2013/04/19 - 2013/04/19
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ちびのぱぱさん
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4月、札幌から登別へのドライブ
何もない、春みまんの道央
天気、朝方に豪雨のごとき雪、のちどん天
ウトナイ湖で、北に帰りそびれた白鳥三羽
白老、ポロト湖畔の町営温泉は、今にも朽ちんとし
のぼりべつ、地獄谷の黒こげ円空仏……
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 自家用車
-
本州から北海道に渡ってきた人間が、おそらく、もっとも憂鬱になるのが、冬にむかいつつある11月と、
冬が終わったと油断する、この4月……。
蝦夷の四月は、冬ではないのですが、かといって本州の感覚で言う「春」では、けっしてありません。
ぐずぐず言っても仕方ないので、登別温泉に入りにゆきます。
軽自動車で、札幌北インターからのって千歳まで来ると、朝の9時までに札幌南インターを通過すれば、ETC割で500円なり。
悪路の千歳を国道36号線でぬけるのは、そうとう機嫌の良いときでも敬遠したいので、この500円、惜しくはありません。
千歳空港を過ぎると、上空には百花繚乱のジェット旅客機。
このあたり、美々川に沿って進む36号線沿線は、まことに北海道らしい景色です。
美々川の冷たく暗い流れが、アシの枯れ原を蛇行するのは、釧路湿原を見るよう。
「ホテルニューヒルトン」という看板を左に入ってみると、いく艘かのカナディアンカヌーが橋のたもとに引き上げてありましたから、
そういう遊びも、夏になったらできるのでしょう。
寒風に吹き戻されて車に逃げ込み、36号線をさらに苫小牧方面に進むと、ラムサール条約に登録されているウトナイ湖畔に達します。
湖畔は、いつの間にか整備され、立派なビジターセンターや、おしゃれな道の駅が建っていました。 -
館内には、高価そうな望遠鏡が、惜しげもなく並んでいました。
この望遠鏡を覗いてみると、二羽の白鳥が、鉛色の空を映した静かな湖面に、物憂げにうつむいて、浮かんでおりました。
望遠鏡から目を離して、肉眼で湖を見ると、遙かかなたに点のようにそれと識別されました。
しかし、それ以外に、白鳥とおぼしきものは見あたりません。
もう、みんなシベリアに帰っちゃったんでしょう。
取り残されたハクチョウは、いつロシアの湖に旅立つのでしょう。 -
ウッドチップを燃料とするストーブが、あかあかとした炎を雲母の中に踊らせて、無人のロビーの片隅で、独り無言でがんばっていました。
音がしないんですね。
無人の部屋で、ひとり黙々と燃えるストーブ……
こういうのに、蝦夷の四月を感じます。 -
駐車料金はおろか、入館料もすべて無料です。 -
北海道生まれの北海道育ちなのに、寒さのニガテな相方が喜ぶ、自然観察ほうしき。 -
この景色が、北海道の四月です。
連休に来ても、大して変わりませんから、そういう計画の方は、心してください。 -
路傍のふきのとうを二つ摘んで、フキ味噌を造りました。 -
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湖畔に出ると、のんきものの白鳥三羽が、岸に上がって羽を休めています。
こんなでかい体で、札幌の我が家の上空を、ぜえぜえ言いながら、北西を目指して飛んでゆくのが、ちょっと信じられない。 -
以前は、もっと垢抜けないドライブインのようなものがあって、昔の北海道の観光地にありがちな猥雑さを備えていたのですが、
すっかりよそ行きに着替えてしまったようなウトナイ湖畔。ウトナイ湖 自然・景勝地
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おや、そうですか。
人間が近づくのはいやなんだ。
ゆっくりと湖の中央に、泳ぎ去ってしまいました。 -
白鳥の去った岸近く
大きな野ゴイが集まっていて、浅瀬で押し合いへし合いして、ときどきひれを水面から出して、オイデオイデをします。
餌を要求しているのでしょうか。 -
ウトナイ湖畔を後にし、さらに、さぶろく(国道36号線)を進んで、苫小牧をぬけ、白老の市街地にはいると、ポロトコタンがあります。
今にも倒壊しそうなポロト温泉の前に車を停めて、ぼうっと湖を眺めていると、27年前のふゆに、スケートをしにきたのを思い出しました。
