
2011/12/11 - 2011/12/12
40位(同エリア156件中)
がりさん
あの日の巨大地震で、最大の震度7を記録した街がある。
それが、宮城県の栗原市。
その栗原で、この旅最後の朝を迎えてみたかった。
栗原の朝は美しい。
伊豆沼に朝日が輝いて、その中を数万羽のマガンが鳴き声を上げながら飛び立っていく。
輝く朝の光は、希望に満ちていた。
東北はきっといつか、本当の復興を遂げてくれる、と思う。
絶望があったからこそ、希望の光も輝いて見える。
東北で出会ったたくさんの希望の「光」、それを見失わず、信じていきたい♪
-
陸前高田から2時間近くバスに揺られて、一関に到着。
今夜のホテルは隣の栗原市のくりこま高原駅の前にある。
ということで、くりこま高原までの新幹線の切符を購入!
僕は国内旅行で新幹線に乗ることってめったにないんだけど、くりこま高原は新幹線しか停まらない駅なので、これしか手段がない。
新幹線、久しぶりだ〜♪ -
世界遺産に登録されたばかりの平泉はここから近い。
一関はお餅を使った料理が名物とのことで、夕食にと調べておいたお店へ行ったけれど、あいにくお休みの日だった。。
仕方ないので、一本早い新幹線でくりこま高原へ行って、向こうで夕食とすることに。
今回は平泉へも行けなかったし、また来たいなぁ。 -
久々の新幹線!
3年前の夏に北海道へ行くのに東北新幹線に乗って以来だ〜。
僕の場合、なぜか韓国や中国の新幹線の方がよく乗っている(笑)。 -
東京行きのやまびこ64号。
といっても、たった1駅で降りるけど。。
韓国や中国の新幹線も悪くなかったけど、やっぱ静かな日本の新幹線は快適♪ -
10分もかからずに、くりこま高原駅に到着!
さすがに速いな、新幹線。
くりこま高原は田舎なのか、降りたのは僕と1組の家族だけだった。 -
ここは宮城県の栗原市。
3月11日の震災のとき、最大の震度7を記録した街だ。
あの日、栗原市で震度7という速報が流れて、栗原は大変なことになってるんじゃないかと心配したのを思い出す。
けれど、津波の被害や原発事故のニュースが先行し、最も地震の揺れが強かったはずの栗原が大きく報道されることはなかった。
この栗原は3年前の岩手・宮城内陸地震でも震度6強の揺れに襲われている。
栗原というと、どうしても地震を思い浮かべちゃうなぁ。 -
でも栗原でもうひとつ思い浮かぶのが、ラムサール条約に登録された伊豆沼!
日本最大級の渡り鳥の越冬地で、この季節はマガンをはじめ、多くの鳥たちが訪れている。
この伊豆沼では早朝、マガンが一斉に空へと飛び立つ感動的な光景が見れるという。
栗原をこの旅最後の宿泊地にしたのも、その朝の光景を見たかったから♪
明日は夜明け前にホテルを出て、伊豆沼へ向かおう〜。 -
くりこま高原駅は思ってた以上に小さな駅だった。
駅前もがらーんとした感じで人もいない。
いかにも何も無い所に新幹線の駅をぱっと造ったという感じがする。
どうやら栗原の街の中心はここから離れているらしい。 -
けれど、駅前にイオンがあったので覗いてみた。
地元で採れた野菜や、名物のしんこ餅など売ってる。
きっと震災のときは、このスーパーも大変だっただろう〜。 -
イオンの中に半田屋があった!
半田屋は宮城県を中心にチェーン展開する大衆食堂。
外出ても店なさそうなので、ここで夕食とすることに。
おかずが並んでて、そこから自分の好きなのを取って、最後に会計するセルフ式♪ -
おお〜、1キロカレーなんてのがある!!
しかも1キロもあるのに850円と安い…!
ちなみに普通のライスカレーは250円〜。 -
さすがに僕は普通のカツカレーにした(笑)。
それにひじきと豚汁、フルーツポンチも付けて、700円くらいだったかな?
味はまあごく普通なんだけど、その普通な感じが悪くない。
店のおばちゃんも人柄が良い感じで、こんな店、近くに欲しいな〜。 -
旅に出たら夜の街歩きが楽しみだけど、この街は夜に歩いても面白そうもない。
なので、イオンの中をうろうろ。
暇な夜はゲームセンターで遊ぼう〜。 -
雪だるま、ゲット!!
