2014/02/21 - 2014/02/23
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nakaohidekiさん
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嗚呼、神さま、あなたは罪な方です
こんなにも地上に僕のこころを惑わす妖精たちを舞い降ろすとは
ここにあるのは現実ではありません
夢に中に人々を誘い込む媚薬に満ちたネバーランドなのです
人の形に化身した夢の妖精たちです
どうかどうか、僕を生身の人間の世界に追いやらないでください
神さま、お願いです
でも、どうしてもそれが出来ないのなら
神さま、加治屋百合子という美の妖精がこの世にいることだけは
あなたの力にかけてお守りください
神さま
僕は恋に堕ちたようです
間違いなく、アメリカン・バレエ・シアターに包み込まれた
”美”とはなにかを教える加治屋百合子という妖精に、
僕は呑み込まれたのです
神さま
僕はあなたの魔力に負けてしまって
加治屋百合子に恋をしてしまったのです
どうかお願いします
許しください
僕が初めて加治屋百合子さんを知ったのは、いまからもう五年前になろうか。TBS『情熱大陸』で紹介されたときが初めてである。
世界四大バレエ団の一つ、アメリカン・バレエ・シタター(ABT)で唯一の日本人として紹介されたその番組で、僕は加治屋百合子さんを知ったのである。
特にクラシック・バレエを僕が好きだというわけではない。もちろんそれに関する知識などもあるわけはないのだが、世界で活躍する当時23歳の加治屋百合子さんに共感を覚えたのは事実である。日本を脱出し、世界で活躍する日本人には僕も憧れを持っていたからである。さらにその後、NHKで『世界はYurikoに恋をする・バレリーナ・加治屋百合子の世界』がBSで放送された。これを観た僕はもう堪らなくなりニューヨークの加治屋さんにファンレターを書いたのである。半年後にはABTは韓国でも公演することをネットで知っり、ここへもファンレターを書いた。そうすると加治屋さんはそんな僕の情熱に負けたのか、FBの友達に加えてくれたのである。そのときには僕は有頂天になり天にも昇る気持ちになった。それから毎年末ごとにニューヨークの加治屋さんにクリスマスカードを送るようになった。そうすると加治屋さんからも返信が届くようになった。
今年のクリスマスカードは、このように書かれていた。
『中尾さん
いつも応援してくださって、
ありがとうございます!
2月の東京公演も観に来て
くださるんですネ。嬉しいです。
頑張ります☆
百合子』
僕は一昨年ニューヨークに行き、ブルックリンで加治屋さんの『くるみ割り人形』を観ていた。このときは加治屋さんはまだ主役ではなかった。しかし、2月の東京公演では主役のクララを踊るというのである。FBでそのことを知った僕はもう待ちきれなくて急いでチケットを取った。それが昨年の9月である。その段階でもう残席わずかであった。それも頷ける所以である。アメリカン・バレエ・シアターといえば、ロシア・ボリショイバレエ団、英国ロイヤルバレエ団、パリ・オペラ座バレエ団と並ぶ世界四大バレエ団の一つである。そんな名だたるバレエ団の唯一の日本人が加治屋百合子さんなのである。そして今回、加治屋さんは『くるみ割り人形』の主役を踊るのである。僕のこころは、もう張り裂けんばかりに高鳴っていた。
渋谷にあるオーチャード・ホールは今回の日本公演の会場である。僕は会場に近いセルリアンタワーホテルを宿泊にしていた。そこで早目の昼食をとりオーチャード・ホールへ向かったのである。
会場に着いてみると、バレエを習っているとおぼしき子どもたちが両親やおばあちゃんや家族と一緒に詰めかけている。もちろん見るからにお金持ちと思えるご婦人方や大企業の重役とおぼしき面々も、大勢会場に詰めかけていた。
僕の席は二階のゴンドラ席である。ここは舞台に近いし会場全体も一堂に見渡せる。これには理由があった。僕の信念の一つに「いいものを鑑賞するには、いい席を取らなければいけない」という原則があるのである。いいものの価値を充分に汲み取るには、いい場所でなければ出来ないという考えである。これには学生時代の歌舞伎鑑賞の経験が大きく影響をしている。学生時代はお金がなかった。それゆえ趣味の歌舞伎鑑賞はどうしても一番安い席を取ることになった。
