コペンハーゲン旅行記(ブログ) 一覧に戻る
コペンハーゲンへ<br />夜九時になってホテルを出発。雨の日の移動はやはり難儀である。発車時間には早すぎるが、始発のリヒテンブルク駅は旧東側の駅でもあるし、迷ったらまた大変と思ってたっぷり余裕時間をとる。ツォ−駅前のツォ−ロギシャ−ガルテン駅から地下鉄に乗って旧東独都市やデンマ−クへの始発駅であるリヒテンブルク駅へ移動する。いよいよここから北欧三ヶ国の旅が始まるのである。地下鉄の車両は幅は広いがお粗末で、車内に路線の案内図もなく、乗降の時には手でハンドルを回さないとドアは開かない。これを知らないと、置いてきぼりをくうことになる。その点、マドリッドやロンドンの地下鉄は案内も行き届きグッドである。<br /> <br /><br />迷わずに到着したので、発車までまだ二時間もある。ホ−ムは寒いのでコンコ−スへ行ってみると、これがまた質素なものである。そこには何も設備はなく、ガラ−ンとしている。古い木製のベンチが二、三置いてあるだけで売店など何もない。時刻表示盤も申し訳程度に小さいのがあるのみ。やはり旧東独圏だったため整備が遅れているのだろうか。その上、困ったことにホ−ムナンバ−が順になっておらず、十番ホ−ムの隣は十四番というように番号が飛んでいる。<br /> <br /><br />列車が早目にホ−ムにスタンバイされたので、早速一等寝台に乗り込む。二人部屋だが今度も一人で独占、列車は半時間遅れて発車となる。車掌にパスポ−トとユ−レイルパスを預け、朝食の注文をしておく。雨に濡れるベルリンの夜景を車窓越しに眺めながら、早くも次のコペンに思いを馳せる。<br /><br /><br />コペンハ−ゲン・・・ サイクリングとマ−メイドとカ−ニバルと<br /><br />列車ごと海を渡る<br />聞きなれないエンジン音にふと目を覚まし時計を見ると、まだ朝の五時である。眠っている間に列車ごとフェリ−に積み込まれ、いま海峡を渡っているところなのだ。眠い目をこすりながら列車から降りてしばし船内見学に出かける。カフェテリア、売店、免税店などがそろっている。免税店には、食品雑貨類やアルコ−ル類がス−パ−の感じで並べてある。ひとわたり巡回してから、すぐに戻って再び眠りに入る。<br /> <br /><br />七時ごろ目覚めて窓のカ−テンを開けると、デンマ−クの静かな風景が飛び込んでくる。この国は、大小約五百の島からなる九州より少し大きいぐらいのこぢんまりした国で、人口も五一四万人と少ない。その首都コペンハ−ゲンはチボリ公園と人魚の像で知られ、童話の父アンデルセンと実存哲学の始祖キルケゴ−ルを世に送り出した所でもある。<br /> <br /><br />八時ごろ、注文の朝食がやってくる。角パン二枚、黒パン一枚、バタ−、ジャムに真空パックのハム数枚、それにコ−ヒ−とオレンジジュ−スである。(一三・五〇マルク=八三〇円)朝はさすがに冷やついていて、日本の三月初旬の気候である。デンマ−クに上陸してからは雨も上がり、次第に晴れ上がってくる。朝もやの中に広がる美しい田園風景の中を突っ走りながら、列車は十五分遅れて八時四十五分コペン中央駅へ到着。さすがに人は少なく観光客もあまりいない。<br /> <br /><br />早速、両替をすませ、案内所でホテルの予約を取る。駅の裏口近くのホテルで一泊四〇〇クロ−ネ=六、四〇〇円(朝食付き)。あまり良い部屋ではなく、布団も薄くて毛布一枚。冷やついているのにこれだけで大丈夫なのだろうか。そして、洗面流しも小さくてシャワ−室の区切りもなく、バスル−ム全体が水浸しになる。これでは洗濯もできないぞ、とボヤキたくなる。 <br /><br /><br />市内観光<br />シャワ−を浴び一休みしてから、午後一時からの市内と港めぐり二時間半の観光に参加する。切符売りの若い娘が、底抜けに明るくて面白い。彼女は英語、ドイツ語、フランス語を話す。フランスのコルシカに一年間勉強に行ったそうだ。乗客は二十人足らずでひっそりとしている。前半はバスで市内遊覧、後半はボ−トで港めぐりである。愛想のいいブロンド美人のガイド嬢は、数ヶ国語をあやつりながら案内する。彼女はまだ日本に来たことがなく、ぜひ行きたいというので、一緒に来たらどうかと冷やかすと、大笑いするばかりである。隣席の老カップルのオヤジさんは愉快なアメリカ人で、ガイドが「日曜日はキオスクを除いて商店はみんなお休みです。」