2013/10/21 - 2013/10/22
82位(同エリア453件中)
極楽人さん
フランスには、『フランスの最も美しい村』という全国組織がある。
人口が2000人に満たない小さな村の文化や景観を保全し、魅力を紹介して観光の振興に繋げる活動を行っている。現在150ほどの村が「美しい村」と認定され、先に訪れたゴルドやルシヨン(プロバンス)、昨年秋のリクヴィル(アルザス)などもその中に含まれている。
フランス南西部、ピレネー山脈の北側のミディ・ピレネー地域にも『美しい村』がたくさんある。多くは険しい断崖や深い谷間に阻まれた秘境にあり、交通手段も限られるため、短期の個人旅行ではなかなか訪れにくい。
サン・シル・ラポピーに足を運んだ。ありがたいことに、本数は少ないが麓の村まで路線バスが運行している。ロット渓谷の崖上に築かれた中世の村。フランス国内での投票で「150の村の中でも最高に美しい」と評された村を、最寄りの町カオールに前泊して日帰りで訪れた。
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 高速・路線バス
- 航空会社
- KLMオランダ航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
15:44 トゥールース発
17:06 カオール着
チケットは、片道14.4e。
大きな荷物はトゥールース駅前のホテルで預かってもらい、リュックひとつの軽装。三泊四日の小旅行になる。 -
カオール駅の正面玄関。
翌朝ここからバスが出るはずだ。
駅前のビジネスホテルは67eで朝食なし。便利でいいが、シングル料金の設定がないので高くついた。
その後に知ったことだが、駅前にはきれいなユースホステルがあった。ウ〜ム、これは調査不足だった。 -
カオールもきれいな町だ。
ホテルに荷を置いて外に出ると、もう撮影可能時間ぎりぎりの夕闇が迫っていた。何はともあれ、先ずは町の象徴ともいえるヴァラントレ橋へ急ぐ。
14世紀の建造。ロット川が半円形に蛇行する内部に作られた町、橋は外部からの侵入者を防ぐ要塞でもあった。 -
聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラヘの巡礼路でもある。
橋の上には、ホタテの印が埋め込まれていた。 -
橋を渡って、その先の崖を登ってみた。
急な石段は手入れもされていないから、崩壊寸前。
両手を使ってよじ登り、
汗ぐっしょりで高い場所に出ると、
やはり「いい事」が待っていた。 -
カオールの全景が見渡せる。
ここで時間を使いすぎた。
すっかり暗くなって、もう写真は撮れない。それでも、町をひと回りして肉眼でしっかり記憶に残した。 -
締めくくりは居酒屋。
カオール特産の赤ワインは色も味も濃厚だった。『黒ワイン』と呼ばれて珍重されているという。
言葉がまるで通じない。周囲の客が自分の皿を見せて「これか?」などと協力してくれる。
何とか生ハムとナッツをゲットした。
40年まえ、学生時代の旅を思い出す。
あの頃のフランスは、都会でも英語が通じなかった。いつもこんな風に苦労して食事にありついたものだ。珍客にみな親切で、気のいいところは昔と変わらない。 -
翌朝 08:23 カオール出発。
路線バスは、カオールとフィジャックとの間を往復している。目指す村は、ふたつの町のほぼ中間にある。
フィジャック宿泊も魅力的だったが、列車のダイヤや帰りのバス時間、次の目的地への移動などを考えると、カオールの方が都合よかった。目的地で4時間程の滞在時間が確保できるのもありがたい。 -
チケットは車内で、片道6.2e。
運転手さんにサン・シル・ラポピーに行きたい旨を告げ、近い停留所で降ろしてくれるように頼んだ。何語でかって? この程度は身振りでも通じる。
「行き先」を記した紙を何枚か用意している。発音の難しい目的地や駅の切符売り場でも、間違われることがなくて効率がいい。 -
他に乗客は、カオール駅から乗った少年一人。
彼が途中の村で降りたので、
そこからは“超大型のタクシー″状態だ。 -
出発から40分も過ぎた頃、
運転手さんが進行方向の崖を指で示した。
あれが、サン・シル・ラポピーの村。
しかしバスはそこでは止まらず、
更に1分ほど走って平坦な場所で停車した。
『Tour de Faure』、ここが最寄の停留所になる。 -
畑の真ん中。
人の気配がない。静かで、のどか。
周囲に数件の家が見えるが、一箇所に固まっていないので「村」という印象を受けない。
停留所に備え付けの時刻表で、帰りのバス時間を確認しておいた。 -
車窓から見かけた黒犬が、人の降りたのを確認して走り寄ってきた。人なつっこい。色は違うが、大きさや顔つきが我が家のヤツとよく似ている。
このワン公が、崖の村まで案内してくれるようだ。 -
でも、案内は必要ない。
日本で読んだ誰かのブログにあった道順をコピーしてきている。「バス道路を少し戻り、左の道に折れる」とある。
こっちだ。
随所に案内板もあって、間違える心配はない。 -
それでもワン公、道案内は自分の使命とばかり、つかず離れず先を進む。
ときどき寄り道もするが、遅れを取り戻すべく疾走してきて、いつの間にかまた前に出ている。
写真の左下、畑に寄り道中の姿が。 -
「青い橋を渡る」とブログ。
えっ、「青」? 「緑」じゃないの?
