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「カウボーイになりたい」と思い立ち、飛び込んだケアンズの牧場だったが・・・<br />人馬一体となるどころか、馬に同情されるぐらいの重労働。<br />しかし、「乗馬=優雅」のイメージとは遠く離れたスーパー・スパルタOJT教育の結果、わずか1週間で暴れん坊将軍並みに馬を乗りこなせる様になった。<br /><br />さて、後は、慣れると楽しい牧場生活。<br />・・・のはずだったが、・・・<br /><br />ケアンズ牧場の愉快な仲間達は、俺に牧歌的な日々を送らせてくれる程、寛容ではなかった。

CAIRNS(ケアンズ)牧場物語 vol.2 <ラクダの調教と高速ムチと毒蛇と>

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1994/01/28 - 1994/02/28

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北風

北風さん

「カウボーイになりたい」と思い立ち、飛び込んだケアンズの牧場だったが・・・
人馬一体となるどころか、馬に同情されるぐらいの重労働。
しかし、「乗馬=優雅」のイメージとは遠く離れたスーパー・スパルタOJT教育の結果、わずか1週間で暴れん坊将軍並みに馬を乗りこなせる様になった。

さて、後は、慣れると楽しい牧場生活。
・・・のはずだったが、・・・

ケアンズ牧場の愉快な仲間達は、俺に牧歌的な日々を送らせてくれる程、寛容ではなかった。

旅行の満足度
4.5
  • 旅日記<br />「ラクダのキャラ」<br /><br />俺の身体の数倍はある生物が目先2mの所でモグモグと口を動かしている。<br />そう、この牧場にはラクダもいた。<br />しかも4頭も!<br /><br />実はラクダは、この国の輸出品目にも名を連ねている。<br />遠い昔、砂漠地帯での運搬用に中東から輸入されたラクダは、着々とこの大陸で子孫を増やし、とうとう中東に輸出さるぐらいにまで増加したとの事。<br /><br />このラクダ、観るだけならばひとコブ背負って歩く姿がユーモラスだが、いざ飼い馴らそうとすると・・・<br /><br />ラクダが如何にずる賢く、性格が悪いかを思い知る事になる。

    旅日記
    「ラクダのキャラ」

    俺の身体の数倍はある生物が目先2mの所でモグモグと口を動かしている。
    そう、この牧場にはラクダもいた。
    しかも4頭も!

    実はラクダは、この国の輸出品目にも名を連ねている。
    遠い昔、砂漠地帯での運搬用に中東から輸入されたラクダは、着々とこの大陸で子孫を増やし、とうとう中東に輸出さるぐらいにまで増加したとの事。

    このラクダ、観るだけならばひとコブ背負って歩く姿がユーモラスだが、いざ飼い馴らそうとすると・・・

    ラクダが如何にずる賢く、性格が悪いかを思い知る事になる。

  • 俺のTシャツには、未だにラクダの足跡がプリントされていた。<br />先日、柵に入れようと近づいた所、おとなしそうに顔を寄せてきたこいつがプレゼントしてくれた物だ。<br /><br />牧場の人間は、ラクダの調教をする時、「立て!」を「フッシュ・アップ!」、「座れ!」を「フッシュ・ダウン!」と教え込む。<br /><br />柵に入れる前に、ひとコブに縛り付けた座席を外そうとした俺は、ジョーを真似して叫んだ。<br />「フッシュ・・・」<br />「ダウン」を言う前に、俺がダウンされていた。<br /><br />ラクダの足が360°起用に動く事を知ったのは、俺が3m程宙を舞っている時だった。<br />くっきりとラクダの足型がプリントされたTシャツのど真ん中を押さえてうずくまる!<br />息が出来ない!<br />アバラが悲鳴を上げていた!<br /><br />苦痛に歪む視界の隅で、子ラクダが駆け寄ってくるのが見えた。<br />次の瞬間、右肩に激痛が走る!<br />信じられないが、子ラクダが噛んでいる!<br /><br />爽やかな朝の空気で満たされた牧場で、俺はラクダに完敗していた。<br /><br /><br />

