2013/02/09 - 2013/02/09
145位(同エリア261件中)
倫清堂さん
自宅がある仙台市のお隣名取市には、紀州熊野の御本家を除けば日本で唯一、熊野三山が一ヶ所に集まる霊場があります。
それぞれの神社には行ったことがありますが、一度に三山を参拝したことはありません。
冬の晴れ間に恵まれたこの日、雑用を終えた後でそれを実現することにしました。
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まずは保安元年に御創建の熊野本宮社。
宮城と山形をつなぐ国道286号線から脇道に入ると小さな鳥居があり、その先に鎮座しています。
御祭神は熊野櫛御家都御子大神・熊野牟須美大神・熊野速玉之男大神と、他に11柱。
伝説によれば、熊野の山伏が松島へ詣でる際、その夢枕に熊野権現が現れ、名取に住む老女に会って和歌を伝えるようにとお告げが下されました。
山伏が名取に着いて探してみると、果たして熱心な熊野信仰の信者である老女を見つけ、彼女は年老いたために熊野へ直接参拝に行けなくなっていたことを知ります。
老女は山伏から熊野権現の和歌を聞いて感激し、名取の地に熊野三社を勧請したのでした。
かつては小館という場所に鎮座していましたが、万治元年に現在地に遷座しました。 -
名取川を熊野川に、音無川を熊野川のそばを流れるもう一つの川に見立てています。
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次に、高舘山に鎮座する熊野那智神社。
ここはかつて勤務していた中学校から近く、不審者が出たためにパトロールをした記憶のある道路を通って行きました。
任期中だったか離任後だったかは忘れましたが、一度坂道を登って参拝した記憶があります。
その坂道まで行ってみると、降り積もった雪が押し固められて、まるでスケートリンクのようにつるつるになっており、車のタイヤは空回りするばかり。
仕方がないので上り口のスペースに失礼し、徒歩で登ることにしました。
5分ほど歩くと高舘城跡の案内板が見え、更に10分ほどで熊野那智神社に到着です。
主祭神は羽黒飛龍神・伊弉冉尊、相殿に黄泉事解男命・国常立尊・伊弉諾尊・天照皇大神を配祀します。
名取老女より前の養老3年、閖上の海で引き上げられた御神体の放つ光がここ高舘山を差していたことから、羽黒飛龍神としてお祀りしたのが始まりで、その後名取老女によって那智の分霊が合祀されたのでした。 -
高舘山からは名取平野や閖上の海をはるかに見晴らすことができ、時々仙台空港を離陸する飛行機が飛び立つのも確認できます。
閖上という珍しい地名は、貞観13年に十一面観音像が波に“揺り上げ”られていたのを地元の漁師が見つけたことに拠っており、観音像は裏参道の観音堂に那智観音像として安置されているそうです。
社殿の裏手には、山を下ってゆく一本の細い階段が続いています。
ここを下りると飛瀧神社へ通じると確信し、行くか帰るか迷ってしばらく周囲を歩きましたが、ついに決心して階段を下りることにしました。
数えてはいませんが、おそらく数百段はあったと思います。
しばらく進んでようやく階段の終わりに辿り着くと、そこには立ち入り禁止のロープが張ってあります。
誰もいないのでそのロープを跨ぎ、足元と頭上に注意しながら進むと、滝らしき地形と廃屋の姿が見えました。
これが飛瀧神社だとすると悲しいことですが、見た限りでは神社の造りではないようです。
周囲には案内板も何もなく、この廃屋の正体と飛瀧神社の鎮座地は分からないままです。 -
最後に最も目立つ場所に鎮座している熊野神社を参拝。
保安4年の御創建で、速玉男尊・伊弉冉尊・事解男尊・菊理媛神をお祀りしています。
かつては熊野新宮社と呼ばれ、本宮と那智の御祭神を合祀して名取の熊野三山の中心的な信仰の地となり、宿坊なども建てられて賑わっていたとのこと。
すぐそばに大きな道路が通ってしまったのと、鎮守の森をなすはずの木々がまばらにしか植えられていないことで、歴史の重みがあまり実感できないのが残念でなりません。 -
神仏習合時代の名残があちこちにとどめられており、参道の横には文殊堂、境内には鐘堂があります。
文殊堂には、国の重要文化財に指定される「新宮寺一切経」が収められています。 -
神楽殿が浮かぶ御手洗池があるのは紀州熊野にはない名取の特色で、春秋の例大祭にのみここで熊野堂神楽が披露されます。
また春の大祭の時には、御手洗池に臨時の舞台を設置して、門外不出の熊野堂舞楽が舞われます。 -
拝殿の先には何社もの本殿が建ち、中には宮城県内で唯一の熊野造の社殿もあります。
これだけの類いまれな観光資源を持ちながら、名取市はなぜこれを有効活用しないのか不思議でなりません。
徒歩圏内に鉄道駅がないことや、近くに新興住宅地が次々と造成されて地域の連帯が弱まったことが、おそらくは大きな原因なのでしょう。
それにしても、三山周遊バスを休日だけでも運行するとか、駐車場や門前町を整備するなど出来ることはあるはずで、閖上の震災からの復興のためにも地域の活性化のために手を打たなければならないと思います。
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