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スコッチウィスキー蒸留所巡りのガイド。<br /><br />ウェブには数多くの資料が出ていますので、個別の蒸留所の情報は容易に入手できます。問題は計画と準備。簡単ですが、3度ほど旅行した経験から少しご紹介。<br /><br />【時期】<br />スコットランドは北緯が55度から60度以上にまで広がる北の山地。気候は日照時間が大きく変動し夏至には17時間56分弱もあったのが、冬至には6時間40分程度になります。<br /><br />●日照時間<br />Aberdeen (スペイサイドあたり)<br />http://www.timeanddate.com/sun/uk/aberdeen<br />Glasgow (アイラ島あたり)<br />http://www.timeanddate.com/sun/uk/glasgow<br /><br />島国というのもあり緯度の割には温暖ですが、それでも冬季の最高気温は5〜7度、真夏の最高気温も高々19度。また蒸留所は湿度の高い場所が好まれるのもあり降雨量が一般に多く、晴天の望みにくい地域です。冬季12〜2月は降雨量が多く、4〜6月は比較的少ない。<br /><br />●降水量<br />Aberdeen<br />http://www.aberdeen.climatemps.com/precipitation.php<br />Glasgow<br />http://www.glasgow.climatemps.com/precipitation.php<br /><br />蒸留所めぐりに関しては、水量の少ない8月、およびクリスマスなどの特異休日は操業を停止する場合もあり注意が必要です。本業はウイスキーの製造なので、結構簡単に休日を入れていたりしますので。またこちらの観光業は冬季はオフシーズンでやっていないメニューなどもある(例: アイラ島の泥炭堀り)ので、冬季はぜひ避けたほうがよいでしょう。<br /><br />【知識】<br />●全般<br />・ウィスキーの製法<br /> http://www.suntory.co.jp/whisky/museum/factory/<br />・スコッチの基礎知識(英語)<br /> http://www.scotchwhiskyexperience.co.uk/scotch-whisky/whisky-making.php<br />・The Master Whiskey Grid / flavour profile<br /> これらの情報はあまり信用しすぎない。あくまで自分の軸を持つまでのツール。グリッドは、Light &lt;&gt; Rich, Smoky &lt;&gt; Delicateの4象限での分類。基本。これが掴めてきたら、香りの種類(flavour profile)などで特徴を整理する。<br />  http://wonkviz.tumblr.com/post/72159021235/whiskey-flavor-profiles<br />・蒸留所の地域分類<br /> ハイランド, ローランド, スペイサイド, アイラ島, 島嶼部, キャンベルタウン<br /> http://www.scotchwhisky.net/distilleries/<br /><br />スコットランドは78,000平方kmというサイズ、北海道が83,000というので北海道の規模と言えます。蒸留所は各地にあるわけなので、よほどの時間がないと全部の地域をめぐるわけにはいきません。<br /><br />よって、一般の旅行では(1)スペイサイド、(2)アイラ島、(3)エジンバラ・グラスゴーなどの大都市周辺の、まずは大分類でテーマを絞った見学になります。以下が、地域としての横顔。<br /><br />●スペイサイド<br />北海油田で栄えるAberdeen(アバディーン)と、ネス川河口の町Invernessそれぞれから60kmほどの場所。