2013/10/17 - 2013/10/21
50位(同エリア124件中)
極楽人さん
バルセロナからアンドラ・ラ・ベリャへ、さらに北上して南仏トゥールースまで、長距離バスを乗り継いでピレネー山脈を越えてみた。「眼を見張るような絶景」を期待したが、行程はあんがい地味。黄色く色づき始めた山肌はそれなりに美しかったが、技術不足に体調不良が重なって思うような写真にはならなかった。
滞在した三都市、バルセロナ、アンドラ・ラ・ベリャ、トゥールースでのスナップを中心に記載した。
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 高速・路線バス
- 航空会社
- KLMオランダ航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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-
09:03 コリウール出発。09:18 セルベール着で乗換え。
09:32 セルベール出発。列車はスペインのタルゴ。
コリウール駅は朝9時まで無人で、切符が買えない。これは知っていたので事前に購入しておいたが、駅舎が閉鎖されていてスタンプが押せない。列車の到着寸前に駅員が来て「スタンプは押さなくていい」と。日本人は律儀!?
セルベール駅での乗換え時にスタンプを押して、海沿いを一路バルセロナへ向かう。 -
「次の駅はバルセロナかい?」と、スペイン青年。
おいおい、なぜ外人観光客に聞くんだ。君の周りでも何人か降りる準備を始めてるじゃないか。
細身の黒づくめスタイル、ギターケースを抱えている。聞くと、田舎から出て来たストリート・ミュージシャン。バルセロナで一旗上げる気らしい。人なつっこい笑顔で、角の折れた名刺をくれた。
彼はひっきりなしに咳き込んでいて、このとき風邪を移してくれたらしい。症状が出たのは翌日の午後、シマッタと思ったが遅かった。 -
11:48 バルセロナ・サンツ駅到着。
2008年の高速鉄道AVE乗り入れを機に、ターミナル機能を集約したという。今はここが中央駅だ。以前の駅は確か、もっと海に近かったはずだ。
コリウールからの運賃は二人で 64.2e。シルバー割引適用の私の方が少し安い。到着が少し遅くなる普通列車なら半額程度に節約できるが、バルセロナで待ち合わせがあるので時間を優先した。 -
駅から歩ける距離のB&Bを予約しておいた。機能的で清潔だ。まだ新しいので、事前にストリートビューで確認したときは空き地になっていた。
宿周辺の住宅。窓の旗は『カタルーニャ独立支持』の表明。貧困や迫害が理由の独立運動ではないので、切迫感や不穏な空気は感じられない。
中心街までは、徒歩だと25分くらい。 -
宿に荷物を置いて、待ち合わせ場所へ。
メトロの自販機で、T-10(10回券)を購入。9.8e は都度買いの半値以下。何人で使用しても良い。滞在は1日半だから、これでほぼまかなえる。
都会は苦手だ。どこも似たような街角、忙しそうな人波に、方向を見失う。名所・旧跡には観光客がひしめき、カメラを向ける意欲も萎える。
妻は、ここから帰国する。
「一ヶ所くらい、大きなデパートのあるところがいい」のリクエストに応えたものだ。買い物に付き合うのは苦痛だが、在住する知人が快く支援を表明してくれて助かった。
観光名所も、ひと通りは廻った。大都会だが、サグラダファミリアとグエル公園を除けば、見どころは旧市街に集中していて徒歩圏だ。
写真は旧市街の中心、カテドラル(大聖堂)。
近くに、王の広場、カタルーニャ音楽堂、ボケリア市場。 -
目抜き通りのランブラス通りは、海とカタルーニャ広場を結ぶ。レイアール広場へ続くフェラン通りには人気のファッションや土産物の店などがひしめく。
列車で出会ったギタリストは、この辺にはいないようだ。どこのストリートで咳き込んでいるのやら。 -
