2011/11/08 - 2011/11/10
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スーポンドイツさん
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「世界が愛したオリエンタル・リゾート 富士屋ホテル」
創業は明治11年
父曰く「一生に一度でいいから泊ってみたい」またスーポンたちもいつか行ってみたいと2009年の新聞の切り抜きを大事にとっていたホテルです。
今回縁あって宿泊できましたが、館内見学ツアーは見どころいっぱい! 先人たちの遺志を受け継いだサービスは心地よく、思い出に残るひと時を過ごすことができました。
登録有形文化財
・本館・菊華荘・西洋館・ダイニングルーム・花御殿
- 同行者
- 家族旅行
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 船 新幹線 JRローカル 私鉄
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
宮ノ下駅からあじさい坂を下り、セピア通りに出て少し行くと、その名のとおりの雰囲気の写真屋さんがありました。
あとでわかったことですが、
1878年(明治11年)の開業。富士屋ホテルに滞在する外国人観光客の記念写真を撮ったり、日本の風景写真を売ったり、ホテル専属だったようで、いまも有名人や芸能人が訪れているようです。 -
少し早めとは思ったのですが、15時過ぎに富士屋ホテル到着。
泊る予定の花御殿はわかるけれど、一体どこから入っていいものやら・・
とりあえず正面からと、FUJIYAと書かれたところの木製の回転ドアを開けますが、そこはクローク。
猿や珠を持った龍の彫刻もある赤い欄干の階段(なんだか中国風!?)を上ってFront Desk にたどり着きましたが、チェックインは長蛇の列。
添乗員2号に任せ、Lobby(Magic Room)で休憩します。きわめて日本的な置物や書画が飾られています。
廊下を隔てて奥は Tea Lounge ORCHID -
今宵の宿泊は、花御殿の「木蓮華」の部屋です。
花御殿は43室すべてに花の名前がつけられてています。
ドアには三井萬里氏の絵が飾られ、鍵にも同じ絵が描かれています。
手に持っているのは部屋の鍵。もちろん木蓮の模様です。とにかく大きくて、重くて持ち歩くには不便この上ない!
スーポン達はこの鍵をフロントに預けて食事に行きましたが、これを持ち歩くのがステイタスだったみたい。各部屋に一つしかないので、別行動する時は少し不便かな。 -
揃っているのは部屋の鍵だけではありません。壁の絵も、浴室のタイルの一枚も、絨毯も、木蓮一色で、感激です。
絵葉書もセットされていました。SHOPで買うこともできます。 -
部屋は広く、天井が驚くほど高いのです。それに歴史を感じる三面鏡と、その引き出しには浴衣が用意されていました。
-
右は、かなり広いウォークインクローゼット
長期滞在の外国人観光客用というのが感じられます。
高い位置にある窓ガラスは青海波模様、扉を閉めると電気が消えます。おぉ〜エコ!
敷地内にある源泉から各部屋へ天然温泉が引かれています。
アメニティは富士屋ホテルチェーンのものです。 -
16時からコンシェルジュによる「館内ご案内ツアー」があります。
15時に到着して、部屋に案内された後、荷解きなどしていたら、意外に時間がなくなってきました。
「館内ご案内ツアー」は、日によって案内して下さる場所が変わるそうですよ。
こちらが最初に入りそこなった本館 MAIN BLDG.の正面玄関
1891年(明治24年)竣工
白い鳳凰と天使は訪れる人々を祝福してくれるのだそうです。 -
こんなに人が集まってきました。本館の前庭で説明が始まります。
富士屋ホテルは1878年(明治11年)7月15日開業。ホテルから富士山を見ることは出来ませんが、外国人にとって印象深い名であることや、かつてこの地にあった老舗温泉旅館「藤屋」の名前をもとに「富士屋ホテル」と名付けられました。
左奥に見える鉄筋の建物はフォレスト館 1960年(昭和35年)竣工 -
この前庭では舞踏会が開かれていたそうです。
ホテルの創業者は山口仙之助氏
詳しい経歴はこちらで↓↓↓
http://www.fujiyahotel.co.jp/ja/history/index.html
明治時代から外貨獲得が大切と考え、様々な事業を起こした不屈の精神の持ち主です。
右手には、富士屋ホテルを代表する1930年(昭和5年)竣工のDining Room
-THE FUJIYA-。今夜はここでの食事になります。すっごく楽しみです。 -
昇天閣には4mもある昇り竜、避雷針代わりですね。
消防法により、今はここから展望することはできません。 -
本館向かって左手には、1906年(明治39年)竣工の西洋館があります。