と説明すると、すかさず「じゃ、ここでは教会もみんな休みかね?」とおどけてみせ、みんなの爆笑を買う。<br /> <br /><br />港めぐりでは運河を通りながら港内へ回り、マ−メイドの像が座る岸辺まで接近して案内してくれる。あの有名な人魚像が、こんな場所にその優美な姿を見せてひそやかに座っているとは意外である。船上からはよく見ないと見過ごしてしまうくらいに小柄な可愛い像である。<br /><br /><br />コペンの町に来るとなんとなくホッとした気分になる。歩いている人の数も少なく、走っている車も少ない。街並みは美しく、古い歴史にしっとりと落ち着いた雰囲気がただよっている。並木や公園のしたたるような緑が街中にあふれ、道行く人々をなごませてくれる。小さな漁船が停泊する波止場は、いかにも北欧らしい風景を描き出している。<br /><br /><br />ボ−トから上がって、そこからホテルまでぶらぶら歩いて帰る。気温も十度台で快適である。夕方までホテルで午睡をとり、夕食に駅のカフェテリアへ出向いてチキンにフライドポテト、ビ−ルでお腹を満たす。ホテルの近くには、本場らしくポルノショップがあちこちに点在している。こんなに多くて商売になるのだろうかと、余計な心配が胸をよぎる。夜十時過ぎというのに、空はまだほの白い。白夜というのは、こんな感じでいつまでも夜が来ないのだろうか。白みがかった夜の空は初体験である。  <br /><br /><br />第二日目。朝七時半までぐっすりと眠り、疲れもすっかり取れて気分爽快。空は快晴だ。朝食はベルリンのホテルとは比較にならないが、パン二切れにバタ−をたっぷりぬり付け、ソ−セ−ジ、ゆで卵、ミルク、紅茶をいただく。旅行しているとすぐお腹が空くので、朝食もしっかり食べておかなくてはもたない。<br /> <br /><br />サイクリングで市内観光<br />駅にレンタサイクルがあるというので、十時ごろから出かけてまず昼食用にハムサンドと牛乳を買い込み、窓口でレンタサイクルを申し込む。一人一日五〇クロ−ネ=八二〇円である。係の若いお兄さんが貸してくれたのは赤色のサラピン自転車で、乗り心地満点。私を見るなり、サドルを最低にまで引き下げて渡してくれる。こちらが何もいわないのに、私の短足を察して調整してくれるのがいかにも小憎らしい。それでも爪先だってやっとこさ地面に足がつく。この地では女性でもサドルは最低より十センチも高くし、ブロンドの髪をなびかせながら、すんなりと長い足で颯爽と走っているというのに!<br /> <br /><br />地図を片手にいざ出発。快晴の下、いい眺めの海岸線に沿って走るサイクリングはもう最高。アムステルダムで果たせなかった夢が実現し、ルンルン気分である。アムス同様、ここも自転車が多く、専用のレ−ンや信号まであってなかなか整備されていて走りやすい。マ−メイド像を今度は海岸から見てみようと、その公園まで走らせる。                   <br /><br /><br />船上から見るマ−メイドとは違って、間近から見る彼女の像はまた一段と艶めかしい。訪れた観光 客が、入れ替わり立ち替わり像の前で写真を撮っている。私も近くの青年に頼んで、像の前で一枚写してもらう。裏手の旧城郭の公園の緑陰で弁当を広げて昼食、この気分はまた最高である。<br /><br /><br />カーニバル<br />一時から街の中心部でカ−ニバルのパレ−ドがあると聞いていたので、そこへ自転車を走らせる。 今日五月二十一日から土、日、月の三日間、恒例のコペンハ−ゲン・カ−ニバルが開催されるそうだ。うまく来合わせたもので、こんな北欧の地でカ−ニバルが見られるとはなんとラッキ−なことだろう。出発地点に行くと、たくさんのグル−プがすでに集合し、華やかな雰囲気に包まれている。サンバの激しいリズムに乗ってパレ−ドが始まる。グル−プごとに思い思いのコスチュ−ムに身を包み、音楽も工夫してサンバのリズムで踊りまくる。カラフルなコスチュ−ムが、北欧の陽光に映えてなんとも美しい。この日は幸いなことにポカポカ陽気で、ビキニスタイルのコスチュ−ムにもうってつけの気温である。<br /><br /><br />美しい女性軍のスタイルとコスチュ−ムに見とれて一時間を過ごし、その後は公園めぐりへ繰り出す。どの公園も静かで美しく、土曜日というのに人込みが見られない。