2014/10/03 - 2014/10/04
4位(同エリア27件中)
のまどさん
様々な人と出会い、自然と文化を体験するロマン派旅行記(?)第3弾です。
アラン諸島のイニシュイールから戻って、もう一つ外すことのできないモハーの断崖に行きました。大西洋の大海原に切り立ってそびえ立つ、太古の昔に形成された断崖は感動的です。
その一方、ドゥーリン村までの遊歩道ではこの旅最大のピンチを迎えます。色々な人の助けを借りて私自身無事だったことが何よりです。居心地の良いB&B、パブでの食事、それからドゥーリン洞窟と2泊の間にこの村を熟知することができました。
臨場感ある描写にするためやや長くなりますが、お付き合い下さい。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- ショッピング
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円 - 3万円
- 交通手段
- ヒッチハイク 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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-
ドゥーリンからモハーの断崖ビジターセンターまではちゃっかり送ってもらいました。
イニシュイール行きの船からアメリカ人姉妹の姉と妙にうまが合い、島ツアーと帰りの船でも一緒でした。姉妹のホストはリムリックの女性。車で来たと言うので、ワル性を封じて愛想を振りまくと目論み通り「モハーの断崖に行くなら乗せてってあげる」と。イェイ!ドゥーリンからビジターセンターまで8キロあるので助かりました。
別れ際アメリカ人姉と抱擁を交わし、「同行できて楽しかったわ」と。束の間の美しい旅の友情。知的で穏やかな三人でした。ありがとう。折鶴持ってきてお礼に渡せばよかった。
ビジターセンターにはモハーの断崖の成り立ちや生態が説明してあるのだと思いますが、ホステルから送迎の約束があるのでゆっくりできません。3Dの映画を上映していましたが、鳥の目線で撮っていて船酔いがぶり返しそうになったので1秒で退散。ドゥーリンまで歩きます。 -
イチオシ
左手方向南側から対岸を見ます。北側の崖の上にある塔はオブライアンの塔で、地元の貴族オブライアン氏が観光客誘致のために1835年に建てたと言われています。
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海の色はやはりブルーグリーンで向こうに先ほど訪れたイニシュイールが見えます。
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南東の方角に振り返るとなだらかな草原が広がっています。
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転落防止のために石板でフェンスが作ってありますが、既出の友人Snigelさん(←やはり脳内の話)によると前はなかったようです。
http://www.ikikou.com/archives/2703
ご覧の通りこのフェンスは簡単に乗り越えることができます。 -
目立つピンク色の服を着てスリルを味わっている人やら
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グループで写真を撮っている人、アドレナリンの分泌と身の安全を天秤に掛け間違っていると思います。
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極めつけはコイツら(←暴言御免)。
下のサイトによるとモハーの断崖で事故もしくは自殺で亡くなる人は毎年10-15人いるようです。
https://rmuinireland2013.wordpress.com/2013/05/14/death-with-a-beautiful-view/ -
モハーの断崖は約3億年前の石炭紀後期(という時代があったらしい)に形成されたようです。砂岩、シルト岩、頁(けつ)岩から成る地層は通常海面下で見られます。内陸の川から運ばれて堆積し、何百年も掛けて固まって岩壁になり、海と風に浸食されて今日の姿になったそうです。
出所↓
http://www.cliffsofmoher.ie/about-the-cliffs/geology/ -
イチオシ
逆光で撮りにくかったですが、これが一番まともです。
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引き続き歩いてオブライアンの塔に向かいます。
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大西洋。オブライアンの塔の北側は一番標高が高い地点で214メートルあります。
塔の辺りは風が強く、柵に近づかなくても十分怖くなりました。 -
前回の旅行記についてjijidarumaさんから興味深いコメントをいただいたので、アイルランドの海について書いてみたいと思います。
アイルランドの地図を見ると西側の海岸線が複雑に入り組んでいます。これは北大西洋海流が海岸に激しくぶつかるためです。南から運ばれるメキシコ暖流と北極海からの寒流と拮抗するため、年間の気温がほとんど4度から20度の間で推移するという特殊な気候を生み出しています。 -
