1994/06/17 - 1994/06/18
10129位(同エリア16401件中)
マッカさん
”今夜は空いていませんねぇ~”
フランス、パリ、Hocheという静かな住宅地にある
ユースのフロントにて
向かい合う係の人と無精髭をはやした私。
1ヶ月前、ここパリに降り立ち
ハンブルグ、ベルリン
ワルシャワ、クラクフ、オシュフェイチム(独名アウシュビッツ)、プラハ
ドイツに再び入国後ケルン
そして今朝がた寝台列車でパリへと戻り
泊まっていたユースまで来たのだったが..。
しかたがない、他をあたろうと
ユースの入り口へ歩き出すと
声をかけてくる誰か。女性の声。
初めてみる顔、東洋人。
”どうしたの?”と笑顔で話かけてくる。
”部屋が無いんだって。”(私)
”ああ、そう。まあ、座れば。”と、目線で座っている自分の横を。
簡単な自己紹介を交わす。
彼女はソウル出身で仕事を辞めて1人旅の最中だとか。
ちなみにその勤めていた会社の上司は
日本人だったそう。
”じゃあ、日本語は少し話せる?”(私)
”いいえ、彼はとても韓國語が上手だったから、全然話す機会が無かったの”とまた笑顔で。
”日本人ってすぐ謝るでしょ?”(私)
”そうね、でもそれが、とても私は感じが良かったわ。”
”とても良い習慣だと思うけど..別に、おかしくないと思うよ”と続ける。
途中カバンから小さな箱を取り出し
私に差し出す、1本どう?と。
韓國で男性に煙草をすすめられたのは
それこそ数え切れないほどあったのだが
女性からは初めてだった。
紫煙の中
2人で窓の外を見つめる。
彼女は母国にいるときよりも
この外界をとても楽しんでいるように見えた。
もちろん、私も楽しんでいるのは同じなのだが。
もう少し時間があれば
いろいろと話せただろうな。
少し残念だった。
”ヨロカジロ、カムサハムニダ(いろいろと、ありがとう)”
覚えたての韓國語で礼をのべて
私はそのユースをあとにした。
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