四川旅行（８）杜甫草堂～にわか漢詩紀行～

2011/05/22 - 2011/05/22

　国破山河在，城春草木深。
　感時花濺涙，恨別鳥驚心。
　烽火連三月，家書抵万金。
　白頭掻更短，渾欲不勝簪。

日本人にもおなじみの杜甫《春望》。
楽山へ行く時間はなくなってしまったが、代わりに杜甫草堂へ案内してくれると言う。
楽山破れて、草堂あり。
幼い頃から「唐詩三百首」を諳んじる中国人には到底かなわないけれど、私も結構漢詩好き。
詩聖杜甫の"茅屋"で、その空気を味わいたい。

エリア 成都(中国)

4時、成都に戻ってきた。
すでに馴染みとなったこのパンダの笑顔に癒される。
気を取り直して、残り少ない旅の時間を楽しもう。

バス車窓より。
思いがけず"浣花溪出水閘"の文字が目に飛び込んできた。
心ときめく。

これが浣花渓？

　《絶句四首（其三）》
　両個黄[麗鳥]鳴翠柳，
　一行白鷺上青天。
　窗含西嶺千秋雪，
　門泊東呉万里船。

杜甫草堂の前の通り。
のどかな夕方。

草堂 正門

万里橋西宅
百花潭北荘

杜甫艸堂

全国重点文物保護単位（首批）
中華人民共和国国務院
1961年3月4日公布
四川省人民委員会立

安史の乱を逃れてきた杜甫が、48歳の時から約4年を過ごし、247首の詩を詠んだ場所。
修復と拡張が繰り返され、今では大きな園林かつ博物館となっている。

園内には古木も多く、しっとり落ち着いた雰囲気。

黄葛樹（＝黄桷樹、大葉榕樹）：ガジュマルの一種

古樹名木
成都市林業和園林管理局

緑色来自植物，
美麗需要恁的呵護。

成都杜甫草堂博物館

大廨

杜陵落筆傷豺虎
愛国孤[心宗cong2]薄斗牛

杜甫
　712−770
　字子美，自号少陵野老，世称杜工部、杜拾遺等。

やせて、悲愴な面持ち…
この像の手に触れると、文才がつくと言われている。

大廨内

詩史堂

“詩聖”杜甫の詩は“詩史”と言われる。
“以詩証史，以史補詩”

杜甫胸像

ひげ（胡hu2）は、福（fu2）につながるとされるため、多くの人に触られて、光っている。

草堂留后世
詩聖著千秋

朱徳 題

水檻

苦竹

工部祠

杜甫神龕

荒江結屋公千古
異代昇堂宋両賢

黄庭堅
1045-1105
北宋詩人

陸遊
1125-1210
南宋詩人
“山重水複疑無路，柳暗花明又一村”

“宋両賢”はお顔がそっくり？

少陵草堂碑亭

《茅屋為秋風所破歌》詩碑
ここにも杜甫像。

　《茅屋為秋風所破歌》

八月秋高風怒号，卷我屋上三重茅。
茅飛渡江洒江郊，高者挂[juan4]長林梢，下者飄転沈塘[土幼ao4]。 　　

南村群童欺我老無力，忍能対面為盗賊，公然抱茅入竹去。
唇焦口燥呼不得，帰来倚杖自嘆息。 　　

俄傾風定云墨色，秋天漠漠向昏黒。
布衾多年冷似鉄，嬌儿悪臥踏里裂。
床頭屋漏無干処，雨脚如麻未断絶。
自経喪乱少睡眠，長夜沾湿何由徹！ 　　

安得広厦千万間，大庇天下寒士倶歓顔，風雨不動安如山！
嗚呼，何時眼前突兀見此屋，吾廬独破受凍死亦足！

そして、いよいよ茅屋故居へ。

　　《客至》
　舍南舍北皆春水，但見群鴎日日来。
　花径不曾縁客掃，蓬門今始為君開。
　磐[夕食sun1]市遠無兼味，樽酒家貧只旧[pei1]。
　肯与隣翁相対飲，隔籬呼取尽余杯。

杜甫の詩中の描写と、明代に造られた構えに基づいて、1997年に再建。

客庁

主臥室

厨房
石磨盤：2002年出土

書房

　　《春夜喜雨》
　好雨知時節，当春乃発生。
　随風潜入夜，潤物細無声。
　野径雲倶黒，江船火独明。
　暁看紅湿処，花重錦官城。

花径
背郭堂成 錦里溪山千古在
縁江路熟 青郊草木四時新

浣花祠
浣花夫人像

草堂影壁：青花磁器の欠片が嵌め込まれている。

（這前面有郭沫若先生撰書的楹聯）
　花学紅綢舞
　径開錦里春

大雅堂：顔真卿の字
2002年開放。原是草堂寺的大雄宝殿。

十二位古代詩人像（屈原、陶淵明、陳子昂、王維、李白、白居易、李商隠、蘇軾、黄庭堅、陸游、李清照、辛棄疾）

屈原
BC340−278 戦国時代

材質：烏木（＝黒檀）

李清照
1084−1151　宋代
中国で数少ない女流詩人

後ろには磨漆壁画。

樟：クスノキ

　　《楠樹為風雨所抜嘆》
　倚江楠樹草堂前，故老相伝二百年。
　……
　我有新詩何処吟，草堂自此无顔色。

杜甫先生，別這麼説！
1300年后這里還有[木果ke1]樟樹嘛？！

杜甫草堂　南大門

異代不同時 問如此江山龍蟠虎臥幾詩客
先生亦流寓 有長留天地月白風清一草堂

　　　《游人為草堂所迷頌》
　　五月初夏四川行，老天引我進草堂。
　　思接千載杜陵詩，浣花茅屋任遐想。
　　　　見笑了，純属山寨。


四川旅行（９）陳麻婆、春熙路、天府広場 に続く。