2015/04/30 - 2015/05/01
144位(同エリア562件中)
ハンクさん
ゴールデンウイークにハワイ行きの空席待ちを確保することができず、京都へ行くことにした。言い訳臭いが、この時期京都では特別公開している寺社があり、小生としては長年にわたる希望が叶った。今回はこれまで訪れたことのない山科地区の毘沙門堂と本圀寺を訪ねることにした。しかし寺社めぐりだけでは少々物足りないため、家族の希望でコンサートガイドを見て、翌日の西宮市の兵庫県立文化芸術文化センターでヴィヴァルディ「四季」の演奏会を見つけたので出かけることにした。
まず山科という地は、東山により京都盆地と隔てられている。昔から交通の要衝で、東山を越える日ノ岡峠、大津宿へ抜ける逢坂関(蝉丸法師の歌で名高い)が東海道の要所で、南へ抜ける奈良街道、東山を日ノ岡の南で越える渋谷街道など数多くの街道がつながっている。しかし、今回のように特別公開という機会でもないと、なかなか訪れることはない所である。
名神高速道路の京都東インターは山科区の中にあり、JR山科駅を通り過ぎて、毘沙門堂までは数分の距離だ。毘沙門堂は天台宗京都五門跡の一つで、毘沙門堂の前身の出雲寺は文武天皇の勅願により、703年行基が開いたという。その後、平安時代末期には出雲寺は荒廃していたが、鎌倉時代初期、平親範が平家ゆかりの3つの寺院を合併する形で再興した。江戸時代の17世紀初頭に天台宗の僧で徳川家康とも関係の深かった天海によって復興が開始された。天海没後はその弟子の公海が引き継ぎ、1665年に完成した。以後、門跡寺院(皇族・貴族が住持を務める格式の高い寺院の称)となり、「毘沙門堂門跡」と称されるようになった。なお、毘沙門堂霊殿内陣障壁画を特別公開、入場料は800円、写真撮影はもちろんできないが、見ごたえは十分。
一方の本圀寺は立派な名前だ。この寺は、戦国の世に信長、秀吉、家康などにより様々に「活用」され、重要な役割を果たしてきた。日蓮宗(法華宗)の宗祖・日蓮が、1253年、鎌倉松葉ヶ谷に建立した法華堂が本国寺(後の本圀寺)の起源で、1345年に本国寺は鎌倉から京都六条堀川へ移転する。1568年、本国寺は織田信長の支持によって再上洛を果たした足利義昭の仮居所(六条御所)となる。その後、信長は本国寺を解体して二条城建築に用いることを決め、本国寺は取り壊され、それぞれの建築物は二条城に運ばれて再組み立てされた。
1585年、豊臣秀吉により山城国菱川村に移転させられたが、江戸時代に入った1615年、徳川家康は本国寺の現在地に寺領を安堵した。徳川光圀は当寺にて生母の追善供養を行い、1685年、光圀から圀の一字を下され、本圀寺と改称したという。今回公開されたのは源平合戦図、樹木等の描写から絵画としての技法など優れた作品で狩野派系統の絵師の作。また、境内にある日本最大の経蔵(重文)も特別公開された。入場料は同じく800円で、見ごたえは十分。
この日は京都市内のクラウンプラザで一泊、車は地下の駐車場に停めさせてもらって、久々に阪急電車に乗って梅田へ向かった。ここで少々ショッピングをした後、神戸線で西宮駅まで十数分で到着した。佐渡裕ご自慢の兵庫県立芸術文化センターに初めて入場した。ホールのキャパは2,300人ということで、ヨーロッパのホールと比較すると巨大である。この日はフランス人ヴァイオリニストのオリヴィエ・シャルリエのソロと、指揮者なしのPAC弦楽合奏で、前半はバッハのヴァイオリン協奏曲を2曲、後半にヴィヴァルディの「四季」が演奏された。佐渡裕の指揮の場合、いつもチケットは完売であるが、この日も残り数枚のチケットでステージに一番近い席を購入した。全席2,000円とリーズナブルな価格だ。
ヴィヴァルディの四季はイ・ムジチ合奏団の演奏をいつも聴いており、ライブでも、サンクトペテルブルクと日本で聴いたことがある。しかしこの楽団以外では意外と演奏会で聴く機会は少ない。小生はおこがましくもアマチュアの仲間たちと、この曲の抜粋は何度か演奏したが、生で聴くと極めて演奏難度の高い曲であり、日本であまり頻繁に演奏されないのも、故なきことではない。シャルリエのソロは流石であり、兵庫文化センターの弦楽合奏もまずは満足のいくもので、聴衆も盛り上がった。前半のバッハのヴァイオリン協奏曲も好感の持てる演奏だった。
欧米と比較して日本のオーケストラは、管楽器について体力的に劣るためのパワー不足は否めないとしても、弦楽器はいい水準にある。ソリストとして活躍する弦楽器奏者は数多い。強いて難を言えば、体の動きが少なく見た目の与える印象が弱いことだ。ベルリンフィルのように、とは言わないまでも、弓を目一杯使って体の動きを大きくして視覚的にも演出して欲しい、と思う。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.5
- ホテル
- 4.5
- グルメ
- 4.5
- ショッピング
- 4.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 家族旅行
- 一人あたり費用
- 1万円 - 3万円
- 交通手段
- 私鉄 自家用車 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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イチオシ
毘沙門堂の入り口は改装されたばかり
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極彩色の彫り物
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庭園に続く渡り廊下
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オリジナルの極彩色に改修された寺院
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毘沙門堂の庭園
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秋になると真っ赤になる紅葉であるが、新緑も悪くない
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心眼で紅葉する景色を想像する
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長寿の心得、人の世は山坂多い旅の道
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健康十訓、健康は嬉しい、美しい、素晴らしい
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天女の絵の写真を撮影
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毘沙門堂霊殿内陣障壁画を特別公開、入場料は800円
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寺の中に鳥居があるのは神仏混淆の名残り、赤と緑のコントラストが美しい
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車で駐車場に停車(無料)するとこの石段は登らないが、この山門の提灯を見逃すわけにはいかない
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毘沙門堂の本殿
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山門から見る本殿
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藤棚の藤の花も満開
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藤の花に昆虫が遊ぶ
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毘沙門堂門跡の建物
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本圀寺の入り口
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本圀寺の境内も広い
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黄金の鳥居が少々けばけばしい
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日本最大の経蔵(重要文化財)も特別公開
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日蓮大聖人像
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本圀寺の山門
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當麻寺特別公開は翌日からで入場できず
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當麻寺の狭い境内
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當麻寺特別公開の仏像の写真
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久々に阪急電車に乗る、ヨーロッパの駅のようなターミナル式の梅田駅
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兵庫県立芸術文化センターへのアプローチ、阪急西宮駅から5分
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兵庫県立芸術文化センターのファサード
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ブールデル作 「嵐の中のベートーヴェン」
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兵庫県立芸術文化センターのロビー
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兵庫県立芸術文化センターの大ホール、2,300人を収容
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バッハのヴァイオリン協奏曲演奏前
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