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沢木耕太朗の著作を初めて読んだのは20代前半の頃だった。<br />「若き実力者たち」というタイトルだったか、多分、彼の単行本になった最初の作品集かと思う。70年代半ば頃に出版されたこの作品は、小沢征爾、ジャンボ尾崎、日大全共闘のカリスマ的存在だった秋田明大、華道家の安達瞳子、映画監督の山田洋二、畑正憲、等の人物紀行のような人間ルポルタージュだった。う〜ん、何十年も読んでいないのに、登場人物を半分くらい諳んじて覚えている自分に軽く驚いてしまう(#^.^#)<br /><br />初期の作品では「人の砂漠」という文庫本にもなったヒューマン・ルポルタージュ集が抜群に面白かった。例えて言えば、漫画家の弘兼憲史の<人間交差点>の活字版という感じに近いような気もする。その中の作品で、<屑の世界>と云う作品が、とりわけ記憶に残って印象が強かった。<br />             <br /><屑の世界><br />東京の江戸川・瑞江で屑鉄や廃品された雑誌、新聞を扱う、寄場と云ったか、仕切り場と云うのか、その作業場に沢木氏は作業人足として丁稚奉公もどきに通う。その寄場に出入りする、それぞれの人生を背負った訳ありの人達との交流を通じながら、やがて彼らの背後に見え隠れする喜びや哀しみの人間模様が次第に浮き彫りになってゆく。寄場の仕事の有り様が手に取る様に伝わり、息吹や汗や息づかいがグイグイと読み手に伝わってくるような臨場感に溢れた作品だった。<br />20代にしてこれ程の深い洞察力と、人の想いに心を寄せる事の出来る感性の良さ。それを見事に書き表せることの出来る文才、、早熟という言葉が適切なのかどうか これを天賦の才能というのだろうか。<br />・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<br /><br />その頃から、沢木氏の単行本になった作品はすべて図書館で借りることなく、購入して読むようになった。やがて私は沢木ワールドのコアなファンになってゆく。ただ当時は一年に一冊出すか、出さないかという寡作の人だった。しかし寡作でも作品の出来は私の心を捉えて離さず、当時は当たり外れのほとんど無い、素晴らしい作品が多かったと心底感じる。20代でこれだけ、人の心に入り込む作品を描けるだけでなく、文章から伝わる感性の素晴らしさは人間的にも人柄の良さを感じさせた。<br />・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<br />           <テロルの決算><br />1979年頃に単行本化された「テロルの決算」は1960年に日比谷公会堂で演説中に17歳の少年に刺殺された旧社会党委員長で人間機関車とも呼ばれた浅沼稲次郎と17歳の少年、山口二矢が激しく交錯するまでの道筋を当事者に関わる数多くの人々への取材と証言を通じて、息も付かせぬ程のストーリー展開と切れ味の良いシャープな文体で読み手の心を引き込むかのように描いている。作品を何度も読み返しながら山口二矢(おとや)に向ける沢木耕太郎の眼差しは何処となく優しく温もりがあるように感じたものである<br /><br /><br />私が小学校に上がる前後の幼少時の事である。とても立派な人が亡くなったからと、母に手を引かれ、近所のお通夜に連れて行かれた事を未だに覚えている。おびただしい数の葬儀の花輪が私の家の傍まで続いていた事、やがて花輪に囲まれた通りを歩いて行くと母が云う。「あのアパートに住んでいたのよ」 それは同潤会アパートと呼ばれる、昭和初期に建てられた三階か、四階建の古いアパート群だった。こんなに沢山花輪が並ぶような人が何故、あんな小さく古臭い小さなアパートに住んでいるのだろう? 私は子供心に、そのアンバランスさを、とても不思議に思った事を覚えている。 それが浅沼稲次郎の通夜で有り、住いだった。<br /><br />・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<br />              <一瞬の夏><br />今から30年程前に単行本化された<一瞬の夏>はあらゆるスポーツノンフィクション作品の中でも未だに最高峰にある作品と私は考える。世界を獲れる程の逸材ながら心<ハート>が脆い黒人と日本人のハーフのボクサー、カシアス内藤こと内藤純一、<br />以前<クレイになれなかった男>というノンフィクションでカシアス内藤に関わっていた事があった沢木氏は彼のその後が、気になってはいたが、カシアス内藤と次第に疎遠になっていた。<br /><br />ふとした事から、リングから姿を消していた内藤がカムバックか?という事をスポーツ紙の記事で知り、数年ぶりに横浜の彼のアパートを訪ねるというところからストーリーは始まる。既にボクシングの世界から離れ、今はディスコの用心棒のような仕事をしていた内藤を叱咤し宥めたりしつつ、内藤に対するこだわりを捨てきれない沢木氏は、何年もブランクがあるにも関わらず、内藤のカムバックに向かいだす。些細な事でも投げやりになりがちな内藤を名トレーナーとして世界チャンプを何人も育てているにも拘らず、経済的には恵まれない生活を送っているエディ・タウンゼントの元に預けると内藤の身体は見違えるほどにシェープアップされていく。カムバック戦に向け奔走する沢木氏はボクシング業界の因習や、興業の仕組みに翻弄されながらも突き進み、国内戦で勝利を重ねタイトル戦への実績を作っていく。かって内藤が奪われた東洋タイトルのチャンプである韓国人王者に挑むために自らがプロモーターのような役割までこなし、幾度も韓国に渡り、韓国人王者側の代理人と条件面での丁々発止の遣り取りを続け、ついには相手の望むファイトマネーは、賞を獲って増刷されることになった<テロルの決算>の印税をつぎ込みながら捻出し、東洋タイトルマッチにこぎつける. その結果は・・・・<一瞬の夏>だった。