2012/12/31 - 2013/01/04
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kirinbxxさん
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2012年、私達は2年ぶりに香港でのクリスマスを過ごし、数々の広東名菜を堪能した。その後日本へ帰る友人達と別れた私達はキャセイパシフィック航空でパリへ向かう。2012年の年末の数日をイタリアで過ごしたのち、私達はフランス第二の都市リヨンへと向かった。永井荷風が住み、狐狸庵山人が学び、インターポール本部があるこの街に私達が目指す場所があった。
それはもちろん、ここ、ポール・ボキューズ。
- 旅行の満足度
- 5.0
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 鉄道 タクシー 徒歩
- 航空会社
- エールフランス キャセイパシフィック航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
2012年のクリスマス休暇を、私達は2年ぶりに香港で過ごす事にした。香港までキャセイパシフィック航空を使って行くとなるとそれだけではつまらない。休暇もあることだし、というわけでものはついでに欧州へも行ってみよう。前から懸案のパルマのクラテッロを食べに行きたいし、モデナにあるという気になっていたリストランテも訪れて見たい。あのあたりに行くならボローニャは外せない。よし、久しぶりに今回はイタリアメインにしてみるか。
とうわけでパルマ近くの小さな村でクラテッロに舌鼓を打ち、モデナで新進気鋭のシェフの前衛的イタリア料理に驚嘆し、フェラーラでこんな不味い物をイタリアでなぜ食べねばならぬと憤り、ボローニャでこれこそ今まで食べた中で一番旨いパスタだと喜び、ついでにフィデンツァのアウトレットで掘り出し物を見つけ、とイタリアを堪能したのである。
さて、イタリアもいいところだが欧州へ行くのにフランスをはずすわけにはいかない。飛行機の便がいいこともさりながら、フランス料理の魅力にはやはり勝てない。さて、大晦日はどこで食べるかな?と考えたとき天啓が。。。そうだ、あそこへいこう!
我々の世代のフランス料理ファンなら知らぬ者などいるわけもない御大もすでに齢90を迎えようとしているという。ぐずぐずしてはいられない。伝説的料理人が本当の伝説になってしまわないうちに、我々はリヨンに行かねばならないのだ。
というわけで我々は香港→パリ→パルマ→モデナ→ボローニャ、と回り、とうとうリヨンに辿り着いたのだった。
この街の旧市街は世界遺産登録されていて見所も多数あるはずであるが、今回はすべてパス。目的はただ一つ、ここ。 -
今はインターネット上でこの店のメニューを見ることができる。早くに予約をいれた我々はこれを見て、悩みに悩んだ。何しろ二人なのである。食べてみたい料理は余りにも多い。
当日、本当に決められるんだろうか、と不安をかかえつつ店に入る。うやうやしく黒服氏が持ってきたのは分厚い茶色の手触りも見事な表紙の大冊と一枚の折り畳んだ紙。分厚い方がワインリストなのである。
とりあえず、シャンパーニュをグラスで貰おう。ドン・リュイナールがグラスであるぞー。 -
メニューはというと。。。あらら。
黒服氏曰く「今日は大晦日、特別な日ですからね。お料理はこのムニュのみなんです。ご予約の時に申し上げたと思いますが?」
ごめんなさい、聞いてませんでした。
迷う必要など何もないのであった。
そして、ここには我々が食べてみたいと思っていた料理の殆ど、つまりはこの店のスペシャリテがずらりと並んでいるのである。 -
普段はそこそこ高級なレストランや鮨屋で写真を撮ることはしない(雰囲気ぶちこわしだし)のだが、この日のここは一大観光地モードになっていた(いつもそうなのかは知らない)。完全に満席、なおかつみんな賑やかに語らい、そしてあちらこちらで記念撮影がはじまっている。隣の地元の常連客らしいカップルもスタッフに写真を撮って貰ったりしている。ならば遠慮はいらない。というわけでぱちり。
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つきだしはArtichaut au foie gras。なめらかで芳醇なフォアグラ、バターの香りが見事なブリオッシュ。
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V.G.E.に捧げるトリュフのスープ / 1975年にエリゼ宮にて
ボキューズの名を轟かせた伝説的スープ。 -
