市ヶ谷～飯田橋 外堀の桜を眺めながら追憶散歩

2012/04/07 - 2012/04/07

4月上旬、JR中央・総武線 四ツ谷～市ヶ谷～飯田橋の区間で車内から見える外堀沿いの桜並木は、都内屈指の美しい車窓スポットとも呼ばれる桜の名所です。
そして、私にとっては、社会人としての駆け出し時代を過ごした思い出深い土地でもあります。
毎年4月になると、必ずこの場所を訪れては、「よし、今年も一年頑張るぞ」と気持ちを引き締めています。

今年も見頃になったと聞いたので、週末のお昼どき、ぶらぶら散歩に出かけてきました。

エリア 市ヶ谷(東京)

• 旅行の満足度: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 1万円未満
• 交通手段: JRローカル 徒歩

JR中央・総武線の四ツ谷駅を抜けるとほどなく見えてくる外堀の桜並木。
線路に沿って、お隣の市ヶ谷駅・さらにお隣の飯田橋駅までの区間で、毎年春になると、美しい桜の風景を眺めることができます。

今日は市ヶ谷駅から飯田橋駅までの区間を、桜を眺めつつお散歩してきます。

私が新卒で入社した会社が、ちょうどこの界隈にありました。
会社が移転するまでの丸3年間、私はこの場所で、社会人としての駆け出しの時期を過ごしてきました。
毎日が新鮮で、とにかく楽しくて、キラキラした3年間でした。

市ヶ谷を離れて久しい今でも、毎年この桜の時期になると、「初心忘るべからず」という自戒も込めて、この外堀の桜並木を眺めて歩くのが私の恒例行事になっています。

お花見日和のこの日、駅前の釣り堀「市ヶ谷フィッシュセンター」にもたくさんのお客さんが。
ぽかぽか陽気の中、釣り糸を垂らしてのんびり過ごしていました。

当時、私は営業職で毎日外回りをしていたのですが、平日慌ただしく市ヶ谷の駅を行ったり来たりする合間に目に入るこの風景を、いつもうらやましく思っていました。
「いつか外回りをさぼって、平日の昼間からフィッシュセンターで釣り糸垂らしてのんびりして、スーツのまんまで後楽園ゆうえんちで遊ぶ」ことが当時の私のささやかな(？)夢でした。



結局一度も実行しませんでしたが（＾＾；）
当時の私は、それはそれは真面目に仕事を頑張っていたのです。
…というより、ただ単に、実行する度胸がなかっただけです。。。

まずは市ヶ谷橋を渡って、外堀通り沿いに飯田橋方面に向かって歩きます。
ちょうど桜がきれいに咲き揃ったタイミングだったようです。
道行く人も嬉しそうに写真を撮っています。

東京は桜の美しい街、桜の似合う街だと私は感じています。
その中でも私は、この外堀の桜の風景がいちばん大好きです。

もちろん、社会人の駆け出しの頃を過ごした思い出深い土地の風景であるから、ということに違いはないのですが、理由はそれだけではありません。

おそらく、この桜の桃色と、お堀端の水辺の風景、青い空、そして、超高層ビルのコンクリートジャングルではなく、かといって下町の風景でもなく、学生も社会人も自然体で歩いている、ちょうど良い「街の風景」との絶妙なコントラストが私の心を惹き付けるのだと思います。
上京前に描いていた「東京」のイメージにいちばん近い、理想の街の風景。
事実、市ヶ谷の街は、大学を出たての私にとっても心地よい、肌になじむ街でした。
すっぴんでも歩けて、安くておいしいごはんを食べられるお店があちこちにあって、肩肘張らずにいられる空気がそこにはありました。
3年後、会社はもっと都心のほうに引っ越してしまったのですが、市ヶ谷の空気からいきなり都会の空気に放り込まれて、しばらくの間、なかなかしっくりこなかったことを覚えています。

今年はなかなか空気が暖かくならず、寒い日々が続いていましたが、美しく咲いた桜を見て、ようやく「春がやってきたんだなぁ」と実感することができました。

お堀端の菜の花とのコントラストもきれい。

飯田橋の街が見えてきたところで、対岸に渡ります。
この橋から見える桜の風景。
新入社員だった私も、入社式の帰り、同期の仲間たちとはしゃぎながら、まったく同じ角度でこの風景の写真を撮りました。
ここから、四ツ谷寄りの防衛庁（今は「防衛省」ですね）まで歩いて桜を見に行ったのを覚えています。

対岸はお花見宴会モード。ビニールシートを広げた団体さんが、ビール片手に楽しんでいました。
外回りから帰ってこの風景に出くわすたび、「ああ、乱入してえ」と何度思ったことか（笑）。

まっすぐだったあの頃を思い出し、「よし、また今年も一年頑張ろう」と気を引き締めて、市ヶ谷の街を後にしました。