恋人のカップル、老人のカップル、子供連れの家族などが、グリ−ンの芝生の上にまばらに見られる程度である。コペンに来て初めて気付いたのだが、ここで見る太陽はダイヤモンドのように白く輝いて美しく、空はどこまでも抜けるように青く澄み切って見える。太陽が赤くないのである。太陽の色も国によって違って見えるというのは本当なのだ。日本で見る太陽、赤道近くの南国で見る太陽、北欧で見る太陽など、それぞれに色が違って見える。十国十色、国際交流のむずかしさがそこにある。<br /> <br /><br />北欧の春風に乗ってサイクリングを満喫できたコペンの休日は最高である。北欧まで足を伸ばしたのは本当に正解である。夕食は駅のカフェテリアで、ビフテ−キとビ−ル(一、二〇〇円)で満たす。夜は早目にゆっくり休息。ところで、コペンの観光案内パンフは日本語版も用意されていて、サ−ビスが行き届いている。日本人観光客が多いのだろうか。出張で来たという三人組に出会った以外は、日本人の姿は見当たらない。<br />                   <br /><br />第三日目。昨日のカ−ニバルの写真が、今朝の新聞に載っている。去年よりも規模は小さかったとのことである。今夜九時四十五分発のストックホルム行き夜行列車の時間まで、今日一日チボリ公園でのんびり過ごす予定である。チボリは一八四三年に開設された遊園地の元祖で、世界の国々から多くの入園者を迎えているそうだ。今年は百五十周年を迎えて、特別のアトラクションが催されている。今シ−ズンの開園期間は四月二十七日から九月十八日までとなっている。<br /> <br /><br />チボリ公園<br />十時過ぎ、ホテルをチェックアウトし、駅のロッカ−にバッグを預けてチボリへ出かける。ディズニ−ランドほどの規模はないが、さまざまな遊具やアトラクションがあって子供も大人も楽しめる緑深き静かな遊園地である。今日は日曜日とあって、家族連れで賑わっている。ゆっくりと時間をかけて園内を一周してから、色とりどりの花が咲き乱れる美しい庭園の前のベンチに陣取って、時の流れを忘れてみようと腰を下ろす。<br /><br /><br />ところが、今日は生憎と曇りで日差しはなく、風も出て、昨日のうららかさとは打って変わって冬に逆戻りしたように寒く、じっと座っていると震え上がるばかりである。昼食に温かそうなホカホカの大きな焼きポテトとサラダ、ジュ−スを取ってのんびり過ごす。<br /> <br /><br />夜になるとパレ−ドやアトラクションがあるので、それまでねばろうと思うが、この寒さにはどうにも耐えられず、予定変更して二時過ぎチボリ公園から退散する。出てきたものの、頼みのガイドブックは駅のロッカ−に預けているし、案内所も日曜で休みだし、どこで時間過ごしをするか思案投げ首である。寒いから屋内で過ごす所を見つけなくてはと思い付近を徘徊するが、映画館も見当たらずショウシァ−タ−もお休みと来ている。仕方なく駅のコンコ−スへ戻り、ベンチに腰掛けて乗降客の様子を眺めて過ごす羽目となる。<br /> <br /><br />その後、カフェテリアでチキンにフライドポテト、ビ−ルの夕食で一時間、ファ−ストフ−ド店でコ−ヒ一杯で一時間をそれぞれ費やし、九時過ぎにロッカ−からバッグを取り出してホ−ムへと移動する。一等寝台車へ乗ってみると部屋はデラックスで、これまでのピカ一、今夜も一人独占となる。十分遅れで九時五十五分発車、乗り心地も満点である。北欧の鉄道はゆったりしていて水準も高い。<br /> <br /><br />ストックホルムへ<br />間もなく列車ごとフェリ−に乗船して海峡を渡る。しばらくすると珍しく税関の検閲がある。係員がやってきて「カスタムス オフィサ−(税関の役人)」というので、「ノ− デクラレイション(申告するものはない)」というと、「ナショナリティ?」と聞き返すので「ジャパニ−ズ」というと「サンキュウ」といって立ち去る。間もなくしてスウェ−デンに上陸すると、今度は女性の係官がやってきて「パスポ−ト コントロ−ル」というのでパスポ−トを見せると、「サンキュウ」といって立ち去る。これまで列車で国境を何度も越えて来たが、車内検閲を受けたのはこれが初めてである。闇の中を列車はストックホルムへ向けて走り出す。<br /><br /><br />(この続きはこちらへ⇒ http://yasy7.web.fc2.com/ )<br /><br /><br /><br />