<br /><br />・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<br /><br /><一瞬の夏>は研ぎ澄まされたような文章で、無駄が無く、切れの良い文体とストーリー展開がハーモニーとなって、読み手の心を引き付けて離さない。若い頃に何度も何度も読み返しているので、ストーリー展開も諳んじている。沢木節と呼ばれる読み手の琴線に触れる宝石のようなフレーズの数々、現場に立ち会っているような臨場感に溢れた無駄を省いた文体。当時20代だった自分は本当に痺れて、すっかりハマったものである。私は内藤選手の復帰第一戦に決まった北関東の地方ジムに所属する選手に沢木氏が偵察がてら様子を見に行くシーンが情景描写も含め惹かれたものだった。<br />若い感性の有るときに優れた作品にリアルタイムで出逢える事が出来て良かったなあと思う。<br /><br />岡山の少年鑑別所で<一瞬の夏>を獄中で読んで感動した少年がいた。<br />彼は、塀の外で彼の出所を待っている組関係の男たちの目を避けるように、真っ直ぐに東京に向かい、内藤の元を訪ねてきたいう。後年、日本チャンピオンにまで上り詰め、やがて俳優になり、赤井英和の<どついたるねん>にも出演していた大和武史である。そして内藤氏は今、横浜で沢木氏を含む様々な人のサポートでボクシングジムを開いている。 彼の息子はインターハイも含む高校三冠王の、このジムのホープでもある。<br /><br />数年前だったか、某TV局の夏の終わりの恒例、似非チャリティ番組に、このカシアス内藤が出演しているのを偶然に観たことがあった。何故か傍らには谷村新司が居た。彼が所属していたグループの持ち歌<チャンピオン>という歌詞のモデルはカシアス内藤だったという事を番組で告げていた。ふ〜ん、、という感じで、特に感動することもなく、聞き流していた私だった。<br /><br /> 以前 北野武がトーク番組かトーク本か何かで、<一瞬の夏>を指して「あれくらいボクシングの過酷さを判っているはずの沢木耕太郎が何年もブランクのあったボクサーをカムバックさせてはいけないと俺は思う」と云った意味の事を話していた記憶がある。<br /><br /><br />そんな思い入れがたっぷりある沢木氏の新作のサイン会が東京駅傍のメガ・ブックストアで開かれるという情報を得た私は、ど〜しても沢木氏と言葉を交わしたいという深い思いと衝動に駆られ、車で書店に向かった。作家のサイン会に行くなど初めての事である。 <br />サイン会には既に50人近くの人が並んでいるにも関わらず、定刻になっても沢木氏は現れない(―_―)!!いつも約束の時間に遅れがち、、という彼のエッセイに書かれている通りだなあと思いつつ、待っていたものである。 やがてハイネックのセーターにジーンズ、ジャケットを羽織ったイメージ通りの沢木ファッションで彼は現れた。長身痩躯、とても還暦が近いとは思えない程の若々しさと、軽いオーラのような感じを発光させているように感じたのは、私の思い入れの成せる業に違いなかった。そのサイン会の数か月前に沢木氏はNHKの仕事でブラジルのアマゾンに棲息する少数民族の取材に出掛けた際、彼らの乗っていたセスナ機がアマゾンの密林に墜落するというアクシデントに見舞われ、日本でもニュースになっていた。<br />沢木さんのサイン会はただサインをするだけでなく、ひとりひとりと随分と会話を交わすような感じだった。後方の方にいた私は故にかなり待たされた。<br />現場を仕切っている担当の方にデジカメで撮影しても構いませんか?と問うと、まったく構いませんよという言葉を頂戴し、何枚か撮らせて貰った。どんな言葉を掛けようかと、あれこれ思案した。デビュー以来の大ファンです。初期の頃の作品が大好きでした。と云おうかと思ったが、今の作品はどうなのか?と突っ込まれても困るなあと思い、昔からの30年来の大ファンですと云い換えようかなと並びながらも、一人でアホなシュミレーションと云うか、想定問答を繰り返していた(#^.^#)。やがて 順番が近づき、私のひとつ前に並んでいた中年女性が沢木氏と対峙し、話し始めた。彼女は開口一番云った。「30年来の沢木さんの大ファンです!!」<br />それって おいらが云おうとしたフレーズじゃん(―_―)!!嗚呼、、このフレーズ、もう手垢が付いて使えないじゃん(―_―)!! 勝手に判断した実にお馬鹿な私である。<br /><br />ようやく私の番になった。正面から机を隔て1メートルの間隔で対峙すると、男の私から見てもカッコいい、齢をまったく感じさせない実にいい男ぶりである。私は数か月前のアマゾンに墜落後の体調を尋ねた。<br />「まだ背中が痛むんですよね。密林に落ちたから、多少衝撃は弱くなったのか命だけは助かったんですけどね」<br />「でもレスキューも呼べないような、アマゾンの密林に落ちて命が助かるというのは、とてつもない強運以外の何物でもないですよね」と私がかなり舞上がり気味に、沢木さんと話している自分が信じられない不思議な気持ちで言葉を返した。<br />「仰る通り、、強運以外の何物でもないと時が経つにつれ、その気持ちがどんどん深まるよね。一生分の運の大半を使い果たした感じかな」と微笑みを浮かべながら答える沢木氏。 <br />「その時の話は本にされるのですか?」 <br />「うん、多分 書くようになると思う。何時になるかは約束できないけど」 <br /> <br />その時の墜落記は暫くたって<イルカと墜落>というタイトルで出版された。<br />やがて彼の近著である映画評論本の内ページにマジックペンで私の名前をローマ字で書き、自らのサインをしてくれた。あまり字は上手じゃないなあと思った私である。<br />で、このサインして貰った本、実はあまり面白くなかった(ー_ー)!!<br /><br />しかし沢木さんの書物をほとんど読んでいる私がイメージした通りの人柄や、感じを受けた。沢木さんと言葉を交わしたい という積年の想いを遂げた私はサイン会からのマイカーでの帰宅時、かなりぼ〜〜っとしたままの状態で走っていたようで、信号は見落とす、前を走る車に追突しそうになるわで、恥ずかしながら、ほとんど舞い上がった状態での精神状態が続いたものだったことを思いだす(*^_^*)。<br />

