1998/01/07 - 1998/01/07
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北風さん
世界最南端の街 ウシュアイア、 漁業、製造業で栄えているこの都市は、実は観光業でも脚光を浴びていた。
この南の端っこの都市の中に観光の目玉なんてあるはずがない。
しかし、この南には世界中の観光のプロが注目する大陸があった。
街のメインストリートに軒を連ねる、「ANTARTICA (南極)」の看板がそれを物語っている。
スペイン語で南極を表わすその大陸は、現在何処の国にも属していないはずなのだが、チリが発行している地図ではチリ側に、アルゼンチンの発行している地図ではアルゼンチンの一部「南極市」になっていた。
まぁ、そんな領土主張問題は何処の国にもある事だが、肝心な事は俺が行けなかった事だ。
行きたかった!南極の温泉で旅の垢を落とす事はすでに俺のスケジュールに組まれていたはずだったのだが・・
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 船
-
旅日記
『南極への道 〜チリ編〜』
アラスカから始めた今回の旅、目指したのは「南」。
そして、とうとう、世界最南端都市ウシュアイアまでたどりついた。
・・・が、しかし、まだ南があった!
ここがアラスカなら話は別だが、地球の南端にはまだ見ぬ大陸が浮かんでいた。
俺の見知らぬ大陸「南極」が!
南極は大陸と言えど、何処の国とも繋がってはいない。つまり、バスでも、電車でも行ける所ではなかった。
しかも、飛行機でも許可されたものだけが着陸できると言う。
結論として残された道は「船」。
俺の南極行きの船探しはチリから始まっていた。
チリのプンタ・アレーナス、最初の船はこの街で見つかった。
南米通に言わせれば、「運がよければ」ここから出る船が一番安く南極に連れて行ってくれるらしい。
プンタ・アレーナスにて得られた南極へ行く船の情報は以下の通りだった。
船 : チリ海軍の南極観測船
乗船方法 : 港、又はチリ海軍局で土下座にて頼み込む
乗船日 : ラテン時間+軍事機密=ひたすら待つ
航海期間 : 観測及び、各観測基地への補給をしながら、だいたい3週間以上
観光オプション : 氷点下での甲板掃除
そして、肝心の費用は、・・だいたい10万円。
しかし、どうもこれは密航の一種らしく、支払う金はほとんど船長の懐に入るらしい。
(現役の軍人が、アルバイトで金を稼いでいる事自体、ラテンらしいのだが)
しかも、値段は船長の胸元三寸!
13万円と言われて、出航前日に19万円に値上げされたツーリストもいるらしい。
確かにここから南極に行くのは、「運」がいるかもしれなかった。 -
1997年12月13日、
チリ海軍プンタ・アレーナス支部局は、木枯らし吹きすさぶ海岸線にそびえていた。
とりあえず、南極行きの船の情報をたずねにやって来たのだが、さすが軍事局だけあって、入り口に立っている兵隊は銃口をもって迎えてくれた。
たどたどしいスペイン語で理由を話しパスポートを見せる。
「お前、ボリビアーノ(ボリビア人)のくせに、何故日本のパスポートを持っているんだ?」
・・・チリ入国管理事務所で尋ねられた時と同様の台詞だ。
「確かに日焼けしてボロボロの服を着ているが、俺は100%日本人だ」と叫びだしたいのだが、さりげなく向けられたマシンガンが俺を冷静にさせてくれる。
すったもんだしたあげく、やっと事務局に通された。
ネイビーブルーのPコートに身を包んだ海軍指令がおごそかに告げる。
「もう、出たよ(2日前に)」 -
旅日記
『南極の罠』
午前5時、あまりの喉の乾きで眼が覚めた。
薄暗がりの中、灼熱色に熱せられたガス・ストーブのフェンスが、ボーッと浮かび上がっている。
南極に手が届きそうなこの土地で、腹が立つほどの寒さを防いでくれるのは、この超強力発熱機、日本じゃ死体焼却炉でしかお眼にかかれない様な気違いじみた出力のおかげだ。
が、しかし、この小型原子炉の前にベッドがある人間にとっては話は別だった。
毎晩、焚き木の側であぶられている魚の夢にうなされている原因はわかっている。
極度の脱水症状を示すカサカサに乾いた唇の欲求に従い、水のあるキッチンへ向かう。
壁一つ隔てただけのキッチンは、そのままペンギンが住めそうなぐらい寒かった。
寝起きに耐熱耐寒テストは心臓にこたえる。
喉がなるほど水を飲んでいると、辺りに朝がやって来た。
今まで気がつかなかったが、朝焼けに頭を抱えてうずくまる男のシルエットが浮かび上がってきた。
これは夢なのだろうか?
こういう場合、かける言葉に国籍は関係ないと思う。
「誰だ?どうしたんだ?」
闇の中から返ってきた声の主は、南極行きの船を待っているドイツ系ナミビア人、スネークのものだった。
「やられた、・・・南極行きの船代全部」
ここプンタ・アレナスは、南極行きの船を見つけられる数少ない場所の一つだった。
かくいう俺もチリ海軍事務所まで押しかけて船を探した。
「US$1800!」それが船代として要求された時点で俺の財布はその能力を失ってしまったが、スネークはこの為だけにここまで来ただけあって、来週船に乗るはずだった。
スネーク曰く、「明日支払う金をポケットに入れて飲みに行き、ご機嫌で帰宅する途中、ポリスに呼び止められ身体検査をされた後なくなっていた」との事。
いくら南米で1.2を争う治安のいい国だとはいえ、歴史上この国は汚職軍人だらけの軍事国家だった所だ。
まさかUS$1800をポケットに入れて夜に外出するとは!
スネークの南極は遠くなった。
旅行記 『PATAGONIA/PUNTA ARENAS(パタゴニア・プンタアレーナス)で「真夏のクリスマス」!』( http://4travel.jp/traveler/zbd67893/album/10451001/ )より抜粋 -
旅日記
『南極への道 〜アルゼンチン編〜』
世界最南端都市ウシュアイアは、南極観光の第一拠点だけあって、いくつものツアー船が南極へと出ていた。
ここだ!
ここしかない!
ここなら、普通に南極に行ける!
そう思って、何軒かのツアー会社をまわった結果、以下の情報が得られた。
船 : 貨物船じゃなく、非常に豪華な大型船
乗船方法 : 港にあるツアー会社にて申し込む
乗船日 : 12月、1月は、週に4〜5便
アクティビティ : 南極の温泉に入れる
そして金額は、・・・ US$ 3000!
物価の高い南米にて、いつ出るかわからない軍事船を待つ費用もない俺に、3000ドルもの出費なぞできるはずもなかった。
結論、
「南極見送り」
・・・I shall return ! (マッカーサーもこんな気持ちだったのだろうか?)
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