デンマーク:コペンハーゲンの旅

1いいね!

1994/05/20 - 1994/05/22

1815位(同エリア2126件中)

1

12

yasyas

yasyasさん

コペンハーゲンへ
夜九時になってホテルを出発。雨の日の移動はやはり難儀である。発車時間には早すぎるが、始発のリヒテンブルク駅は旧東側の駅でもあるし、迷ったらまた大変と思ってたっぷり余裕時間をとる。ツォ−駅前のツォ−ロギシャ−ガルテン駅から地下鉄に乗って旧東独都市やデンマ−クへの始発駅であるリヒテンブルク駅へ移動する。いよいよここから北欧三ヶ国の旅が始まるのである。地下鉄の車両は幅は広いがお粗末で、車内に路線の案内図もなく、乗降の時には手でハンドルを回さないとドアは開かない。これを知らないと、置いてきぼりをくうことになる。その点、マドリッドやロンドンの地下鉄は案内も行き届きグッドである。
 

迷わずに到着したので、発車までまだ二時間もある。ホ−ムは寒いのでコンコ−スへ行ってみると、これがまた質素なものである。そこには何も設備はなく、ガラ−ンとしている。古い木製のベンチが二、三置いてあるだけで売店など何もない。時刻表示盤も申し訳程度に小さいのがあるのみ。やはり旧東独圏だったため整備が遅れているのだろうか。その上、困ったことにホ−ムナンバ−が順になっておらず、十番ホ−ムの隣は十四番というように番号が飛んでいる。
 

列車が早目にホ−ムにスタンバイされたので、早速一等寝台に乗り込む。二人部屋だが今度も一人で独占、列車は半時間遅れて発車となる。車掌にパスポ−トとユ−レイルパスを預け、朝食の注文をしておく。雨に濡れるベルリンの夜景を車窓越しに眺めながら、早くも次のコペンに思いを馳せる。


コペンハ−ゲン・・・ サイクリングとマ−メイドとカ−ニバルと

列車ごと海を渡る
聞きなれないエンジン音にふと目を覚まし時計を見ると、まだ朝の五時である。眠っている間に列車ごとフェリ−に積み込まれ、いま海峡を渡っているところなのだ。眠い目をこすりながら列車から降りてしばし船内見学に出かける。カフェテリア、売店、免税店などがそろっている。免税店には、食品雑貨類やアルコ−ル類がス−パ−の感じで並べてある。ひとわたり巡回してから、すぐに戻って再び眠りに入る。
 

七時ごろ目覚めて窓のカ−テンを開けると、デンマ−クの静かな風景が飛び込んでくる。この国は、大小約五百の島からなる九州より少し大きいぐらいのこぢんまりした国で、人口も五一四万人と少ない。その首都コペンハ−ゲンはチボリ公園と人魚の像で知られ、童話の父アンデルセンと実存哲学の始祖キルケゴ−ルを世に送り出した所でもある。
 

八時ごろ、注文の朝食がやってくる。角パン二枚、黒パン一枚、バタ−、ジャムに真空パックのハム数枚、それにコ−ヒ−とオレンジジュ−スである。(一三・五〇マルク=八三〇円)朝はさすがに冷やついていて、日本の三月初旬の気候である。デンマ−クに上陸してからは雨も上がり、次第に晴れ上がってくる。朝もやの中に広がる美しい田園風景の中を突っ走りながら、列車は十五分遅れて八時四十五分コペン中央駅へ到着。さすがに人は少なく観光客もあまりいない。
 