…………。
…何やってんだか。。(笑) -
さすがに飽きたので、ホテルへ。
駅前にあるホテルエポカ。
伊豆沼に一番近いビジネスホテル、ということで、迷わずここを選んだ。
1泊4700円くらいで、こんな街でも意外に宿泊客は多いようだった。
なにより静かな環境なのがいい♪ -
明日で旅も最終日。
伊豆沼へ行くために、早く起きないと〜。
でもどうしても旅の最後の夜は夜更かししちゃうなぁ。 -
12月12日。
まだ夜明け前の5時過ぎにアラームが鳴って起床!
このホテル、伊豆沼に一番近いとはいえ、4km近くも離れている。
もちろんバスなんてあるはずもない。
タクシーで行こうか?とも思ったけど、いや、せっかくだし(?)歩いちゃえ〜っ!ということで、伊豆沼まで4km歩くことに。
さあ、行くぞ! -
外は当然、まだ真っ暗!!
しかも寒い〜っ!!!
人家とかもほとんど無い真っ暗な田園地帯の中を、伊豆沼目指してひたすら歩く!
歩いている人は誰もいないけど、トラックとかが意外に多く走り抜ける。
きっと、なんであの人はこんな真っ暗な中を歩いているのだろう?って不思議に思ったことだろう〜(笑)。
とにかく、予想以上に灯りがなくて。。
でもそのかわり、夜明け前の星空がすごく綺麗だった!
久々に美しい星空を見れた♪ -
田園地帯を抜けて、小さな集落を通り、さらに丘を越えて…。
さすがにこの暗い中、4km歩くのはつらい(笑)。
けど、いちおう歩くのだけには自信があるので、伊豆沼を目指して歩く、歩く。。 -
そしてやがて、空の向こうがオレンジ色に染まり始める。
少しだけ、周りも明るくなってきて…。
夜明けだぁ。 -
そしてついに、伊豆沼に着いた〜っ!!
撮影ポイントの獅子ヶ鼻にはすでにカメラを構えた人達が集まっていて、ホッとした。。
4kmの道のりは長い気がしたけど、いざ着いてみると、あっという間だったように思えてくるから不思議。 -
イチオシ
伊豆沼には幻想的な光景が広がっていた。
オレンジや青、藍といった空の色を、沼の水面がそのまま映し出している。 -
水面には枯れた蓮の茎があって、それが奇妙な幾何学模様を作り出す。
水面をゆったり泳ぐ白鳥…、そしてはるか向こうにはマガンの大群!
どうやら無事、マガンが飛び立つ前に伊豆沼に来ることができたらしい〜。 -
冬の伊豆沼には、マガンや白鳥をはじめ、多くの鳥達が越冬に訪れている。
マガンは遠くシベリアからこの地まで飛来してくる。
震災があったけど、この冬は例年以上に多い、約7万羽が飛来しているという。
すでに遠くから「クワッ、クワッ」という鳴き声が聞こえてくる。 -
そして6時35分。
ついに、マガン達が一斉に飛び立ち始めた〜!!
空を埋め尽くす勢いの、すごい数のマガンの群れ!!
うわっ、これはすごい迫力…!!! -
空いっぱいにマガンが飛び立ち、辺りは賑やかな鳴き声に包まれる。
噂には聞いていたけど、これはほんとにすごい光景!
冬の早朝にしか見られない、圧巻の光景だった!! -
けれど、写真撮影はめちゃくちゃ難しい。。
望遠をかなり使わないといけないし、まだ完全に明るくなっていない時間だから、光のバランスを工夫しないとだめ。
僕の場合、急いであれこれとカメラの設定をいじくってるうちに、マガン達がどんどんと飛び立っていってしまった。。(笑)
う〜ん、きっとここに集まってる、カメラが好きそうなおじさん達は上手く撮れてるんだろうなぁ〜。 -
V字になって飛ぶマガン。
彼らは餌場となる周囲の水田へと飛んでいく。 -
マガンは全部が一斉に飛び立つわけじゃなくて、ちょっと遅れて飛び立つグループもいる。
このマガン達が羽ばたく音や鳴き声が、自然の素晴らしさを感じさせてくれる。
日本の音風景100選にも選ばれた光景。
東北にこんな壮大な光景があったなんて♪ -
マガン達が空に模様を描きながら飛んでいく。
鳥達が生み出す神秘的な光景〜。 -
マガン達のショーが一段落して、次は日の出を待つことに。
この獅子ヶ鼻は沼の西側に位置するから、朝日の撮影にも最適なポイント♪
なんだか初日の出を見る元旦の気分(笑)。 -
そして…。
東の空からゆっくりと、太陽が昇ってくる。
光は水面にきらきらと反射して。。 -
本当に美しい朝だった。
ここまで歩いてきてよかった、って思える光景。 -
イチオシ
東北にはこんなに綺麗な朝がある。
朝の光は希望に満ちているように見えた。
震度7の揺れに襲われた栗原。
けれど、震災があっても、何も変わらない景色がある。 -
伊豆沼のマガン達は春が訪れる3月頃、北へと帰っていくという。
マガン達が帰る頃、震災から1年を迎えることになるんだろう。
新たな春はどんな春になるだろう?
