2011/01/01 - 2011/01/01
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シベックさん
志摩市・立神地区の正月行事に、宇気比神社の境内で行われる獅子舞、通称"ひっぽろ神事"があり、久し振りに見てきました。一年の豊作を祈願する神事で、獅子舞い・小屋破り・火祭りなど若者を中心に、児童から年配者まで幅広く参加する勇壮な行事です。宮座による祷屋制に従って、地区から13軒が選ばれ、ひっぽろ神事に奉仕します。私の子供のころは正月3ヶ日行われていた神事ですが、その後いつの間にか2回になり、今年はついに元旦の1回だけになってしまいました。
写真は、神事最後のクライマックス、小屋破り火祭り。
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円 - 3万円
- 交通手段
- 自家用車
-
立神・宇気比神社(うけひじんじゃ)
椎や槙の大木の中に鎮座する神社。
幟と国旗が掲げられて、
正月の雰囲気がただよいます。
私にとっては産土神(うぶすなのかみ)様で、
お参りするのは久しぶり・・
少々緊張します。 -
森の中の宇気比神社
参道は東から伸びて本殿に至ります。
二の鳥居の奥は祓所で、右に本殿があり、
左には獅子殿(宮中)が建てられています。
境内は傾斜地で参道を境に
南(左)は低く、北は高くなっています。
ひっぽろ神事は、
この坂の境内全体を使って行われます。
主祭神は、五男三女神・天照大神・伊弉諾命。
獅子頭は牡牝二頭あり、
普段は宮中(獅子殿)の祠に鎮座しておられ、
この神社のご神体にもなっています。 -
本殿
石の鳥居を潜り玉砂利を踏みしめ進むと本殿は南向きに建っています。
祓所から見た宇気比神社の本殿。
神事はすでに中盤ですが、火祭りには時間もあるので、失礼して一時神社を後にすることに・・。 -
獅子殿(宮中)
夜の8:30頃再度境内に入り、まずは本殿にお参りしました。昼頃から始まった神事も、あと少しを残すだけの時間帯です。
ここは獅子の休まれる館で、藁で編んだムシロが敷き詰められ、壁には白幕が張られていました。その中で火鉢を前に神職や九人役、楽師が踊る獅子を見守っていました。 -
小屋と釜場のある坂下・接待側
ひっぽろ神事は、昼過ぎに神事をおこない、午後3時頃から獅子舞が始まり、宴会、獅子舞、豊年竿の舞などの最後に火祭りが行われます。宴会は参道を中にして、向かい合った接待側(祷屋・ハゼの若衆)と客側(厄年衆・トリの若衆)とが昔の言葉を使い大声で問答をするというユニークなものです。
トリ「杜氏しろむく神立太郎殿に申〜す!」・・・仮名
杜氏「おう!」
トリ「本日の神酒(みき)は、上出来でござ〜る」
杜氏「飲まっせ!」
トリ「もたっせ!」
杜氏「食わっせ!」 -
楽師は太鼓と笛
楽師は太鼓1名、笛2名で奏でられ、楽調は一番起こしから九番起こしまで、すべて異なっているそうです。横笛の口伝譜にある「ヒッポリリョウリョ」が、ひっぽろ神事の名前の由来だといわれています。
起こしとは、察するところ宮中で休んでいる獅子を起こすという意味かと・・。 -
獅子
獅子頭はお正月にだけ祠から出られます。
獅子舞は、神社が司り獅子は宮中(獅子殿)から
境内に出て舞い、宮中へ戻りお休みになります。
これが獅子舞の1サイクルで、
午後3時過ぎから午後9時頃までに境内での舞と
お休みを9回繰り返します。
その一番起こしから九番起こしまでは約6時間・・。
獅子舞は普段から鍛え上げた超人的な体力がないと
勤まりません。
この間にも、トリの若衆とハゼの若衆との問答が、
