2014/06/14 - 2014/06/14
28位(同エリア181件中)
玄白さん
日光と会津を結ぶ国道121号、通称会津西街道を北上し、川治温泉、五十里湖(いかりこ)を通過して福島県南会津との県境に近い上三依という山間に上三依水生植物園があります。ここのヒマラヤの青いケシが見頃を迎えているというニュースがあったので、見に行って来ました。
天上の妖精とも形容されるヒマラヤの青いケシは、中国雲南省から四川省、ヒマラヤの3000m〜5000mの高山地帯に自生するケシ科の植物で、文字通り、澄み渡ったヒマラヤの青空を思わせるような、ヒマラヤンブルーのきれいな深い水色の花を咲かせます。容易に人が近づけないような高山に自生しているので”幻の花”とも言われ、どこか神秘的な雰囲気さえ漂わせている珍しい花です。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 交通手段
- 自家用車
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自宅から国道119号を日光方面に向かい、旧今市市内で国道121号、通称会津西街道に入り、北上する。鬼怒川温泉、川治温泉を通過し、走ること2時間弱で、五十里(いかり)ダムが見えてきた。
利根川・鬼怒川水系に属する男鹿川をせき止めて作られた治水・灌漑・発電用の多目的ダムである。 -
五十里湖。ダムが出来る前からあった湖だが、五十里ダムによって男鹿川がせき止められ、形が大きく変わった。江戸日本橋からちょうど五十里のところにあるのが、名前の由来である。
日光国立公園に含まれていて、10月下旬には美しい紅葉が見られる場所だ。 -
五十里湖を過ぎて、さらに15分ほど走って上三依水生植物園駐車場に到着。駐車料金はフリー。
ここから、徒歩で男鹿川の橋を渡り、100mほど歩いたところに植物園の入口がある。 -
植物園入口の前には、男鹿川に流れ込む渓流があり、青モミジの下を清冽な水が流れている。
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植物園入口。入場料¥500を払って中に入る。
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園内の案内図。22,000?の敷地に約300種、3万本の植物が植えられている。湿生植物、水生植物、高山植物、乾性草原植物のゾーンに分かれていて、早春には水芭蕉、初夏にはスイレン、ニッコウキスゲなど、春から秋にかけて、季節の花が楽しめる。何と言っても、この植物園の最大の目玉は、6月中旬〜下旬にかけて咲く「ヒマラヤの青いケシ」である。
案内図に赤丸で示したところ3箇所にヒマラヤの青いケシが咲いている。 -
見渡す限り一面の青いケシというほどではないが、450株のケシが見頃を迎えている。
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ほとんどの来園者の目当てはこのヒマラヤの青いケシで、思い思いに撮影を楽しんでいる。
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イチオシ
ポピーなどと同じケシ科の花だが、ポピーがケシ属なのに対し、ヒマラヤの青いケシはメコノプシス属に分類され、細目では異なる種類である。ちなみにメコノプシスというのは、「ケシのような」という意味のギリシャ語だそうだ。(Wikipediaより)
いわば、ケシもどきということだ。 -
メコノプシス属の花は、数十種あるようだが、いずれも日本ではなじみが薄い花なので、和名がついていない。
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通称「ヒマラヤの青いケシ」は学名でメコノプシス・ベトニキフォリア、メコノプシス・グランティス、メコノプシス・ホリデュラなど数種類あるようだが、写真をみただけでは、その区別はよくわからない。
まあ、そういう専門的な細かいことはどうでもよく、ヒマラヤの高山の青い空を連想させるきれいな花の色を楽しめれば、それでよい。 -
ちなみにこの花は、国民総幸福量という独自の指標で国家運営を行い、2011年には国賓として来日し東日本大震災の被災地を回り「竜の話」など心に残るメッセージを残していったワンチュク国王が率いる国ブータンの国花でもある。
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木陰に咲くヒマラヤの青いケシに一輪だけ、スポットライトのように木漏れ日が当たって、青く輝いていた。「私がプリマドンナよ!」と主張しているようだった。
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通常は、水色だが、微妙な土質の違いなどで、ピンクになったりすることもあるようだ。そんな性質はアジサイに似ている。酸性が強い土壌ほど青みが深くなるという。これもアジサイと同じ!
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こちらはピンクの「ヒマラヤの青いケシ」!