我が心の沢木耕太郎・サイン会 編

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2012/08/18 - 2012/08/19

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kio

kioさん

沢木耕太朗の著作を初めて読んだのは20代前半の頃だった。
「若き実力者たち」というタイトルだったか、多分、彼の単行本になった最初の作品集かと思う。70年代半ば頃に出版されたこの作品は、小沢征爾、ジャンボ尾崎、日大全共闘のカリスマ的存在だった秋田明大、華道家の安達瞳子、映画監督の山田洋二、畑正憲、等の人物紀行のような人間ルポルタージュだった。う〜ん、何十年も読んでいないのに、登場人物を半分くらい諳んじて覚えている自分に軽く驚いてしまう(#^.^#)

初期の作品では「人の砂漠」という文庫本にもなったヒューマン・ルポルタージュ集が抜群に面白かった。例えて言えば、漫画家の弘兼憲史の<人間交差点>の活字版という感じに近いような気もする。その中の作品で、<屑の世界>と云う作品が、とりわけ記憶に残って印象が強かった。
             
<屑の世界>
東京の江戸川・瑞江で屑鉄や廃品された雑誌、新聞を扱う、寄場と云ったか、仕切り場と云うのか、その作業場に沢木氏は作業人足として丁稚奉公もどきに通う。その寄場に出入りする、それぞれの人生を背負った訳ありの人達との交流を通じながら、やがて彼らの背後に見え隠れする喜びや哀しみの人間模様が次第に浮き彫りになってゆく。寄場の仕事の有り様が手に取る様に伝わり、息吹や汗や息づかいがグイグイと読み手に伝わってくるような臨場感に溢れた作品だった。
20代にしてこれ程の深い洞察力と、人の想いに心を寄せる事の出来る感性の良さ。それを見事に書き表せることの出来る文才、、早熟という言葉が適切なのかどうか これを天賦の才能というのだろうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その頃から、沢木氏の単行本になった作品はすべて図書館で借りることなく、購入して読むようになった。やがて私は沢木ワールドのコアなファンになってゆく。ただ当時は一年に一冊出すか、出さないかという寡作の人だった。しかし寡作でも作品の出来は私の心を捉えて離さず、当時は当たり外れのほとんど無い、素晴らしい作品が多かったと心底感じる。20代でこれだけ、人の心に入り込む作品を描けるだけでなく、文章から伝わる感性の素晴らしさは人間的にも人柄の良さを感じさせた。
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           <テロルの決算>
1979年頃に単行本化された「テロルの決算」は1960年に日比谷公会堂で演説中に17歳の少年に刺殺された旧社会党委員長で人間機関車とも呼ばれた浅沼稲次郎と17歳の少年、山口二矢が激しく交錯するまでの道筋を当事者に関わる数多くの人々への取材と証言を通じて、息も付かせぬ程のストーリー展開と切れ味の良いシャープな文体で読み手の心を引き込むかのように描いている。作品を何度も読み返しながら山口二矢(おとや)に向ける沢木耕太郎の眼差しは何処となく優しく温もりがあるように感じたものである


私が小学校に上がる前後の幼少時の事である。とても立派な人が亡くなったからと、母に手を引かれ、近所のお通夜に連れて行かれた事を未だに覚えている。おびただしい数の葬儀の花輪が私の家の傍まで続いていた事、やがて花輪に囲まれた通りを歩いて行くと母が云う。「あのアパートに住んでいたのよ」 それは同潤会アパートと呼ばれる、昭和初期に建てられた三階か、四階建の古いアパート群だった。こんなに沢山花輪が並ぶような人が何故、あんな小さく古臭い小さなアパートに住んでいるのだろう? 私は子供心に、そのアンバランスさを、とても不思議に思った事を覚えている。 それが浅沼稲次郎の通夜で有り、住いだった。

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              <一瞬の夏>
今から30年程前に単行本化された<一瞬の夏>はあらゆるスポーツノンフィクション作品の中でも未だに最高峰にある作品と私は考える。世界を獲れる程の逸材ながら心<ハート>が脆い黒人と日本人のハーフのボクサー、カシアス内藤こと内藤純一、
以前<クレイになれなかった男>というノンフィクションでカシアス内藤に関わっていた事があった沢木氏は彼のその後が、気になってはいたが、カシアス内藤と次第に疎遠になっていた。

ふとした事から、リングから姿を消していた内藤がカムバックか?という事をスポーツ紙の記事で知り、数年ぶりに横浜の彼のアパートを訪ねるというところからストーリーは始まる。既にボクシングの世界から離れ、今はディスコの用心棒のような仕事をしていた内藤を叱咤し宥めたりしつつ、内藤に対するこだわりを捨てきれない沢木氏は、何年もブランクがあるにも関わらず、内藤のカムバックに向かいだす。些細な事でも投げやりになりがちな内藤を名トレーナーとして世界チャンプを何人も育てているにも拘らず、経済的には恵まれない生活を送っているエディ・タウンゼントの元に預けると内藤の身体は見違えるほどにシェープアップされていく。カムバック戦に向け奔走する沢木氏はボクシング業界の因習や、興業の仕組みに翻弄されながらも突き進み、国内戦で勝利を重ねタイトル戦への実績を作っていく。かって内藤が奪われた東洋タイトルのチャンプである韓国人王者に挑むために自らがプロモーターのような役割までこなし、幾度も韓国に渡り、韓国人王者側の代理人と条件面での丁々発止の遣り取りを続け、ついには相手の望むファイトマネーは、賞を獲って増刷されることになった<テロルの決算>の印税をつぎ込みながら捻出し、東洋タイトルマッチにこぎつける. その結果は・・・・<一瞬の夏>だった。