ランブラス通りは、カタルーニャ広場に突きあたる。
角に大きなデパートもあり、買い物天国。 -
ここからグラシア通りを進めば、左に特徴あるガウディ建築のカサ・バトリョ、
-
その先の右側には、カサ・ミラが現れる。
妻だけ入場して、入場料はキャッシュのみ20e弱。
他人の住居を覗くからか、とても高い。 -
さて、サグラダファミリア。
朝9時前だというのに、チケット売り場にはもう長蛇の列。
ここも妻だけ入場。19.3eで塔まで登る。
私は節約したのではなく、とくに魅力を感じない。
妻のチケットは事前にネットで予約しておいた。
すぐに入場し、2時間後に同じ場所で待ち合わせた。
有料の工事現場。2026年完成はおめでたい。
うっとうしいクレーンが消えるだろう。 -
所在なく、付近をうろつく。
正面の公園からは全景が撮りにくく、
ついこんな格好になる。 -
人出を当て込んで、パフォーマーも登場。
-
裏に廻って、池のほとりから記念の一枚。
聞きなれた言葉が聞こえた。
「ガイドブックの構図と同じでしょ」と日本ツアーのガイドさん。一団が去るとまた別な一団。
ここに居ると“シャッター押し係”になるの。
早々に退散した。 -
グエル公園まで歩くのはちょっと厄介だ。距離があるのと、高台なのと・・・
サグラダファミリアからタクシーで向かった。
5〜6分で到着して、料金は7e。
すごい混雑、ごった返し。
近々有料化されるようで、入口付近で料金所の設営らしき工事が進行していた。 -
楽しみといえば、やはりバル。
待ち合わせた知人に案内してもらった。
バルセロナ在住のYさんは当地6年目。
元はアジアや南米が好きなバックパッカーとのことで、放浪時に同じ趣味のご主人と知り合われたという。ご主人は大手の旅行会社に就職し、スペインに赴任したのちに独立。現在はお二人でガイド会社をなさっている。贅沢な、プロの案内人付き。
「行きつけ」というボルン地区のバルをハシゴして、お薦めの酒と料理を堪能した。 -
普段は昼間から飲む習慣はない。
暗くならないと調子が上がらないタイプだが、
この日は例外とした。
イベリコハム、エビ、唐辛子、マテ貝・・・
新鮮な素材には簡素な塩味がいい。 -
アンチョビ、アーティチョーク、ムール貝・・・
『カバ』という、地酒のシャンペンが合うと教えてもらった。連れて行ってもらったところに限らず、その後に宿で教わった店も自分達で探した店も、食に関しては大いに満足した。
Yさんとは、今年5月のスピシュ城(スロバキア東部)で知り合ったばかり。妻の買い物も効率よく進み、観光にも適切なアドバイスをいただいた。夕方6時まで、たっぷり付き合っていただいて、ただただ感謝。 -
サンタ・カテリーナ市場。
観光客でごった返す大規模なボケリア市場とは趣を異にして、ここは地元客が中心の小さな市場だ。大聖堂の近くにある。 -
併設されたレストランでは『世界のメニュー』もあり、隣の席のお嬢さんはなんと『焼きソバ』を食べていた。
-
固い料理に奮闘する、おばあさん。
***
翌朝、帰国する妻を送ってバルセロナ空港へ。
荷物やら、乗換えやら、めんどくさいのでタクシーを呼んだ。
道は空いていて空港まで10分足らず、メータ料金に荷物や空港特別料金が加算されたのか、トータル36e也。
税の還付手続き(簡単!)を済ませ、自動チェックインして、9時過ぎにはゲート・インした。フライトは11時05分。少し早いが、中でまた買い物でもするのだろう。軽く手を振って別れた。
余談だが、KLMのやり方は感心しない。
出発の30時間前からネットで事前チェックインができる。座席は自動的に決められ、「ご希望なら変更を受け付けます」。座席には「快適さ」のランクごと料金が設定されていて、ガラガラでない限り上位の席しか選択できない。変更には万単位の追加料金が必要になる、というシステムだ。これでは、せっかく格安券を購入した意味がない。