山間の蒸留所が並ぶ。概ね複雑な香りをそれぞれ特徴とする製品が作られる。Aberdeen空港(Inverness空港も)から欧州・イギリス国内各地からアクセスできる。<br /><br />●アイラ島<br />人口3400。面積は対馬、淡路島のサイズ。海岸線はほとんど開発されておらず主要幹線沿いに街や産業が発達。空港と港で本土と行き来する。空路ならグラスゴーから。海路ならCalmac社運行の大型フェリーでKennagraig港(グラスゴーからレンタカーで2時間)から2時間の船旅。ウイスキーによる観光地化も進んでおり、それなりの宿泊や食事の設備はある。大手の蒸留所に大小のものを合わせ8〜9個の蒸留所が稼動。スペイとは対照的に海をテーマにした蒸留所がほとんど。<br /><br />●大都市周辺部<br />エジンバラから日帰りのアクセスは限定されますが、グラスゴならばAuchentoshan, Glengoyneといった実力派の蒸留所はアクセスが可能。一泊されるようなら、夏目漱石も一泊したとされるPitlochryに足を伸ばし山間部の蒸留所を巡るたびもよいと思います。<br /><br />●もっと遠くへ<br />先端好きな人は、Campbelltown, Isle of Skye, Orkney Islandsなどもどうぞ。詳細はご自身の調査で。<br /><br />【蒸留所巡りのポイント】<br />●全体の流れ<br />これまでいくつもの蒸留所を巡りましたが、主だったポイントは共通で以下のとおり:<br /><br />1.アプローチ。その場の環境や空気を堪能。<br />2.ビジターセンター。売店でグッズや製品をじろじろ。<br />3.展示。蒸留所にもよるが一定のテーマをもって技術や歴史を展示。<br />4.工場見学(ツアー)。麦芽生成、発酵樽、蒸留釜、分流弁、熟成倉庫といった生産過程を工場内を歩いて見学。<br /> 4.1.一般むけ1時間程度のツアー(5〜10ポンド)<br /> 4.2.ツアー後、貯蔵庫で樽出しを試飲、ビン詰め(40ポンド程度)<br /> 4.3.職人ツアーなどと称される詳細解説・体験ツアー(50〜100ポンド)<br />5.試飲。<br />6.お土産調達。<br /><br />すべての蒸留所で上記1〜6全部を実施する必要はありません。高額なツアーなどは一度体験すればまずは十分。むしろ、多くの蒸留所へ足を運び、1,2,6をこなすこと。不思議なことに、ただ蒸留所のビジターセンターに行っただけなのに、脳内で記憶が定着し、ウイスキーを味わう感覚がまた一段と豊かになります。試飲(5)ができれば言う事なし。<br /><br />●注意点<br />・運転者は飲まない<br />・工場内は法定の安全基準があり、以下に注意する<br /> ・子供がツアー参加不可能な場合がある<br /> ・麦芽粉砕部などの粉塵による発火の恐れのため火気、撮影が禁止される場合がある<br /> ・その他理由により貯蔵庫などで撮影を禁止する場合がある<br /><br />●お楽しみ<br />・テイスティンググラス、コースター、ジャケットさまざまなグッズが売店で販売されています。ご自由に。<br />・ウイスキーを加えたケーキやフッジと呼ばれるキャラメルのようなものは、正直僕の口にはあいません。面白いですがお勧めはしません。<br />・いい酒は旅をしません。蒸留場併設の売店で記念に購入するのは止めませんが、700ccといったビンはよほどでないと飲めないし、航空貨物として扱いが大変。グラスゴー、エジンバラといった空港内の免税店(というか搭乗直前の売店)で非常に多くの、かつ旅行者限定の製品を販売しています。加えてネットでほとんどの銘柄も購入できます。蒸留所ならではの商品は期待しないほうがよいでしょう。お金を払ってでも試飲されることをお勧めします。また、旅行中に飲んでしまうほどの小瓶を購入なさるのがいい思い出になると思います。<br />

