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インドの北西にはラジャスタン州があります。<br /><br />州都はジャイプールです。<br />この街は旧市街へ入る入り口のかつての城門からピンク色で、とても華やかな雰囲気です。<br /><br />華やかな街はピンクシティーと称され、インド観光地のゴールデントライアングルと呼ばれる一大観光地です。<br /><br />ここの観光の目玉としてご覧頂きたいのは、風の宮殿、シティ・パレス、ジャンタル・マンタル、近郊のお城アンベール城などです。<br /><br />これらは全部、この地の統治者だった藩王国の王「マハラジャ」によって代々受け継がれてきたものです。<br /><br />皆様は「マハラジャ」をご存知ですか?「偉大な王」という意味です。<br />第二次大戦前、インドには沢山の藩王国が存在し、彼らの「国土」は英国統治下の時代であっても、基本的には「自分たちの領土の統治権」を有していたわけです。<br />例えばジャンタル・マンタルというのは天文台ですが、当時の最新学問を駆使してつくった天文台の、その正確さには驚かれます。<br />そして、こうした「時を支配する」物をこんなに大きく造り上げられるなんて、しっかりとした権力が安定していたからなのでしょうか。<br /><br />第二次大戦後、インドから英国が去り、インドは共和国になることになったと同時に、藩王国は消滅することとなり、実質、今はマハラジャは一市民です。<br />この街に初めて訪れたときに、シティ・パレスの売店だったと思いますが、最後のマハラジャ、マン・シン2世の第3妃(マハラニ)ガーヤトリー・デヴィが残した回想録が売っておりまして、表紙の女性が綺麗でしたので、つつっと購入してしまいました。<br /><br />残念ながら英語のため、流し読みしか出来ず、とても熟読とはいえません。しかしながら、第二次大戦前と後では彼女の生活が180度変わってしまったことはよくわかりました。<br /><br />長く英国に統治されてきたため、自分たち主導の政治の理想と現実の差にインドはとても大変でした。<br />おりしも印パ戦争が起きて、北インドの西と東の国境はパキスタンへ逃れるムスリムと新しいインドへ逃れるパキスタン側のヒンドゥーの難民の相互流入によって大変なことになりました。<br /><br />ジャイプールは、インドの西側に位置します。<br />ジャイプールはとても大変でした。<br />元々、16世紀、このそばには「タージ・マハル」で有名なムガル帝国があり、この巨大な権力に飲み込まれないように、ジャイプールの代々のマハラジャは彼らに恭順を示し、イスラム文化も多く受け入れてきました。<br />そのため、街の雰囲気はイスラムチックなヒンドゥー文化であり、とてもエキゾチックで華やかです。<br /><br />そうした歴史背景があるため、最後のマハラジャとマハラニ、マン・シン2世とガーヤトリーは、インドが独立するとたんにパキスタンが生まれ、宗教が異なるもの同士がいがみ合う姿にとても歯がゆい思いがあったようです。<br /><br />王族から一般市民へ。<br />彼らには「統治」する権利がなくなってしまったのでした。<br /><br />しかし共和国政府は誕生したばかり。何もかもが理想どおり行きません。<br />華やかなジャイプールのシティ・パレスで、二人は苦悩したのでしょう。<br />選挙が行われる、となると同じような立場の王族同士で協力し立候補して、「無党派」として政府に物申したのです。 <br /><br />インドがひとまず落ち着く頃、自分たちの宮殿をホテルにしたり博物館にして観光客に開放しました。ジャイプールは観光客が多く訪れる街として画期がみなぎり、今に至るわけです。<br /><br />彼らは「王族」ではなくなりましたが、今でも市民に「マハラジャ」として慕われ、ジャイプールに住んでいます。<br />昨年、マハラニ・ガーヤトリー・デヴィは90歳で亡くなりました。<br />ロンドンで入院したそうですが、ジャイプールへ戻りたいと、戻ってきてなくなったそうです。<br /><br />華やかなピンク色の街並み。<br />華やかなマハラジャ達の生活。<br />それらが今に伝わるのは、街を、市民を愛し、最後まで責任を持ったマハラジャとそのマハラジャへの尊敬の念を失わなかった市民のおかげなのかも知れません。<br />