    俺のTシャツには、未だにラクダの足跡がプリントされていた。
    先日、柵に入れようと近づいた所、おとなしそうに顔を寄せてきたこいつがプレゼントしてくれた物だ。

    牧場の人間は、ラクダの調教をする時、「立て!」を「フッシュ・アップ!」、「座れ!」を「フッシュ・ダウン!」と教え込む。

    柵に入れる前に、ひとコブに縛り付けた座席を外そうとした俺は、ジョーを真似して叫んだ。
    「フッシュ・・・」
    「ダウン」を言う前に、俺がダウンされていた。

    ラクダの足が360°起用に動く事を知ったのは、俺が3m程宙を舞っている時だった。
    くっきりとラクダの足型がプリントされたTシャツのど真ん中を押さえてうずくまる!
    息が出来ない!
    アバラが悲鳴を上げていた!

    苦痛に歪む視界の隅で、子ラクダが駆け寄ってくるのが見えた。
    次の瞬間、右肩に激痛が走る!
    信じられないが、子ラクダが噛んでいる!

    爽やかな朝の空気で満たされた牧場で、俺はラクダに完敗していた。


  • 旅日記<br />「オーストラリア流の調教」<br /><br />ある日の午後、ハルク・ホーガンの様な大男、馬具屋のジョージがやって来た。<br />馬のHorse Shoes(馬の靴=蹄鉄)を交換しに来たらしい。<br /><br />皆に軽く挨拶をして、ジョージが何の前触れも無く馬の横にしゃがみこみ、ヒョイと馬の足を持ち上げて、山の様な筋肉をフルに使って蹄鉄をハンマーで打ち付けた!<br /><br />マジか?<br />いきなり足の裏をハンマーでぶっ叩かれれば、俺だって飛び上がるぞ!<br />しかも、この馬はまだ調教途中の半野生馬だ。<br /><br />西部劇の1シーンみたいだった。<br />馬が「ヒヒーン!」といなないたかと思ったら、いきなり前足を高々と振り上げる!<br />そして、その足を俺達と馬を仕切る丸太の柵に振り降ろす!<br /><br />マジか?<br />「ゴギャッ」と鈍い音とともに、なんと、あれほど太かった丸太が粉々に砕け散ったぞ!<br />俺達野次馬カウボーイからは、「おぉぉぉ」と感心とも恐怖とも取れる合唱がもれた。<br />野生恐るべし!<br />たかが1馬力といえども、驚異的な破壊力!<br /><br />「ファァァック!」<br />次に聞こえたのは、ジョージの雄叫びだった。<br />自分の手際の悪さなど省みず、馬以上にエキサイトしている!<br />ハンマーを投げ捨て、いきなり馬の鼻面めがけてタイソンばりの右フックを放つ!<br />右、左、右!まるでマシンガンの様な連打が、馬の鼻面に吸い込まれて行く。<br /><br />マジか?<br />ただの鋳鉄交換のはずが、いつしか鼻血を出してKO寸前の馬と、その返り血を浴びて真っ赤に染まった大男のデスマッチになっている。<br /><br />とうとう、馬ががっくりと膝をおった。<br />肩で息をしながら、ジョージが叫ぶ!<br />「who is master ?  Who is Master ?  WHO IS MASTER ? (誰が主人だ?)」<br /><br />・・・当然、馬が「はい、あなたがご主人です」と答えるはずが無い。<br />しかし、未だエキサイトしている赤鬼が振り返った途端、俺達が<br />「Of course you are ! sir! (もちろん、あなた様でございます)」<br />と言ってしまった。<br /><br />まるで中世の奴隷制度を垣間見ている様な勝ち文句が、のどかな牧場にこだまする。<br />この大陸では、動物と共存する事は、愛よりも力を要する事なのだろうか?<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />

    旅日記
    「オーストラリア流の調教」

    ある日の午後、ハルク・ホーガンの様な大男、馬具屋のジョージがやって来た。
    馬のHorse Shoes(馬の靴=蹄鉄)を交換しに来たらしい。

    皆に軽く挨拶をして、ジョージが何の前触れも無く馬の横にしゃがみこみ、ヒョイと馬の足を持ち上げて、山の様な筋肉をフルに使って蹄鉄をハンマーで打ち付けた!

