2013/10/15 - 2013/10/17
4位(同エリア9件中)
極楽人さん
欧州最大の城塞都市カルカソンヌと、
地中海沿いの小さな港町コリウールを訪ねた。
カルカソンヌの起源は紀元前6世紀にさかのぼり、紀元前3世紀には最初の要塞部分が形成された。ピレネー山脈の北側。交通の要衝であり、支配者は変わっても17世紀まで一貫して重要な要塞として機能した。シテと呼ばれる旧市街は硬い城壁に囲まれ、今も中世の雰囲気が充満している。
一方、コリウールはスペイン国境に近い入り江の町。明るく温暖な地中海の光と風がマチスを初めとする多くの画家や芸術家たちを呼び寄せ、彼らに愛され、また彼らを育んだ。静かで落ち着いた、風光明媚な漁村だ。
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 鉄道
- 航空会社
- KLMオランダ航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
09:40 アヴィニョン発。ニームで列車を乗換え、
12:26 カルカソンヌ駅到着。
目的の旧市街(シテ)は、「ここから徒歩25分」とある。
荷物を転がすのも大変なので、タクシーのお世話になる。
“流し”はいない。駅舎前の専用電話で呼ぶ方式だ。 -
タクシーは街を横切り、
ミディ運河に沿ってゆるい坂道を登ってきた。
丘の上のシテまでわずか5分、料金は8.5e。 -
正面玄関のナルボンヌ門に着く。
ここで降ろされ、城壁内のホテルまでは歩くことになる。 -
部厚く、いかめしい入口。
ここから中世が始まり、下は石を敷き詰めたデコボコ道。
コロコロケースの車輪が悲鳴を上げる。
妻のは、プロバンスから相当重くなっている。 -
門をくぐると、すぐ右側にインフォ。
地図をもらって、ホテルの場所を確認して歩き出す。
壁の内側は、なかなか賑やかだ。
旗に先導された各国のツアー客が狭い道幅にあふれる。 -
「モン・サン・ミッシェルと並ぶフランス最大の観光地」というのも頷ける。「カルカソンヌを見ずして死ぬな。」とも言うらしい。ここは日光だ。
土産物屋は多いが、スーパーらしき店は見あたらない。水などはパン屋で調達できるが、他は下の町で買い込むしかないようだ。 -
メインストリートの突き当たりに、古井戸。
テレビの街歩き番組でここを観た。
さまざまな伝説が残るイワク付きの場所だと、
商店のおばちゃんが説明していた。 -
宿を見つけたが、午後3時まで入れない。
鍵だけもらい、荷物を置いてすぐ横の広場へ。
ちょうど昼ごはんの時間。
周りの客を見て美味しそうなものを注文した。
観光地料理、観光地価格。 -
食後は、すぐ隣のコンタル城へ。
城の入口近くに、人気のユースホステルを見つけた。
とにかく立地がいい。珍しいことだ。
ひとり旅なら、断然ここにする。 -
コンタル城、入場料は8.5e。
とにかく、高いところへ出たい。
展示室をいくつか通り過ぎ、外に出る順路を辿った。 -
中庭。
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城壁。
-
下界が見えてきた。
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窓からも。
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カルカソンヌの下町。
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城壁のすぐ下の、教会広場。
-
丘の上の旧市街シテと新市街とは、オード川で隔てられている。写真の古い石橋(ポン・ヴィユー=旧橋)が昔の入口だった。
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シテの住民と新市街の住民、かつては争いが絶えなかったそうだ。それで、橋の真ん中に立つキリスト像で双方が交渉を持ったとか。テレビからの豆知識。
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岸辺の樹木が茂りすぎて、城砦は木立の影に一部が見えるだけ。全景を見る場所がなかなか見つからない。
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シテのすぐ下にも町が広がっている。
町並みの上に、巨大な要塞が覆いかぶさる。 -
標識に従ってゆるい坂を登ると、城砦の壁面に辿りつく。
今の姿は、19世紀の大規模な修復に負うところが大きい。
しかし正確な復元ではなかったらしく、大いに物議をかもしたということだ。円錐形の屋根は修復時の創作で、オリジナルは平坦だったそうだ。 -
城砦の外側に沿って歩く。
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進むほどに新たなシーンが現れて、飽きが来ない。
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ケヴィン・コスナーのロビンフッドをはじめ、中世をテーマにした多くの映画がここをロケ地に選んでいるという。
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カルカソンヌを、少し甘く見ていたかもしれない。
サン・マロ(ノルマンディの城砦)の経験から「3時間もあればひと回りできる」と踏み、余裕をみて半日とっておいたのだが、このペースでは半周しか廻れない。もっといい場所がありそうなだけに、惜しい。
次の目的地コリウールへの列車も宿も決めてしまったし、変更するには駅まで戻らなくてはいけない。
う〜ん、ここは断念。
夕刻、だんだん薄暗くなってきた。 -
陽が落ちて、ライトアップが始まった。
夜景を撮るのが妙に好きな友人がいるが、自分はあまり興味がない。
夜景は、ただ電球が光っているだけだ。 -
でも、これくらい地味なライトアップならいい。
兵士たちが炊いた“かがり火”もこんな感じか。 -
懐中電灯を片手に、昼間行った旧橋の袂まで足を伸ばした。
-