当時、学生割引で一番安い席が歌舞伎座で八百円ほどであった。しかし、そこは天井桟敷といってもいいような席で、途轍もなく鑑賞に不向きな場所であった。頭のすぐ上が天井であり、舞台は、はるか彼方の遠くにあった。役者の姿など米粒のようである。そこからは花道などは見ることはできず、花道で演技する役者の声が虚しく響いてくるだけであった。この時以来、僕の舞台鑑賞はいい席を取らなければいけないと思うようになったのである。
ニューヨークのブルックリンで鑑賞したときもそうであるが、オーケストラボックスのすぐ前、このときは三列目正面であった。とにかくいい席を取ることが舞台芸術には大事なことだと実感しているのである。もっとも昨年の九月に予約したときは、この周辺しか残っていなかったのであるが。
さて、序曲に続いて、いよいよ『くるみ割り人形』の幕が開いた。
第一幕は、クリスマスイブの夜。子供たちがプレゼントを貰って騒いでいる。
クリスマスパーティも終わり子供たちが寝静まると、なにやら台所でガタガタと音がするではないか。お腹を空かせたネズミたちが出てきて、パーティの食べ残しや保存用のソーセ−ジなどを漁りに出て来たのだ。台所の物音に気付いたクララは、真夜中に起き出してプレゼントで貰ったくるみ割り人形に話しかけると、くるみ割り人形はネズミたちと戦いを始めたのである。おもちゃの兵隊たちも戦いに参加しだすと台所は上へ下への大騒ぎとなってしまった。クララはネズミたちにスリッパを投げつける。するとネズミたちは参ってしまい、くるみ割り人形たちの勝利となったのである。
ネズミたちがほうほうの体で退散すると、くるみ割り人形は王子様の姿に変身し、クララにお礼を言って、雪の森を通り、クララをお菓子の国に連れて行ってくれたのである。
これが、第一幕である。
加治屋さんはそんなクララを踊ったのである。クララはもう、目映いばかりに美しく、感動的であり、キラキラと煌めいて、眩暈がしそうなくらい。あまりの美しさに、僕はあふれる涙を止めることができなかった。
美しさに感動して、はたして涙を流すことが、僕たちの生活の中にあるのだろうか。それが今回の『くるみ割り人形』なのである。それができるのは、加治屋百合子のバレエ以外の何物でもないと思う。続いて第二幕であるが、これについて書くとあまりに長くなるので今回は割愛するが、それはもう、この世のものではない、美しさの中に身を沈めてしまうほどだけだけ言っておこう。
加治屋百合子は、神が遣わした、”美の妖精”であるに違いない。それはもう、この世の奇跡に他ならないのだ。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- ホテル
- 4.5
- グルメ
- 4.0
- ショッピング
- 4.0
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 家族旅行
- 一人あたり費用
- 10万円 - 15万円
- 交通手段
- JALグループ JRローカル 私鉄 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
- 利用旅行会社
- JTB
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この旅行記へのコメント (2)
-
- fuzzさん 2014/02/24 21:43:38
- くるみ割り人形
- 物凄い、ラブレターですね。
ご本人にこの旅行記をお見せしたいですね。
fuzz
- nakaohidekiさん からの返信 2014/02/24 22:46:17
- RE: くるみ割り人形
- コメント、有難うございます。
ブログにも同じものを掲載しました。
ブログとFBが連携しているので、加治屋さんも、これを読んでくれると思います。
どうも、有難うございます。
物凄い、ラブレターですね。
>
> ご本人にこの旅行記をお見せしたいですね。
>
> fuzz
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