『燃える大地』＜ゴンドワナの大陸を旅して＞（１０１）ジェット機雲。

2010/04/25 - 2010/05/10

秋の収穫祭の行なわれたトレンス川沿いの会場からは、又、先刻通ってきたフェステイバルホールの前の道を通り、アデレード駅に向う。

空気が澄んでいるのか、夕焼けに燃えた空がどこまでも澄んで奥深く見える。時々見える飛行機と航跡。そこへ一機の戦闘機が音もなく現われ、彼方の地平線から真っ直ぐ天空へ向って上昇して行く。水平に飛ぶということはなく、ただただ上昇を続ける。機影は点となり、まだ青空の残る天空へ消えて去ってしまったが、１本の飛行機雲が空に巨大な柱のように突っ立っている。こうした情景も風も無く、空気が澄んでいればこそ、見られるものだ。

ふとカゴメのジョナサンを思い出した。空へ空へ、空の高見に飛び続け、息が出来なくなる所まで飛び続け、息絶えてしまう。イカロスと太陽。このジェット機のパイロットがそうした思いで真っ直ぐ天空に向け垂直飛行していたかどうかは知らないが、何事かに挑戦していたことには違いない。ただ１機、そうした自由が許される豪州の自由な空気を感じた。

真っ直ぐ垂直に立てられた雲の柱も、時間と共に形が崩れ、スマートでほっそりした帯も太くだらしなく歪れて行くのを見、もう既に太陽は地平線に沈んでいるが、まだ残照として空に残る茜雲を眺め、駅に向った。

エリア アデレード(オーストラリア)

• 旅行の満足度: 4.5

もう殆ど太陽は地平の彼方に沈んで行ったが、まだ残照が空を染めている。

時々旅客機が上空を横切って行く。

そこへ１機、突然にジェット戦闘機が地平の彼方から現われ、天空を切り裂いていく。

機影はどんどん近づいてきて、点となって機体まで見えてきた。

もの凄いスピードでひたすら天空に向って垂直飛行して行く。

なんと言う飛行だろう！　豪州空軍ではこんなアクロバテイックな飛行も許されるのか！

天球、蒼穹を切り裂き飛び続ける１機の戦闘機。

垂直に立つ飛行機雲の横を飛んでいく旅客機。

彼は一体何に向って挑戦しているのだろう・・。操縦の限界ま挑戦し続けるつもりなのか・・

機影は点となり、空の天空に消え去ってしまったが、雲の柱が真っ直ぐ天空に向い突っ立っていた。へラクルスの柱。