【百人一首歌枕巡り】 難波潟 短き蘆のふしの間も　～伊勢姫遺愛の品々～

2013/06/28 - 2013/06/28

競技かるたの兵庫大会に参加。

大会前に、
伊勢姫と能因法師ゆかりの地である
古曽部 （高槻市） を訪れました。


〔第19首／伊勢〕
難波潟　短き蘆（あし）の　ふしの間も
　逢はでこのよを　過ぐしてよとや

エリア 高槻・島本(大阪)

• 交通手段: 高速・路線バス JALグループ ANAグループ JR特急 徒歩

【伊勢寺・能因塚コース】


高槻 「歴史の散歩道」 の１つに、
伊勢寺・能因塚コースがあります。

伊勢姫と能因法師の
ゆかりの地を巡ります。

【伊勢寺・能因塚コース】


伊勢姫と能因法師。

百人一首の
「なにはが 」 と 「あらし」 の人です。

【伊勢寺・能因塚コース】

ＪＲ 「高槻」 下車。

駅のバスターミナルで
「日吉台」 行きに乗車。

バス停　「上天神」　下車。

【伊勢寺】

上天神の停留所の少し先、
小さな交差点から坂を下ってくると…

ありました！

伊勢寺 寺・神社・教会

【伊勢寺】

伊勢姫ゆかりの伊勢寺。


伊勢はもともと
宇多天皇の中宮・温子に仕えていました。

温子の異母兄弟である
藤原時平・藤原仲平とも交際していたとか、
求愛されたけれど応じなかったとか、
いろいろ説がありますが…

【伊勢寺】

やがて宇多天皇の寵愛を受けて
親王をもうけます。

今だったら、ありえないくらいの
大スキャンダル！


自分に仕えていた伊勢が
わが兄弟と恋愛関係にあると思っていたら
わが夫との間に子供を…って
温子の心中いかばかりか　(＠_＠;)

【伊勢寺】

残念ながら、親王は夭逝してしまいます。


驚くべきはその後。

宇多天皇の第４皇子である
敦慶 （あつよし） 親王との間にも
娘 （のちに女流歌人となる中務） をもうけます。


現代にこんなことがあったら
超特大スキャンダルです…\(◎o◎)／

【歌 碑】

伊勢自身が奔放なのか、
オトコたちが放っておかなかったが故の
結果なのかはわかりませんが、
波乱万丈な人生を送ることになった伊勢。


晩年は、ここ古曽部にて隠棲。

【歌 碑】

〔第19首／伊勢〕
難波潟　短き蘆（あし）の　ふしの間も
　逢はでこのよを　過ぐしてよとや


「な」 始まりの歌は８首。
「あ」 始まりの16首に続いて多いです。

・なつ （のよは）

・ながか （らむ）
・ながら （へば）
・なげき （つつ）
・なげけ （とて）

・なにし （おはば）
・なにはへ （の）
・なにはが （た）

なが／なげ系の聴き分けも厄介ですが、
なに系３首もお手つき発生源になりがち。

競技の進行によっては、
あっという間に２字決まりになることもあれば、
終盤まで４字決まりのままだったり。

おかげで色々やらかします、私。

【百人一首マメ知識】

第19首の伊勢に続き、第20・24・26首に
宇多天皇に関わりの深い歌が並んでいます。

〔第24首／菅家 （菅原道真）〕
このたびは　幣も取りあへず　手向山 （たむけやま）
　紅葉の錦　神のまにまに
http://4travel.jp/traveler/korinori/album/10599551/

〔第26首／貞信公〕
小倉山　峰のもみぢ葉　心あらば
　今ひとたびの　みゆき待たなむ
http://4travel.jp/traveler/korinori/album/10737806/