1号館 COMFY LODGEと2号館 RESTFUL COTTAGEは中でつながっていて、ここも宿泊できます。玄関の両横にはお寺によくある火燈窓 -
さらに左へ振り返れば1936年(昭和11年)竣工の花御殿 Flower Palace
鉄筋構造ですが、外部は木造風
銅葺きの屋根の上の獅子には三代目山口正造氏の「ホテルの王となる」の願いが込められているそうです。 -
まず向かうは、Bar -VICTORIA-
コンシェルジュは最初から最後まで、創業者や3代目の方の写真を高くかざしたまま(しびれるよ〜)終始にこやか! さすがです。
ここはかつてビリヤード場として使われていたため、天井の装飾もビリヤードです。
花御殿の花の名にちなんだものや、富士屋ホテルを訪れた著名な5人をイメージしたオリジナルカクテルがあり、部屋に割引券が用意されていましたが、とうとう行けずじまい。 -
男性トイレのタイルはビリヤード場(現在のバー)の床と壁に使われていたものと同じものだそうです。カラフル〜。
できた当初のトイレの様子を現代まで伝えるのは、並大抵の事ではないでしょう。 -
長い廊下をぞろぞろ・・花御殿の地下へ。迷わないようにカーペットにフロントはこちらという意味の矢印もありました。
今回の旅行の大義名分となった展示即売会
フロントから遠く、あまり人は来なかったような・・ -
Chapelは、もとダンスホールだったところ。
資料展示室へ向かう前に、ここでホテルの歴史やエピソードを伺います。 -
源泉掛け流しの温泉プールです。利用時には水着も貸して下さるとのこと。
水着を持参しましたが、食後はもうお腹いっぱいで・・サウナは工事中でした。
源泉掛け流しの浴室
外国人観光客にとってお風呂は部屋で入るのが基本だからでしょうか、男性用「太閤湯」は3・4人、女性用「不老泉」は4・5人定員の小さいものです。富士屋ホテルに、和風の大規模旅館並みの大浴場を期待するのは無理です。もし集客のために作れと言っても、この文化財的な建物の中では不可能でしょうね。
タオル・シャンプーなど揃っているので部屋から手ぶらで行けますが、浴衣やスリッパで行く事はできません。(これが実に面倒臭いんです。)
貸切風呂(マーメイドバス)もありますが、予約しませんでした。 -
花御殿地下1階にある史料展示室へ。
三代目の山口正造氏は日光金屋ホテルの次男坊。見込まれて創業者の娘婿となり、富士屋ホテルを発展させました。
立派な御髭は76? 朝に夕に油で調え、夜は特性のキャップをつけ、寝返りもできない状態だったとか。
なぜそんなやっかいなことをしたかというと・・
外国人観光客誘致が目的で、万国髭倶楽部会長に就任したからです。2インチ以上の髭があることを入会条件に世界中に招待状を出したところ、初回には10か国から43人の立派な髭を蓄えた方々が集まったそうです。 -
1932年(昭和7年)に来日したチャップリン
富士屋ホテルに泊まっていると聞きつけた報道陣やファンが押し寄せますが、どこにもお馴染みちょび髭の人物が見当たらない。
「富士屋ホテルにいるなんて嘘だ!」という誰かの一声でみんな引き揚げてしまい、チャップリンは静かなホテルライフを楽しめたのだそうです。
サインの横の写真は三島由紀夫
ジョン・レノンもここがお気に入り!オノ・ヨーコ、ショーン君とともに花御殿の「菊の間」に泊ったようです。 -
本館ロビーに戻ります。
かつてフロントがあった所、一枚板の大きな彫刻の端の柱には白い尾長鶏
1937年(昭和12年)に来日し花御殿桜の間に宿泊したヘレンケラーは、当時飼われていた尾長鶏をたいそう可愛がったそうです。ところが再来日した昭和24年には尾長鶏は亡くなっており女史は部屋に引きこもったままだったとか。
ホテル側では、もしまた来ていただく日があれば・・と考え、この彫刻を残したのだそうです。 -
本館フロント前
飴色に輝く手摺りや柱頭も素敵です。 -
いよいよお待ちかね Dining Room -THE FUJIYA-
-
格天井には、
ひとますにつき4種類の高山植物×159=636種類の花、そして238羽の蝶、507羽の鳥が描かれています。
天井まで5.5mもあり、うす暗くて数えるなんてタイヘン!
欄間には12支の彫刻が施されています。 -
飾り舞台ではお能など日本の伝統文化を紹介したそうです。
欄干には当時まだ珍しかったゴルフやテニスをする人の彫刻があり、
外国人たちが「そんなスポーツを知っているのか?」と驚く姿を、三代目は満足気に見ていたそうです。 -
柱の足元には、このメインダイニングを建てた3代目山口正造氏の彫刻があり、「笑顔を忘れるな!」とスタッフを見張っているそうです。
この3代目社長は、従業員育成のため3年間の「ホテルトレーニングスクール」も開校しています。
案内が終わると、名刺サイズの「館内ご見学記念証」を一人ずついただきます。これで一部買い物が10%割引になります。 -
5:30PMから早めのディナーです。
サービスプレートには富士山と花御殿が描かれています。
まずは、富士屋ホテルの天然水仕込み:箱根富士屋ビールで乾杯!
