ウシュアイア旅行記(ブログ) 一覧に戻る
ブエノスアイレスから3時間半、ウシュアイアに着いたのは19時過ぎだった。もう外は真っ暗なんだろうな…というのは日本の感覚である。当地は夏で、しかも緯度が高いので、まだまだ夕方といった程度の明るさである。ただし、風はめっぽう冷たい。南極に近い街なのだと実感する。<br />日が暮れてきたのは10時過ぎで、完全に暗くなったのは11時である。そして12時になったとき、窓の外から異音がした。窓を開けてみると、街じゅうのパトカーと救急車がサイレンを鳴らし、港に停泊している船が汽笛を鳴らしていた。そういえばクリスマス・イブだったと思い出す。時折、花火を打ち上げる音もするが、圧倒的なサイレンと汽笛がこの街らしいクリスマスだと思った。<br />翌日は雲が厚く垂れ込めるあいにくの天気である。それでも、ホテル前にやってきたバスにピックアップされる。<br />ウシュアイアは、それほど大きな町ではない。だが、周辺にはパタゴニアの南端の大自然が広がっている。バスは、街を出ると西に向かって、ティエラ・デル・フエゴ国立公園に向かう。途中、小さな汽車に乗る。もとはウシュアイアの市内にあった監獄から木材の伐採地を結んでいた鉄道を、末端部分だけ復活させたもので、レールの幅も1メートルに足りないほどしかないし、客車も大人3人掛けの幅しかない。一旦伐採してしまった木は、このような厳しい気候の地では再生しないのだろうか、汽車は切り株だらけの荒涼とした風景の中を進む。終点でふたたびバスに乗り、ロカ湖の湖畔を散策する。天気が良ければ、対岸の雄大な山々を望む散策が楽しめるのだろうが、残念ながら雲が垂れ込めている上に雨もぱらついていて、あまり散策に向いたお天気とは言いがたい。<br />湖畔のロッジで休憩したあと、バスで市内に戻る。次は、ビーグル水道のクルーズである。桟橋に泊まっている遊覧船は、小ぶりながらも双胴船である。それだけ波が荒いのだろう。波静かなウシュアイア湾からビーグル水道に入ると、双胴船の実力が早くも発揮される。波はうねるし、風は強いし、甲板に出れば雨が顔を打つ。とはいえ、船は岩礁に向けて徐々に近付いていく。見ると、岩礁の上はペンギンのコロニーになっていて、何十羽ものペンギンがいるし、その下にはアシカが何頭もごろごろしている。もうこうなれば風が冷たかろうが雨が降っていようが、ツアー客全員がカメラを振りかざして甲板に押し寄せる。ひとしきり撮影タイムが終わると、次の島に向かう。こちらもペンギンのコロニーとアシカのごろごろが見られる。更にビーグル水道を東に向かうと、小さな岩礁に立つ赤と白の塗装が印象的な小さな灯台が見えてくる。エクレルール灯台というらしい。<br />クルーズはここまでで、船は灯台のある岩礁をくるりと回ると、ウシュアイアに向かう。甲板から遠ざかる灯台をしばらく見ていたが、だんだん船の揺れが激しくなってきたので、客室に戻る。船内にはカウンターがあって、飲み物やちょっとした食事をオーダーできるようである。コーヒーを頼んで、船の揺れにこぼさないように気をつけながら飲んでいるうちに、ようやく冷え切った身体が温まってくるように感じた。

世界最南端の街へ

8いいね!

2010/12/23 - 2011/01/02

73位(同エリア173件中)