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<一瞬の夏>は研ぎ澄まされたような文章で、無駄が無く、切れの良い文体とストーリー展開がハーモニーとなって、読み手の心を引き付けて離さない。若い頃に何度も何度も読み返しているので、ストーリー展開も諳んじている。沢木節と呼ばれる読み手の琴線に触れる宝石のようなフレーズの数々、現場に立ち会っているような臨場感に溢れた無駄を省いた文体。当時20代だった自分は本当に痺れて、すっかりハマったものである。私は内藤選手の復帰第一戦に決まった北関東の地方ジムに所属する選手に沢木氏が偵察がてら様子を見に行くシーンが情景描写も含め惹かれたものだった。
若い感性の有るときに優れた作品にリアルタイムで出逢える事が出来て良かったなあと思う。

岡山の少年鑑別所で<一瞬の夏>を獄中で読んで感動した少年がいた。
彼は、塀の外で彼の出所を待っている組関係の男たちの目を避けるように、真っ直ぐに東京に向かい、内藤の元を訪ねてきたいう。後年、日本チャンピオンにまで上り詰め、やがて俳優になり、赤井英和の<どついたるねん>にも出演していた大和武史である。そして内藤氏は今、横浜で沢木氏を含む様々な人のサポートでボクシングジムを開いている。 彼の息子はインターハイも含む高校三冠王の、このジムのホープでもある。

数年前だったか、某TV局の夏の終わりの恒例、似非チャリティ番組に、このカシアス内藤が出演しているのを偶然に観たことがあった。何故か傍らには谷村新司が居た。彼が所属していたグループの持ち歌<チャンピオン>という歌詞のモデルはカシアス内藤だったという事を番組で告げていた。ふ〜ん、、という感じで、特に感動することもなく、聞き流していた私だった。

 以前 北野武がトーク番組かトーク本か何かで、<一瞬の夏>を指して「あれくらいボクシングの過酷さを判っているはずの沢木耕太郎が何年もブランクのあったボクサーをカムバックさせてはいけないと俺は思う」と云った意味の事を話していた記憶がある。


そんな思い入れがたっぷりある沢木氏の新作のサイン会が東京駅傍のメガ・ブックストアで開かれるという情報を得た私は、ど〜しても沢木氏と言葉を交わしたいという深い思いと衝動に駆られ、車で書店に向かった。作家のサイン会に行くなど初めての事である。 
サイン会には既に50人近くの人が並んでいるにも関わらず、定刻になっても沢木氏は現れない(―_―)!!いつも約束の時間に遅れがち、、という彼のエッセイに書かれている通りだなあと思いつつ、待っていたものである。 やがてハイネックのセーターにジーンズ、ジャケットを羽織ったイメージ通りの沢木ファッションで彼は現れた。長身痩躯、とても還暦が近いとは思えない程の若々しさと、軽いオーラのような感じを発光させているように感じたのは、私の思い入れの成せる業に違いなかった。そのサイン会の数か月前に沢木氏はNHKの仕事でブラジルのアマゾンに棲息する少数民族の取材に出掛けた際、彼らの乗っていたセスナ機がアマゾンの密林に墜落するというアクシデントに見舞われ、日本でもニュースになっていた。
沢木さんのサイン会はただサインをするだけでなく、ひとりひとりと随分と会話を交わすような感じだった。後方の方にいた私は故にかなり待たされた。
現場を仕切っている担当の方にデジカメで撮影しても構いませんか?と問うと、まったく構いませんよという言葉を頂戴し、何枚か撮らせて貰った。どんな言葉を掛けようかと、あれこれ思案した。デビュー以来の大ファンです。初期の頃の作品が大好きでした。と云おうかと思ったが、今の作品はどうなのか?と突っ込まれても困るなあと思い、昔からの30年来の大ファンですと云い換えようかなと並びながらも、一人でアホなシュミレーションと云うか、想定問答を繰り返していた(#^.^#)。やがて 順番が近づき、私のひとつ前に並んでいた中年女性が沢木氏と対峙し、話し始めた。彼女は開口一番云った。「30年来の沢木さんの大ファンです!!」
それって おいらが云おうとしたフレーズじゃん(―_―)!!嗚呼、、このフレーズ、もう手垢が付いて使えないじゃん(―_―)!! 勝手に判断した実にお馬鹿な私である。

ようやく私の番になった。正面から机を隔て1メートルの間隔で対峙すると、男の私から見てもカッコいい、齢をまったく感じさせない実にいい男ぶりである。私は数か月前のアマゾンに墜落後の体調を尋ねた。
「まだ背中が痛むんですよね。密林に落ちたから、多少衝撃は弱くなったのか命だけは助かったんですけどね」
「でもレスキューも呼べないような、アマゾンの密林に落ちて命が助かるというのは、とてつもない強運以外の何物でもないですよね」と私がかなり舞上がり気味に、沢木さんと話している自分が信じられない不思議な気持ちで言葉を返した。
「仰る通り、、強運以外の何物でもないと時が経つにつれ、その気持ちがどんどん深まるよね。一生分の運の大半を使い果たした感じかな」と微笑みを浮かべながら答える沢木氏。 
「その時の話は本にされるのですか?」 
「うん、多分 書くようになると思う。何時になるかは約束できないけど」 
 
その時の墜落記は暫くたって<イルカと墜落>というタイトルで出版された。
やがて彼の近著である映画評論本の内ページにマジックペンで私の名前をローマ字で書き、自らのサインをしてくれた。あまり字は上手じゃないなあと思った私である。
で、このサインして貰った本、実はあまり面白くなかった(ー_ー)!!