2011年、春の訪れは震災とともに始まった。
どうか、2012年の春は、穏やかな訪れであってほしいと願う。 -
ところで、この伊豆沼、実は沼自体はそんなに綺麗なものではない。
というか、むしろ水質は日本国内でも最悪のレベルといえるくらい汚い。
この沼であんな美しい光景が見れるなんてなんだか不思議〜。 -
震度7の揺れでは、沼の堤防が壊れるなどの被害が出た。
でもそれほど、大きな地震があったと感じるほどの被害は見られない。 -
なによりこの栗原がすごいのは、あれだけの強い地震に襲われながら、亡くなった人が1人もいない、ということ。
僕は震災のとき、栗原の被害のニュースがほとんど流れないのを見て、津波に遭った沿岸部の被害の方がひどいから報道されないだけで、実際は栗原も大きな被害が出てるだろうと思っていた。
けれど実際、栗原では死者や不明者はゼロだったのだ。
これは本当に驚くべきことで、すごい街だなと思う。 -
そろそろホテルへ戻ろう〜。
というわけで、再びホテルまで4km歩く(笑)。
朝から往復8kmって、どれだけ歩くんだ…。。 -
でも広〜い田園地帯と広〜い空が気持ちいい♪
この道をあの真っ暗な中、歩いてきたって思うと、やっぱすごいな…(笑)。 -
くりこま高原駅の前には、直径10mの巨大な水車がある〜。
その名も、ヨッ!日本一♪
ほとんどこれといったものが何も無いくりこま高原の駅前で、唯一の見所になっている。 -
ホテルをチェックアウトして、駅前から仙台行きのバスに乗る!
バスだと1600円と、新幹線より安い。
乗客もかなり多い感じだった。 -
バスは栗原の中心市街地や市役所の前を通っていく。
街並みを見ても、とくに建物の大きな被害は見られない。
震度7でこれだけの被害で済んだというのはやっぱりすごい。
岩手・宮城内陸地震の教訓が生かされたということもあるのだろうか。
栗原は強い、というか、日本は強い。
他の国ならこうはいかないだろうなと思う。 -
バスは1時間ほどで仙台に到着。
そして急いで、JR仙石線に乗る!
仙石線は初めて乗ったけど、通勤電車っぽい雰囲気だった。
この仙石線もいまだに沿岸の一部区間が不通となっている。 -
この旅で最後にやって来た街は、塩竈!
最後に塩竈神社で東北の復興を願って帰ろう、と思った。 -
塩竈は港町だから、やはり津波の被害があった。
けれど、三陸の沿岸に比べると、かなり被害は少なかったらしい。
というのも、松島湾に浮かぶたくさんの小島が、津波の力を分散してくれたから。
松島がいち早く観光復興できたのも、津波の被害が少なかったからだ。
まさに、松島は松島に救われた、という気がする。 -
市場があるというので、行ってみた。
港の近くにある塩釜水産物仲卸市場!
なんと午前3時からやってるという〜。 -
この市場がすごく活気があって面白かった!
たくさんの店が並んで、そこに海産物がずらりと揃う。
元はプロの業者対象の市場らしいけど、普通の観光客も買うことができる。
店の前で親父さんが巨大なマグロを捌いてたりして、そんな光景を見てるだけで楽しい。 -
水揚げ日本一のマグロをはじめ、サケやサバ、アジ、ホッケ、カニまで、なんでも揃ってる感じ。
地方の市場とかってあんまり賑わってない所が多かったりするけど、ここは元気いっぱいな市場だ。
この市場の猥雑とした感じがとってもいい♪ -
おお〜、タコ!
でかい!!