延々と続いています。
トリ「ハゼ申う〜す!」
ハゼ「おう!」
トリ「ぱっぱの火をどんどん持たっしゃれ!」
ハゼ「かしこまりました!」
夜の神社は、底冷えがします。
火に当たりたいので火をつけた堅炭を持って来いと
トリの若衆が叫んでいます。
ハゼの若衆は、鰒の貝殻に火をのせ運んできます。 -
坂上の客側・宴会中
客側(厄年衆・トリの若衆)の陣地。神事は終盤、そろそろ小屋破り火祭りの刻。坂下の接待側が、頻繁に坂上に陣取る客側にお伺いに出向きます。客側のOKがでないと小屋怖し・火祭りに移行できません。
ハゼ「とおりましたか・・・」
トリ「とおりません。」
ハゼ「とおりませんなら、食わっせ!」
トリ「持たっせ!」
ハゼ「飲まっせ!」
などと問答し引き下がりますが、「とおりました。」の声を聞くまで続きます。 -
神社前で待機する獅子
獅子は頭舞と後舞の2名で、牡牝の二頭を二組で舞いますが、
重い頭なので大変な重労働だそうです。 -
坂下から見る境内
諸神事は完了し、獅子舞も九番起こしまで終了。
客側(厄年衆・トリの若衆)への接待も充分に行われました。
あとは坂上の客側が、神事・祭りを〆めて良しの意である
「とおりました。」の言葉を待つのみ・・。
その合図で、藁小屋を壊し火を放って火祭りがスタートします。 -
釜場も火祭り準備
火祭りに危険な五徳や鉄棒、食器類などを、
急いで片付けます。
白無垢姿は、釜場の長・杜氏役・・。 -
神職と小躍り役の子供
火祭り前の静けさ・・境内を見守ります。 -
接待側の釜場
火祭では、ドンドの火を
燃やす側(祷屋・ハゼの若衆)の坂下の場所。
この菰で囲われた釜場が、
どんどの火を燃やす場所になります。 -
豊年竿
青竹に御幣を沢山つけた竿二本。
坂上から参道に移動しました。
「とおりました。」
との許可が下りたようです。
まもなく神事のクライマックスへ・・。 -
火を燃やす側(祷屋・ハゼの若衆)勢揃い
一の祷、二の祷、白無垢姿の杜氏ほか全員が集合。
坂下の"ハゼの若衆"と、
坂上の"トリの若衆"との、火祭り攻防戦が間もなく
展開されます。
なんとなく落ち着かず、ワクワクしてきました。 -
豊年竿回し
火はどんどと大きく燃え盛っています。
坂の上から、ドドドドドッと足音が聞こえ・・・
ハゼの若衆全員が駆け下りてきました!! -
小屋破り開始!
火祭りは、夜9時ごろ始まりました。
あっという間に、小屋は壊されてしまいました。 -
ひっぽろ神事火祭り
火祭りは、ドンドの火を燃やす側(祷屋・ハゼの若衆)と
たたき消す側(厄年衆・トリの若衆)に別れて
攻防を繰り返しながら、クライマックスに達します。
迫力いっぱいの火祭り。 -
ひっぽろ神事火祭り
ハゼの若衆は、厄男と自由参加の一般の若者の混成、誰でも参加できます。
今年は中学生が多かったらしい。
厄年衆は、紋付に赤い襷をかけ、一般参加者は紋付に白い襷がけ・・。 -
ひっぽろ神事火祭り
それー、たたき消せ・・! -
ひっぽろ神事火祭り
豊作、無病息災を祈願し燃やす火。
すべてを焼き尽くして
「厄」を払うための火祭りでもあり、
厄男やトリの若衆たちは
一斉に火中に飛び込んでいきます。 -
ひっぽろ神事火祭り
境内の様子。二本の豊年竿を回すのは、トリの若衆。
観客から、どんどん燃やせと声が飛びます。
「燃やしゃされや! 燃やしゃされや・・!」
「焚かっしゃれや! 焚かっしゃれや!」などと・・ -
ひっぽろ神事火祭り
火が大方消えるとトリの若衆は、
さっと坂上に引き上げます。
ハゼの若衆たちは、
飛び散った燃えぐさをかき集め
再度火をつけ燃やします。
火が燃え盛ると、観客から声が飛びます。
「若い衆! はよ消しに行かんかぁー!」