しかし沢木さんの書物をほとんど読んでいる私がイメージした通りの人柄や、感じを受けた。沢木さんと言葉を交わしたい という積年の想いを遂げた私はサイン会からのマイカーでの帰宅時、かなりぼ〜〜っとしたままの状態で走っていたようで、信号は見落とす、前を走る車に追突しそうになるわで、恥ずかしながら、ほとんど舞い上がった状態での精神状態が続いたものだったことを思いだす(*^_^*)。

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この旅行記へのコメント (16)

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  • luguさん 2015/02/06 12:54:59
    私も・・・
    kioさん、こんにちは。

    4traにこんなことを書いている人がいたんですね。
    実は私も初期の頃からの沢木耕太郎ファンでした。
    最初に読んだ「敗れざる者たち」ではまり、「人の砂漠」、「テロルの決算」、そして「一瞬の夏」と新たに出版される本を読むたびに彼の文章に引き込まれて行きました。
    何がそんなに自分を惹きつけるのか、あまり分析することもなく、面白いものは面白いんだ、と思って読んでいましたが、kioさんのこの文を読んで、なるほど、そういうことも言えるな、自分はそういうことを感じて楽しんでいたのか、と妙に納得してしまいました。
    kioさんの文章も沢木耕太郎に負けないくらい説得力がありますね。

    lugu

    kio

    kioさん からの返信 2015/02/08 21:40:19
    RE: 私も・・・
    luguさん こんばんわ
    書き込みと投票ありがとうございます。

    > 4traにこんなことを書いている人がいたんですね。
    > 実は私も初期の頃からの沢木耕太郎ファンでした。

    旅行記なのに私も妙な事を書いたものです(*^_^*)

    luguさんもリアルタイムで沢木氏の著作を読んで
    いたのですね。沢木氏の文章は本当に引き込まれて
    しまいますね。<一瞬の夏>は何度も読み返して
    ストーリー展開が判っているのに、物語に
    どっぷりと浸かって読み込んでしまいますね。

    2000年頃に世田谷文学館で開催された
    <沢木耕太郎の旅展>というイベントに行かれていますか?
    彼の生原稿や、旅先から送った几帳面に書かれた
    旅先からの航空書簡やカシアス内藤のタイトルマッチの
    契約書まで展示され沢木フリークには堪らない催しモノでした。


    最近は小説にも活動範囲をひろげているようんですね
    未読なのですが、<文芸春秋>の新年号に沢木氏の
    高倉健さんへの追悼文が素晴らしいという事を
    友人から聞いて、何とか読みたいと思い、図書館で
    バックナンバーを探すのですが、いつも貸出し中なんですよね(ー_ー)!!

    luguさんのお住まいのチェンマイはバンコックと比べても、
    しのぎ易いと聞きますが、いつの日か彼の地に
    ロングスティしたいと思っています。



  • がりさん 2012/12/20 21:47:05
    はじめまして。
    kioさん、はじめまして。

    沢木さんのサイン会のレポートなんて、フォートラでは珍しいなぁ〜、と思いながら興味深く拝見させて頂きました。

    というのも、僕も沢木さんの大ファンなんです。
    深夜特急はもちろん、テロルの決算も一瞬の夏もバーボン・ストリートも凍も、ほとんど全作品を読んでます♪
    僕の本棚は、沢木さんの本の占拠率がかなり高いですね(笑)。

    このサイン会って、アマゾンの事故の直後ということは、2001年か2002年くらいですか?
    ほんとに、沢木さんは今もお若くて、さすがにかっこいいですよね〜。

    ところでまもなくクリスマスですが、J‐WAVEでイブの夜に生放送される、沢木さんのラジオ番組、お聴きになりますか?
    僕はここ数年、この番組を聴くのが恒例になっていて、毎年メールも送っています。
    本当に沢木さんらしい、すごく素敵な番組だと思います。

    いやぁ、フォートラで沢木さんのファンの方に出会えて、とっても嬉しかったです♪

    kio

    kioさん からの返信 2012/12/20 23:24:31
    がりさん、 沢木フリークですね
    がりさん はじめまして!

    嬉しい書き込みと投票頂き ありがとうございます。
    <わが心の沢木耕太郎>はかなり力を入れて書きました。

    がりさんも 沢木さんのコアなファンなんですね
    私も 単行本になった作品はほとんど読んでいますよ。
    <一瞬の夏>は何度読んでも痺れますね(*^_^*)

    2000年の頃に、世田谷文学館で<沢木耕太郎の旅展>という
    催し物が有ったんですよ。 深夜特急の生原稿や、テヘランの
    バザールで気にいって購入した懐中時計や、高倉健さんから
    貰ったというハンティングワールド製の旅行鞄、旅先から
    送った几帳面に書かれた航空書簡、沢木フリークにとっては
    堪らない展示物の数々でした。 がりさんも行かれました?



    > このサイン会って、アマゾンの事故の直後ということは、2001年か2002年くらいですか?
    ほんとに、沢木さんは今もお若くて、さすがにかっこいいですよね〜。

    多分2001年の暮れだったと記憶しています。
    <世界は「使われなかった人生」であふれてる>という 彼の映画評論の
    作品のサイン会でした。 
    確かに沢木さんは齢を全く感じさせないカッコ良さ 有りますね
    外見と文体のカッコ良さがシンクロしていますよね( ^)o(^ )

    実際に会話をしても作品から読み取ることの出来るイメージ通りの人柄を
    感じさせました。


    > ところでまもなくクリスマスですが、J‐WAVEでイブの夜に生放送される、沢木さんのラジオ番組、お聴きになりますか?

