ながら水曜日は地元の商店街の休日に当たっているそうで、名物大あんまきやさんもお休み。食べ損なってしまいました。食べられないと知ると、どんなお菓子なのか大変気になります。あんこを芯に、カステラが海苔巻のように巻いてあるのかなあ・・・
ちょうどこのお店の前辺りにバス停があります。この後は、神宮寺までバスに乗り、そこから歩いて、小堀遠州作の庭がある龍潭寺を目指します。
続きは、遠州せんちめんたるじゃーにー 曳馬野の風を感じて (3)龍潭寺でどうぞ。
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この旅行記へのコメント (2)
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- たぽじいさん 2016/03/19 14:59:15
- 感謝します
- junemayさま
初めてコメントさせていただきます。
金沢、能登と素晴らしい景色、建物を堪能させていただきました。
そして、浜松。私は特に変わった橋と、三重塔、五重塔がすきでして、そのどちらも紹介していただき嬉しくてたまりません。
浜松は近い所なのに全く知りませんでした。是非、近いうちにこの目で見たいと思っております。
それにしてもいろんな分野の事をご存じで、博覧強記、歩く辞書と評しても嘘ではありませんね。
じっくりと旅行記を楽しまさせていただきます。
有難うございました。
- junemayさん からの返信 2016/03/19 19:13:40
- RE: 感謝します
- たぼじいさんさま
junemayです。
ご訪問頂、沢山のいいね!をいただき、ありがとうございました。
更に、勿体ないようなコメントまでいただき、恐縮しております。
私は博学でもなんでもなく、旅先で気になったものを見ると、カメラに撮って、帰ってから一生懸命調べるのです。そのままにしているとすぐに忘れるし、調べても書いておかないとすぐに忘却の彼方となってしまうので、皆様に恥ずかしながらの旅行記を公開させていただいております。
調べるのに時間がかかるため、亀のように鈍い歩みですが、時々覗いて頂ければ大変嬉しいです。日本国内の旅も、まだまだ発表出来ていないものが多くて、少々焦り気味です。
私は寺社仏閣教会、変わった建物、自然の中にある人工物が大好きです。この頃ようやく分かってきました。特に人間が神や自然を敬い、怖れていた時代のものがたまらなく愛おしいです。今後ともよろしくお願いいたします。
junemay
> junemayさま
>
> 初めてコメントさせていただきます。
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> 金沢、能登と素晴らしい景色、建物を堪能させていただきました。
>
> そして、浜松。私は特に変わった橋と、三重塔、五重塔がすきでして、そのどちらも紹介していただき嬉しくてたまりません。
>
> 浜松は近い所なのに全く知りませんでした。是非、近いうちにこの目で見たいと思っております。
>
> それにしてもいろんな分野の事をご存じで、博覧強記、歩く辞書と評しても嘘ではありませんね。
>
> じっくりと旅行記を楽しまさせていただきます。
>
> 有難うございました。
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