早速、両替をすませ、案内所でホテルの予約を取る。駅の裏口近くのホテルで一泊四〇〇クロ−ネ=六、四〇〇円(朝食付き)。あまり良い部屋ではなく、布団も薄くて毛布一枚。冷やついているのにこれだけで大丈夫なのだろうか。そして、洗面流しも小さくてシャワ−室の区切りもなく、バスル−ム全体が水浸しになる。これでは洗濯もできないぞ、とボヤキたくなる。 


市内観光
シャワ−を浴び一休みしてから、午後一時からの市内と港めぐり二時間半の観光に参加する。切符売りの若い娘が、底抜けに明るくて面白い。彼女は英語、ドイツ語、フランス語を話す。フランスのコルシカに一年間勉強に行ったそうだ。乗客は二十人足らずでひっそりとしている。前半はバスで市内遊覧、後半はボ−トで港めぐりである。愛想のいいブロンド美人のガイド嬢は、数ヶ国語をあやつりながら案内する。彼女はまだ日本に来たことがなく、ぜひ行きたいというので、一緒に来たらどうかと冷やかすと、大笑いするばかりである。隣席の老カップルのオヤジさんは愉快なアメリカ人で、ガイドが「日曜日はキオスクを除いて商店はみんなお休みです。」と説明すると、すかさず「じゃ、ここでは教会もみんな休みかね?」とおどけてみせ、みんなの爆笑を買う。
 

港めぐりでは運河を通りながら港内へ回り、マ−メイドの像が座る岸辺まで接近して案内してくれる。あの有名な人魚像が、こんな場所にその優美な姿を見せてひそやかに座っているとは意外である。船上からはよく見ないと見過ごしてしまうくらいに小柄な可愛い像である。


コペンの町に来るとなんとなくホッとした気分になる。歩いている人の数も少なく、走っている車も少ない。街並みは美しく、古い歴史にしっとりと落ち着いた雰囲気がただよっている。並木や公園のしたたるような緑が街中にあふれ、道行く人々をなごませてくれる。小さな漁船が停泊する波止場は、いかにも北欧らしい風景を描き出している。


ボ−トから上がって、そこからホテルまでぶらぶら歩いて帰る。気温も十度台で快適である。夕方までホテルで午睡をとり、夕食に駅のカフェテリアへ出向いてチキンにフライドポテト、ビ−ルでお腹を満たす。ホテルの近くには、本場らしくポルノショップがあちこちに点在している。こんなに多くて商売になるのだろうかと、余計な心配が胸をよぎる。夜十時過ぎというのに、空はまだほの白い。白夜というのは、こんな感じでいつまでも夜が来ないのだろうか。白みがかった夜の空は初体験である。  


第二日目。朝七時半までぐっすりと眠り、疲れもすっかり取れて気分爽快。空は快晴だ。朝食はベルリンのホテルとは比較にならないが、パン二切れにバタ−をたっぷりぬり付け、ソ−セ−ジ、ゆで卵、ミルク、紅茶をいただく。旅行しているとすぐお腹が空くので、朝食もしっかり食べておかなくてはもたない。
 

サイクリングで市内観光
駅にレンタサイクルがあるというので、十時ごろから出かけてまず昼食用にハムサンドと牛乳を買い込み、窓口でレンタサイクルを申し込む。一人一日五〇クロ−ネ=八二〇円である。係の若いお兄さんが貸してくれたのは赤色のサラピン自転車で、乗り心地満点。私を見るなり、サドルを最低にまで引き下げて渡してくれる。こちらが何もいわないのに、私の短足を察して調整してくれるのがいかにも小憎らしい。それでも爪先だってやっとこさ地面に足がつく。この地では女性でもサドルは最低より十センチも高くし、ブロンドの髪をなびかせながら、すんなりと長い足で颯爽と走っているというのに!
 