    深夜の0時からのクリスマスの恒例トーク番組ですね。何度か聴いていますよ
    沢木さんの人柄や人間性がとても伝わってきますよね
    今年もあと数日後にあるのかな? J-waveのサイトで確認してみようかな

    > いやぁ、フォートラで沢木さんのファンの方に出会えて、とっても嬉しかったです♪

     Me Too〜〜〜〜〜♪♪  

     では また ← 沢木調で(笑)

    がり

    がりさん からの返信 2012/12/20 23:59:59
    RE: がりさん、 沢木フリークですね
    kioさん、返信をありがとうございます!

    いやいや、kioさんの方こそ、沢木フリークの雰囲気がしていますよ(笑)。

    > <一瞬の夏>は何度読んでも痺れますね(*^_^*)

    一瞬の夏、僕も何度も読みました。
    僕はよく小田急線を利用するのですが、下北沢を通過するときに、金子ジムを見てしまうことがよくあります(笑)。

    カシアス内藤さんの息子さんも、プロデビューして順調のようですね。
    お父さんを超えて、世界の頂点に立ってほしいな〜と思っています。

    > 2000年の頃に、世田谷文学館で<沢木耕太郎の旅展>という
    > 催し物が有ったんですよ。

    実はその頃はまだ沢木さんのことを知らなくて、行けませんでした。。
    今やってくれたら絶対に行くのですが…。

    kioさんは初期の頃からリアルで読んでらっしゃるとのことで、すごいですね。
    僕は初期の作品から最近の作品まで、ハマって一気に読んだ感じですね〜。

    でも旅に出会えたのも、沢木さんのおかげ。
    深夜特急を読んでなかったら、海外へ一人旅に行く…なんて、まずやってなかったと思います。

    > 深夜の0時からのクリスマスの恒例トーク番組ですね。何度か聴いていますよ

    そうでしたか〜。
    実は去年の番組で、僕が送ったメールを沢木さんが読んで下さって、とても感動しました。

    あの番組は、沢木さんの旅の話もさることながら、集まるリスナーの方達も素敵で、とても上質な番組に仕上がってると思います。
    今年もすでに録音する準備を整えました(笑)。

    kio

    kioさん からの返信 2012/12/22 21:49:15
    RE: RE: がりさん、 沢木フリークですね

    > 一瞬の夏、僕も何度も読みました。
    > 僕はよく小田急線を利用するのですが、下北沢を通過するときに、金子ジムを見てしまうことがよくあります(笑)。


    以前から感じていたのですが、<一瞬の夏>はストーリー展開も含めて
    とても映画的だと感じていました。(場面の切り替えも含めて)
    何だか、そのままシナリオに成り得るように感じませんか?

    ボクシング中継は昔は好きだったのでカシアス内藤はリアルタイムで観ていました。当時は連戦連勝で凄い人気でしたが、それは所属していた最初の
    ジムの方針なのか<噛ませ犬>のような弱い相手とばかり対戦して作られた記録という印象が、当時学生だった私からみてもありました。 ちょっと前のTV局と合体していた頃の亀田三兄弟みたいな感じかな。
      

    > でも旅に出会えたのも、沢木さんのおかげ。
    > 深夜特急を読んでなかったら、海外へ一人旅に行く…なんて、まずやってなかったと思います。

    自分の感性にマッチした作品や作家と若いうちに出逢えると凄いエネルギー
    に昇華するというか、行動するためのダイナモになりますよね。自分は高校生の頃、読んだ五木寛之の<青年は荒野を目指す>や小田実の<何でもみてやろう>にとてつもなく影響を受けて旅に出てしまった感じですよ。


    > 実は去年の番組で、僕が送ったメールを沢木さんが読んで下さって、とても感動しました。

    それはきっと、沢木さんが,数あるメールのなかでも、がりさんのmailが
    琴線に触れるような文面だったからこそ、番組で取り上げたと思われます。
    メールで返信まで貰えるなんてホントに良かったですね♪

    今年も数日後には番組で出会えますね。私はいつも最後まで聴いたことは
    一度もありません。 もう眠くて眠くて 寝ちまうんですよん(爆)

    がり

    がりさん からの返信 2012/12/23 01:48:59
    RE: RE: RE: がりさん、 沢木フリークですね
    > 以前から感じていたのですが、<一瞬の夏>はストーリー展開も含めて
    > とても映画的だと感じていました。(場面の切り替えも含めて)

    本当にひとつひとつの情景が、映画のワンシーンのように目に浮かびますよね。
    やはりこの作品は単純なノンフィクションというのを超えて、素晴らしい文学作品になっていると思います。

    深夜特急なんかも、単純な旅行記ではなく紀行文学という感じがします。
    あの作品がすごいなと思うのは、読者を作品の世界に引き込ませる力がすごく強いんですよね。
    最初は沢木さんの旅の話…として読んでいたのに、気付いたら読者である自分自身が旅をしているような気分になってくる。
    作品に出てくる「私」は沢木さんのことのはずなのに、それが読者である自分と重なってくるような気がして…。
    ああいうのって、文才の力のなせる業だな〜という気がします。

    > ボクシング中継は昔は好きだったのでカシアス内藤はリアルタイムで観ていました。

    リアルタイムでご存じなのですね〜。
    やっぱりあの時代って、ボクシングが人気があった時代なんでしょうね。

    確か亀田大毅が内藤大助相手にひどい試合をしたときに、テレビのインタビューでカシアス内藤さんが、「(大毅に)うちのジムに来てもいいよ〜」と言っているのを見て、ああやっぱ優しい人なんだなぁ、と深く感じ入りました(笑)。

    > 自分は高校生の頃、読んだ五木寛之の<青年は荒野を目指す>や小田実の<何でもみてやろう>にとてつもなく影響を受けて旅に出てしまった感じですよ。

    「何でもみてやろう」…、そういえば沢木さんもこの作品に影響を受けた、みたいなことを書いてましたね。
    やはり若い時に出会った作品の影響力は大きいですよね。
    そういう意味では、「深夜特急」に出会うことができて本当によかったと思っています♪