「・・・・・・」
-
翌朝、徒歩で鉄道駅に向かう。
帰りは下り坂なので、重い荷物は勝手に転がる。気に入った場所で写真を撮り撮りながら、30分かけて駅前まで来た。
カルカソンヌの駅前には、線路に平行してミディ運河が流れている。左右の水面の高さが異なるため、航行する船はここで調整する。ミディ運河は大西洋と地中海を結んでいる。 -
10:13 カルカソンヌ駅を出発。
10:47 ナルボンヌ着。列車を乗換える。
11:53 ナルボンヌ発。一路南下する。
しばらく水の豊かな湿地帯を疾走するのだが、左右の窓の両側に海が見えるのは不思議だった。 -
13:03 コリウール到着。
高台の小さな駅。
乗降客はほんの数人だが、カルカソンヌ駅で見かけた英国人二人組が一緒に降りた。日帰りで訪れる人も多いという。 -
町へは下り坂の一本道を辿ればいい。
海に一番近いホテルを予約しておいた。
設備も広さも、まあまあ。
窓を開けると浜辺が見えて、
気持ちのいい潮風が入り込んでくる。 -
一階のバー(写真)は「かつて画家の卵たちの溜まり場だったという。「面倒を見てもらったお礼に置いていった」という多くの絵や彫刻が、廊下や階段の踊り場にまであふれていた。
-
浜辺に出た。
ユニークな形の、これは教会。
10月中旬、まだ泳いでいる人もいた。 -
マチスが描いた風景を、鉄枠が教えてくれる。
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のぞくと、こんな風。
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半円形の湾の反対側には、石造りの要塞。
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位置関係は、こうなっている。
180度パノラマ撮影。 -
とりあえず、高いところに出たくて要塞に入ってみる。
-
出迎えてくれたのは、陽気なこの二人。チケット売り場と併設の土産物売り場を担当している。ノリの良さは、フランスというよりスペイン気質。国境まではほんのわずかな距離だ。
で、入場料は4e/人。
帰国後に「ぜったい、お願い!」と頼まれた写真を送ったが、今のところ返信はない。 -
こじんまりした中庭もいいが、
-
角度をつけて見る湾の風景もいい。
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桟橋の、なんとも柔らかな湾曲。
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不思議なやさしさ。
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高台には、もうひとつお城が見え、
-
水はあくまでも透明。
妻は足をつけたそうで、
「こんな冷たい中で泳ぐなんて・・・」
と驚いていた。 -
家々はきれいな中間色。
-
マチス・カラー。
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ちょっとした路地も、絵になりそう。
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誰かの家の扉。
-
街角のあちこちにマチスの絵が飾られていて、
ここは“あおぞら美術館”。 -
たそがれが迫る。
海に出た人たちも、みな戻る時間だ。 -
遅くならないうちに、教会を覗きに行く。
-
内部は、思った以上にモダン。
装飾は、なぜか金ピカ。 -
教会の先の、小島のように突き出た岬にも小さな聖堂。
-
振り返るとさっきまでの人通りは消えていて、ひっそりと聳える教会、その向こうの要塞。
-
これは翌日の早朝。
コリウール。いい場所にめぐりあえた。 -
濃厚なブイヤベース、マテ貝にムール貝。
海辺の町ならではの夕食はとても美味しかった。
イワシ専門店(左上)で手作りアンチョビも買い込んだ。
コリウール満喫で、次はバルセロナに向かう。
(完)
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この旅行記へのコメント (3)
-
- さん太さん 2013/11/02 15:54:50
- いつも参考にさせていただいております
- 極楽人さん
今回も素晴らしい所へ行かれたようですね。
カルカソンヌの夜景は気に入りました。
夜景にはあまり興味ないとの事ですが、なかなか素晴らしい写真です。
夜景に興味のあるご友人がいらっしゃるようですが、この写真を見せれば是非自分も行きたい、と仰ることでしょう。
- 極楽人さん からの返信 2013/11/04 21:10:21
- RE: いつも参考にさせていただいております
- さん太さんへ
写真を専門にしている真面目な先輩から、お叱りのメールが来ました。
自分のことだと思ったのかもしれません。(汗)
「夜景が好きでないとのことですが、夜空とわずかな明かりを含んで夜景はいいものです。(中略) 電球が光っているだけだ、はないでしょう。ライトアップされた城壁の写真はいいですね。」
主旨はさん太さんと同じで、私もにわかに自信がなくなりました。
アヴィニョンの紫の夜が、今はとても素晴らしいものに思えます。
夜景が妙に好きな友人も、これできっと喜んでくれるでしょう。(笑)
極楽人
- さん太さん からの返信 2013/11/04 22:22:17
- RE: RE: いつも参考にさせていただいております
- 極楽人様
私同様夜景に憧憬を覚える方もいらっしゃることに安心しました。
しかし極楽人さんがおっしゃるように「ただ電球が光ってるだけ・・・」というご意見にも考えさせられました。
“城壁もお城もその美しさは自然の光の中で、周りの自然との調和との中の美しさが出るように作られたものなのだ…
その建造物だけ、ただの電球で照らしたところで、現代人のただのまやかしの安っぽい美しさ…?”
今度カルカソンヌのコンタル城へ行ったときに、じっくり考えてみたいと思っています。
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