2012/03/09 - 2012/03/09
209位(同エリア525件中)
京妓さん
〔第42首/清原元輔〕
契りきな かたみに袖を しぼりつつ
すゑの松山 波越さじとは
永遠の愛を誓った女性の心変わりを責める歌。
この歌は、清少納言の父・清原元輔が代筆したことで有名。
という文学的な側面もありますが…
それと同時に、
「津波てんでんこ」 と同じくらい大切なことを教えてくれています。
防災教育のために、後世に伝承して欲しい歌です。
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
-
【宮城の歌枕】
地元だから、いつでも行けると思ってた…。 -
【JR復旧状況】
2011年3月11日まで、わが実家は、
JR仙石線と国道45号線が平行して走る、
ちょうどその間にありました。
だから、仙石線に乗るか、45号線を走るかすれば、
「多賀城」 や 「松島」 はすぐ。
いつでも行ける。
そう思って、歌枕巡りを後回しにしてました。 -
【JR復旧状況】
けれど、3.11の震災で実家を失い、
「今あるものが、いつまでもそこにあると思うな」
という教訓を得ました。
そんなこともあって、
震災1年を迎えるにあたって帰省した時に、
宮城の歌枕を訪ねてきました。
←こんな感じで、
まだまだ元の生活が戻らない方々がいる中、
色々思うところはあったのですが…。
(青いゾーンは、電車が復旧できず、
今もバスによる代行輸送をしているエリア) -
【JR復旧状況】
ご存知の通り、電車の復旧はおろか、
まだ代行バスすら走れない地域も。
「復興」 はもちろん大事だけど、
あまり軽々しく連呼しちゃいけない言葉。
「復興」 には周りの助けが必要。
だけど、周りが言うほど簡単じゃない。
自分でも、まだうまく言葉にならないけど。 -
【JR仙石線・多賀城駅】
マスコミでは、
石巻、南三陸、気仙沼あたりの
被災と復興に注目が集まっていますが、
仙台港に近い多賀城も、深刻な被害を受けました。
多賀城の自衛隊の方々が、
自ら津波にのまれながらも市民を救助した様子を
特集した番組が、3月に放映されていたのを
ご覧になった方もいると思います。 -
【JR仙石線・多賀城駅】
ちなみに、
JR仙石線は 「多賀城」 駅。
JR東北本線は 「国府多賀城」 駅。 -
【多賀城】
724年、多賀城を築城。
陸奥国の国府が
郡山遺跡(現・仙台市太白区)から
移されました。 -
【末の松山と、沖の井 (沖の石)】
〔第42首/清原元輔〕
契りきな かたみに袖を しぼりつつ
末の松山 波越さじとは
〔第92首/二条院讃岐〕
わが袖は 潮干に見えぬ 沖の石の
人こそ知らね 乾く間もなし -
【鎮守橋】
末の松山は、
JR仙石線 「多賀城」 駅から、
鎮守橋を渡って、徒歩10分弱。 -
【宝国寺】
末の松山は、ここ宝国寺の境内にあります。 -
【歌 碑】
〔第42首/清原元輔〕
契りきな かたみに袖を しぼりつつ
すゑの松山 波越さじとは -
【末の松山】
←末の松山の由緒。
板がヒビ割れていて読みづらいですが、 -
【末の松山】
松の木の横に、同じ内容のものがあります。 -
【宝国寺 本堂】
本堂の屋根から、少しだけ見えている松が、 -
【本堂と松】
末の松山。
引きで見ると、しっかり見えます。
本堂の裏側 (墓地) へ回ってみましょう。 -
【末の松山】
宝国寺の裏手に、大きな松と石碑があります。
なだらかな高台なので、
「松の山」 と呼ばれるのがよくわかる場所です。
きっと昔は
もう少し松が生い茂っていたんじゃないかな。 -
【末の松山】
「末乃松山」 の文字ばかりが目立ちますが、
よく見ると、
両脇に清原元輔の歌が刻まれています。
〔第42首/清原元輔〕
契りきな かたみに袖を しぼりつつ
すゑの松山 波越さじとは
末長く変わらぬ愛情を誓い合ったのに…。
お互いに涙に濡れた袖を絞りながら、
あの末の松山を波が越えることがないように、
二人の愛も末長く変わらない、と。 -
【古今和歌集 東歌】
清原元輔の歌は、↓を踏まえて詠まれたものです。
「君をおきて あだし心を わがもたば
すゑの松山 波も越えなむ」
もしもあなた以外の人に
心変わりしてしまうようなことがあるとすれば、
波が末の松山を越えるでしょう。
波が末の松山を越えることは絶対にない。
そのことに懸けて、
「心変わりは絶対にない」 と永遠の愛を誓っています。 -
【いまや防災教育の歌】
学校で習った記憶はないけれど、
3.11の震災をきっかけに見直され、
話題に上るようになった869年の貞観地震。
「末の松山 波越さじ」 というのは、