橋はここ一本だけ。
案内犬もいるので間違えることはない。
信号は「緑」を「青」とも言うから、まあいいか。
下を流れる渓流は、ロット川。 -
やがて、唐もろこし畑の向こうに
朝陽を浴びたサン・シル・レポピーが姿を現わした。
村の入口まではもう少し、
ゆるい登り坂が続く。 -
客を気遣うように、
ときどき振り返りながら前を進むガイド犬。
以前にも同じような犬がいた。
アルベロベッロ、あの時は白い犬だった。
思い返せば、我が家の犬もリードを外すと同じような行動をしていた。猟犬種に固有の性格なのか・・・
セッターとポインターの雑種で、二年前に大往生。享年20歳だった。 -
で、どうやら村の入口に到着。
バス停から写真を撮りながら、
ゆっくり歩いて20分あまり。遠くはない。
忠犬ワン公、ご苦労さんでした。 -
ロット渓谷とサン・シル・ラポピーのパノラマ。
-
中心に聳えるのは、サン・シル教会。
-
崖の上に、危うげなバランスを保っている村。
カメラを構えた眼の端で、
黒犬が村へ走ってゆくのが見えた。
不思議なことにその後は、
村の中でも周辺でも
二度と姿を見かけることはなかった。 -
ちょっと居住まいを正して、村へ入る。
-
シンプルなサン・シル教会は、ロマネスク建築。
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中はモダン。
観光用に修復したか。 -
裏手はお墓になっている。
-
感心するのは、
村の外観だけでなく
内部の町並みや村の周辺までも美しい点だ。
人気投票でベスト1に選ばれた理由だろう。 -
教会の裏山にある展望台から見ると、
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どの屋根も、
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どの広場も、
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どの道筋も、
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どの庭先もきれいだ。
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広場の中央に、インフォメーション。
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脇に、地図が張り出されていた。
下から左の道を登ってきたのだ。 -
広場を囲んで、カフェやレストランが数件。
その一軒で、コーヒーを注文した。
一杯3eは人気観光地価格だが、まあ、しょうがない。 -
ハイ・シーズンが終った今はひっそりしているが、
ワイン、ガラス工芸、伝統織物の店は健在だ。 -
細い露地、
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庭先の花、
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裏通り。
-
冬の備え。
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村の外に眼を向けると、
ロット渓谷、 -
ロット川の岸辺、
-
ほんの小さな村だから、
同じ道を何度も行き来することになる。
同じ顔に何度も出会い、軽く挨拶を返しあう。
太陽は照ったり翳ったり、
そのたびに景色が変わるので写真を撮りなおす。
急ぐでもなく、時間を持て余すでもなく、
12時過ぎに村を後にした。 -
坂の途中、
唐もろこし畑から、押さえの一枚。 -
川沿いにはキャンプ場もあった。
-
よく見ると、路上にいろいろ落ちている。
葡萄、栗、柘榴、胡桃・・・
実り豊かな土地柄だと分かる。 -
来るときは気がつかなかった、一軒農家。
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かつては鉄道が走っていたらしい、
廃線と廃駅。 -
ツタの絡まる、廃屋か倉庫か。
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バス停横の公園に、サイロ?
12:56 のバスは5分遅れてやって来た。
往路と同じ道を、45分かけてカオール駅に戻った。 -
インスタント・アート作品①
-
インスタント・アート作品②
-
インスタント・アート作品③
次は、アルビからコルド・シュル・シェルに向かう。
(完)
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