スプーンをあてがって、ちょい、と押せばパリサク、っと崩れ落ちる。このパイの食感、スープの香り、残念な事にこういうものを表現する言葉を私は知らないのである。作家にはなれないなぁ。
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スープを食べ終わったとき、御大登場。矍鑠とした足取りで店内を回り、気さくに声を掛け、握手をし、我々のカメラを見て「一緒に写真を撮ろう!」と笑う。
この人が健在なうちに食べに来なくては。何年も何年もそう思い続けていた。来られて良かった、本当に。 -
化粧室へ行く途中にキッチンがあって、その前に御大が座っている。厨房の中の様子が丸見え。そして中からソースパンとスプーンを持った料理人が出てきて御大に味見をして貰っている。
その様子を見とれていたら御大が「中の写真を撮れ」と言ったので仰せに従ってぱちり。厨房の中を垣間見る事が、食べ手にとってどれだけ楽しいかちゃぁんとご存じなのだ。 -
本当に旨い物に出会ってしまうと写真を撮るなんて事は忘れてしまうものなのだ、多分。このオマールのあと、帆立のコキーユ、カルヴァドスのシャーベット、まではちゃんと撮影したのだが。。。
食べるのに夢中になりすぎて。。。 -
帆立のコキーユ。本当を言えば、帆立は好きじゃない。これはさすがに多すぎるなぁ。。。。1つ、残しました。でも、好きじゃない帆立だけど美味しくいただきましたよ。
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この世界に冠たるレストランの食卓にこんなものがあるとは、夢にも思わなかった。
勿論、出番はなし。 -
フランス料理の楽しみ、それはこれ。
日本だとやってない店の方が多いが、やはり食後のお楽しみはこうありたいものだ。若い頃のように、全種少しずつなんて無茶はもうやらないが、こうやって各種のチーズの顔を見て、ちょっと得意そうな(うちの店の品揃え、どうです?)説明を聞きながら、あれこれ迷うのがまた楽しい。 -
さすが本場!他のチーズとは別にフロマージュ・ブランもたっぷり。
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ま、今日は大人しくこんなところにしておこう。
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勿論、そのあとはデザート3種攻撃。妻はあわてず騒がず、全部を嬉しそうに平らげたのであった。
ワインとしては
Hermitage Chevalier Sterinberg 2008(白)
Cote rotie les Grandes Places 2008(赤)
の2本をいただいた。膨大なワインリストには目を剥くような希覯品からもっとリーズナブルなものまで、それこそ何百種ものワインが載っていたが、まぁ、懐具合からいってもこんなもので。しかしどっちも美味このうえもない。こういうものを飲むと、日頃飲んでいるオーストラリアのクリンスキンとはまったくちがう飲み物かいな、と思うのである。
隣のカップルは同じ銘柄のシャンパーニュを2本あけとった。これはこれで凄い。 -
満腹のお腹を抱えてホテルに戻り爆睡、翌日は観光もせず朝のエールフランス国内線でパリへ。
さすがにこの日、ちゃんとしたフランス料理を食べる気にはなれない。遅めの昼を適当に食べるか、とホテルからほど近い13区のアジア人街に出かけるとDong Tamというベトナム料理屋が賑わっているのを発見。客の多くがベトナム系の人のようだったのでここへ。
まずはビールのお供に揚げ春巻き。具の塩梅もいいし、何よりもパリパリサクサクとした揚げ具合がよろしい。 -
当然、フォーも食べる。牛肉の生スライスが入ったものを注文。これでスープがぬるいと台無しなのだが、ここのは熱々で生でいれられた牛肉に柔らかくちょうどいい具合に火が通っていく。例によってモヤシとミントとドクダミにしか思えない葉っぱがついてくるが、サイゴン(といいたい)と違って、いきなり隣のおじさんに入れられてしまうことはない。ドクダミはパスします。
スープの味もなかなかで、やっぱりパリのベトナム料理はレベルが高いなぁ、と二人でしみじみ。(シドニーのベトナム料理がひどい店が多いのと好対照)「ヨーロッパでその国の料理以外に食べるのは旧植民地の料理」という我が家の原則はやはり正しいのである。(英国とオランダでは「その国の料理ではなく」となる)
住所は12 bis rue caillaux, 75013 Paris
近くには他のアジア料理店やアジア食品を売る店もあって便利かも。 -