イチオシ
アルマダの海戦ではスペイン船がアイルランド沖の航海に慣れておらずに大敗しました。この時1588年。コロンブスがアメリカ大陸に到達してから約100年経っていますが、ウィキペディアによるとスペインは海流についてあまり調査していなかったようです。
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ところでコロンブスはヨーロッパ人として初めてアメリカ大陸に到達したと学校で習ったと思いますが、実はそれよりも500年前にアイスランドのヴァイキングが大西洋を横断した記録が残っています。
更に遡って何と6世紀にアイルランドの聖ブレンダン(←また坊さん)が航海を成し遂げたという伝説があります。12世紀にどういう訳かオランダ語で『聖ブレンダンの旅行』と題する本が出版されたようですが、残念ながら正式な記録はなく、当時の航海技術では不可能だったという見方が強いです。 -
波が寄せる崖の上は雪が降っているような不思議な光景でした。波の花と言いましょうか、岸に打ち付ける波が泡となって舞い上がり、ご覧の通り草原に落ちていました。
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更に歩きましょう。ここにはまだ人がいました。
モハーの断崖遊歩道の地図は下記サイトからダウンロードできますが、何ら役には立ちません。
http://www.cliffsofmoher.ie/wp-content/uploads/coastal_walk/Cliffs%20of%20Moher%20Coastal.PDF -
イチオシ
オブライアンの塔、見納めです。沖に突き出ている島というか岩はブラノンモア(Branaunmore)と呼ばれ、高さは67メートルあります。もともとは岬の一部だったようですが浸食されて切り離されました。
モハーの断崖は映画『ハリーポッターと謎のプリンス』のロケに使われました。 -
野の花がけなげに咲いています。
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この頃はオズの魔法使いの歌なんかを歌える余裕があった。
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人気はまったくなくなり、徐々に道があやしくなってきました。左に進めと指すのはフェンスの中。
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ん?柵を越えろと。はい。
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更なる関門。どう越えるんだよ!
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で、心拍数高まりながら越えたらこれ。
「警告。これより先私有地につき、立ち入る者について地主は一切責任負わず。許可なき侵入は禁止!!」と。
そんな・・・ -
でも貼り紙の横にはしっかり道と道しるべがあるし。
牧場の中は湿地になっていました。
朝のイニシュイール行きの船で出会った日本人男性から遊歩道の過酷さを聞いていましたが、まさか自分にも同じ災いが降るとは。 -
気を付けていた足元。
ズボ、ズボボボ。ぬかるみにはまり、膝まで泥に浸かりました。
そして抜けない。焦る。恐怖で全身が震える中、なぜか『風の谷のナウシカ』でナウシカとアスベルが流砂に飲まれるシーンを思い出しました。 -
ゆっくりと体重移動しながら足の踏み場を確保し、私は腐海の底に落ちることはありませんでした。
お見苦しいですが、こんな風になりました。写真を見た知人から「大したことなさそう」などと言われましたが、靴下と靴の中が見事に泥に濡れて不快指数120%です。 -
心なしか牛にせせら笑われているような気がしました。
こんな時は酒井素樹さん風替え歌を口ずさみながら進みましょう。
のまどによる、となりのトトロ「さんぽ」の替え歌で、「かなりのドロと」「惨状」です。それではどうぞ。 -
♪歩こう歩こう私は強気
♪歩くの大好きどんどん行こう -
イチオシ
♪柵なし
(コワい) -
♪トンネル
(スゴい) -
♪草っぱら
-
♪一本橋に
(滑り落ちたら・・・) -
♪でこぼこ砂利道
(靴に入って痛い) -
♪有刺鉄線くぐって
(マジです) -
♪下り道
-
♪羊も牛も出ておいで
(↑写真、海なんですけど) -
♪競争しよう塔の向こうまで
(背後50メートルに4人組。会話することなく振り切りたい) -
(宿に着いたら)
♪見物人たくさん集まるかな
♪友達たくさん失うな -
と。
ドゥーリン城の塔。もはや感動なし。 -
ようやくドゥーリン・ホステルに到着。しかもレセプションは昨日と同じデーヴィッド。しめた。「湿地に足を献上した」と言うと、慣れた感じで裏に回るよう指示され、お湯の張った洗面器とブラシを渡される。
着替えて靴下と靴を洗い、カプチーノを飲むとまさに温泉にでも入ったような気分。きくとその日だけで私は二人目の犠牲者らしい。それよりも「君、朝アラン諸島行きの船を待っていたのを見たよ。よく乗れたねえ。」と感嘆の声。これぞ感覚のズレ。