スコッチウィスキー蒸留所巡り

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2014/08/09 - 2014/08/17

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sqichi

sqichiさん

スコッチウィスキー蒸留所巡りのガイド。

ウェブには数多くの資料が出ていますので、個別の蒸留所の情報は容易に入手できます。問題は計画と準備。簡単ですが、3度ほど旅行した経験から少しご紹介。

【時期】
スコットランドは北緯が55度から60度以上にまで広がる北の山地。気候は日照時間が大きく変動し夏至には17時間56分弱もあったのが、冬至には6時間40分程度になります。

●日照時間
Aberdeen (スペイサイドあたり)
http://www.timeanddate.com/sun/uk/aberdeen
Glasgow (アイラ島あたり)
http://www.timeanddate.com/sun/uk/glasgow

島国というのもあり緯度の割には温暖ですが、それでも冬季の最高気温は5〜7度、真夏の最高気温も高々19度。また蒸留所は湿度の高い場所が好まれるのもあり降雨量が一般に多く、晴天の望みにくい地域です。冬季12〜2月は降雨量が多く、4〜6月は比較的少ない。

●降水量
Aberdeen
http://www.aberdeen.climatemps.com/precipitation.php
Glasgow
http://www.glasgow.climatemps.com/precipitation.php

蒸留所めぐりに関しては、水量の少ない8月、およびクリスマスなどの特異休日は操業を停止する場合もあり注意が必要です。本業はウイスキーの製造なので、結構簡単に休日を入れていたりしますので。またこちらの観光業は冬季はオフシーズンでやっていないメニューなどもある(例: アイラ島の泥炭堀り)ので、冬季はぜひ避けたほうがよいでしょう。

【知識】
●全般
・ウィスキーの製法
 http://www.suntory.co.jp/whisky/museum/factory/
・スコッチの基礎知識(英語)
 http://www.scotchwhiskyexperience.co.uk/scotch-whisky/whisky-making.php
・The Master Whiskey Grid / flavour profile
 これらの情報はあまり信用しすぎない。あくまで自分の軸を持つまでのツール。グリッドは、Light <> Rich, Smoky <> Delicateの4象限での分類。基本。これが掴めてきたら、香りの種類(flavour profile)などで特徴を整理する。
http://wonkviz.tumblr.com/post/72159021235/whiskey-flavor-profiles
・蒸留所の地域分類
 ハイランド, ローランド, スペイサイド, アイラ島, 島嶼部, キャンベルタウン
 http://www.scotchwhisky.net/distilleries/

スコットランドは78,000平方kmというサイズ、北海道が83,000というので北海道の規模と言えます。蒸留所は各地にあるわけなので、よほどの時間がないと全部の地域をめぐるわけにはいきません。

よって、一般の旅行では(1)スペイサイド、(2)アイラ島、(3)エジンバラ・グラスゴーなどの大都市周辺の、まずは大分類でテーマを絞った見学になります。以下が、地域としての横顔。

●スペイサイド
北海油田で栄えるAberdeen(アバディーン)と、ネス川河口の町Invernessそれぞれから60kmほどの場所。山間の蒸留所が並ぶ。概ね複雑な香りをそれぞれ特徴とする製品が作られる。Aberdeen空港(Inverness空港も)から欧州・イギリス国内各地からアクセスできる。

●アイラ島
人口3400。面積は対馬、淡路島のサイズ。海岸線はほとんど開発されておらず主要幹線沿いに街や産業が発達。空港と港で本土と行き来する。空路ならグラスゴーから。海路ならCalmac社運行の大型フェリーでKennagraig港(グラスゴーからレンタカーで2時間)から2時間の船旅。ウイスキーによる観光地化も進んでおり、それなりの宿泊や食事の設備はある。大手の蒸留所に大小のものを合わせ8〜9個の蒸留所が稼動。スペイとは対照的に海をテーマにした蒸留所がほとんど。

●大都市周辺部
エジンバラから日帰りのアクセスは限定されますが、グラスゴならばAuchentoshan, Glengoyneといった実力派の蒸留所はアクセスが可能。一泊されるようなら、夏目漱石も一泊したとされるPitlochryに足を伸ばし山間部の蒸留所を巡るたびもよいと思います。

●もっと遠くへ
先端好きな人は、Campbelltown, Isle of Skye, Orkney Islandsなどもどうぞ。詳細はご自身の調査で。

【蒸留所巡りのポイント】
●全体の流れ
これまでいくつもの蒸留所を巡りましたが、主だったポイントは共通で以下のとおり:

1.アプローチ。その場の環境や空気を堪能。
2.ビジターセンター。売店でグッズや製品をじろじろ。
3.展示。蒸留所にもよるが一定のテーマをもって技術や歴史を展示。
4.工場見学(ツアー)。麦芽生成、発酵樽、蒸留釜、分流弁、熟成倉庫といった生産過程を工場内を歩いて見学。
 4.1.一般むけ1時間程度のツアー(5〜10ポンド)
 4.2.ツアー後、貯蔵庫で樽出しを試飲、ビン詰め(40ポンド程度)
 4.3.職人ツアーなどと称される詳細解説・体験ツアー(50〜100ポンド)
5.試飲。
6.お土産調達。

