2012/09/08 - 2012/09/10
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tuviajeroさん
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今日は映画127時間(映画の殆どが畳半畳分のスペースと一人の男で終わるのですがとても面白いです)の舞台になったホースシュー・キャニオン(ラストシーンに出てくるだけだが舞台のブルー・ジョン・キャニオンはこの谷の一部)が岩絵で有名なのでゴブリン・バレーの直ぐ近くなので見学に行くことにしました。
日帰りの軽い気持ちで行ったのですが、思いもかけぬ1泊旅行になり、死ぬ覚悟もするぐらいのことになりました。この写真は其の現場の直ぐ近くです。この道路の直ぐ近くまで辿り着いてどうにか生き延びることができました。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 1.0
- グルメ
- 1.0
- ショッピング
- 1.0
- 交通
- 1.0
- 同行者
- 一人旅
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
ホースシュー・キャニオンに向かう道です。ゴブリン・バレーと24号線を挟んだ反対(東)側にあります。谷の出口はグリーン川の数少ないボート・ランプの一つであるミネラル・ボトムの対岸になります。殆どキャニオンランズ国立公園のメイズ区域に隣接しています。
ミネラル・ボトムは今回の一連の旅行記の最後に一人でカヌー旅行をした時の引揚げポイントとして書く予定です。
この時は何気なく撮った写真ですが、私が生死の境を彷徨ったのはこの写真の地平線近く画面の右外れから彷徨い始めて正面左側あたりで救出されたのだと思います。
画面の地平線左に薄くかすんで見える山の連なりがサン・ラファエル・リーフでこの風景が結果的に私の命を救ってくれました。24号線はリーフ近くに平行するように走っています。 -
地形はこんな感じで低い凹凸が続いて極度に乾燥していて植生は低い潅木が疎らにあるだけで、それ以外は日陰の類は皆無です。
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台地の裂け目のようなホースシュー・キャニオンが見えてきました。
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トレイル・ヘッド近くにあった御馴染みの貝の化石です。
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この下に降りてゆく訳です。
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左方面、奥の方が渓の下流側、出口になります。グリーン川を下ると谷の出口が見えますがグリーン・リバーの町から漕ぎ出して無人の谷合を4日ほど掛かります。
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乾燥地帯でも渓ですから下に降りれば水気もあってスプルース・ツリーや樫など大きな木や草花も多いです。
花びらの縦筋がなにか紙細工みたいで可愛いです。 -
こちらの黒いボツボツは地衣類のコロニーでこの乾燥しきった地域では土に湿度を保ったり栄養を与えたりするとても大事な役割があるらしいです。何処の国立公園でも踏み荒らさないようにハイカーに注意しています。
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水気が有ると言ってもトレイル最初のうちは日陰が少なく焼けるような暑さの中を歩かねばなりません。
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しかし谷底には最近水が流れた痕跡もあり、泥がズルズルで滑り易くて大変です。帰りに滑ってコケました。
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谷の奥へ行くほど狭まるので日陰も多くなり大きな木も増えて楽になりましたが道などは特に無いので自分で歩きやすいルートを探しながら行かねばなりません。
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最初の岩絵が有りました。特定のコースも標識も一切無く、勿論「こちら岩絵」なんて云うのもありませんから渓の両壁面を注意深く見ながら歩かないと見落としてしまいます。
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こんな高い所に描いているのですが特に足場なども有りませんので梯子のようなものを立てかけたのでしょうね。
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所謂“宇宙人”の絵も沢山ありますが、“目玉の親爺”みたいなのや箱かジューク・ボックスみたいな、おそらくは精霊を描いたのではないかと思う抽象的なものもあれば、羊のようなウシ科かイヌ科の動物のような写実的な絵もあります。
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何かシュールで不思議な絵ですが、芸術や記録と云うよりも呪術的なものが多いのでしょうね。
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絵は渓沿いに点々と色々なスタイルで描かれています。