ちなみに昨今観光協会宛に遊歩道についての苦情をメールで訴えました。 -
そうこうしているうちに本日宿泊のブラックベリー・ロッジからファミリーカーでお迎えが来ました。オーナーは建設事業の傍ら去年からB&Bを始めたところ大当たりだと。
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夜間の外出時に懐中電灯(スマホの機能で対応)が必要なこと以外、何にも文句ありません。B&Bは一人旅に打ってつけです。
名前になっているブラックベリーはそこらへんに自生しています。歩き疲れた時にぷいっと食べていました。(←お腹壊すぞ) -
ズボンを洗い、クロックスで出かけます。夜風が寒いですが靴がないよりましです。
オーナーに勧められたマックガンズに直行しました。マクガンズ バー
-
満杯の中カウンターに1つ席を見つけ、周囲にことわって着席します。まずはギネス。盛りだくさんの一日の疲れを労います。
ちょっと役に立つ(かもしれない)アイルランド英語③
クラック(craic)
楽しいことという意味です。パブで一杯やっているような状況は「I'm having craic.」と言います。「最近どう?」と尋ねる場合「Any craic?」と言いますが、これは親しい間柄の言い回しで外国人に使われることはないでしょう。 -
これこれ。アイルランドと言えばシチュー。柔らかく煮込んだ肉と野菜。絶品です。この日は食事に恵まれました。
客はほとんど地元の人のようです。隣の男性は写真を撮る私を奇異の目で見ていました。観光ってこういうものなんだよ。彼の知人らしき男性に席を譲って向かいのパブに移動します。 -
マックダーモット。B&Bのオーナー曰く、音楽はこっちの方がいいかもと。
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2杯目のギネスを飲みながら聞く民族音楽。正直に言ってアイルランドのこの種の音楽はわりとどれも似ています。でも昨夜のオコナーズの演奏家よりは気合が入っています。
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イエスはあなたを愛しているけど、他の人はろくでなしだと思っている。・・・知らなかった。
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翌日。
オーナーお手製のアイリッシュ・ブレクファースト。盛り付けがチャーミング。部屋数は少ないけど男手一つで切り盛りしているのはすごい。掃除は外注しているようですが。 -
オーナーの厚意で彼の両親が経営するバス停前のホステルに荷物を置かせてもらい、ドゥーリン洞窟まで車で送ってもらいました。多謝です。
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頬紅が濃かったせいか、血色が良いという謎の理由で学生割引1.5ユーロの恩恵を受けました。
ガイドに導かれて洞窟に入ります。しばらくはひたすら階段を下りました。 -
ヘルメット着用。一応左側が装着用、右側が使用済みとなっているので何らかのメンテはされているのかと思います。
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ダイナマイトを使うのは危険と判断されたため1950年代に手掘りで作業が進められたようです。当時の灯りはガス灯で、切れた時は大変だったようです。
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鍾乳石は地下水に溶けた石灰分が天井からつらら状に下がって再結晶したものです。初期の段階では写真のように細いです。
-
やがて長い年月を掛けて再結晶が進み、こちらは6000年以上掛かっています。
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イチオシ
圧巻はこちら。7.3メートル、世界で三番目の長さです。重さ5トンは世界一を誇ります。鍾乳石は根が生えた木のように天井とつながっているため、落ちてくる心配はないそうです。地震なくてよかったですね。
-
別の角度から。この長さに至るまで300万年を費やしているらしいです。左にある灰色の鍾乳石は短いものの、こちらの方が年数は長いようです。
-
さて、徒歩で2キロの道を返ります。
牛のまつげを見て思い出した。留守番のウワバミちゃん、今頃どうしているかな。 -
ホステルから表示では2キロとなっていたけど、もっと距離があるように思えました。迫りつつあるバスの時間に焦っているのか、履物がクロックスであるせいか。
-
荷物を預けてあるレインボーホステルまで無事に戻ってこられました。予定まで15分あるので、ワーホリで短期間働いている香港人女性に油を売ります。
私「最初に会ったとき香港人か台湾人かと思った」
香港人「そう!嬉しい。この国ではみんな私のこと東南アジア出身だと思うから」
私「フィリピン人の看護婦かって私もきかれるよ」
香港人「そう、その通り!」
そうなんです。
ヨーロッパ滞在を楽しんでねとエールを送り(←上から目線)、旅もそろそろ終わりというカナダ人女性とゴルウェー行きのバスを待ちます。
次の目的地はパヴェル・バーニャ級にマイナーです。