    マジか?
    いきなり足の裏をハンマーでぶっ叩かれれば、俺だって飛び上がるぞ!
    しかも、この馬はまだ調教途中の半野生馬だ。

    西部劇の1シーンみたいだった。
    馬が「ヒヒーン!」といなないたかと思ったら、いきなり前足を高々と振り上げる!
    そして、その足を俺達と馬を仕切る丸太の柵に振り降ろす!

    マジか?
    「ゴギャッ」と鈍い音とともに、なんと、あれほど太かった丸太が粉々に砕け散ったぞ!
    俺達野次馬カウボーイからは、「おぉぉぉ」と感心とも恐怖とも取れる合唱がもれた。
    野生恐るべし!
    たかが1馬力といえども、驚異的な破壊力!

    「ファァァック!」
    次に聞こえたのは、ジョージの雄叫びだった。
    自分の手際の悪さなど省みず、馬以上にエキサイトしている!
    ハンマーを投げ捨て、いきなり馬の鼻面めがけてタイソンばりの右フックを放つ!
    右、左、右!まるでマシンガンの様な連打が、馬の鼻面に吸い込まれて行く。

    マジか?
    ただの鋳鉄交換のはずが、いつしか鼻血を出してKO寸前の馬と、その返り血を浴びて真っ赤に染まった大男のデスマッチになっている。

    とうとう、馬ががっくりと膝をおった。
    肩で息をしながら、ジョージが叫ぶ!
    「who is master ? Who is Master ? WHO IS MASTER ? (誰が主人だ?)」

    ・・・当然、馬が「はい、あなたがご主人です」と答えるはずが無い。
    しかし、未だエキサイトしている赤鬼が振り返った途端、俺達が
    「Of course you are ! sir! (もちろん、あなた様でございます)」
    と言ってしまった。

    まるで中世の奴隷制度を垣間見ている様な勝ち文句が、のどかな牧場にこだまする。
    この大陸では、動物と共存する事は、愛よりも力を要する事なのだろうか?







  • ツアーのオプションとして、時折ダニーが招かれた。<br />オーストラリアでNo.2のムチ使いらしい。<br /><br />それまでムチという物を、インディージョンズの映画以外で観た記憶が無かったので、ダニーが使うムチを見せてもらうと、なんと、ムチは1本の太い紐ではなく、幅5mm程の革ひもを何本も編み込んで1本の紐状にしてあった。<br /><br />ダニーが操るムチは、「ヒュン、ヒュン」と風を切る音と共に、一番伸びきった所で、「パァァン!」と破裂音を響かせた。<br />すごい!<br />映画とは段違いの迫力だ!<br />ムチのスピードは音速を超える時もあるらしく、あの破裂音はその時に出る音らしい。<br /><br />ダニーが休憩中、こっそり真似してムチを振ってみた。<br />(あの「ヒュン」という音が出したかった)<br />力任せにムチを前に振り出すと、自分の背中に「ヒュン」と張り付いた。<br /><br />・・・1週間、俺は背中の痣が消えなかった。<br /><br />

    ツアーのオプションとして、時折ダニーが招かれた。
    オーストラリアでNo.2のムチ使いらしい。

    それまでムチという物を、インディージョンズの映画以外で観た記憶が無かったので、ダニーが使うムチを見せてもらうと、なんと、ムチは1本の太い紐ではなく、幅5mm程の革ひもを何本も編み込んで1本の紐状にしてあった。