すべての蒸留所で上記1〜6全部を実施する必要はありません。高額なツアーなどは一度体験すればまずは十分。むしろ、多くの蒸留所へ足を運び、1,2,6をこなすこと。不思議なことに、ただ蒸留所のビジターセンターに行っただけなのに、脳内で記憶が定着し、ウイスキーを味わう感覚がまた一段と豊かになります。試飲(5)ができれば言う事なし。

●注意点
・運転者は飲まない
・工場内は法定の安全基準があり、以下に注意する
 ・子供がツアー参加不可能な場合がある
 ・麦芽粉砕部などの粉塵による発火の恐れのため火気、撮影が禁止される場合がある
 ・その他理由により貯蔵庫などで撮影を禁止する場合がある

●お楽しみ
・テイスティンググラス、コースター、ジャケットさまざまなグッズが売店で販売されています。ご自由に。
・ウイスキーを加えたケーキやフッジと呼ばれるキャラメルのようなものは、正直僕の口にはあいません。面白いですがお勧めはしません。
・いい酒は旅をしません。蒸留場併設の売店で記念に購入するのは止めませんが、700ccといったビンはよほどでないと飲めないし、航空貨物として扱いが大変。グラスゴー、エジンバラといった空港内の免税店(というか搭乗直前の売店)で非常に多くの、かつ旅行者限定の製品を販売しています。加えてネットでほとんどの銘柄も購入できます。蒸留所ならではの商品は期待しないほうがよいでしょう。お金を払ってでも試飲されることをお勧めします。また、旅行中に飲んでしまうほどの小瓶を購入なさるのがいい思い出になると思います。

交通手段
レンタカー

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  • 鹿のロゴで有名な(Dalmoreもあるけど) Glen Fiddichは、とても整備されたvisitor centreで、蒸留所というよりどこかの庭園にでも訪れた感じでした。ツアーは参加できず。

    鹿のロゴで有名な(Dalmoreもあるけど) Glen Fiddichは、とても整備されたvisitor centreで、蒸留所というよりどこかの庭園にでも訪れた感じでした。ツアーは参加できず。

  • 通りすがりに多くの蒸留所があり、全部見てるときりがありません。ところが「あ、このボトル、覚えがある」と立ち寄ったのがTomatin(トマーティン)。本当にささやかなvisitor centreでしたが、受付の女性が「あら、日本のかた? Tomatinは日本とゆかりがあるのよ。Takara酒造って知ってる」という話題になりました。<br /><br />Suntory, Nikkaといった資本参入は知っていましたが、まさか宝酒造とは。写真はミニチュアボトルですが、どれも15yなのに濃さが明らかに違うのです。このあたりが、手作り感あってよかったです。無味無臭な工業製品ではなく、ひとつひとつの樽から出てくる工芸品。

    通りすがりに多くの蒸留所があり、全部見てるときりがありません。ところが「あ、このボトル、覚えがある」と立ち寄ったのがTomatin(トマーティン)。本当にささやかなvisitor centreでしたが、受付の女性が「あら、日本のかた? Tomatinは日本とゆかりがあるのよ。Takara酒造って知ってる」という話題になりました。

    Suntory, Nikkaといった資本参入は知っていましたが、まさか宝酒造とは。写真はミニチュアボトルですが、どれも15yなのに濃さが明らかに違うのです。このあたりが、手作り感あってよかったです。無味無臭な工業製品ではなく、ひとつひとつの樽から出てくる工芸品。

  • Dalwhinnieは、A9道路から見下ろすところにあるのですが、そこまでのアプローチが、いやはや絶景。大自然を一時間深呼吸してこの蒸留所につきます。ウイスキーにあうチョコレートを添えたテイスティングです。

    Dalwhinnieは、A9道路から見下ろすところにあるのですが、そこまでのアプローチが、いやはや絶景。大自然を一時間深呼吸してこの蒸留所につきます。ウイスキーにあうチョコレートを添えたテイスティングです。