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他にも沢山ありましたがこのくらいで・・・
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そして谷からの帰りにエライ目に遭いました。岩絵見物に来ていた夫婦者に遇ったのですが彼らはセダンで来ていて、途中まで付いて来てくれないかと頼まれて快諾したのが失敗でした。
話をしているとこの直ぐ近くのユタでも“大秘境”と言えるキャニオンランズのメイズ区域でハイキングしたことがあると、しかも全部歩きでと云う話や自信たっぷりの経験談を聞かされて信用したのですが、帰り道で彼は見事に道を間違って細いトレイル“のような”ところに入って、しかも先導する彼は止せば良いのにジープの私でさえ躊躇する猛スピードで走った上にジャンプして深い砂に飛び込んでしまったのです。
すると彼は「引っ張り出してくれ」と、しかも自分で牽引用ロープさえ用意していない全て他人任せ状態です。私は買ったばかりの新品のロープの封を切り何度も試みましたが出てきません。「町まで送ってやるから私の車に乗りなさい」と言っても「もう一度、もう一度」とせがまれて彼の誘導する通りに細かく微調整しながら引っ張っても結局彼も諦めて夫婦揃って車に乗せて出ようとしたら今度は私の車が埋まっていたのです。
仕方がないから車輪の下にこれも殆ど未使用のサーマル・ブランケットを犠牲にして敷いたりしても結局駄目でした。彼らは歩いて道に出ると言い出したので「私はここに残る(常識)」と言ってもどうしても「グループは崩すべきではない」と聞きません。後で知ったのですが、彼は根拠も無く自分の考えに固執するところがあり、しかも自立心がとても弱く「グループを崩さない」と云うよりも「自分の遣りたいようにしたいが他人に頼りたい」と云う考えらしかったです。“ジープを連れて歩きたい”と言うのも同じ発想でしょう。しかし、待っていても誰かが通る可能性が少ないのも事実です。未だ彼をある程度信用していたので付合いました。これが二番目の間違いでした。 -
そして午後遅くに歩き始めましたが先に進めば進むほど「これは道路じゃない、ただのクリークだ」と云う感じになりました。そして暗くなっても状況は悪くなるばかり、そして私は日帰りのドライブのつもりでしたから夜を過ごす用意は全くしていません。食べ物も無く、有るのは常に車で持ち歩いている10Lの水袋だけです。夫婦は殆ど持っていないので分けてやります。それにしても男の方は小便を水筒に溜めたり映画の真似をして得意気で軽薄この上ないです。
そして真っ暗になり野宿になりましたが夜は冷え込むので一晩中体が震えて一睡も出来ません。夫婦の方は寝袋を一つ持っていて一緒に潜り込んでいるからヌクヌクです。そして、今か今かと待った朝が来ました。 -
明るくなれば自分達がいる状況が少しでも見えるでしょう。しかし、本当に腹の立つことに、件の男が「夢で見たんだけどタイアの空気圧を下げて車が出た」だから戻ろうと・・・バカじゃないか!何時間も掛けて歩いてきた道を又戻るなんて遭難の典型的パターンじゃないか・・・この時点でこいつは口先だけベテランの全くのド素人だと判断しました。で、私は「イヤ、目の前が少し高くなっている。そこまで行って周囲を確認するのが先だ」と主張しました。
そして上から眺めると「あった!」・・・嬉しかったです。遥か遠く、何十キロあるか判りませんが私が良く知っているサン・ラファエル・リーフが見えたのです。あのリーフに並行して24号線があり、救助を求められます。勿論そちらに歩くことに決めました。実は地図も持っていたのですが、丁度この地域は何も無い外れの場所なので地図では凡例などの図で潰されていました。 -
件の男は本当にただの何も知らん都会っ子らしくて、夜に周りを牛の群れに囲まれると襲われないかと真剣に心配していました。「こちらから手を出さない限り無視されるだけだ」と何度説明しても何時までも心配していました。
途中からトレイルのような道になりましたが長期間車が走った様子が有りませんので何も期待できません。それより大分サン・ラファエル・スウェルが近付いてきました。24号線までもう5マイル以内でしょう。
そしてマタゾロ心配性男が騒ぎ出して「24号線はあのリーフの裏という事は無いか?」と言い出す始末で、私は「君が24号線からホースシュー・キャニオンに行く途中にあんな山を越えたか?全部平坦な土地だったろう」と云うとやっと納得する始末です。しかしその直後に私が遠くに見える岩に気付いて「あの岩は24号線直ぐ脇にある岩だ」と言うと、明らかに岩の方が遠いのに今度は「其の岩に向かおう」と言い出す始末です。私は当然「行けば良いさ。でも私はこちらに真っ直ぐ行く」と・・・それで又簡単に折れる程度の・・・何か簡単に思いついてはそれに飛びつく、あるいは囚われてしまうという感じの男でした。集中できない、やることに一貫性の無い腰が定まらない男でした。 -
しかし昼頃になると殆ど丸一日水以外は何も食べずに歩き続けた。そして一晩中寒さに一睡も出来ずに震え続けていた(これって凄いカロリー・エネルギーを消費します)影響で完全にガス欠状態で歩けなくなりました。しかし木の一本も生えていない荒野の炎天下の下に体を休める日陰もありません。そこで一番大きそうな潅木に帽子とタオルを載せて“頭だけでも”日陰に入れました。この写真は夕方に陽が傾いて起き上がる元気が出てから撮ったものです。黒い袋が私たち3人の命を救った水袋です。