    > 今年も数日後には番組で出会えますね。私はいつも最後まで聴いたことは
    > 一度もありません。 もう眠くて眠くて 寝ちまうんですよん(爆)

    あ〜、気持ちわかります!
    沢木さんの優しい語り口が心地良くて、うとうとしたくなっちゃうかも…(笑)。

    でもあの番組、最後に流れるトム・ウェイツの曲が素敵なんです〜。
    ここ数年はあの曲を聴くと、ああクリスマスが終わって、今年ももうすぐ終わるんだなぁ…、と実感してきます。。

    kio

    kioさん からの返信 2012/12/25 21:10:23
    一年に一度の邂逅
    がりさん 昨夜はJ-WAVEをきっと堪能されたんでしょうねえ


    >あ〜、気持ちわかります!
    沢木さんの優しい語り口が心地良くて、うとうとしたくなっちゃうかも…

    わたし、昨夜はradikoを使ってインターネットで聴いてたんですよ
    外付けスピーカーを枕元に置いてね、、

    所がノートパソコンに触れていないと、自動的に省電力モードに
    切り替わってしまった所為か、音声がいつの間にか途切れて
    私もいつの間にか眠ってしまったようで、
    20分くらいしか聴いていないかも(ー_ー)!!

    アメリカに一度、欧州に三度出掛けていたという話しか
    記憶に有りません( ^)o(^ )

    琴線に触れるような印象的な話はありましたか?


    がり

    がりさん からの返信 2012/12/26 00:57:10
    RE: 一年に一度の邂逅
    > がりさん 昨夜はJ-WAVEをきっと堪能されたんでしょうねえ

    今年も素敵な3時間でしたよ〜。
    僕はradikaというソフトで、録音も一緒にしながら聴いてました。
    もうここ7年分くらいのストックがあると思います♪

    > 琴線に触れるような印象的な話はありましたか?

    アンジェロ・ダンディのお葬式に行ったらモハメド・アリに会った話、若い頃に韓国のパク・クネ氏に会いに行こうとした話、ロバート・キャパに関する取材でヨーロッパへ行った話…、などいろいろありましたよ。

    僕が印象的だったのは、「何を見ても何かを思い出す」という話。
    年を取ったら、何を見てもどこへ行っても、過去に見た何かを思い出す…。
    そして、本箱に読んだ本と読んでいない本があって、どちらかを処分しなければならないとしたら、読んでいない本を捨てろ。
    読んでいない本は必要ないけど、読んだ本は大切だから…。

    あとは、一人で生きていける力を身に付けるために、これからも何かをし続けていく…という話。
    沢木さんはまだまだ新しい挑戦をしようとしているんだ、と感じましたね。

    あと来年は、ロバート・キャパの「崩れ落ちる兵士」の真実を追ったノンフィクション、『キャパの十字架』が単行本化されるそうです!
    すでに「文藝春秋」で発表されてますが、僕はちゃんとした単行本として読みたいので待つことにします(笑)。

    kio

    kioさん からの返信 2012/12/27 23:31:39
    キャパの十字架

    がりさん こんばんわ!
    やはり興味深い話がいろいろあったんですねえ

    >アンジェロ・ダンディのお葬式に行ったらモハメド・アリに会った話、

    ジョージ・フォアマンが40歳半ばで二十数年ぶりに世界ヘビー級のチャンプに帰り咲いた試合を中心に沢木さんが取材して、レポーターのような役回りをNHKスペシャルで放映したことがあったんですよ。十数年前にリアルタイムで、その番組を観ました。
    その時、試合観戦の為ホテルに滞在していたモハメド・アリに取材など
    ガードが固くて出来るわけも無く、アリが部屋から出てきて廊下を歩くほんの短い間を狙って、沢木さんがアリに話し掛けるシーンがありました。
    TVカメラに向かってシャドーボクシングしながら持ち前のサービス精神で
    おどけるアリに沢木さんは尋ねます。

    沢木「あなたのその拳はあなたに何をもたらしましたか?」
    アリ「俺のコブシは俺に巨万の富をもたらした」

    この時、沢木さんの英語がなかなかアリに通じなくて(-_-;)
    何度もアリが聞き返していたのが妙に記憶に残っています(';')

    >そして、本箱に読んだ本と読んでいない本があって、どちらかを処分しなければならないとしたら、読んでいない本を捨てろ。
    読んでいない本は必要ないけど、読んだ本は大切だから…。

    わたし ちょっと前に書架にしていた部屋の本を
    ど〜しても処分できない100冊くらいだけを残して
    すべて廃品回収で処分してしまいました(ー_ー)!!
    高校時代からの読み終えた文庫本や単行本ですから、
    とてつもない量でした。(ー_ー)!!
    沢木さん関係で100冊に残したものは<一瞬の夏>だけでした。
    <深夜特急>も残したのですが、カナダにワーホリに向かうという
    知り合いが未読だと云うので、単行本の全三巻、持って行ってもらいました

    >あと来年は、ロバート・キャパの「崩れ落ちる兵士」の真実を追ったノンフィクション、『キャパの十字架』が単行本化されるそうです!
    すでに「文藝春秋」で発表されてますが、僕はちゃんとした単行本として読みたいので待つことにします(笑)。

    文藝春秋で沢木さん、連載していますね。キャパがスペイン内戦に従軍
    して撮った画像場所を求めて同じアングルで沢木さんも撮ったものを
    並列していましたね。
    それとは別に文芸春秋の最新号で<キャパの十字架>を発表しましたね。
    読み終えました。

    キャパが従軍カメラマンとして世界的になるきっかけになった
    「崩れ落ちる兵士」の画像、長い間の真贋論争が続いていましたが
    やはり・・・・
    キャパもあの画像に関して語るのを、ほとんど避けているようです。

    だから<キャパの十字架>なのか、、、

    がり

    がりさん からの返信 2012/12/28 00:56:03
    RE: キャパの十字架
    > 沢木「あなたのその拳はあなたに何をもたらしましたか?」
    > アリ「俺のコブシは俺に巨万の富をもたらした」

    なかなかの名言ですね〜。
    フォアマンの復帰戦については、作品で読んだことがありました。

    沢木さんのその簡潔にして的を射た質問の仕方もやっぱすごいですね。
    沢木さんは、オリンピックやワールドカップなどの取材スタイルもとても好きです。

    アリはパーキンソン病を患ってるんですよね〜。
    歩くのがやっとのアリの姿を見て、沢木さんは「生きているうちにお別れをしているような」気がした…、と話していました。

    > ど〜しても処分できない100冊くらいだけを残して
    > すべて廃品回収で処分してしまいました(ー_ー)!!