  • ドライブの途中で立ち寄ったレストランのバーカウンタ。こんだけスコッチがずらりならぶバーなどロンドンではそうそうみつけません。ハイランドならでは。運転中なので涙を飲むのみ。

    ドライブの途中で立ち寄ったレストランのバーカウンタ。こんだけスコッチがずらりならぶバーなどロンドンではそうそうみつけません。ハイランドならでは。運転中なので涙を飲むのみ。

  • もう、そこらじゅうが蒸留所なのですが、知らない蒸留所だと「雑魚か」などと軽んじてしまう僕ですが、すべての蒸留所に誇りと歴史がある。たとえシングルモルトでなくても、世界に名だたるブレンディットの原酒をひとしれずせっせと作っている蒸留所もある。<br /><br />どこを拾うかは自分次第ですが、ちっとも旅がはかどりません。

    もう、そこらじゅうが蒸留所なのですが、知らない蒸留所だと「雑魚か」などと軽んじてしまう僕ですが、すべての蒸留所に誇りと歴史がある。たとえシングルモルトでなくても、世界に名だたるブレンディットの原酒をひとしれずせっせと作っている蒸留所もある。

    どこを拾うかは自分次第ですが、ちっとも旅がはかどりません。

  • 他の蒸留所では見た覚えがないのですが、このCardhuには、不思議なツールが土産にありました。どうやらロックアイスを上にキープするツールのようです。質感がとてもよく、今思うと「買っておけばよかった」と後悔のひと品。<br />

    他の蒸留所では見た覚えがないのですが、このCardhuには、不思議なツールが土産にありました。どうやらロックアイスを上にキープするツールのようです。質感がとてもよく、今思うと「買っておけばよかった」と後悔のひと品。

  • ブレンドウィスキーDewarsを産んだAberfeldy蒸留所。ここの展示は特にブレンド技術に関するものについて展示が充実しています。ドイツ系のビジターを中心にひじょうに賑わっていました。<br /><br />

    ブレンドウィスキーDewarsを産んだAberfeldy蒸留所。ここの展示は特にブレンド技術に関するものについて展示が充実しています。ドイツ系のビジターを中心にひじょうに賑わっていました。

  • 蒸留所の敷地内を縫うように流れる小川、そう、これが蒸留所の原風景。いにしえの時代には水を求め、ひっそりと蒸留していた。そんな時間がこの本当にひとにぎりのサイズの蒸留所 Edradour で体験できました。

    蒸留所の敷地内を縫うように流れる小川、そう、これが蒸留所の原風景。いにしえの時代には水を求め、ひっそりと蒸留していた。そんな時間がこの本当にひとにぎりのサイズの蒸留所 Edradour で体験できました。

  • ウイスキーキャットはご存知でしょうか。このGlenturret蒸留所のTowserは、ギネスブックにも登録された、ネズミ取り最高記録保持者。<br /><br />ロンドンなんかでもよくネズミはみます。都心のネズミは薄汚いですが、蒸留所の麦芽を一杯たべたネズミはちょっとおいしそうですね、、いや、そんなことはないか。<br /><br />ひとつの名物。

    ウイスキーキャットはご存知でしょうか。このGlenturret蒸留所のTowserは、ギネスブックにも登録された、ネズミ取り最高記録保持者。

    ロンドンなんかでもよくネズミはみます。都心のネズミは薄汚いですが、蒸留所の麦芽を一杯たべたネズミはちょっとおいしそうですね、、いや、そんなことはないか。

    ひとつの名物。

  • なんという庭園でしょうか。すみきった池とそこに注ぐ小川。この水を丁寧に使って、Glengoyne蒸留所は世に誇り高きスコッチを送り出してきました。<br /><br />「いい場所ですね」<br /><br />とスタッフに訪ねました。陽気なスタッフの顔色が変わり<br /><br />「違う、ここは最高の場所なんだよ」<br /><br />と教えてくれました。その職人たる気質が嬉しくて、一本おいしそうなものを買ってしまいましたが、あまりにもったいなくてなかなか封を開けることができません。<br /><br />他にもこの蒸留所が大切にしているものがいくつもあります。ぜひ。<br />