    ダニーが操るムチは、「ヒュン、ヒュン」と風を切る音と共に、一番伸びきった所で、「パァァン!」と破裂音を響かせた。
    すごい!
    映画とは段違いの迫力だ!
    ムチのスピードは音速を超える時もあるらしく、あの破裂音はその時に出る音らしい。

    ダニーが休憩中、こっそり真似してムチを振ってみた。
    (あの「ヒュン」という音が出したかった)
    力任せにムチを前に振り出すと、自分の背中に「ヒュン」と張り付いた。

    ・・・1週間、俺は背中の痣が消えなかった。

  • 旅日記<br />『キッチンで入浴中のキング・ブラウン・スネーク』<br /><br />昼過ぎの牧場はのどかだ。<br />観光客も一日でもっとも暑いこの時間には誰も来ない。<br />一日中、まさに馬車馬並みに働かされている俺にとって、もっとも貴重な時間でもある。<br /><br />いつもの様にキッチンでコーヒーを湧かして、木陰でのんびりと・・・<br />しかし、あのキッチンの流しに入っている茶色いロープは何だろう?<br />誰かが洗い忘れた手綱にしては、妙に太くてぬめっているのだが?<br /><br />流しから3mの所で、俺は身動きできなくなった。<br />茶色いロープが動いている!<br />「嘘だろ?」頭の中にはこの言葉だけしか浮かばなかった。<br /><br />大声で叫ぶ!<br />「キング・ブラウン・スネーク!」<br /><br />牧場主が血相を変えてキッチンに飛び込んで来た。<br />でかいショットガンを抱いて。<br /><br />俺が指差すのと、ショットガンが吠えたのは同時だったかもしれない。<br />キッチンに響く爆発音、流しの破片!<br />茶色いロープが引きちぎれる!<br />まるで映画の1シーンだ。<br /><br />それから1時間後、カウボーイのマイケルが、いそいそと庭でホースをいじっていた。<br />一体何を?と近づくと、先ほどの蛇の皮を剥いでいる最中だった。<br />「街で高値で売れるんだ!」と、マイケル。<br /><br />「世界で2番目に強力な毒蛇が食卓で水浴びをしている日常」<br />「顔色も変えず、その皮を売ろうとするたくましさ」<br />オーストラリアは奥が深い。<br /><br />

    旅日記
    『キッチンで入浴中のキング・ブラウン・スネーク』

    昼過ぎの牧場はのどかだ。
    観光客も一日でもっとも暑いこの時間には誰も来ない。
    一日中、まさに馬車馬並みに働かされている俺にとって、もっとも貴重な時間でもある。

    いつもの様にキッチンでコーヒーを湧かして、木陰でのんびりと・・・
    しかし、あのキッチンの流しに入っている茶色いロープは何だろう?
    誰かが洗い忘れた手綱にしては、妙に太くてぬめっているのだが?

    流しから3mの所で、俺は身動きできなくなった。
    茶色いロープが動いている!
    「嘘だろ?」頭の中にはこの言葉だけしか浮かばなかった。

    大声で叫ぶ!
    「キング・ブラウン・スネーク!」

    牧場主が血相を変えてキッチンに飛び込んで来た。
    でかいショットガンを抱いて。

    俺が指差すのと、ショットガンが吠えたのは同時だったかもしれない。
    キッチンに響く爆発音、流しの破片!
    茶色いロープが引きちぎれる!
    まるで映画の1シーンだ。

    それから1時間後、カウボーイのマイケルが、いそいそと庭でホースをいじっていた。
    一体何を?と近づくと、先ほどの蛇の皮を剥いでいる最中だった。
    「街で高値で売れるんだ!」と、マイケル。

    「世界で2番目に強力な毒蛇が食卓で水浴びをしている日常」
    「顔色も変えず、その皮を売ろうとするたくましさ」
    オーストラリアは奥が深い。

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