パリに来て少し時間に余裕があれば楽しみたいのはコンサート。パリ管なんかもいいが、パリには沢山の教会があって、そのいくつかでは折々に素敵な演奏会が開かれる。
この日はちょうどSt-Eustache教会でトランペットとオルガンのコンサートがあったので行くことに。この教会は「パリで最も外観の美しい教会」とも言われている。 -
外観だけでなく、中も見事。
建築オタクの妻に言わせると「教会建築は絶対カトリック(プロテスタントのは質素すぎる)、世俗建築は絶対王制時代のあった国に限る」のだそうな。つまるところ、莫大な工費と時間と人手をかけることができたところ、ということかな。 -
私達にとって、パリでホテルを予約するときにチェックすべきは、バスタブがあるかどうか、交通の便、徒歩圏内に評判のいいパン屋があるかどうか、といったところ。今回のホテルはメトロの駅近くにちゃんとパン屋がある。
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付近によさそうなカフェでもあればそこで朝食、と思ったがごくありきたりの大型店しかなかったので断念。
そこで朝起きてすぐパンを買いに出かける。クロワサンと何やら田舎風のパンを買って、部屋にあるコーヒーマシンでコーヒーを淹れて朝ご飯。
これもまたパリのお楽しみ。 -
昼過ぎまでは格別予定もないこの日。久しぶりに睡蓮と対面しに行ったり、何やら850周年だというノートルダム大聖堂にちょいと行列して入ってみたり、セーヌ川沿いをそぞろ歩いたり。
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昼は軽くカフェランチでも。ということで、フランス人と日本人のご夫婦がオーナーだというL’Auberge Caféへ。こじゃれた外観と内装の店でほぼ満席、日本人観光客がちらほらいる他は地元民らしき人が多い。
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カフェやビストロランチの前菜、といえば一番に思い出すのがこれ、クリュディテ。生野菜の盛り合わせだが、ひとつひとつを別々に味をつけてから盛り合わせるのが特徴。定番料理なので当たりハズレはまぁない。
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メインディッシュその1はアントルコート。塩胡椒がしっかり利いて、ちゃんと肉の味わいがあるフランスの肉料理。こういう料理についてくるサラダ菜も一枚一枚ちゃんと味がのせてあるのがさすがフランス。豪州ではこうはいかないのである。
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もう一つのメインはこれ、ちょっとアジア風。
メインと前菜一皿ずつにグラスワインをつけて一人あたり20ユーロ弱。この店を紹介していたいろんなブログには「今どき、この値段でこれだけの質と量のお料理をいただけるところは、パリでは滅多にお目にかかれません。」みたいなことを書いてあった。ふむふむ?パリってやっぱり高いのかな。
日本と違って、ちゃんと座ってサービスを受けてまともにランチを食べようとするとどうしても高くつくのが欧米豪なので、まぁ仕方ないかな。パリはやっぱり地方都市よりはかなり高いだろうし。
パリにもし住んでいたらこれを食べるためにわざわざ出かけてまでは、、、というのが正直な感想ではある。日本ならまぁ、半額でこれより美味しい物が食べられる店はゴマンとある。 -
夕方、パリ在住の友人のアパルトマンを訪問。昼営業と夜営業の間の貴重な休憩時間を割いてくれた友人は、またしても古酒をふるまってくれた。毎度毎度、ごちそうさまですm(_ _)m 日頃若飲みのオーストラリアワインしか口にしない身には、これがワインだと思い出させてくれる貴重な機会。持つべき物は友、という格言はこういうときのためにある。
友人宅を辞し、小腹を満たしに通りすがりのベトナム料理屋へ。が、今度はハズレで残すほど不味くはないが、二度とこなくていいレベルの店だった。この程度ならオーストラリアにだっていくらでもあるぞ。 -
いくら大晦日に御大の料理を堪能したとはいえ、パリに来てちゃんとしたレストランで食事をせずに帰るわけにはいかない。とはいうものの、さすがにもう一軒三つ星というのも財布に少々辛い。
というわけで選んだのはLA TABLE D'AKI。ランブロワジーで長年魚を担当していた日本人が独立して開いた店だという。となれば試してみなくては、と出かけてみた。