    なんという庭園でしょうか。すみきった池とそこに注ぐ小川。この水を丁寧に使って、Glengoyne蒸留所は世に誇り高きスコッチを送り出してきました。

    「いい場所ですね」

    とスタッフに訪ねました。陽気なスタッフの顔色が変わり

    「違う、ここは最高の場所なんだよ」

    と教えてくれました。その職人たる気質が嬉しくて、一本おいしそうなものを買ってしまいましたが、あまりにもったいなくてなかなか封を開けることができません。

    他にもこの蒸留所が大切にしているものがいくつもあります。ぜひ。

  • ウィスキーの旅のご紹介の最終章はアイラ(Isle of Islay)です。夕方のフェリーに揺られ、到着はすっかり夜になりました。<br /><br />外気はきりりと冷え、東の空にはオリオンがもうあがっています。フェリーターミナルから徒歩すぐのThe Islay Hotelには、アイラの酒をたんまりと揃えて、旅人の到着をまっています。空なんか眺めている場合ではありません。バーで食事しつつ、地の酒を煽って寝ることにします。<br /><br />明日は蒸留所にいくぞー

    ウィスキーの旅のご紹介の最終章はアイラ(Isle of Islay)です。夕方のフェリーに揺られ、到着はすっかり夜になりました。

    外気はきりりと冷え、東の空にはオリオンがもうあがっています。フェリーターミナルから徒歩すぐのThe Islay Hotelには、アイラの酒をたんまりと揃えて、旅人の到着をまっています。空なんか眺めている場合ではありません。バーで食事しつつ、地の酒を煽って寝ることにします。

    明日は蒸留所にいくぞー

  • おはようございます。朝食前に少しホテルの周囲を散歩すると、うらがわにすでに創業を停止し、静かに酒が眠るだけのPort Ellen蒸留所を見つけました。<br />

    おはようございます。朝食前に少しホテルの周囲を散歩すると、うらがわにすでに創業を停止し、静かに酒が眠るだけのPort Ellen蒸留所を見つけました。

  • さて、蒸留所めぐり。今日はLaphroaig - ラフロイグ です。スモーキーライト系の代表格。特別今回はdistillers ware tastingです。ツアー後、貯蔵庫に残り、樽生だしのウイスキーを3種類賞味し、その中からお気に入りを瓶詰めします。<br /><br />ガイドが使っている長細い棒はバリンチと呼ばれますが、当然これを使わせてもらいます。<br /><br />この経験こそが価値です。もう蒸せるようなスコッチの香りの中で、フルボディな15年ものを頂きます。加えて紙フィルタの有無も選ぶことができますが、きまぐれで「non-filtered」での持ち帰りとなりました。<br /><br />こいつは早々に飲んでいますが、グラスをのみほしたあとの樽香がものすごいです。「このグラス、木でできてるんじゃない」と疑わんばかり。

    さて、蒸留所めぐり。今日はLaphroaig - ラフロイグ です。スモーキーライト系の代表格。特別今回はdistillers ware tastingです。ツアー後、貯蔵庫に残り、樽生だしのウイスキーを3種類賞味し、その中からお気に入りを瓶詰めします。

    ガイドが使っている長細い棒はバリンチと呼ばれますが、当然これを使わせてもらいます。

    この経験こそが価値です。もう蒸せるようなスコッチの香りの中で、フルボディな15年ものを頂きます。加えて紙フィルタの有無も選ぶことができますが、きまぐれで「non-filtered」での持ち帰りとなりました。

    こいつは早々に飲んでいますが、グラスをのみほしたあとの樽香がものすごいです。「このグラス、木でできてるんじゃない」と疑わんばかり。

  • Islayではこれ以外にない、フルーティ系のブナハーブン。ここの蒸留所の風景をぜひ見てください。目の前の海峡を5分ほど渡るとJura島。その原風景たるや。<br /><br />こんな場所で10年ものびのびと寝てすごしたウイスキーはさぞうまかろう。実際、このブナハーブンは僕のお気に入りの一つです。

