2012/05/21 - 2012/05/21
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ちゃおさん
日本を幅広く横断する金環日食が見られるのは平安時代以来の932振りとのこと。また関東地方も明治初期以来の137年振りとのことで、この壮大な天体を見ようと、日本中が湧きかえっていた。しかし、事前の天気予報は全国的に曇りで、一部地方でしか観測できない、と、NHKの南さんも、TBS森さんも、著明な天気予報士は皆悲観的な見通しを述べていた。
期待半ばで早朝から置き出し、外へ出ては東の空の雲の流れを見る。東京は7時32分が100%金環の予定時刻だが、前の家の田山さんなど、もう早くから三脚を据えて、東の空に向けている。東の空は薄い雲がかかり、太陽が流れる雲にさえぎられ、時々、光を失ったり、時々、かっと照りだしたりしている。雨でなくてよかった。この程度の雲なら、或いは見られるかも知れない。
田山さんはシャッターチャンスを狙っているのか、三脚の前にへばり付いて、カメラをにらんで身動きもしない。当方、1時間もこうして待っていても無駄になるので、家に戻ったり、時々外に出て雲行を眺めたりする。東向きの窓ガラスが太陽光線でカッと照らされると、慌てて外に出て、その後の太陽と月の位置を確認する。
7時を過ぎ、ハーフクオーター、15分を過ぎた頃から、月が太陽の右上から入り込み、一部欠けだす。部分日食の始まりだ。完璧な球体の月の丸みが黒々と感じられる。古代人はこの天体ショウをどんなふうに眺めていただろうか・・。と、雀の群れが家の木立に集まってきて、騒ぎ立てている。日食に感応しているのか、いつもの早朝の騒がしさなのか・・。それにしては騒がしい。
月の動きは一秒たりともそのスピードを緩めず、恰も機械装置のように音もなくスーと太陽の前を横切って行く。太陽がどんどん欠けて行く。今まで明るかった周囲が夕方近くのように薄暗くなっていく。太陽光線の暖かさは失せ、どことなく肌寒さも感ずる。身体が小刻みに震える感覚もあるが、これは寒くさだけのことではないだろう。壮大な天体ショーに身体も反応しているのかも知れない。先刻は雀の騒ぎだけだったが、今、あちこちで、いろんな種類の小鳥たちが叫び声を上げている。カラスの声が特に大きい。群れをなして空を舞い、驚愕と思える叫び声を上げている。
そうした鳥の叫び声がやや静まった7時30分。見事な金環日食が天空に浮かんでいる。雲も薄曇りで、観察にはむしろ程よい薄さ。肉眼で直視は出来ないが、薄雲を通し、斜に眺めることもできる。今、この瞬間、南千万人の人がこの光景を見ているだろうか。日本中の3000万人の人が同じ光景を眺め、感動している。向かいの田山さん夫婦も、後ろの鈴本さん、塚田さん家族も外に出て、喜び合っている。この歴史的瞬間に居合わせ、目撃できたことを喜んでいる。
外国人がするように手を取り合って踊るような喜びを表現はしないが、皆、心の中で今日の平和、太陽の有難さ、家族の幸福、健康、などなどを念じていたかも知れない。
月が太陽から抜け出し、左下に沈んで行くのを見て、自分も、他の家族も三々五々、自宅へ戻って行った。約30分の天体ショーを満ち足りた気分を心に抱えて。
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