スケートでカクカクするひざを抱え、温泉にはいると、コーヒーのような湯にびっくりしたものす。 -
-
好奇心むき出しの相方とともに、玄関のガラス戸から中を覗くと、ちょうど、ひとりの男性が出てくるところと鉢合わせ。
70くらいの、丸顔に立派な眉毛の男性に、
「もう、上がられるんですか?」
と、訊ねると、
「ここはね、むこうのチセやなんかも、ぜ〜んぶ国が買い上げちゃったの。だから、好き勝手できなくなっちゃってさ。おれは白老の生まれなんだけど、この温泉だって、閉めるっていうのを、おれが町に掛け合って何とか続けてもらってんだ。いい湯だよ。入ってきなよ。」
そう、問わず語りで事情を話してくださいました。 -
湖ごしに、アイヌ古潭が見えます。
そういえば、このあたりは、明治初期の旅行家、イザベラ・バードが旅をして、アイヌの人々と交流をしたあたりではなかったかしら。
イギリス人のバード女史は、病気療養と称し、ほとんど探検家なみの精力的な旅行をなさったかたです。
その克明な記述はむしろ、現代日本人が、新鮮な驚きでそのころの日本を知るのに、適しています。
彼女の書いた「日本奥地紀行」によれば、明治11年8月にこの白老を訪れたことになっています。
好奇心が服を着て歩いているような女史は、先住民族であるアイヌ人に、ひとかたならぬ関心を持って接したようです。 -
バード女史はさておき、目の前の男性の話では、国がこの辺り一帯を整備して、文化施設なども新設するのだそうです。
そういえばウトナイ湖も、一足先に同じような経緯をたどったのかも知れません。
ともあれそういうわけで、「好き勝手できなくなる」のだそうです。
わたしは、その「好き勝手」ということばに、妙に生活感を感じて、あれこれと、おじさんが好き勝手をしている様子を想像してみました。
そのむかし、バード女史が訪れるよりももっと昔、先住民族であるアイヌ人は、この蝦夷地で、好き勝手にしていたのだと思います。
ただ、その好き勝手には、後から来た和人とは全く異なる、自然との調和があったのではないかと、想像してみました。 -
さぶろく沿いにある、たらこで有名な虎杖浜の、実に個性的な温泉宿の数々に目を奪われつつ、登別に向かいます。
この虎杖浜温泉、いつかその温泉民宿に泊まってみたいのですが、「素泊まり2000円」などと書かれた看板に心惹かれながらも、いまだ泊まれずにきています。
登別の万世閣に、12時ちょうどに到着しました。
そのランチバイキング、入浴料込みで2000円、に予約を入れてありました。 -
野菜中心の「ベジタベル」ランチは、非常に好感が持てました。
お勧めと思います。
三階にあるバイキング会場の前に、日帰り客用の休憩所が設けられていて、13:30分から始まる入浴タイムに先立って、数人の年配者が、魚河岸のマグロのようにごろ寝をしていました。 -
おなかが一杯なので、温泉につかる前にちょっとお散歩。
しばらく見ないうちに、温泉通りにはいろいろ小細工が施されています。 -
昔は、谷底の目立たないところに古びた形に建っていたのに、ずいぶん立派になった共同浴場「さぎりゆ」。 -
温泉通りの終わりに、三時間間隔で、一度に30分吹き出す間欠泉があります。
なぜか、見るときはいつもお湯が噴き出しています。
説明によると、8mも吹き上がると言いますから、天井に勢いよく吹き付けるのでしょう。
たまたま終わったところに来れば、二時間以上待たなければいけない計算になります。
みたところ時刻表があるわけでもないから、見られるかどうかは、あなたの運次第、ってなところでしょうか。 -
目印は、この石像…… やけにリアルです。 -
地獄谷は、この時期の平日昼下がりとあって、ほとんど人影もなく、谷から吹き上がる風が、硫黄のニオイを運んできます。
そのニオイをかいだら、相方が言いました。
「温泉にはいろうか。」
そういう気分にさせるニオイです。
振り返ると、小さなほこらに、17世紀の彫刻家、円空の手になる仏像がありました。
説明書きを読むと、しばらく行方不明になっていたものが、黒こげの状態で見つかったのだとか。
円空の彫像は、ほのぼのとして人気があります。
江戸時代の初期、円空の歩いたころの蝦夷地というのは、いったいどのようなところだったのでしょう。
25センチほどの焼けこげた木彫は、どこか、木彫りの熊のようで、やはりというか、とぼけた味わいがありました。
でも、もはや私たちの関心は、これから入る温泉に向けられていたのでした。
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