地図を片手にいざ出発。快晴の下、いい眺めの海岸線に沿って走るサイクリングはもう最高。アムステルダムで果たせなかった夢が実現し、ルンルン気分である。アムス同様、ここも自転車が多く、専用のレ−ンや信号まであってなかなか整備されていて走りやすい。マ−メイド像を今度は海岸から見てみようと、その公園まで走らせる。                   


船上から見るマ−メイドとは違って、間近から見る彼女の像はまた一段と艶めかしい。訪れた観光 客が、入れ替わり立ち替わり像の前で写真を撮っている。私も近くの青年に頼んで、像の前で一枚写してもらう。裏手の旧城郭の公園の緑陰で弁当を広げて昼食、この気分はまた最高である。


カーニバル
一時から街の中心部でカ−ニバルのパレ−ドがあると聞いていたので、そこへ自転車を走らせる。 今日五月二十一日から土、日、月の三日間、恒例のコペンハ−ゲン・カ−ニバルが開催されるそうだ。うまく来合わせたもので、こんな北欧の地でカ−ニバルが見られるとはなんとラッキ−なことだろう。出発地点に行くと、たくさんのグル−プがすでに集合し、華やかな雰囲気に包まれている。サンバの激しいリズムに乗ってパレ−ドが始まる。グル−プごとに思い思いのコスチュ−ムに身を包み、音楽も工夫してサンバのリズムで踊りまくる。カラフルなコスチュ−ムが、北欧の陽光に映えてなんとも美しい。この日は幸いなことにポカポカ陽気で、ビキニスタイルのコスチュ−ムにもうってつけの気温である。


美しい女性軍のスタイルとコスチュ−ムに見とれて一時間を過ごし、その後は公園めぐりへ繰り出す。どの公園も静かで美しく、土曜日というのに人込みが見られない。恋人のカップル、老人のカップル、子供連れの家族などが、グリ−ンの芝生の上にまばらに見られる程度である。コペンに来て初めて気付いたのだが、ここで見る太陽はダイヤモンドのように白く輝いて美しく、空はどこまでも抜けるように青く澄み切って見える。太陽が赤くないのである。太陽の色も国によって違って見えるというのは本当なのだ。日本で見る太陽、赤道近くの南国で見る太陽、北欧で見る太陽など、それぞれに色が違って見える。十国十色、国際交流のむずかしさがそこにある。
 

北欧の春風に乗ってサイクリングを満喫できたコペンの休日は最高である。北欧まで足を伸ばしたのは本当に正解である。夕食は駅のカフェテリアで、ビフテ−キとビ−ル(一、二〇〇円)で満たす。夜は早目にゆっくり休息。ところで、コペンの観光案内パンフは日本語版も用意されていて、サ−ビスが行き届いている。日本人観光客が多いのだろうか。出張で来たという三人組に出会った以外は、日本人の姿は見当たらない。
                   

第三日目。昨日のカ−ニバルの写真が、今朝の新聞に載っている。去年よりも規模は小さかったとのことである。今夜九時四十五分発のストックホルム行き夜行列車の時間まで、今日一日チボリ公園でのんびり過ごす予定である。チボリは一八四三年に開設された遊園地の元祖で、世界の国々から多くの入園者を迎えているそうだ。今年は百五十周年を迎えて、特別のアトラクションが催されている。今シ−ズンの開園期間は四月二十七日から九月十八日までとなっている。
 

チボリ公園
十時過ぎ、ホテルをチェックアウトし、駅のロッカ−にバッグを預けてチボリへ出かける。ディズニ−ランドほどの規模はないが、さまざまな遊具やアトラクションがあって子供も大人も楽しめる緑深き静かな遊園地である。今日は日曜日とあって、家族連れで賑わっている。ゆっくりと時間をかけて園内を一周してから、色とりどりの花が咲き乱れる美しい庭園の前のベンチに陣取って、時の流れを忘れてみようと腰を下ろす。


ところが、今日は生憎と曇りで日差しはなく、風も出て、昨日のうららかさとは打って変わって冬に逆戻りしたように寒く、じっと座っていると震え上がるばかりである。昼食に温かそうなホカホカの大きな焼きポテトとサラダ、ジュ−スを取ってのんびり過ごす。
 