    Islayではこれ以外にない、フルーティ系のブナハーブン。ここの蒸留所の風景をぜひ見てください。目の前の海峡を5分ほど渡るとJura島。その原風景たるや。

    こんな場所で10年ものびのびと寝てすごしたウイスキーはさぞうまかろう。実際、このブナハーブンは僕のお気に入りの一つです。

  • いよいよ年末も押し迫ってきました。ボウモア蒸留所もクリスマス休みがあけて、今日から開店。でもツアーもやっておらず、サービスモード。「今日は何もみられないからバーで1杯おごります!」とガイドの方からのおごりで、Tempestなどを頂きます。ラウンジからは灰色の海を見る。<br /><br />きっとこの酒は夏がうまいんだろうなぁ、と思いつつ。<br /><br /><br />

    いよいよ年末も押し迫ってきました。ボウモア蒸留所もクリスマス休みがあけて、今日から開店。でもツアーもやっておらず、サービスモード。「今日は何もみられないからバーで1杯おごります!」とガイドの方からのおごりで、Tempestなどを頂きます。ラウンジからは灰色の海を見る。

    きっとこの酒は夏がうまいんだろうなぁ、と思いつつ。


  • 島での予定も終わり、あとは昼食を食べたあと、フェリーに乗るだけ。ランチで生かきがあったので、それにKilchomanをかけて食することに。<br /><br />きっとグルメ的には、下品なのかもしれませんが、この時、この場所でこれを食べた個人的な経験としては<br /><br />至福(ほっ)<br /><br />このKilchomanをもって、なんとかPort Ellen以外のブランドは制覇できました。

    島での予定も終わり、あとは昼食を食べたあと、フェリーに乗るだけ。ランチで生かきがあったので、それにKilchomanをかけて食することに。

    きっとグルメ的には、下品なのかもしれませんが、この時、この場所でこれを食べた個人的な経験としては

    至福(ほっ)

    このKilchomanをもって、なんとかPort Ellen以外のブランドは制覇できました。

  • さて、竹鶴政孝が実習した蒸留所の一つとして知られるHazelburn。残念ながらその蒸留所の建屋はありません。せめてそのブランド名だけが、生き残った蒸留所により生産されています。レシピは製法に関係はないと思いますが。<br /><br />ここCampbeltownには、もう蒸留所で栄えた景色は見る姿もありません。わずかに3つが残るのみ。そのちかくのウイスキーショップで試飲。<br /><br />また、各蒸留所からのモルトを当地で熟成させたいろいろなウイスキーがあり。まだまだ頑張っています。

    さて、竹鶴政孝が実習した蒸留所の一つとして知られるHazelburn。残念ながらその蒸留所の建屋はありません。せめてそのブランド名だけが、生き残った蒸留所により生産されています。レシピは製法に関係はないと思いますが。

    ここCampbeltownには、もう蒸留所で栄えた景色は見る姿もありません。わずかに3つが残るのみ。そのちかくのウイスキーショップで試飲。

    また、各蒸留所からのモルトを当地で熟成させたいろいろなウイスキーがあり。まだまだ頑張っています。

  • 店員さんの許可をとって撮影しています。これはauchentochanのモルト。

    店員さんの許可をとって撮影しています。これはauchentochanのモルト。

  • 日本語の文献ではみつかりませんでしたが、英語の文献によるとこの駐車場からみえる、壁の山形の形跡が Hazelburn 蒸留所の建屋の名残だそうです。ここにジャパニーズ・ウイスキーを産んだ彼がいたのです。<br /><br />街の中心部のホテルに滞在した旨がニッカのウェブに記載がありました。<br /><br /><br />日本のウイスキーのルーツの一つ。

    日本語の文献ではみつかりませんでしたが、英語の文献によるとこの駐車場からみえる、壁の山形の形跡が Hazelburn 蒸留所の建屋の名残だそうです。ここにジャパニーズ・ウイスキーを産んだ彼がいたのです。

