『燃える大地』＜ゴンドワナの大陸を旅して＞（４８）ホバートの港で。エビ漁船。

2010/04/25 - 2010/05/10

港に出たついでに港をぶらぶら歩いてみる。見たところそれ程大きな港でもなく、端から端まで一周しても３０分位で歩けるだろう。朝の散歩には丁度良い距離だ。

先にも書いたがこの港、日本の南氷洋捕鯨が華やかなりし１９５０年代、６０年代には、日本からの中継基地、或いは補給基地として、多くの日本船団が寄港していたが、今のこの港にはそんな当時の面影を残すものは何もない。日本の影すらない。

僅か２０年か３０年、日本人がワッと押し寄せて、鯨が獲れなくなると同時に、潮を引くようにして、跡形もなく消え去って行った。５０年、半世紀のタイムラグはこの町から日本のあらゆる形跡を消し去るには充分な時間だった。

そんな昔のことを思いつつ港を歩くと、港の半分はヨット、ボート、クルーザーなどのレジャー基地として使用され、残りの半分が漁船が係留されている漁港となっている。その漁船の半数近くが蟹、エビ漁の漁船で、船員に話を聞くと、その多くが日本に空輸されていると言う。

これも又時代の変化か。５０年前のこの港は、日本人の捕鯨船団で賑わっていたが、今は再び日本への蟹エビ或いは牡蠣の空輸で又活況を呈している。何やかや言ってもこの島と日本との繋がりは、今も尚連綿と続いていたのか・・・

「Mako！」船の名前に「Mako」と書かれている！

「マコ」と言ったら日本人の女性の名前じゃないか！日本の女性がこの町に嫁いできているのか？或いは、日本人との間に生まれた子供の名前なのか？

その「Mako」に惹かれ船長に日本との関係を聞いてみると、想像に反して日本との関係は全く無く、これは単に「Mako」という名前のShark、鮫なんだと。

いやいや違う、この鮫の名前を「Mako」と名付けたのは、きっと日本人に違いない。名付け親が自分の娘か、恋人の名前を付けたに違いない、と。

そんな他愛のない言い争いを船長と交わし、よし、じゃ今晩この船の上のシーフードレストランに来ることにしよう、と船長に約束し、再び湾を周遊した。　

エリア ホバート(オーストラリア)

ホバートの港はそれ程大きくなく、伊豆戸田港の五分の一もない大きさで、小１時間の散歩には丁度良い広さだ。

港にはこの島を代表するアザラシ、オットセイ、ペンギンなどの彫刻が飾られていたが、南氷洋を代表する鯨の彫刻は見当たらなかった。・・こんな所にも反捕鯨が徹底しているのか・・

日本人より遥かにリッチな豪州人、豪華なクルーザーが何隻も係留されていた。

この港にもシドニー同様、沢山のヨットが係留されている。

日本を代表する葉山にも見られないような数多くのヨット、ボート。

この町では沿岸漁業も活発に行われている。

同じ漁師でも日本の漁師と較べて、こちらの方が裕福そうだ。

Lobster,エビ養殖の漁船も数多く係留されている。

それ等の大半は日本へ空輸されるという。

日本の捕鯨船がこの港から去って５０年、又再び、日本との結びつきが始まった。

Mako!　これは日本の女性の名前じゃないか！

船長に聞くと、いや、日本とは関係ない、鮫の一種、Mako　Sharkの名前だ、とのこと。ヨシ、それじゃ今晩その鮫を食べに来るぞ！