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原産地がモンスーン地帯の標高3000m以上の高山なので、暑さと乾燥に極端に弱く日本での栽培はとても難しいそうだ。園芸用に苗が市販されているが、気温30℃を超すと枯れてしまうらしい。
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イチオシ
青空に溶け込むようにすっくと伸びて咲いているヒマラヤンブルーの花は、原産地ヒマラヤの情景を連想させる。天上の妖精とは言い得て妙である。
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日本での栽培はとても難しいので、まとまって咲いているところを見られるのは、数箇所に限られるようだ。その意味でも”幻の花”なのである。
ちなみに、日本でヒマラヤの青いケシが見られるのは調べた限りでは、ここ上三依水生植物園以外では、
(1)南信州大鹿村の中村農園 (2)越後湯沢アルプの里 (3)箱根湿生花園
くらいのものである。中村農園は5000株とダントツに規模が大きい。 -
青とピンクが入り混じった花もある。
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上三依の青いケシは、背景が暗い森になっているところに咲いているので、暗い背景にヒマラヤンブルーの色彩を浮き上がらせた撮影ができて、面白い。
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イチオシ
逆光で、思い切ってハイキーで撮影してみた。花弁の脈が浮き上がって、また違った雰囲気の写真になった。
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つぼみの時は、下を向いていて、開花するにつれて、上を向いてくるのは、ポピーと同じ。
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園の入口正面に、何の変哲もないリンゴの木が一本・・・が、これが由緒あるリンゴの木なのである。そばにある説明板によると、
「ニュートンが万有引力の法則を発見する契機となったニュートンの実家の庭のリンゴの木の5代目の子孫である。1964年に万有引力の法則発見300周年記念に、ニュートンのリンゴの木の子孫がイギリス物理学研究所長から日本学士院長柴田雄次博士に寄贈され、東大理学部付属植物園(通称小石川植物園)に植えられた。それが接木されて、さらに長野県大町市の大町エネルギー博物館に寄贈され大切に育成されている。当該博物館から、一本がさらに上三依植物園に譲渡された」と言う謂れがある。
ニュートンのリンゴの木は、広島大学理学部など日本全国に100本近くあるらしいが、親木は、すべて小石川植物園のものである。
なお、ニュートンがリンゴが木から落ちるのを見て万有引力の法則を発見したというのは、史実ではないらしい。 -
せっかく車を飛ばして2時間もかけて来たので、ヒマラヤの青いケシだけでなく、園内を一周してみよう。
これはハナケマンソウ、別名アメリカコマクサ。これもケシ科の花である。 -
原種ミヤコワスレにとまったモンシロチョウ。園芸種のミヤコワスレは青紫色の花が多いが、このミヤコワスレは白い花を咲かせている。
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ヒマラヤの青いケシと同時期にクリンソウも見頃を迎えている。
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クリンソウといえば、昨年の同じ頃に行った中禅寺湖畔、千手ヶ浜の見事な群生が思い出される。
参考: 「中禅寺湖千手ヶ浜、川霧漂う渓流沿いの九輪草」
http://4travel.jp/travelogue/10786064 -
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クリンソウの蜜を吸うクロアゲハ
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水生植物池の方に足を延ばしてみる。
キバナショウブ。ピークは過ぎた感じだ。 -
モリアオガエルの卵。カエルは、普通水中で産卵するが、モリアオガエルは池にせり出した木の枝に、産卵する。卵は泡状の粘液で包まれていて、孵化しておたまじゃくしになると池に落ちるしくみになっている。
全国的に生息数が減っていて、栃木県でも純絶滅危惧種に指定している。
すでに孵化は終えて、木の枝に残っているのは、卵をおおっていた粘液だけのようだ。 -
池の水の中を覗き込むと、おたまじゃくしがいっぱい泳いでいる。モリアオガエルかどうかはわからないが・・・
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今の時期、水辺の花と言えば、ハナショウブやカキツバタだ。アヤメも含めて似たような花の形で区別がつきにくいが、花弁の根元に網目状の模様があるのが、アヤメ、白い目のような模様があるのが、カキツバタ、黄色い目のような模様がハナショウブで見分けるのだそうだ。
この白い花は花弁の根元が黄色なのでハナショウブ。 -
これは、根元が白いように見えるが、光線の具合で白っぽく見えているだけかもしれない。それと花の時期がカキツバタにしては遅いので、やっぱりハナショウブかな?