マハラジャとピンクの街

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2005/12/25 - 2006/01/06

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クルーズコンサルタント

クルーズコンサルタントさん

インドの北西にはラジャスタン州があります。

州都はジャイプールです。
この街は旧市街へ入る入り口のかつての城門からピンク色で、とても華やかな雰囲気です。

華やかな街はピンクシティーと称され、インド観光地のゴールデントライアングルと呼ばれる一大観光地です。

ここの観光の目玉としてご覧頂きたいのは、風の宮殿、シティ・パレス、ジャンタル・マンタル、近郊のお城アンベール城などです。

これらは全部、この地の統治者だった藩王国の王「マハラジャ」によって代々受け継がれてきたものです。

皆様は「マハラジャ」をご存知ですか?「偉大な王」という意味です。
第二次大戦前、インドには沢山の藩王国が存在し、彼らの「国土」は英国統治下の時代であっても、基本的には「自分たちの領土の統治権」を有していたわけです。
例えばジャンタル・マンタルというのは天文台ですが、当時の最新学問を駆使してつくった天文台の、その正確さには驚かれます。
そして、こうした「時を支配する」物をこんなに大きく造り上げられるなんて、しっかりとした権力が安定していたからなのでしょうか。

第二次大戦後、インドから英国が去り、インドは共和国になることになったと同時に、藩王国は消滅することとなり、実質、今はマハラジャは一市民です。
この街に初めて訪れたときに、シティ・パレスの売店だったと思いますが、最後のマハラジャ、マン・シン2世の第3妃(マハラニ)ガーヤトリー・デヴィが残した回想録が売っておりまして、表紙の女性が綺麗でしたので、つつっと購入してしまいました。

残念ながら英語のため、流し読みしか出来ず、とても熟読とはいえません。しかしながら、第二次大戦前と後では彼女の生活が180度変わってしまったことはよくわかりました。

長く英国に統治されてきたため、自分たち主導の政治の理想と現実の差にインドはとても大変でした。
おりしも印パ戦争が起きて、北インドの西と東の国境はパキスタンへ逃れるムスリムと新しいインドへ逃れるパキスタン側のヒンドゥーの難民の相互流入によって大変なことになりました。

ジャイプールは、インドの西側に位置します。
ジャイプールはとても大変でした。
元々、16世紀、このそばには「タージ・マハル」で有名なムガル帝国があり、この巨大な権力に飲み込まれないように、ジャイプールの代々のマハラジャは彼らに恭順を示し、イスラム文化も多く受け入れてきました。
そのため、街の雰囲気はイスラムチックなヒンドゥー文化であり、とてもエキゾチックで華やかです。

そうした歴史背景があるため、最後のマハラジャとマハラニ、マン・シン2世とガーヤトリーは、インドが独立するとたんにパキスタンが生まれ、宗教が異なるもの同士がいがみ合う姿にとても歯がゆい思いがあったようです。

王族から一般市民へ。
彼らには「統治」する権利がなくなってしまったのでした。

しかし共和国政府は誕生したばかり。何もかもが理想どおり行きません。
華やかなジャイプールのシティ・パレスで、二人は苦悩したのでしょう。
選挙が行われる、となると同じような立場の王族同士で協力し立候補して、「無党派」として政府に物申したのです。

インドがひとまず落ち着く頃、自分たちの宮殿をホテルにしたり博物館にして観光客に開放しました。ジャイプールは観光客が多く訪れる街として画期がみなぎり、今に至るわけです。

彼らは「王族」ではなくなりましたが、今でも市民に「マハラジャ」として慕われ、ジャイプールに住んでいます。
昨年、マハラニ・ガーヤトリー・デヴィは90歳で亡くなりました。
ロンドンで入院したそうですが、ジャイプールへ戻りたいと、戻ってきてなくなったそうです。

華やかなピンク色の街並み。
華やかなマハラジャ達の生活。
それらが今に伝わるのは、街を、市民を愛し、最後まで責任を持ったマハラジャとそのマハラジャへの尊敬の念を失わなかった市民のおかげなのかも知れません。

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
ホテル
5.0
グルメ
4.0
ショッピング
3.5
交通手段
観光バス
利用旅行会社
ユーラシア旅行社

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  • 色鮮やかなサリーを身に付けた女性が器用に修復工事用の石運び。

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