    僕もよほどもう必要の無い本や読みそうもない本は、処分することありますね。
    でも、もしかしたらまた読むかもしれないから一応とっておこう…、みたいに理由を付けて、結局そのままにしておく本も多い(笑)。

    でもKioさんの、旅立つ友に深夜特急をプレゼント…、っていいですね♪
    まさに海外への旅立ちにぴったりの作品という気がします。

    > それとは別に文芸春秋の最新号で<キャパの十字架>を発表しましたね。
    > 読み終えました。

    もう読み終えましたか〜!
    純粋なノンフィクション作品ってとても久しぶりな気がします。

    そういえば、いつになるかはわかりませんが、NHKで沢木さんの取材を基にしたキャパの検証番組を放送するらしいので、ちょっと楽しみにしています♪
  • がまだす@熊本さん 2012/08/21 18:44:12
    そうでしたか、会えたんですね。
    kioしゃん、ごぶさたしてます♪

    沢木耕太郎って想像していたよりもヨカ男ですなぁ〜
    彼の作品はインド旅後、深夜特急をマカオ編からシルクロード編まで読みました。
    作風は先に読ませていただいたkioしゃんの勝ち!(爆)
    なんとなく似ているような、
    どちらも情景描写が素敵です。

    ところで、
    懐かしいですね、あのカシアス内藤。
    アリスの「チャンピオン」のモデルは彼だったとはね。
    イントロからしていい曲です、
    MP3に入れて旅先のバスの中なんかでよく聞いています。

    次回、旅のお供のイメージがイメージ深くなりそうです(笑)

    ―kioファンより―

    kio

    kioさん からの返信 2012/08/21 22:12:54
    RE: そうでしたか、会えたんですね。
    私が密かに敬愛する永遠のバックパッカーな?、がましゃん 
    こんばんわ!


    > 沢木耕太郎って想像していたよりもヨカ男ですなぁ〜
    > 彼の作品はインド旅後、深夜特急をマカオ編からシルクロード編まで読みました。

    宇○田ヒ●ルのお母さんが沢木さんに夢中になってしまった事が
    昔、あったようですよん( ^)o(^ ) love affair風?(-_-)/~~~ 

    マカオ編は大小の博打で沢木さんが必勝法を会得したシーンが
    ワクワクしましたね。私は作者の熱狂と興奮の日々が伝わってくる
    香港編が一番好きですね

    > なんとなく似ているような、
    > どちらも情景描写が素敵です。

    恐れ多い事ですよん(*^_^*)


    > 懐かしいですね、あのカシアス内藤。
    > アリスの「チャンピオン」のモデルは彼だったとはね。)

    がましゃん <一瞬の夏>いま読んでもホントにストーリー展開に
    引きずり込まれてしまうよん
    リアルタイムでカシアス内藤を知っていればなおさら惹かれてしまうよ。
    文体がカッコいいんだよ 
  • 唐辛子婆さん 2012/08/20 09:37:52
    懐しい人々の名前
    kioさん、おはよございま〜す。

    舞い上がりぶりが初々しい少年みたいですよ〜(*^^*)

    kioさんの名文は
    もちろんご本人の感性と明晰さによるものであることに
    間違いはありませんけど
    沢木作品によってよりいっそう芳醇にはぐくまれたのだ。

    と感じました。

    って、ワタクシ
    沢木作品ひとつも読んだことがない・・・。

    唐辛子婆

    kio

    kioさん からの返信 2012/08/20 22:06:41
    RE: 懐しい人々の名前
    唐獅子マダム こんばんわ!

    UP早々の書き込み&投票ありがとうございます!

    > 舞い上がりぶりが初々しい少年みたいですよ〜(*^^*)

    いや〜 おいちゃんは すっかり舞い上がってしまいましたぜ(爆)
    沢木本の愛読キャリアは30年にならんとしてましたからねぇ
    思い募らせていた御方に30年目にして邂逅出来たという感じ?


    > って、ワタクシ
    > 沢木作品ひとつも読んだことがない・・・。

    是非 読んでみてください。
    唐獅子マダムさんの世代的に言えば、<馬車は走る>、
    などお勧めです。石原慎太郎が美濃部さんと初めて都知事選で対峙
    したときの様をレポートした選挙同乗記や ロス疑惑の三浦和義を
    三浦和義側からみたメディアとの攻防の妙、、など人物漂流記、かな?

    ほとんど文庫本で出ていますよ

    唐辛子婆

    唐辛子婆さん からの返信 2012/08/22 03:27:00
    RE: RE: 懐しい人々の名前
    > 是非 読んでみてください。
    > 唐獅子マダムさんの世代的に言えば、<馬車は走る>、
    > などお勧めです。石原慎太郎が美濃部さんと初めて都知事選で対峙
    > したときの様をレポートした選挙同乗記や ロス疑惑の三浦和義を
    > 三浦和義側からみたメディアとの攻防の妙、、など人物漂流記、かな?

    オススメありがとうございます。
    まずは深夜特急から読んでみます。

    唐獅子婆

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