赤い!! -
大津波に姿を変えた東北の海だけど、こうして海から美味しい魚がたくさん運ばれてくる。
この街は、海と共に生きている街なんだなと思った。
そういう意味でも、今回の震災で海を恨むことはできないのかもしれない。 -
なんだか市場を散策していたらお腹がすいてきた。
というわけで、昼食は市場近くの伸光というお店で♪
面積当たりの寿司屋の数が日本一という塩竈市だけど、ここは海鮮丼が名物の店。
かなり混んでて、隣の待合室のような所でしばらく待った。 -
実はここ、NHKの「鶴瓶の家族に乾杯」に登場したお店。
震災前に鶴瓶さんが仙台出身の佐々木主浩さんと一緒に訪れ、さらに震災後にも再び訪れたという。
この店も津波の被害があって震災後は休業していたけど、鶴瓶さんの励ましがあって再開することにしたんだそう。 -
イチオシ
頂いたのは1000円のまぐろ丼!
実を言うと僕は生の魚って苦手で普段は寿司とかもあまり食べないんだけど、塩竈へ来てマグロ食べないってのはないでしょ、ってことで今回は特別に(笑)。
が、このまぐろ丼がめちゃくちゃ美味しかった!!
まぐろの甘みが口のなかでとろける〜。
初めてまぐろを美味しいと思ったかも。。(笑)
あっという間に完食した! -
見上げると、鶴瓶さんのサインが!
僕はこの放送を見てないので知らないけど、店の旦那さんも奥さんも明るくて気さくな雰囲気で、いかにも鶴瓶さんと相性が良さそうな感じ♪
店に入ってきた客に旦那さんが「どうぞー。カウンター座りなー」と言う。
すると奥さんが大きな声で「だめーっ!向こうに待ってる人がいるの!その人を店に入れちゃだめーっ!!」と叫ぶ。
「なんだよー。だめなのかよ。そんなこと知らねーからよー」と旦那さん。
とにかく賑やかで楽しいお店♪
地元のおじさんが「やっぱりここは違うね〜」と言って店を出ていく。
鶴瓶さん、ほんとにいい店を見つけたなぁ。。 -
店を出て、塩竈神社へ向かうことに。
意外に神社までは遠くて、またまた歩く、歩く。。 -
塩竈の街、津波被害は少なかったとはいえ、それでもやはり津波の痕跡は残っていた。
道路が崩れていたり、ガードレールが横倒しになってたり。
本塩釜駅周辺はお店の窓がどこも新しいガラスで、ここにも津波が押し寄せたんだと実感した。 -
ようやく塩竈神社に着いた!
東北鎮護、と書いてある。
この塩竈神社は陸奥国の一宮。
陸奥国はみちのく、今の福島、宮城、岩手、青森に相当する地域のことだ。
つまり、今回の震災で被害を受けた地域ということになる。
だからこそ、その被災地の一宮である、この塩竈神社で復興を願おう、と思った。 -
表参道は長〜い階段!
これはけっこうきつい。。 -
東北で初詣客が一番多いという塩竈神社。
この日はちらほらと観光客がいるくらいで、とっても静か。
思ったより小さな神社で、落ち着いた雰囲気が漂う〜。 -
境内には国の天然記念物に指定されている塩竈桜がある。
ヤエザクラの一種で、例年5月初旬頃に満開を迎えるという。
今はまだ蕾もない木に、満開の桜の花を想像しつつ。。 -
塩竈神社を参拝♪
今回東北へ来て、ほんとによかったと思う。
震災以降、東北には暗く悲しいイメージを抱いていた。
けれど、実際の東北には、想像以上にたくさんの「光」があった。
東北の人達は前向きに、明るく、強く生きていた。
東北の旅をして、こっちが逆に励まされたような、そんな気がする。 -
確かに、本当の意味での復興はまだまだ遠い。
これから何年、何十年とかかるかもしれない。
でも、大丈夫な気がする。
このたくましい東北なら、いつかきっと本当の復興を遂げてくれるだろう。
すでに東北は、新しい明日へ向かって歩み始めていると思った。 -
塩竈神社で東北の明るい未来を願おう〜。
今回ばかりは私利私欲は我慢して。。(笑)
東北が無事に復興しますように…! -
本塩釜駅へ戻ると、たくさんの温かいメッセージが並んでいた。
東北には日本中、いや世界中から応援のメッセージが寄せられている。
こんなに優しさで溢れた場所は、世界中探しても他にないかもしれない。 -
帰りに萩の月と笹かまばこ、かもめの玉子を買って、東京行きのバスに乗る♪
東北で見つけた、たくさんの「光」。
絶望があったからこそ、そんな希望の光も輝いて見えるのかもしれない。
今はその光の向こうに、明るい未来があることを信じたい。
東北がさらにたくさんの、希望という名の「光」で満ち溢れることを願って。
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