夜になるとパレ−ドやアトラクションがあるので、それまでねばろうと思うが、この寒さにはどうにも耐えられず、予定変更して二時過ぎチボリ公園から退散する。出てきたものの、頼みのガイドブックは駅のロッカ−に預けているし、案内所も日曜で休みだし、どこで時間過ごしをするか思案投げ首である。寒いから屋内で過ごす所を見つけなくてはと思い付近を徘徊するが、映画館も見当たらずショウシァ−タ−もお休みと来ている。仕方なく駅のコンコ−スへ戻り、ベンチに腰掛けて乗降客の様子を眺めて過ごす羽目となる。
 

その後、カフェテリアでチキンにフライドポテト、ビ−ルの夕食で一時間、ファ−ストフ−ド店でコ−ヒ一杯で一時間をそれぞれ費やし、九時過ぎにロッカ−からバッグを取り出してホ−ムへと移動する。一等寝台車へ乗ってみると部屋はデラックスで、これまでのピカ一、今夜も一人独占となる。十分遅れで九時五十五分発車、乗り心地も満点である。北欧の鉄道はゆったりしていて水準も高い。
 

ストックホルムへ
間もなく列車ごとフェリ−に乗船して海峡を渡る。しばらくすると珍しく税関の検閲がある。係員がやってきて「カスタムス オフィサ−(税関の役人)」というので、「ノ− デクラレイション(申告するものはない)」というと、「ナショナリティ?」と聞き返すので「ジャパニ−ズ」というと「サンキュウ」といって立ち去る。間もなくしてスウェ−デンに上陸すると、今度は女性の係官がやってきて「パスポ−ト コントロ−ル」というのでパスポ−トを見せると、「サンキュウ」といって立ち去る。これまで列車で国境を何度も越えて来たが、車内検閲を受けたのはこれが初めてである。闇の中を列車はストックホルムへ向けて走り出す。


(この続きはこちらへ⇒ http://yasy7.web.fc2.com/ )



旅行の満足度
5.0
観光
5.0
同行者
一人旅
交通手段
自転車
旅行の手配内容
個別手配
  • 美しい運河の風景<br />

    美しい運河の風景

  • 遊覧船上より眺めた岸辺のマーメイド<br /><br />

    遊覧船上より眺めた岸辺のマーメイド

  • マーメイド(人魚の像)<br /><br />

    マーメイド(人魚の像)

  • マーメイドの側にある公園の噴水<br />

    マーメイドの側にある公園の噴水

  • とある場所でノミの市が・・・ <br />

    とある場所でノミの市が・・・

  • 市内の広場<br />

    市内の広場

  • 華やかなコペンのカーニバル<br />

    華やかなコペンのカーニバル

  • 同上

    同上

  • 同上

    同上

  • 世界的に有名な美しいチボリ公園<br /><br />

    世界的に有名な美しいチボリ公園

  • 同上

    同上

  • 同上

    同上

この旅行記のタグ

関連タグ

1いいね!

利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。 問題のある投稿を連絡する

この旅行記へのコメント (1)

開く

閉じる

  • しょーきちさん 2013/06/09 08:20:25
    御礼 コペンハーゲン情報
    yasyasさま

    おはようございます、しょーきちです。
    コペンハーゲンの夕暮れ情報ありがとうございました。

    無事、コペンハーゲン出張を終え、そして街の散策も楽しむことができました。
    出張後、多忙でご挨拶申し上げるのが遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。

    ラウンドタワーは夕方(といっても日没が21時なので日中ですが)18時までで
    夕暮れを楽しむことはできませんでしたが、日中に市街の景観を楽しむことができました。
    コペンハーゲンは高い建物がないので、大変見晴らしの良い展望スポットですね。
    ありがとうございました。

    コペンハーゲン旅行記拝見しました。
    ベルリンでの出来事は、まさにヒストリーですね。
    今は全く面影がありません。

    これからもよろしくお願い致します。

yasyasさんのトラベラーページ

コメントを投稿する前に

十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?

サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)

報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。

旅の計画・記録

マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?

デンマークで使うWi-Fiはレンタルしましたか?

フォートラベル GLOBAL WiFiなら
デンマーク最安 478円/日~

  • 空港で受取・返却可能
  • お得なポイントがたまる

デンマークの料金プランを見る

フォートラベル公式LINE@

おすすめの旅行記や旬な旅行情報、お得なキャンペーン情報をお届けします!
QRコードが読み取れない場合はID「@4travel」で検索してください。

\その他の公式SNSはこちら/

PAGE TOP