甚大な被害をもたらした貞観地震の大津波の時でさえ、
ここまでは波が来なかった(波越さじ=波が越さない)
ことを教えてくれています。
この歌が詠まれた年は明確ではありませんが、
貞観地震は869年。
清原元輔は908年生まれ(〜990年没)。
もちろん、貞観の大津波のことは知っていたでしょう。
それから、千年以上を経た2011年3月11日、
多賀城は津波被害に見舞われました。
やはり、末の松山には津波は達していません。
多賀城の人々が
皆この高台に避難するわけにはいかないけれど、
「末の松山 波越さじ」を
後世に伝承していくことは意義深いと思います。
文学的価値以上に、防災教育としての価値大です。 -
【869年の貞観地震】
歴史書によると、
夜に大地震が起きた。人々は叫び声を挙げて身を伏せ、
立つことができなかった。家の下敷きになった者、
地割れにのまれた者がいて、建物の多くが崩れ落ちた。
海鳴りが聞こえて潮が湧き上がり、川が逆流し、
内陸まで水浸しに。野原も道も、大海原と化した。
田畑も人々の財産も、ほとんど何も残らなかった。
…だそうです。 -
【末の松山】
末の松山の所在には、諸説あるようですが、
実際に自分の足で来てみると、
←ココは、可能性としては十分高いと感じます。
海は遠いけれど、川はすぐ近く。
この場所はなだらかな高台になっているので、
たとえ大津波がきて川が逆流しても
歌の通り、さすがに波はここまで上がってこない。 -
【貞観地震当時の首脳陣はあの人!】
2011年3月11日の震災発生時、
日本政府のトップは菅直人元総理。
869年貞観地震の政府首脳陣は、
摂政・太政大臣が藤原良房(68歳)。
そして、中納言正三位が、
光源氏のモデルといわれる源融でした(48歳)。
〔第14首/河原左大臣(源融)〕
みちのくの しのぶもぢずり 誰ゆえに
乱れそめにし われならなくに -
【清原元輔】
清原元輔も、まさか自分の歌が千年の後に
こんな形で見直されるとは思わなかったでしょう。
ところで、
清原元輔とは、あの清少納言のお父上。 -
【百人一首マメ知識/親子編】
↓の通り、親子で始まり、親子で終わる百人一首ですが、
1首 天智天皇
2首 天智天皇の娘 (持統天皇)
99首 後鳥羽院
100首 後鳥羽院の息子 (順徳院)
清少納言にいたっては、三代で登場!
36首 清少納言の曽祖父(清原深養父)
42首 清少納言の父 (清原元輔)
62首 清少納言
清少納言のライバルと称される紫式部は、母娘で登場。
第57首 紫式部
第58首 大弐三位(紫式部の娘)
http://4travel.jp/traveler/korinori/album/10636483/
同じく女流歌人の和泉式部も、母娘で登場。
第56首 和泉式部
第60首 小式部内侍(和泉式部の娘)
http://4travel.jp/traveler/korinori/album/10635231/ -
【競技かるたプチ情報】
「ち」で始まる歌は、
ちはやぶる/ちぎりきな/ちぎりおきし の3首。
「ちは」 は聴き取りやすく、決まり字も短いのでラクな札。
問題は 「ちぎりき」 「ちぎりお」 の四字決まり。
競技の進行次第では、
さっさと二字・一字になってくれることもありますが、
終盤まで四字だと、お手つき発生率が高くなります。
音的には「ちぎりき」の方が耳に引っ掛けやすいですが
(イ段の音が続くので、音がスルッと抜けていかない)
私は 「ちぎりお」 の方が得意。
読手さんはかなり気をつけていると思うのですが、
6文字の 「ちぎりおきし」 は
5文字の 「ちぎりきな」 より、
わずかに一字一字の読みの間隔が狭く聴こえます。
私は小さい頃、ピアノを習いつつ、
ソルフェージュをやっていたので、
間隔の微妙な差を、耳で掴まえられるみたいです。
同じ理由で、
6文字の 「こころあてに」 と
5文字の 「こころにも」 も
私にとっては2字もしくは3字決まりです。
(初めての読手さんだと無理ですが、慣れるとわかります) -
【末の松山】
古来から歌に詠まれてきた老松。
←2001年に、雪の重みで枝の一部が
失われてしまいました…。 -
【末の松山】
末の松山にクルッと背中を向けると、 -
【沖の井 (沖の石)】
その60メートル先に、
二条院讃岐が歌に詠んだ沖の石。
続きは、
旅行記 「わが袖は潮干に見えぬ 〜沖の石〜」 で。
http://4travel.jp/traveler/korinori/album/10665936/
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