えーと、ここが入り口なんだろうけど緞帳みたいなのがかかっていて店内が伺えない。店名は書いてあるがなんだか裏口みたいだし、とウロウロしていると前に手持ちぶさたに立っていた男性が、ここだよ、と教えてくれた。(実はこの人も連れを待っていたこの店の客だった) -
店の内部はちょっとびっくり。分厚いカーテンがあってそれを開くといきなり正面に座った先客ともろにご対面。なんちゅう配置なんだ。。。
店は狭くて隣のテーブルとの間隔はとても狭く、奥の席に座るのも一苦労。
メニューは単純そのものでこの日の前菜は帆立貝柱のみで、ソテーかコキーユか。メインは魚料理が2種類のみ。
二人とも帆立貝柱は「食べられるけどどーでもいい」」「自分からは決して注文なんかしない」、要するに好きではない素材なのだけど、ないものは仕方ない。両方頼んでみたが、まぁ食べるならやっぱりコキーユかな。
なんか設定を間違えたのか色が変ですがご勘弁を。 -
となれば、最初のお決まりグラスで頼むシャンパーニュの後のワインは当然白ワイン。新しい店はどうしてもワインリストが寂しくなりがち。お手頃価格で出ていた中からこんなのを選んでみた。
シャンパーニュ2杯分と同じお値段。 -
本日の魚料理の盛り合わせ。火の通し方はさすがの絶妙さ、ソースも軽やか。
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そしてこっちがまた絶品、St.Pierre(日本語でいうと的鯛)のグリル。皮がパリパリで身は弾力があってごくごくわずか、生っぽさが残る。バターソースがまた香りが高くて美味しいのである。
的鯛はとても旨味のある白身魚だが日本でもよく釣られる割に料理屋で出てくることが少ない。パリで魚料理、というと当たり前のようにメニューに載ってるけど。 -
狭い店で料理を作るのはシェフ一人。サービスするのはあまり気の利かないフランス人の若い女性一人。
なのでシェフは大忙し。日本人シェフだから日本人からの日本語による予約も多いようでその度に自ら電話に出る。女の子がイマイチ気が利かないしワインにも詳しくないので時々自らサービスもする。そうやって忙しくしつつ、作り出すのが絶妙の魚料理。
フランスでこれだけ旨い魚料理を食べたのはそれこそ、数年前のランブロワジー以来かな。ランブロワジーはいい店だが、値段もよすぎて毎回行くって訳にもいかないが、ここは毎回パリに来る度に寄れそうだ。
昼間からシャンパーニュを飲み、ワインを2人で1本空けてのんびり食べて、食後ちょっとシェフとお話もさせて頂いた。次回パリに来たときにはまた寄ります、と言い残して店を出た。 -
空港へ向かうには少し時間があったので、1箇所観光に。パリ国立自然史博物館である。パリと言えばどうしても美術館に目をとられがちであるが、実はここは鉱物学、地質学、古生物学、比較解剖学などの分野を網羅した世界有数の博物館なのである。
お天気がよければ併設の植物園の中の散歩も楽しいらしいが、この日は冷たい雨。中をさくっと見て空港へ。 -
CDGのキャセイラウンジが新しくなったらしい。さっそく使わせていただこう。
ひろびろとして居心地が良さそうである。飲み物もいろいろ揃っているし、食べ物も夕食時ということで暖かい料理もいろいろあった。 -
キャセイのラウンジ、といえばヌードルバー。香港空港のヌードルバーは町中のつまらない粥麺屋よりはるかに旨い雲呑麺を出す。さてパリには。。。ちゃんとヌードルバーはあった。
フォーがあるあたりがパリっぽいかな。 -
えーっと。。。。
雲呑麺、たしかに雲呑ははいってるが何か間違ってる。
麺が違うのだよ、麺が>< -
パリから香港まで飛んで、乗り継ぎ待ちの間に街へ出て晩ご飯。何しろついこないだ香港食い倒れをやった後だし、そもそも二人だし、でもだからといって麺だけというのはつまらない。次回の香港オフで使える店を探そうとちょっと情報を漁って見つけたのがここ、留家厨房。随分といろんなサイトで褒めちぎられている。
伝統的広東料理とMSG不使用が売り? -
2人なので、名物料理だというものを3品と炒飯だけにしてみた。
うーん、まぁ不味くはないがわざわざ定番の店と入れ換えるほどじゃあないな、という結論。 -
最後にロブションが香港に出した店へ行ってパンを買う。何故かというとこの店、遅い時間になるとパンが半額になるのである。
都合よくもバゲットとクロワサンが残っていたのでちゃっかりゲット。 -
そして本家香港空港のキャセイラウンジのヌードルバーへ。そうそう、雲呑麺というものはこの麺でなければならぬ。是非ともパリのラウンジ担当者にこの味を伝授してあげてね。
あとはもう帰るだけ。今回もよく食べたね。
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