往路では夫婦別々の列で、どちらも三人席の真ん中が割り振られていた。
「何とかならないか」と尋ねたら、¥18,000/人の追加を言われて断念した。座席が選べないなら、事前チェックインは航空会社の手間を省くだけで、顧客には負担だけだ。経営難ゆえの悪知恵だろうが、KLMにはもう乗らない。 -
ここから、ひとり旅。
空港の地階から、アンドラ行きのバスが出る。
場所が分かりづらく、人に聞きながら何とか停留場所を見つけた。
10:30 出発。
Novatel社の小型バスは出発10分前に来た。 -
Novatel社のバスは座席指定ができない。客は乗車して自分の好きな席に座る。
「何とかならないか」とメールを打ったら、「購入後にチケット番号を教えてくれれば善処する」の返信。半信半疑ですぐネット購入、番号を送った。お陰で希望した最前列を確保できたが、バスへ最初に乗り込んだので、そのせいかどうかは分からない。
とにかく、ここなら写真が撮りやすい。 -
この行程の素晴らしさを、どなたかのブログで読んだ。しかし目前の景色は、悪くはないが書いてあったほどではない。同じ道を選んだはずなのに・・・ “美”は人それぞれでいいけれど、ちょっと筆が走ったのかな、と思う。
そのうえ体調がおかしい。前日の午後あたりから、くしゃみ、鼻水、ひっきりなしの咳、時折こみ上げる吐き気。右手にカメラ、左手にティッシュ。持参した『龍角散のど飴』と根性で何とかしのぐが、涙目の先に周囲の客のヒンシュクが見える。最前席にやかましい男で、申し訳ない。ゲボッ!
3時間でアンドラ国境へ。もし検問があったら、検疫で引っかかっていたかもしれない。ゲボッ。 -
アンドラ公国はピレネー山中の小さな独立国。もとはカタルーニャ地方の一部だが、1993年に独立した。首都はアンドラ・ラ・ベリャで、標高1000mの山間に8万人が暮らす。公用語はカタルーニャ語で、国民の多くははスペイン語とフランス語を話す。通貨はユーロ。
-
鉄道駅、飛行場はない。
長距離バスが、スペインとフランスに通じている。
写真は、アンドラ・ラ・ベリャの長距離バスターミナル。 -
街中を清流が流れ、両岸に味気のないビルが並ぶ。
温泉も湧く。
湯河原にカジノができたらこんな感じか。
慎太郎一家が喜びそうだ。 -
それと、新興国ならではのモニュメント。
-
妙なものが、あちこちに。
これは早朝の写真だが、
昼前からは人通りの絶えない雑踏になる。 -
スペイン、フランスからの客が多い。
目的は買い物。 -
メインストリートにも、大型ショッピングセンターにも免税店。時計、宝石、酒などの定番商品のほか、家電やスポーツ用品も人気がある。冬の5ヶ月間は雪に閉ざされ、ウインタースポーツのメッカになるという街だ。
元は農業国。特産の葉煙草は香りが強く、ブレンド用として各国に輸出されている。オリジナルのタバコは見つけられず、残念。ないのかな? -
自販機の煙草が安い。スペインの半値、フランスの1/3くらいか。モンテネグロには及ばないが、クロアチア、スロバキアのレベルだ。
自分も煙草を補充しに来た。
『GOLD COAST』、10個入りカートンを17eでゲット。 -
ホテルも安い。
足を止めさせて、買いもの時間を長くする策か。
素泊まり 22e はユースホステル並み。評点が妙に低いが、レビューを読んで理由が判明した。“プロントの接客姿勢”に非難が集中している。原因が分かれば対処の仕方もある。期待しないことだ。広い洗面室はバスタブ付き。バスターミナルからも近いので、迷わず投宿を決めた。
問題は何もなかった。夜、ひとりフロント横でビールを呑んでいると、「遠くから来たな」と親爺がポツリ。ぶっきら棒で愛想は悪いが、心根は暖かそうだ。 -
買い物は好きじゃない。普段から、食材以外はネット通販と百均で事が足りる。バスの便が少いので、不本意ながら「買い物天国」に24時間の滞在を余儀なくされた。