このラベルが欲しいと告げると保存シートに貼ってくださいました。裏面に感想が書けるようになっています。
高級なワインを開けたわけじゃないけれど、えへへ・・(^_^;) -
前菜はオマール海老の軽いスモークに旬野菜のテリーヌ添え
シェリーヴィネガー風味
栗のポタージュ
お初です。なんて、なめらなんでしょう〜 -
季節の鮮魚(え〜っとなんだっけ?金目鯛?)とムール貝のナージュ
ポロネギのソース
サーロインステーキ プラムとベーコンのソースと共に
さつまいものムースとアイスクリーム添え
ムースの上に乗ったカリカリのさつまいもは、170度で揚げるそうです。
コーヒー又は紅茶 カップにも富士屋のロゴマーク! -
ぐっすり休み、まずは朝風呂へ。
朝食が9時なので(7:30と9時のどちらかを選べました)5000坪もあるというお庭を散策します。
西洋館の裏側はお蔵のような壁、耐火構造ってことでしょうか。
小さな滝=カスケードがあり、宴会場「CASCADE ROOM」の名前の由来になったそうです。
創業者の山口仙之介氏は、本館裏に水力発電所を設けたと聞きましたからそれとも関係ありかな。 -
Japanese Garden
水車小屋
この上にある Outdoor Pool は夏季のみ営業、立ち入り禁止になっていました。 -
左上 English Garden
左下 Hill of Happiness 幸福の丘 鐘を鳴らすのは誰?結婚式が出来るようです。
右上 湯気が見えますか?
大正9年、温泉熱を利用して建てられた Green House 温室
ポインセチア、そろそろクリスマスがやってくるなぁ〜
蘭、熱帯植物などを栽培し、販売もしています。 -
温室からカスケードルームへの通路は、陶器の魚が埋め込まれていて、まるで水族館。
カスケードルームでは宴会の準備が整っています。
戦後9年間進駐軍により富士屋ホテルは接収されました。
その間、カスケードルームでは毎晩のように舞踏会が
催されていたそうです。 -
美しいステンドグラス、2号満足の一枚です。
木組みまで美しく、欄間の彫刻は一枚板の透かし彫り、超スゴ技!!
あとでわかったのですが、40羽の鳩の彫刻の中で1羽だけ赤い目の鳩がいるとのことです。見つけたら、いいことあったかも。 -
朝食は、35組限定の菊華荘での和食を9時にお願いしました。道路を渡って移動します。
菊華荘はオリエンタルムードの富士屋ホテルとは違い、数奇屋風書院造りの純日本風。
1904年(明治28年)皇室の宮ノ下御用邸として建てられました。
その後、1933年(昭和8年)に高松宮家の別邸となり、1946年(昭和21年)富士屋ホテルが払い下げを受けたそうです。 -
豪華な朝食です。パンとコーヒーがないと泣きそうになるすーぽんですが、こちらを選んで正解でした。
意外と薄味です。
半紙の上に、下の写真の3品+ご飯(またはおかゆ)が運ばれてきます。
この「えぼ鯛」の干物、お初にいただきました。 -
お庭を散策。さすがに元御用邸としての風格を今に伝えています。
-
ベーカリー&スイーツの店PICOTに寄ってみます。
パン・スイーツの他にもホテルロビーと同様のレトルトカレー、ドレッシングなど取り揃えています。
通行手形パンが欲しかったのですが、作っていないとのことで、りんごパンを。
「館内ご見学記念証」を提示すれば10%引きになるので、お忘れなく。 -
11時チェックアウトぎりぎりまで滞在。
見事な彫刻や照明・調度品など見所満載で、写真に撮りきれません。
それぞれに歴史があり、数々の物語があって・・一泊では足りないくらい!興味は尽きません。
宮ノ下の骨董や寄木細工のお店も面白そうでしたが、朝一で冷やかしだけというのも悪い気がして、雨が降り出しそうななか駅へ向かいました。
今回の富士屋ホテルの宿泊は、スーポンたちにとっても父にとってもよい思い出となりました。
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この旅行記へのコメント (2)
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- ももであさん 2012/01/01 19:16:14
- “不便な鍵”へ
- スーポンドイツさん
あけまして おめでとうございます。
旧年中はたくさんの書き込みや投票をありがとうございました。
富士やホテル。細部に渡るまでお客さんをもてなそうとする
先代の意志が伝わってきそうです。想像以上のホテルでした。
本日元旦には、一段とすごいことになっているんでしょうね。
明日、明後日の箱根駅伝では、温泉シチューパンでまた忙しく
なることでしょう。
ぼくもいつかは、“不便な鍵”を持ち歩きたいものです。
新しい年が、元気な一年でありますように。
今年もよろしくお願いいたします。
ももであ
- スーポンドイツさん からの返信 2012/01/01 19:32:41
- RE: “不便な鍵”へ
- ももであさん
明けましておめでとうございます。
昨年のももであさんの旅行記が感動の連続でしたので、帰省した子供たちにも紹介していました。
クオリティが高いな〜って、楽しませていただいています。
新年早々、箱根の旅をご覧いただき有難うございます。
一生に一度の不便な鍵でしたが・・(^_^;)今年もあちこちの鍵を開けて、未知の世界と出会いたいですね。
ももであさんも素敵な旅が始まりますように!
ご多幸をお祈りしております。
すーぽん
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