「行け! いけ・・!」などと・・
観客の大半は氏子、ほとんどが神事の経験者。
年寄りのうるさ方が多い。
そのやり取りが、また面白い。 -
ひっぽろ神事火祭り
菰(こも)を束ねてたたき消せェ・・・ -
ひっぽろ神事火祭り
みんなで消せば、怖くない・・
たまには
焼けどや頭髪、眉毛が焦げることもあるけど・・ -
ひっぽろ神事火祭り
一人で消す・・けど、消えません。
休んでいないで
誰か・・・来てくれ! -
ひっぽろ神事火祭り
ゴルフスイングで、バシッと・・。 -
ひっぽろ神事火祭り
藁束を頭上に振り上げ、叩き消す。 -
ひっぽろ神事火祭り
火を燃やし・・たたき消すだけの
単純な祭りですが、
見ている我々も祭りが進行するにつれ
興奮してきます。 -
ひっぽろ神事火祭り
小屋破り・火祭りも40分が経ちました。
そろそろ・・最後か・・。
太鼓や笛のリズムが早くなってきました。 -
獅子のおっ込み
残り火が少なくなる頃、祷屋年長者の二名が豊作を祈って豊年竿を回して踊りました。豊年竿を受け取った獅子は宮中(獅子殿)に持ち帰ります。すぐ獅子は境内にうって返し、伊勢神宮方向や東の鳥居、トリの若い衆側にお礼の舞を激しく舞い踊って宮中に・・。同時にトリの若衆は、神社の外に走り去りました。 -
神事の後の残り火
トリの若衆たちの代表者は「ハゼ申〜す! 火の用心を よう召され!」と言い伝えて、神社境内から去っていきました。昼頃から始まったひっぽろ神事も、夜10時ごろ全て無事終了。
近年、氏子の高齢化や少子化、勤め人の増化などのため祷屋を受けられない家が増え、神事の存続が危ぶまれているそうです。来年も神事が続けられますことを祈って、帰路に・・・。
〜完〜
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この旅行記へのコメント (2)
-
- いっちゃんさん 2011/01/31 16:10:32
- 伝統ある神事
- 伝統ある神事が・・
近年、氏子の高齢化や少子化、勤め人の増化などのため祷屋を受けられない家が増え、神事の存続が危ぶまれているとのこと、何処の地域も悩みの種ですね。
素晴らしい火祭り神事 保存したいものです
シペックさんのリアルな旅行記で存在感を・・大事に記憶します。
ありがとうございました。
いっちゃん
- シベックさん からの返信 2011/01/31 22:45:14
- RE: 伝統ある神事
- いっちゃんさん、こんばんは!
>近年、氏子の高齢化や少子化、勤め人の増化などのため祷屋を受けられない家が増え、神事の存続が危ぶまれているとのこと、何処の地域も悩みの種ですね。
どこも同じような悩みをかかえているようですね。
何か良い策でも講じないと伝統行事も、伝承することができなくなりそうです。
昔ながらの祷屋制も無理なようで、神事の担当者が何軒もかけあっってやっと集めたそうです。
以前は祷屋が回ってくるのが待ち遠しい・・と言った状況だったのですが・・。
高齢化・少子化、勤め人の増もその理由ですが、
10数軒で神事の全費用を出さなければならないことも、今や大変なことのようです。
私も過去に、トリ側とハゼ側で火と灰に塗れた思い出の神事なので、何とか伝承して欲しいと願っています。
そういう私も、田舎を出ている一人なのですが・・。
写真はフラッシュなしでトライしましたが、ブレ写真の大量生産になってしまい、頭を抱えてしまいました。
今日はひっぽろ神事を楽しんでいただいて、有難うございました。
シベック
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