街外れの旧市街に足を伸ばした。ひっそりした石造りの街並み、古風なロマネスクの教会には静かに祈る人の姿もあって、妙にほっとした。 -
一泊した次の日、15:30のバスで南仏トゥールースへ。
出発直後、左の車窓に街が見えた。
旧市街を見なければ、あざといだけの街に感じただろう。 -
バスの座席は、また最前列。
今度は最初に乗り込んだ訳ではないが、先に乗った人たちは後方の席を選んだ。ひょっとすると「前の席は老人用」という認識なのかもしれない。
すぐ後のオランダ女性が話しかけてくる。「どこ行くの?」「私はカルカソンヌに二週間アパートを借りたの。」黄葉が綺麗だが、咳とカーブと振り向きながらの会話で、写真が撮れない! -
おまけに、
車窓の偏光ガラスが景色の色を変えてしまう。
バスは丘を下り、村を通り過ぎて、 -
3時間半かけて、トゥールース中央駅横のバスターミナルに到着した。午後7時。まもなく日が暮れる。
ホテルは駅前、徒歩1分。ここを基点に、ミディ・ピレネーと呼ばれる地域の村を訪ねるつもり。駅で翌日の列車を確認したが、やはり午後までないようだ。それまでの時間は、トゥールースの見学にあてることにする。 -
写真は翌朝の、トゥールースの駅前風景。
街の中心までは、徒歩20分といったところだ。 -
街の中心は『キャピトル広場』
瀟洒な市庁舎と、
高さをそろえた赤レンガの建物が四方を囲む。 -
レンガの赤色はこの地域特有の土壌によるもので、16世紀には染料の交易で栄えたという。広場から伸びる街路も同じ色調で統一され、「薔薇色の街と呼ばれている」とガイドブック。
-
広場の北側に、『サン・セルナン・バジリカ教会』。
サン・ティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路として重要な場所らしい。付近の路上にホタテマークを探したが、見あたらなかった。 -
ガロンヌ川に架かる聖ピエール橋。
ここから先は新市街だ。
トゥールースは、ローマ時代からの歴史都市であると同時に、新しい産業や知識の発信地でもある。エア・バスの本社が置かれ、充実した大学を持つ。フランス第二の学園都市として、各国からの留学生も多い。 -
薔薇色の街路。
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シックな町並み。
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いったん駅前に戻り、
まだ時間があるので、ミディ運河に沿って散策を試みた。 -
10月下旬、
色づき始めた樹木と水の他には何もないが、フランスらしい風情がたっぷりの散歩道になっている。
歩行者用と自転車用の道路が併走している。
陽射しは柔らかだが気温は高く、歩くほどに汗ばんでくる。 -
運河は、ときに高速道路の上を流れ、
-
さらに先へと続く。
-
人々はゆったりと歩き、憩い、あるいは無心にペダルを漕ぐ。
5kmも歩いただろうか。
暑さに喉が乾いたが、
道筋には一軒の売店もレストランもない。 -
不意に、熱く胸にこみ上げるものがあった。
吐き気ではない、"絵ごころ"だ。
カメラをアート・モードに切り替えて、
ここからは、『スケッチ紀行』にする。
インスタント・アートその① -
その②
多少のコツはあるにしても、
手間も要らず道具も要らず、世間を恨むべき何事もない。
画家たちの苦悩はいったい何だったのか、と
「違いの分からない男」は始末が悪い。 -
その③
面白いもので、
光の僅かな加減で
出来上がりの色調が大きく変わる。
列車の時間が近づいてきた。 -
その④ いんちきスケッチはこれでおしまい。
一時間ほどかけて同じ道を戻る。
駅前のホテルに荷物を預かってもらい、
軽装になって、15時過ぎの列車で次の目的地カオールに向かう。
(完)
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