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周りはこんな光景です。昼の日の高いうちは日陰は頭だけで体中を炎天下に晒してもう起き上がる力も湧きませんでした。見えるのは青い空ばかりで「このまま炎天下に寝ていたら死ぬかもしれんナァ」と思いつつも既に暑さも感じず、体もふわふわと正体の無いような脱力した心地良さがあり、そして身も心も何も抗う必要も無く全てを委ねる楽さも伴い決して辛いものではありませんでした。ある意味安らかで死ぬ時はあのようにこの世にオサラバしても良いと思います。
私は全くガス欠状態でしたが、夫婦者は昨晩温かい寝袋でシッカリ睡眠を摂っているので若さもあり未だ体力が残っています。現時点ではどう考えても24号線まで2マイル程度、3マイル(約5キロ)を越える事は無いでしょう。
彼らが先に進んで助けを呼ぶと言い出したときに反対しませんでした。
それにしても変な思い付きを出しては唐突に行動する男も一人では行動できないらしくこの期に及んでも私に「どちらに向かって歩けば良い?」と訊いて来ました。私は半ば呆れながら喋るのも辛かったけれど「目の前に見えるサン・ラファエル・リーフに向かって歩け。他所に行くな。せいぜい2・3マイルだ」と当たり前の指示をしました。
そして私の水袋の水を半分遣りました。彼らは殆ど水を持っていなかったので私が居なかったら脱水症状で多分死んでいたでしょう。 -
この写真は「ヒョットすると遺言代わり」と思って撮った写真です。遠くにかすんで見える山の連なりがサン・ラファエル・リーフです。正面には二本角のようなテンプル・マウンテンも見えます。「あの山の下にキャンプと寝袋があるのだと思うと何か近いような手の届かない遠くのような複雑な思いをしました。
このまま夜まで動けないと多分その夜の寒さに耐える事は出来ないだろうと思っていました。暗くなれば私を見つけるのも無理だろうし・・・ただ、この後に段々陽が傾き始めると潅木の陰も長くなり、上半身には陰ができるようになりました。そうなるとかなり楽になり、「もしかしたら動けるようになるかもしれない。もう少し涼しくなるまで待って、暗くならないうちに歩き始めよう。残りはせいぜい2・3マイルだ。100メートルずつ休み休み歩けば体が冷えるのも防げるしどうにか道路まで辿り着けるだろう」と気力と思考力が戻ってきました。それまで充分に休息を摂ろうと努めるだけでした。 -
未だ体を動かせる状態ではなかったですが、もう歩き出さないと24号線に行き着く前に暗くなってしまうと云う時間になりました。気力を奮い起こして立ち上がり身支度を整えて夫婦の後を追うために足跡を探し始めて周りを見廻すとナント!!!左程遠からぬ所に二人の男の姿が・・・こちらが最初に気付いて声を掛けました。あの駄目男がレスキューを連れて戻って来てくれたのです。
彼は私を置いて行く時に周囲の写真を撮っておいたのです。それで場所が判ったらしいです。彼が行った唯一的確な判断でした。写したら直ぐに画像を見ることができるデジカメ時代ならではの快挙です。 -
レスキューはハイウェイ・パトロールとレンジャーの二人でした。この写真の帽子の私服男が親愛なる駄目男で、制服が本当に親切なハイウェイ・パトロールのマイク・ジョーゲンセンです。
マイクとレンジャーのジャックは私たちを安全なところまで届けてお役御免の筈ですが、なんと真夜中までかかって私たちの車の場所を探してくれて2台の4駆で砂から引っ張り出してくれました。後で友人のボブに聞いたら本当は税金でそこまで遣るべきではないことだが親切だから遣ってくれたらしいです。町からレッカーを呼んだら一財産掛かったでしょう。
そしてまた、車を引き出すときに私の牽引ロープで駄目男の車を引き出したのですがロープが外れなくなりました。ジャックが「こいつに金を払って切っちゃえよ」と言いまして、実際切ったのですが駄目男は金を払うどころか「ゴメンネ」も言わずに何事も無かったかのように・・・私の損害は新品の牽引ロープと殆ど未使用のサーマル・ブランケットでしたが・・・駄目男から誠意のある“言葉”ぐらいは欲しかったです。
ところでレンジャーのジャックは“127時間”の実際の救助場面に彼も居たそうです。運命的なものを感じました。 -
あくる日、24号線の現場に近いと思う場所に行ってみました。この道路左(東)側で彷徨ったのです。正面一寸右ぐらいに見える二本角の山がテンプル・マウンテンです。あの少し先の麓にゴブリン・バレーがあります。因みに先に行くとハンクスビルと言う集落で、後ろがグリーン・リバーの町です。
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今日はそれほどカンカン照りではないですが、この荒野で彷徨っていたのです。この先をずっと行けばホースシュー・キャニオンとグリーン川があります。平坦に見えますが低い畝が幾つもあるような地形ですので結構見通しが悪くて方向を確認するのが結構困難です。
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こちらが道路右(西)側、サン・ラファエル・リーフです。この岩山をひたすら目指して歩いたのです。全歩行距離で20マイル(約30キロ)はあったと思います。砂混じりの軟らかい土を炎天下の中、水だけで夜も寝ないでそれだけ歩くのは本当に・・・でした。
今朝、ゴブリン・バレーのキャンプで隣人と話しをしたら、彼は私が荷物を置いてあって引き払ったとは思えず、しかし帰ってきた様子がないから異変があったのではないかと昨日バーク・レンジャーに届けたそうです。私の方も救助されてまず最初にマイクに頼んだのはパーク・オフィスに私が遭難して救助されたことを連絡して欲しいと云う事でした。私も隣人も最善の行動をとったわけです。隣人には感謝しました。
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