    街の中心部のホテルに滞在した旨がニッカのウェブに記載がありました。


    日本のウイスキーのルーツの一つ。

  • グラスゴーに到着、あとは明日帰路につくのみ。各地で買い揃えた琥珀色の思い出の数々。飲んでもないくせに、蔵の香りだとか、周囲の風景に彩られ、ボトルそれぞれにスパイスの効いた思い出が注ぎ込まれました。<br /><br />まだ旅は終わって内にも関わらず、次はどこの地方の蒸留所を巡ろうか、など妄想しながら夜が更けていくのでした。<br /><br />

    グラスゴーに到着、あとは明日帰路につくのみ。各地で買い揃えた琥珀色の思い出の数々。飲んでもないくせに、蔵の香りだとか、周囲の風景に彩られ、ボトルそれぞれにスパイスの効いた思い出が注ぎ込まれました。

    まだ旅は終わって内にも関わらず、次はどこの地方の蒸留所を巡ろうか、など妄想しながら夜が更けていくのでした。

  • 写真中央部の標識<br /><br />「Bowmore 10年、やや若い」などと思ってしまった方は、若干 drinking problemの症状があります。休肝日を設けるなどして下さい。<br /><br />この標識が、交通標識に見えない方は、かなり症状が悪化しています。島にいらっしゃると、幾多の妄想に悩まされることになりますので、くれぐれも島には立ち入らないようお控え下さい。<br /><br /><br />もっとも後者の方は、スコットランドのどの地名もお酒の銘柄に見えてしまうと思いますが。

    写真中央部の標識

    「Bowmore 10年、やや若い」などと思ってしまった方は、若干 drinking problemの症状があります。休肝日を設けるなどして下さい。

    この標識が、交通標識に見えない方は、かなり症状が悪化しています。島にいらっしゃると、幾多の妄想に悩まされることになりますので、くれぐれも島には立ち入らないようお控え下さい。


    もっとも後者の方は、スコットランドのどの地名もお酒の銘柄に見えてしまうと思いますが。

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  • にゃごっこさん 2015/11/29 18:20:41
    初めまして
    にゃごっこと申します.とても素敵な旅行記,拝見させていただきました.
    村上春樹さんの「もしも僕らの言葉がウィスキーだったなら」という本をご存知ですか?
    その本を読んで以来,ウィスキーの聖地巡りをしてみたいものだと思っておりましたところ,spichiさんの旅行記に出会えました.
    わたしも牡蠣とウィスキーを合わせてみたいです・・・!

    素敵な旅行記をありがとうございました.

    sqichi

    sqichiさん からの返信 2015/11/30 04:08:47
    RE: 初めまして
    > にゃごっこと申します.とても素敵な旅行記,拝見させていただきました.
    > 村上春樹さんの「もしも僕らの言葉がウィスキーだったなら」という本をご存知ですか?
    > その本を読んで以来,ウィスキーの聖地巡りをしてみたいものだと思っておりましたところ,spichiさんの旅行記に出会えました.
    > わたしも牡蠣とウィスキーを合わせてみたいです・・・!
    >
    > 素敵な旅行記をありがとうございました.

    「にゃごっこ」さん

    > 村上春樹さんの「もしも僕らの言葉がウィスキーだったなら」という本をご存知ですか?

    恥ずかしながら、この本を後輩から教えてもらい、忘年会でボウモアを口にしてからこの道を知りました。もう12年ほどになりますか。読書をまるでしない僕が、短編で読みやすく、そして旅仕立てで描かれた同書を読んで「世の中にはおもしろい本があるんだなぁ」などと思ったほどでした。そうか、牡蠣に垂らすのはその本から知ったことだったか。

    その後、その本は知人に譲りどうなったか。棚から棚へと旅をしているかもしれません。

    スコットランドには Hogmanay (ホグマニー)と呼ぶ年越しを祝う祭りがあちこちで開かれます。祝い方もさまざまと聞きました。そんなスコットランドのことを思い浮かべながら、かの地で素敵な年末をお過ごしください。

    感想ありがとうございました。今後ともよろしく。

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