いずれも宇多上皇の御幸 （みゆき） の際に詠まれた歌。

【百人一首マメ知識】

そして、もう１首。

〔第20首／元良親王〕
わびぬれば　今はた同じ　難波（なには）なる
　みをつくしても　逢はむとぞ思ふ

恋多き元良親王ですが、
宇多天皇の女御・京極の御息所 （藤原褒子） とも密通。
（褒子は宇多法皇になってから入内。親子ほどの年の差婚）

そのことが世間に知られてしまい、
窮地に立たされた時に詠んだ激情の歌。

【！？】

本堂の脇に景観に合わないモノが…。

でも仏教と白いゾウって
深い関わりがあるんですよね、確か。

【本 堂】


本堂は、阪神淡路大震災の時に
部分損壊があり、修復したそうです。


同じ高槻市内でも、断層の位置によって
被害状況がだいぶ違ったとのこと。


伊勢寺は被害が大きく、
墓石もだいぶ倒れたそうですが、
近くの学校では、普通に授業参観があったのだとか！

【伊勢寺の由緒】

社務所へ行き、伊勢姫ゆかりの品々を
見せていただけるか訊ねたところ、
快く招き入れてくださいました。


住職は法事で外出するところだったので、
住職の奥様が中を案内してくださることに。

【伊勢姫ゆかりの品々】


本堂向かって右側の和室。

【伊勢寺古墳】


ここから発掘されたのが…

【伊勢姫遺愛の古鏡】

伊勢姫が使っていたと言われる古鏡。


博物館への収蔵の話もあったようですが、
多くの人に見てもらいたいからと
伊勢寺で保管しているそうです。

以前は、子どもたちが実際に触ったり、
顔を映したりしていたそうですが、
今はガラスケースに収められています。

【鏡入れ】

ガラス越しのため
撮影している私の影が濃くなってしまい、
見えづらくなっていますが、
１つ前の写真の古鏡が入っていた器だそうです。

【伊勢姫遺愛の古硯】

右側の黒いのが、
伊勢姫が使っていたといわれる硯。

これで実際に墨をすって、
和歌を書いていたのかなと想像するとワクワク。

飾り部分が精巧。
庶民ではなく、高貴な方の持ち物ですね。

【着物の一部？】

これもガラスケースに反射して見づらいですが、
着物の一部らしいです。

色鮮やかで、手の込んだ柄の布地ですね。


いずれの遺品も保存状態が良くて、
かるたーにとっては非常に嬉しい☆

【伊勢姫】


多くの男性に愛された伊勢姫の御姿。

【能因法師】

伊勢姫の隣には、
百人一首にも登場する能因法師。

〔第69首／能因法師〕
嵐吹く　三室の山の　もじぢ葉は
　龍田の川の　錦なりけり

能因は伊勢姫の作風に憧れて、
この地に移り住んだと言われています。

伊勢寺近くの能因ゆかりの地については↓
【百人一首／歌人の墓】 能因法師の墳墓
http://4travel.jp/travelogue/10793085

【しおり】

お寺のパンフレットと共に、
伊勢姫と能因法師のしおりをいただきました。

上の２枚の絵をもとに、
作られたもののようです。

【伊勢姫】

絵の一部が破れているうえ、
ガラスの反射もあって見づらいですが、
老いた伊勢姫の姿だそうです。

宇多天皇・敦慶親王父子をはじめ、
藤原時平や仲平など
多くの男性に愛された伊勢姫。


とても美しい人だったのでしょう。


小野小町もそうですが、
美しい人はなぜか老衰像を残される…↓

【百人一首歌枕巡り】
花の色は移りにけりな いたづらに 〜小野小町の老衰像〜
http://4travel.jp/traveler/korinori/album/10738387/

【住職の百人一首コレクション】

競技かるたのような
激しいものではないようですが、
こちらのお寺でも、長年にわたって
百人一首かるた会を開催しているそうです。

【住職の百人一首コレクション】


１枚１枚きれいな手書き。
ほ、欲しい…。

【伊勢廟】


墓地の石段を上がった先に、

【伊勢廟】


伊勢姫を祀っている伊勢廟堂があります。

【伊勢廟】

【伊勢廟】

廟の中には、大きな石が。

どうやら
これがご神体のようです。

【伊勢廟】

慶安４年（1651）建立の
顕彰碑 （けんしょうひ）。

台座が亀の形です。

【伊勢寺】

とても優しい住職の奥さま。

これから能因法師ゆかりの場所に行くと話したら、
親切に道を教えてくれて、
お茶までごちそうして下さいました。

　　　　　　　　 ☆ ありがとうございました ☆

伊勢寺 寺・神社・教会