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この旅行記へのコメント (7)
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- kiyoさん 2017/05/04 20:58:06
- はじめまして
- のまどさん、こんにちは。
今月末にアイルランドひとり旅を予定しており、
ドゥーリンからモハーの断崖まで歩いてみるつもりだったのですが、
のまどさんの旅行記を見て、恐れをなしてしまいました。
歩くのはビジターセンター周辺だけにして、
ドゥーリンまではバスを利用するなど計画を変更したほうが良いように思えてきました。
ありがとうございます。
大変参考になりました。
kiyo
- のまどさん からの返信 2017/05/05 04:54:51
- RE: はじめまして
- kiyoさん、初めまして。
コメントありがとうございます。
> 今月末にアイルランドひとり旅を予定しており、
> ドゥーリンからモハーの断崖まで歩いてみるつもりだったのですが、
> のまどさんの旅行記を見て、恐れをなしてしまいました。
私の珍体験がお役に立てて幸いです。何もなければ景色は最高なんですが、何分雨の多い国なので万事に備えた方が得策です。
> 歩くのはビジターセンター周辺だけにして、
> ドゥーリンまではバスを利用するなど計画を変更したほうが良いように思えてきました。
バスの本数は少ないですが、夏場は本数があるので往復可能だと思います。
http://www.buseireann.ie/timetables/1477574876-350.pdf
ヒッチハイクはお勧めできませんが、宿主の厚意で送ってもらえるということもあると思います。田舎の治安はいいので、一人旅も安心してできると思います。
楽しい旅を。
- kiyoさん からの返信 2017/05/06 11:10:52
- RE: RE: はじめまして
- のまどさん、
バス時刻表のURLを教えていただき、ありがとうございます。
それから、雨にそなえての装備、しっかりして行きたいと思います。
ありがとうございました<(_ _)>。
kiyo
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- アルデバランさん 2014/11/12 20:40:01
- 悪路のハイキング?
- のまど様 こんにちわ
それにしても年季の入った軽登山靴でアイルランド?
と思いましたが、泥道を歩いてこんなになったんですね。
このような経験を経て人も靴も渋さと貫禄が出てくるんですね…
20日からフランクフルトだけどルートが決まらない「アルデバラン」
- のまどさん からの返信 2014/11/12 21:11:30
- RE: 悪路のハイキング?
- アルデバランさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
> それにしても年季の入った軽登山靴でアイルランド?
言われてみればこの靴もう10年近く履いています。旅行には必ず。
> 20日からフランクフルトだけどルートが決まらない「アルデバラン」
久しぶりのヨーロッパですね。石畳も歩きにくいので靴は大事です。当地は冷え込んでいますので、お気を付け下さい。楽しい旅行を。
-
- jijidarumaさん 2014/11/12 12:02:57
- モハーの断崖と鍾乳洞
- のまどさん
おはようございます。
モハーの断崖はすごい景観ですね。この様子を見ると周辺を流れる海流はきつそうです。
私は高所恐怖ですから、モハーの断崖への道はとても怖くて歩けない感じです。あの塔は上れたのでしょうか?
ずぶずぶ入ってしまう道も困ったものですが、それはそれなりに珍しい体験だったのではないでしょうか。
鍾乳洞は見事な、きれいな鍾乳石となっていますが、この洞窟を掘ったのは元々何のためだったのでしょう?
結果として鍾乳洞が発見されたと思いますけど…。
jijidaruma
- のまどさん からの返信 2014/11/12 21:08:13
- RE: モハーの断崖と鍾乳洞
- jijidarumaさん、こんにちは。
今回も多数ご投票いただき、コメントもいただきありがとうございます。
> モハーの断崖はすごい景観ですね。この様子を見ると周辺を流れる海流はきつそうです。
サーフィンには適した場所らしいんですけど、どのように陸に上がるのか不思議です。
> あの塔は上れたのでしょうか?
私が通った時は閉まっていましたが、他のトラベラーさんによると開放されることもあるらしいです。眺めは非常にスリルあるものだと思います。
> ずぶずぶ入ってしまう道も困ったものですが、それはそれなりに珍しい体験だったのではないでしょうか。
ケガなく無事だったので笑って後日談を書けますが、人によってはただごとでは済まないと思います。湿地は仕方ないにしても崩れかけた柵などはどうにかしてほしいものです。
>
> 鍾乳洞は見事な、きれいな鍾乳石となっていますが、この洞窟を掘ったのは元々何のためだったのでしょう?
そう言えば…。ガイドがさらりと手掘りだったと言っていましたが、鍾乳洞のサイトを見ると地質学の研究のためだったようです。
では、また。
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