『燃える大地』＜ゴンドワナの大陸を旅して＞（９２）アデレード「姫路庭園」（日本庭園）。

2010/04/25 - 2010/05/10

アデレードと姫路市がどういう歴史的関係があって、姉妹都市になっているか不詳であるが、この町には姫路市から寄贈された日本庭園がある。

外国にある「日本」、例えばサンフランシスコの「Ｌｉｔｔｌｅ　Ｔｏｋｙｏ」とか、この前スイス・インターラーケンの街中で見た小さな「日本庭園」、行ったことはないが、フランスのバルビゾン、モネの「蓮池」、などなど、それは知らない街中で突然日本語で話しかけられた驚きと親しみ、日本への愛着の共通した感情かも知れない。

そこで今日の午後はガイドブックに出ていた市の南方、大きな公園「Ｓｏｕｔｈ　Ｔｅｒｒａｃｅ」内にある日本庭園「姫路庭園」へ向うことにした。

このアデレードのス晴らしは、市の北と南に広大な緑地が広がっていることであり、北の「Ｎｏｒｔｈ　Ｔｅｒｒａｃｅ」にはトレンス川を挟んで大聖教、動物園、ゴルフ場などが広がっていて、今行くこの「Ｓｏｕｔｈ　Ｔｅｒｒａｃｅ」には、「姫路公園」とか運動公園、子供広場、単なる散歩道、等々、これまた広大な緑地が広がっている。

この町は元々水の豊富な緑深い原野だったに違いない。市の南北の広大な緑はそうした開拓時代の名残を思わせるものがあった。

さてその「姫路公園」。コンパクトな日本庭園で、殊、竜安寺の石庭を模した庭は、日本文化の真髄、心を伝えるにかっこうの場所だった。日本から日本人の心、日本らしさがどんどん薄れて行き、今の若い世代は殊更そうした流れが顕著であるが、こうしてここ異国の地に、日本文化の片鱗でも移植されているとすれば、日本人の一人として大変嬉しいことである。

先ずもって入園料が無料なのが良い。日本ではこうした施設は大体幾らかの入場料を徴収しているが、豪州では博物館も美術館も基本的に無料なのが、勝れた文化行政である。

箱庭のような日本庭園には既に何人かの客が来ている。飛び石、蹲なども配置されていて、オージーも興味深そうに見入っている。又、一人二人、石庭に対面し、何事か思索している人もいる。彼等は当方が日本人と分っているのだろうか・・、誰も話しかけては来ないが・・、それとも数多いる中国人の一人とでも思っているのだろうか・・、
いいや、そんな雑念はこの石庭には必要ない。無心にはなれないが、無心になれるよう、ただ眺めていれば良いことだ。

エリア アデレード(オーストラリア)

• 旅行の満足度: 4.5

市の南方に広がる広大な緑地帯「Ｓｏｕｔｈ　Ｔｅｒｒａｃｅ］。

姫路公園はこの緑地帯の西外れにある。

これは何でしょう？　建物の一部にも見えるが、モダンなデザインの横断歩道橋。スロープになっているから、こんな形になっています。

姫路公園の入り口。枝折戸などあって、いかにも日本的。

入園無料だから管理人も誰もいない。あるのは、木の枝に隠れた監視カメラが何台か設置されているだけである。

園内は石灯籠などもあったりして、日本的情緒がある。

松の配置があったりして、日本的庭園が広がっていた。

竜安寺を模したと思われる石庭などもある。

彼等は、今の日本人より寄り深く日本を理解しているかも知れない。

動と静、作庭者は一体日本の何を紹介しようとしていたのか・・

多くの豪州人も日本の伝統の美意識に強い感銘を受けたに違いない・・