0

13

jsbach

jsbachさん

ブエノスアイレスから3時間半、ウシュアイアに着いたのは19時過ぎだった。もう外は真っ暗なんだろうな…というのは日本の感覚である。当地は夏で、しかも緯度が高いので、まだまだ夕方といった程度の明るさである。ただし、風はめっぽう冷たい。南極に近い街なのだと実感する。
日が暮れてきたのは10時過ぎで、完全に暗くなったのは11時である。そして12時になったとき、窓の外から異音がした。窓を開けてみると、街じゅうのパトカーと救急車がサイレンを鳴らし、港に停泊している船が汽笛を鳴らしていた。そういえばクリスマス・イブだったと思い出す。時折、花火を打ち上げる音もするが、圧倒的なサイレンと汽笛がこの街らしいクリスマスだと思った。
翌日は雲が厚く垂れ込めるあいにくの天気である。それでも、ホテル前にやってきたバスにピックアップされる。
ウシュアイアは、それほど大きな町ではない。だが、周辺にはパタゴニアの南端の大自然が広がっている。バスは、街を出ると西に向かって、ティエラ・デル・フエゴ国立公園に向かう。途中、小さな汽車に乗る。もとはウシュアイアの市内にあった監獄から木材の伐採地を結んでいた鉄道を、末端部分だけ復活させたもので、レールの幅も1メートルに足りないほどしかないし、客車も大人3人掛けの幅しかない。一旦伐採してしまった木は、このような厳しい気候の地では再生しないのだろうか、汽車は切り株だらけの荒涼とした風景の中を進む。終点でふたたびバスに乗り、ロカ湖の湖畔を散策する。天気が良ければ、対岸の雄大な山々を望む散策が楽しめるのだろうが、残念ながら雲が垂れ込めている上に雨もぱらついていて、あまり散策に向いたお天気とは言いがたい。
湖畔のロッジで休憩したあと、バスで市内に戻る。次は、ビーグル水道のクルーズである。桟橋に泊まっている遊覧船は、小ぶりながらも双胴船である。それだけ波が荒いのだろう。波静かなウシュアイア湾からビーグル水道に入ると、双胴船の実力が早くも発揮される。波はうねるし、風は強いし、甲板に出れば雨が顔を打つ。とはいえ、船は岩礁に向けて徐々に近付いていく。見ると、岩礁の上はペンギンのコロニーになっていて、何十羽ものペンギンがいるし、その下にはアシカが何頭もごろごろしている。もうこうなれば風が冷たかろうが雨が降っていようが、ツアー客全員がカメラを振りかざして甲板に押し寄せる。ひとしきり撮影タイムが終わると、次の島に向かう。こちらもペンギンのコロニーとアシカのごろごろが見られる。更にビーグル水道を東に向かうと、小さな岩礁に立つ赤と白の塗装が印象的な小さな灯台が見えてくる。エクレルール灯台というらしい。
クルーズはここまでで、船は灯台のある岩礁をくるりと回ると、ウシュアイアに向かう。甲板から遠ざかる灯台をしばらく見ていたが、だんだん船の揺れが激しくなってきたので、客室に戻る。船内にはカウンターがあって、飲み物やちょっとした食事をオーダーできるようである。コーヒーを頼んで、船の揺れにこぼさないように気をつけながら飲んでいるうちに、ようやく冷え切った身体が温まってくるように感じた。

  • ティエラ・デル・フエゴ国立公園に行く途中で乗った汽車です。かつては囚人を運んだ列車ですが、今は「世界の果て号」という観光列車になっています。

    ティエラ・デル・フエゴ国立公園に行く途中で乗った汽車です。かつては囚人を運んだ列車ですが、今は「世界の果て号」という観光列車になっています。

  • 汽車も客車もミニサイズです。

    汽車も客車もミニサイズです。

  • 途中、マカレナの滝にある駅で休憩時間があります。川沿いに先住民であるヤマナ族の復元住居や解説板があります。それによると、ヤマナ族は、夏でも冷涼なこの地で、ほぼ裸で生活していたようです。ちょっと信じがたい思いです。

    途中、マカレナの滝にある駅で休憩時間があります。川沿いに先住民であるヤマナ族の復元住居や解説板があります。それによると、ヤマナ族は、夏でも冷涼なこの地で、ほぼ裸で生活していたようです。ちょっと信じがたい思いです。

  • こちらがマカレナの滝です。大きさといい景観といい、しょぼいです。

    こちらがマカレナの滝です。大きさといい景観といい、しょぼいです。

  • ロカ湖からビーグル水道につながる川です。画面右奥がロカ湖です。釣り人が数人、釣り糸を垂れていました。

    ロカ湖からビーグル水道につながる川です。画面右奥がロカ湖です。釣り人が数人、釣り糸を垂れていました。

  • 実に静かな景色でした。じっと岸辺に立っていると、鳥たちが近くまでやってきました。

    実に静かな景色でした。じっと岸辺に立っていると、鳥たちが近くまでやってきました。

  • アシカ(正確にはオタリア)が泳いでいました。

    アシカ(正確にはオタリア)が泳いでいました。

  • 木ひとつ生えていない島にぽつんと立つ灯台は、印象的でした。

    木ひとつ生えていない島にぽつんと立つ灯台は、印象的でした。

この旅行記のタグ

8いいね!

利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。 問題のある投稿を連絡する

コメントを投稿する前に

十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?

サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)

報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。

旅の計画・記録

マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?

アルゼンチンで使うWi-Fiはレンタルしましたか?

フォートラベル GLOBAL WiFiなら
アルゼンチン最安 688円/日~

  • 空港で受取・返却可能
  • お得なポイントがたまる

アルゼンチンの料金プランを見る

フォートラベル公式LINE@

おすすめの旅行記や旬な旅行情報、お得なキャンペーン情報をお届けします!
QRコードが読み取れない場合はID「@4travel」で検索してください。

\その他の公式SNSはこちら/

PAGE TOP