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池には、びっしりヒツジグサが生えている。
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ヒツジグサの葉の表面は、テカテカしているので、日の光のかげんによっては、まばゆく光って色トビしてモノクロ写真のようになってしまった。
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ヒツジグサもスイレンも、花の時期にはまだ早いようだ。
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イチオシ
ハナショウブとヒツジグサ。ヒツジグサは、花も可憐できれいだが、紅葉の時期も良い。赤く色づいた浮き葉が、水面に浮かんでいる様は、普通の紅葉とは違った趣がある。
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ハナショウブの葉は、逆光で透かして見ると鮮やかな緑になり、きれいなものだ。
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イチオシ
池から離れて高山植物ゾーンへ。
コマクサが一輪咲いていた。こういう高山植物は、やはり、山に登って自然のままで見たいものである。 -
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ヒメサユリ、別名オトメサユリ。花の色、形も名前の響きもなんとも可憐な印象の花である。日本固有種で、新潟、山形、福島3県の県境に位置する飯豊連峰、朝日連峰周辺と宮城県南部にしか自生していない珍しい花で、環境省レッドリストの準絶滅危惧種に指定されている。
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おなじみのニッコウキスゲ
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チョウジソウ。かつては日本全国の野原で普通に見られたそうだが、現在は数が激減して、やはり絶滅危惧種に指定されている。園芸用に売られているものは、北米原産のものが多いそうだ。
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???
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オダマキ
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フウロソウ
ざっと、2時間ほどヒマラヤの青いケシを中心に写真撮影を楽しんでから、帰路に着く。 -
五十里湖の手前で、会津西街道から分岐して湯西川温泉に向かう道を500mほど行ったところに「道の駅湯西川」がある。
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ここの足湯に浸かって、一休みしてから山道をドライブして家路を急ぐ。
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道の駅の目の前にも五十里湖が広がっていて、野岩鉄道の鉄橋を列車が通過するのが見える。
上三依は同じ県内だが、山道を片道2時間を越すドライブで、ちょっとした旅行気分のおでかけであった。初めて見た幻の花、ヒマラヤンブルーの天上の妖精は、とても印象深い花であった。
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この旅行記へのコメント (4)
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- chikuouさん 2014/06/27 22:26:22
- いつもながらのすばらしい画像に感服します。
- 玄白さんの画像の1枚1枚に主張がありますね。すべて読みとっているわけではありませんが、私のような画像とは違います。上手に撮りたいと思いますが絵心が無いと無理でしょうね。青いケシの画像ありがとうございました。私は何年か前、南信州の大鹿村で青い。青いケシを見ました。ここの農園にはたくさんありました。機会があれば行かれてください。また、ここでは大鹿歌舞伎が5月と10月にあるそうですが、まだ行っていません。
- 玄白さん からの返信 2014/06/28 08:44:03
- RE: いつもながらのすばらしい画像に感服します。
- chikuouさん、おはようございます。
玄白旅行記訪問、青いケシととんぼ池の蛍への投票ありがとうございました。
chikuouさんは大鹿村中村農園のヒマラヤの青いケシをご覧になったのですか。
ここは、大規模な青いケシの群落で日本一のようですね。南信州は、千畳敷カール、木曽駒ケ岳くらいしか行ったことがありません。魅力的な場所がたくさんありそうなので、機会があればまた出かけたいと思っています。
今後ともよろしくお願いします。
玄白
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- 琉球熱さん 2014/06/18 23:34:33
- お見事!
- 玄白さん、こんにちは
青いケシ、初めて見ました。なんとも言えない美しい青ですね。淡い色合いが本当にきれい。こういうものを見るたびに、自然の造形物とは本当に凄いなぁと感心させられます。
ハイキーで撮影した写真は、見事に意図的中という感じでしょうか。ちょっと趣を異にした味わいですね。
それにしても、もうコマクサが咲いているというのは驚きです。
高山植物の女王と言われるだけあって、本当に可憐で美しい花ですね。
フウロソウの一つ前の写真は、オダマキでしょうか?
偶然ですが、コマクサ、フウロソウ、オダマキ等々、昨年の白馬で見た花たちとだぶり、あの山域の美しい花たちを思い出しました。
- 玄白さん からの返信 2014/06/19 20:32:35
- RE: お見事!
- 琉球熱さん、こんばんは!
ヒマラヤの青いケシのことは昨年知ったのですが、行けず仕舞いで、今年ようやく行くチャンスができました。
ここの植物園の標高は1000m足らずなので、高山植物の女王コマクサも開花時期が早いのではないかと思います。むしろ、こんな標高の地で、原産地が3000m超の高山であるヒマラヤの青いケシの育成が出来ていることが驚きです。
山歩きをして自然の花々を撮影するのは大好きなのですが、花の同定ができずに苦戦しています。琉球熱さんの旅行記に出てくる花の写真を植物図鑑代わりに利用させてもらっています。(^ ^)
玄白
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